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公開日 2019/10/04 09:54
昭和の名作映画『旗本退屈男』が銀座で復活上映。幻の衣装展も開催
インバウンド対応の3ヵ国語字幕上映を実証実験
■昭和の名作時代劇が、銀座のスクリーンで甦る
東京の日比谷・銀座・築地エリアといえば、能楽や歌舞伎、演劇、ミュージカル、宝塚などの有名劇場が多数点在している。2018年には、東京ミッドタウン日比谷が完成(TOHOシネマズ日比谷が入る)や、2019年10月4日には丸の内ピカデリーに都内初のドルビーシネマがオープンするなど、伝統文化から最新エンターテインメントまでの芸術・文化施設を抱える拠点となっている。
そんな銀座にある映画館「丸の内TOEI」で、昭和の名作映画『旗本退屈男』(はたもと たいくつおとこ)がスクリーンに復活。インバウンド対応の3ヵ国語字幕も同時に行われる。
『旗本退屈男』は、佐々木味津三原作の時代小説で、直参旗本・早乙女主水之介(さおとめ もんどのすけ)を主人公とする痛快時代小説だ。
昭和4年(1929年)に小説が発表されて以降、サイレント(無声)映画時代から、昭和の戦前戦後にシリーズ化、テレビドラマ版でも多くリメイクされた。
■1958年オールスター共演のシリーズ代表作
主演の市川右太衛門(いちかわ うたえもん/北大路欣也の父親)は、第1作から早乙女主水之介を一貫して演じ続け、その33年間は日本映画で同一俳優が同一人物を主人公として演じた最長記録となっている。同じく昭和の代表作『男はつらいよ』の渥美清は27年間(特別篇を除く)で、やはり国民的映画のひとつである。
今回スクリーンで再上映されるのは、1958年に製作されたシリーズ23作目の同名作品。主演の市川右太衞門の映画出演300本目を記念して作られた。
共演は片岡千恵蔵、中村錦之助、大友柳太朗、大川橋蔵、東千代之介、里見浩太朗、北大路欣也と、全作品の中でもオールスターが一堂に会した、夢の共演作である。
■天下御免の着流し、これぞ銀幕の豪華衣装
『旗本退屈男』では、右太衛門の “派手な芝居に合わせよう” という意向もあって、主水之介の衣装は作品を重ねるごとにエスカレートしていった。新作ごとに何着もの新しい着物を仕立て、主水之介一人の「天下御免の着流し」に衣装代の8割が使われていた。
そんな折、60年前の “天下御免の着流し” が発見された。『旗本退屈男』シリーズの豪華衣装114点が京都・太秦の東映京都撮影所に大切に保管されていたというのだ。
ふつう、時代劇の衣装は作品ごとに出演者に合わせて仕立て直され、別作品に転用される。そのまま保管されるということは稀で、まさに “幻の衣装” である。
今回は、映画の再映と同時に「旗本退屈男 衣裳展」が、日動画廊、銀座柳画廊にて開催。セレクトされた「天下御免の着流し」10点が展示される。
■「Another Track」技術で、外国語字幕をスマホに表示
今回の映画上映と展示は、文化庁が推進する「日本博」の関連事業。展示では、それぞれ会場である2画廊による絵画展示とのコラボレーションが行われる。
また、映画『旗本退屈男』の上映には実験的な試みがある。観光プロジェクトということで、来日観光客向けのサービスとして、スマホを使ったインバウンド対応(多言語対応)の3ヶ国語字幕表示で上映される。
これはエヴィクサーの開発した技術「Another Track」を採用している。本技術はすでに多くの採用実績がある。
「Another Track」は、スマホに専用のアプリをインストールするだけで楽しめるシンプルなシステム。 今回、『旗本退屈男』字幕アプリが、Android版で無償提供されている。観客は自分のスマホにアプリをインストール。 特定の映画作品の音声データの特徴点を “マスターデータ” としてアプリ側に登録してあるので、映画がはじまると、アプリがスマホのマイクを使って特徴点と比較し、シーンに合わせた字幕を表示することができる。
東映株式会社の飯田氏は、同社の「ハイテク大使館」という変わった部署に所属する。 飯田氏によると、「 ハイテク大使館は昨年6月に発足した、東映グループのリソースを横断的に検討する部署です。来日観光客が多く行き交う銀座という場所にありながら、丸の内TOEIの前を外国人が素通りしてしまう現況から、何か新しい取り組みができないかと検討していました。そこで、聴覚障害者向けのUDCASTでの多言語字幕上映ができないか」と考えたという。
UDCASTは、エヴィクサーのAnother Track技術が使われている。翻訳字幕は、英語と中国語(簡体字)、日本語の3ヶ国語字幕表示。さらに「Another Trackでの字幕表示はスマートグラスを使うことも検討しましたが、今回は期間限定の実証実験に近く、特別に映画館内でスマホ画面を点灯させたまま鑑賞することにしました」「正確な字幕翻訳に配慮しています。その分、iOSは認証手続きに時間がかかるので、Androidだけにしています」と続けた。
サービス提供のためのスマートフォンは、基本的に観客所有・持ち込みのものを使うが、iOSのユーザー向けにスマホ貸し出しも予定している。「東京オリンピックを来年に控えて、東映としてどんなサービスができるか、 技術検証とオペレーションの検証が今回の主たる目的になっています」と教えてくれた。
<『旗本退屈男』のストーリー>
主人公・早乙女主水之介は、徳川将軍直参の旗本。無役ながら1200石の大身で剣術の達人だが、太平の元禄の世では自慢の腕を振るう機会に恵まれず「退屈で仕方ない」が口癖。清廉潔白な性格で、権力の腐敗を憎む一方で、慈悲深く、庶民とも気さくに交わるため「退屈のお殿様」と親しまれている。この「旗本退屈男」が繰り広げる豪華絢爛な時代劇だ。
監督:松田定次
出演:市川右太衛門、片岡千恵蔵、中村錦之助、大友柳太朗、大川橋蔵、東千代之介、里見浩太朗、北大路欣也ほか
◆「旗本退屈男」イベント開催日時
【映画上映】 上映会場:丸の内TOEI(2)(東京都中央区銀座3-2-17)
10月3日(木)15時〜17時(開場14時45分)
10月4日(金)〜8日(火)10時〜12時(開場9時45分)
【衣裳展】
会場(1):日動画廊(東京都中央区銀座5-3-16)
会場(2):銀座柳画廊(東京都中央区銀座5-1-7 数寄屋橋ビル3F)
10月3日(木)15〜19時
10月4日(金)10〜19時
10月5日(土)11〜18時
10月6日(日)11〜18時 ※日動画廊休廊
10月7日(月)10〜19時
10月8日(火)10〜17時
東京の日比谷・銀座・築地エリアといえば、能楽や歌舞伎、演劇、ミュージカル、宝塚などの有名劇場が多数点在している。2018年には、東京ミッドタウン日比谷が完成(TOHOシネマズ日比谷が入る)や、2019年10月4日には丸の内ピカデリーに都内初のドルビーシネマがオープンするなど、伝統文化から最新エンターテインメントまでの芸術・文化施設を抱える拠点となっている。
そんな銀座にある映画館「丸の内TOEI」で、昭和の名作映画『旗本退屈男』(はたもと たいくつおとこ)がスクリーンに復活。インバウンド対応の3ヵ国語字幕も同時に行われる。
『旗本退屈男』は、佐々木味津三原作の時代小説で、直参旗本・早乙女主水之介(さおとめ もんどのすけ)を主人公とする痛快時代小説だ。
昭和4年(1929年)に小説が発表されて以降、サイレント(無声)映画時代から、昭和の戦前戦後にシリーズ化、テレビドラマ版でも多くリメイクされた。
■1958年オールスター共演のシリーズ代表作
主演の市川右太衛門(いちかわ うたえもん/北大路欣也の父親)は、第1作から早乙女主水之介を一貫して演じ続け、その33年間は日本映画で同一俳優が同一人物を主人公として演じた最長記録となっている。同じく昭和の代表作『男はつらいよ』の渥美清は27年間(特別篇を除く)で、やはり国民的映画のひとつである。
今回スクリーンで再上映されるのは、1958年に製作されたシリーズ23作目の同名作品。主演の市川右太衞門の映画出演300本目を記念して作られた。
共演は片岡千恵蔵、中村錦之助、大友柳太朗、大川橋蔵、東千代之介、里見浩太朗、北大路欣也と、全作品の中でもオールスターが一堂に会した、夢の共演作である。
■天下御免の着流し、これぞ銀幕の豪華衣装
『旗本退屈男』では、右太衛門の “派手な芝居に合わせよう” という意向もあって、主水之介の衣装は作品を重ねるごとにエスカレートしていった。新作ごとに何着もの新しい着物を仕立て、主水之介一人の「天下御免の着流し」に衣装代の8割が使われていた。
そんな折、60年前の “天下御免の着流し” が発見された。『旗本退屈男』シリーズの豪華衣装114点が京都・太秦の東映京都撮影所に大切に保管されていたというのだ。
ふつう、時代劇の衣装は作品ごとに出演者に合わせて仕立て直され、別作品に転用される。そのまま保管されるということは稀で、まさに “幻の衣装” である。
今回は、映画の再映と同時に「旗本退屈男 衣裳展」が、日動画廊、銀座柳画廊にて開催。セレクトされた「天下御免の着流し」10点が展示される。
■「Another Track」技術で、外国語字幕をスマホに表示
今回の映画上映と展示は、文化庁が推進する「日本博」の関連事業。展示では、それぞれ会場である2画廊による絵画展示とのコラボレーションが行われる。
また、映画『旗本退屈男』の上映には実験的な試みがある。観光プロジェクトということで、来日観光客向けのサービスとして、スマホを使ったインバウンド対応(多言語対応)の3ヶ国語字幕表示で上映される。
これはエヴィクサーの開発した技術「Another Track」を採用している。本技術はすでに多くの採用実績がある。
「Another Track」は、スマホに専用のアプリをインストールするだけで楽しめるシンプルなシステム。 今回、『旗本退屈男』字幕アプリが、Android版で無償提供されている。観客は自分のスマホにアプリをインストール。 特定の映画作品の音声データの特徴点を “マスターデータ” としてアプリ側に登録してあるので、映画がはじまると、アプリがスマホのマイクを使って特徴点と比較し、シーンに合わせた字幕を表示することができる。
東映株式会社の飯田氏は、同社の「ハイテク大使館」という変わった部署に所属する。 飯田氏によると、「 ハイテク大使館は昨年6月に発足した、東映グループのリソースを横断的に検討する部署です。来日観光客が多く行き交う銀座という場所にありながら、丸の内TOEIの前を外国人が素通りしてしまう現況から、何か新しい取り組みができないかと検討していました。そこで、聴覚障害者向けのUDCASTでの多言語字幕上映ができないか」と考えたという。
UDCASTは、エヴィクサーのAnother Track技術が使われている。翻訳字幕は、英語と中国語(簡体字)、日本語の3ヶ国語字幕表示。さらに「Another Trackでの字幕表示はスマートグラスを使うことも検討しましたが、今回は期間限定の実証実験に近く、特別に映画館内でスマホ画面を点灯させたまま鑑賞することにしました」「正確な字幕翻訳に配慮しています。その分、iOSは認証手続きに時間がかかるので、Androidだけにしています」と続けた。
サービス提供のためのスマートフォンは、基本的に観客所有・持ち込みのものを使うが、iOSのユーザー向けにスマホ貸し出しも予定している。「東京オリンピックを来年に控えて、東映としてどんなサービスができるか、 技術検証とオペレーションの検証が今回の主たる目的になっています」と教えてくれた。
<『旗本退屈男』のストーリー>
主人公・早乙女主水之介は、徳川将軍直参の旗本。無役ながら1200石の大身で剣術の達人だが、太平の元禄の世では自慢の腕を振るう機会に恵まれず「退屈で仕方ない」が口癖。清廉潔白な性格で、権力の腐敗を憎む一方で、慈悲深く、庶民とも気さくに交わるため「退屈のお殿様」と親しまれている。この「旗本退屈男」が繰り広げる豪華絢爛な時代劇だ。
監督:松田定次
出演:市川右太衛門、片岡千恵蔵、中村錦之助、大友柳太朗、大川橋蔵、東千代之介、里見浩太朗、北大路欣也ほか
◆「旗本退屈男」イベント開催日時
【映画上映】 上映会場:丸の内TOEI(2)(東京都中央区銀座3-2-17)
10月3日(木)15時〜17時(開場14時45分)
10月4日(金)〜8日(火)10時〜12時(開場9時45分)
【衣裳展】
会場(1):日動画廊(東京都中央区銀座5-3-16)
会場(2):銀座柳画廊(東京都中央区銀座5-1-7 数寄屋橋ビル3F)
10月3日(木)15〜19時
10月4日(金)10〜19時
10月5日(土)11〜18時
10月6日(日)11〜18時 ※日動画廊休廊
10月7日(月)10〜19時
10月8日(火)10〜17時