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公開日 2021/06/16 16:56
野村ケンジ氏が語る「完全ワイヤレスイヤホンの最新トレンド」。ファーウェイイベントレポート
「FreeBudsシリーズ」をアピール
ファーウェイは、メディア向けイベント「完全ワイヤレスイヤホンの最新トレンドとHUAWEI FreeBudsシリーズのアドバンテージ」を実施。オーディオ&ビジュアルライターの野村ケンジ氏を招き、同社完全ワイヤレスイヤホン「FreeBudsシリーズ」をアピールした。
野村ケンジ氏は、年間300以上のイヤホン・ヘッドホンを10年以上にわたり試聴し続けているオーディオ&ビジュアルライター。弊社主催のアワード「VGP」で審査員も務めている。
まず野村氏は、完全ワイヤレスイヤホンの市場動向について解説。まず強調したのが、かつてウォークマンの対抗馬としてiPodが登場して以降、ソニー対アップルの戦いが、完全ワイヤレスイヤホンでも起こっているということだ。
完全ワイヤレスイヤホンでは、ソニーとアップルが大きなシェアを握っているとのこと。この2社に続き、ボーズやゼンハイザー、JVC、オーディオテクニカ、JBL、テクニクスなどのオーディオメーカーが追随していると説明する。
そして、完全ワイヤレスイヤホンにはオーディオ以外のメーカーも参入している、と野村氏。例として挙げられたのは、JabraやGLIDiC、BOCOといったブランドだ。これらのメーカーは、「ヒアラブルデバイスとしての使い勝手のよさや利用頻度の高さ、長時間使っても苦にならない製品」をラインナップしており、「なかなか面白い状況になっている」という。
スマホメーカーも完全ワイヤレスイヤホンを発売しており、今回のファーウェイもその1社。ソニーやアップルもスマホを前提とした製品であることはもちろん、サムスンも自社端末向けに展開している。また、中国のスマホメーカーであるOPPOやrealmeも、今年に入って日本にオーディオ機器で参入した。
日本ではiPhoneを使用するユーザーが多いので、こだわりのある方を除くと、AirPods Proがファーストチョイスになる。「AirPods Proの売上は、iPhoneの売上に準じている」と話すように、野村氏は、AirPods Proは「単体で愛されているモデルかというと、違う」と分析する。そのため、Androidスマホメーカーの製品では、他社スマートフォンとの相性も重要だという。
この流れをふまえた近年のトレンドが、「オーディオメーカーによる高音質・高機能製品」「新興ブランドによるハイコスパ製品」の2極化だ。
特にハイコスパ製品については、日本のAVIOT、ag、GLIDiCなどのブランドが、高機能/良音質/手頃な価格のバランスを備えているとのこと。また圧倒的な低価格で中国ブランドも躍進しており、AnkerやSOUNDPEATSなど、2年前と比べて音質も良くなるなど、有力な存在になったという。
ここで野村氏が指摘したのが、「これらのハイコスパ製品が市場拡大のキーになり、完全ワイヤレスイヤホンの売上が大きくなっている」こと。とはいえ、オーディオメーカーの製品シェアが減っているのではなく、パイが増えているところに新たなメーカーが加わっているのだという。
なお、ハイコスパ製品であっても、近年は「安かろう悪かろう」では売れず、最低限必要なスペックがあるとも紹介。たとえばバッテリー持続時間については、上位モデルでは10時間超え、安い製品でも5時間が最低ラインで、安くても3時間程度では厳しいという。そして、装着感についても、これからのテーマになると解説した。
ファーウェイのFreeBudsシリーズは、完全ワイヤレスイヤホンとしては、ミドルクラスに位置する。近ごろはANC(ノイズキャンセリング)機能を搭載するモデルが主流のなか、「FreeBuds 4i」は、フィードフォワード方式のANCを搭載。「これで1万円を切る価格というのは、見事に日本市場の特性を捉えている」と野村氏は評価した。
フィードフォワード方式とは、イヤホンの外側にマイクを設置し、そのノイズを打ち消す方法。FreeBuds 4iでは、楕円形のノズルを採用することで遮音性向上を図り、ANCの効果を高めたという。ほかに、イヤホンのノズル内部にマイクを設置するフィードバック方式、そのふたつを組合わせたハイブリッド方式が存在する。
同氏が挙げたもう1つのポイントは、マイク性能だ。「マイク性能が高い完全ワイヤレスイヤホンって、ほとんどない。そのなかでFreeBuds 4iは良い方」だと説明した。また、単体で10時間、ANCをオンにしても7.5時間という再生時間もメリットだという。
あわせて、FreeBudsシリーズの最上位モデル「FreeBuds Pro」についても言及。「イヤホンでここまで必要ないんじゃないかな、というくらいの、ガチガチのノイキャンを搭載している。簡単かつ手軽に高性能を使いこなせる製品だ」と述べた。
■FreeBuds 4i投入の技術を解説
イベントでは、ファーウェイ・ジャパン 東京研究所 音響技術研究室 室長の角田直隆氏も登壇。FreeBuds 4iに投入された技術を解説した。
東京研究所は、2014年に日本研究所として設立され、2020年に現在の名称に変更。2-3年後を見据えて開発が行われている。施設内には試聴室のほか、イヤホンやヘッドホンなどを試作できるスペースも備えている。
同様の研究所は世界各地にあり、中国では北京や深センなど、欧州ではミュンヘンやフィンランド、そしてモスクワなどに設置されている。なお実際の製品化の際には、世界各地の技術などが横並びで集められ、良いものが採用されていくという。
角田氏によると、FreeBuds 4iは通話のマイク音質にこだわったという。ここで採用された技術は、ビームフォーミングとAI雑音低減技術の2つ。ビームフォーミングでは、本体の2箇所にマイクを設置し、音声の時間差を利用することで目的の音を取り出す。またAI雑音低減技術では、人間の声を経験的に学習したことで、人間の声を抽出できるという。
ノイズキャンセリングについては、フィードフォワード方式を採用しつつ、精度の高いキャンセル信号を追求したと角田氏は解説する。音質の要となるドライバーユニットについても、筐体に収まるなかで最大サイズの10mmドライバーを採用。なおこのドライバーについては、公式には謳っていないものの、高域の周波数特性が優れており、特性だけでみるとハイレゾ対応といえるほどの性能があるという。
ハウジングの形状は、1回あたり約2時間のテストを数千回、つまり1万時間以上のテストから決定されていると説明。先述のユニットサイズについても、ここでハウジング形状が確定してから検討に入ったという。
そのほかFreeBuds 4iのポイントとして、接続についても言及。キャリングケースの蓋を開けると接続開始できるほか、電波の状況を見分けて左右のマスターを入れ替えることで、接続安定性とバッテリーの最大化を図っている。さらにゲームを検知して遅延を軽減する低遅延モードや、装着検知機能も特徴とアピールした。
なお、FreeBuds 4iは6月中を目標に、iOS版の「Huawei AI Life」に対応予定。これまではAndroid版のみの対応だったが、これにより、iOS端末でも操作設定やファームウェアアップデートが行えるようになる。
野村ケンジ氏は、年間300以上のイヤホン・ヘッドホンを10年以上にわたり試聴し続けているオーディオ&ビジュアルライター。弊社主催のアワード「VGP」で審査員も務めている。
まず野村氏は、完全ワイヤレスイヤホンの市場動向について解説。まず強調したのが、かつてウォークマンの対抗馬としてiPodが登場して以降、ソニー対アップルの戦いが、完全ワイヤレスイヤホンでも起こっているということだ。
完全ワイヤレスイヤホンでは、ソニーとアップルが大きなシェアを握っているとのこと。この2社に続き、ボーズやゼンハイザー、JVC、オーディオテクニカ、JBL、テクニクスなどのオーディオメーカーが追随していると説明する。
そして、完全ワイヤレスイヤホンにはオーディオ以外のメーカーも参入している、と野村氏。例として挙げられたのは、JabraやGLIDiC、BOCOといったブランドだ。これらのメーカーは、「ヒアラブルデバイスとしての使い勝手のよさや利用頻度の高さ、長時間使っても苦にならない製品」をラインナップしており、「なかなか面白い状況になっている」という。
スマホメーカーも完全ワイヤレスイヤホンを発売しており、今回のファーウェイもその1社。ソニーやアップルもスマホを前提とした製品であることはもちろん、サムスンも自社端末向けに展開している。また、中国のスマホメーカーであるOPPOやrealmeも、今年に入って日本にオーディオ機器で参入した。
日本ではiPhoneを使用するユーザーが多いので、こだわりのある方を除くと、AirPods Proがファーストチョイスになる。「AirPods Proの売上は、iPhoneの売上に準じている」と話すように、野村氏は、AirPods Proは「単体で愛されているモデルかというと、違う」と分析する。そのため、Androidスマホメーカーの製品では、他社スマートフォンとの相性も重要だという。
この流れをふまえた近年のトレンドが、「オーディオメーカーによる高音質・高機能製品」「新興ブランドによるハイコスパ製品」の2極化だ。
特にハイコスパ製品については、日本のAVIOT、ag、GLIDiCなどのブランドが、高機能/良音質/手頃な価格のバランスを備えているとのこと。また圧倒的な低価格で中国ブランドも躍進しており、AnkerやSOUNDPEATSなど、2年前と比べて音質も良くなるなど、有力な存在になったという。
ここで野村氏が指摘したのが、「これらのハイコスパ製品が市場拡大のキーになり、完全ワイヤレスイヤホンの売上が大きくなっている」こと。とはいえ、オーディオメーカーの製品シェアが減っているのではなく、パイが増えているところに新たなメーカーが加わっているのだという。
なお、ハイコスパ製品であっても、近年は「安かろう悪かろう」では売れず、最低限必要なスペックがあるとも紹介。たとえばバッテリー持続時間については、上位モデルでは10時間超え、安い製品でも5時間が最低ラインで、安くても3時間程度では厳しいという。そして、装着感についても、これからのテーマになると解説した。
ファーウェイのFreeBudsシリーズは、完全ワイヤレスイヤホンとしては、ミドルクラスに位置する。近ごろはANC(ノイズキャンセリング)機能を搭載するモデルが主流のなか、「FreeBuds 4i」は、フィードフォワード方式のANCを搭載。「これで1万円を切る価格というのは、見事に日本市場の特性を捉えている」と野村氏は評価した。
フィードフォワード方式とは、イヤホンの外側にマイクを設置し、そのノイズを打ち消す方法。FreeBuds 4iでは、楕円形のノズルを採用することで遮音性向上を図り、ANCの効果を高めたという。ほかに、イヤホンのノズル内部にマイクを設置するフィードバック方式、そのふたつを組合わせたハイブリッド方式が存在する。
同氏が挙げたもう1つのポイントは、マイク性能だ。「マイク性能が高い完全ワイヤレスイヤホンって、ほとんどない。そのなかでFreeBuds 4iは良い方」だと説明した。また、単体で10時間、ANCをオンにしても7.5時間という再生時間もメリットだという。
あわせて、FreeBudsシリーズの最上位モデル「FreeBuds Pro」についても言及。「イヤホンでここまで必要ないんじゃないかな、というくらいの、ガチガチのノイキャンを搭載している。簡単かつ手軽に高性能を使いこなせる製品だ」と述べた。
■FreeBuds 4i投入の技術を解説
イベントでは、ファーウェイ・ジャパン 東京研究所 音響技術研究室 室長の角田直隆氏も登壇。FreeBuds 4iに投入された技術を解説した。
東京研究所は、2014年に日本研究所として設立され、2020年に現在の名称に変更。2-3年後を見据えて開発が行われている。施設内には試聴室のほか、イヤホンやヘッドホンなどを試作できるスペースも備えている。
同様の研究所は世界各地にあり、中国では北京や深センなど、欧州ではミュンヘンやフィンランド、そしてモスクワなどに設置されている。なお実際の製品化の際には、世界各地の技術などが横並びで集められ、良いものが採用されていくという。
角田氏によると、FreeBuds 4iは通話のマイク音質にこだわったという。ここで採用された技術は、ビームフォーミングとAI雑音低減技術の2つ。ビームフォーミングでは、本体の2箇所にマイクを設置し、音声の時間差を利用することで目的の音を取り出す。またAI雑音低減技術では、人間の声を経験的に学習したことで、人間の声を抽出できるという。
ノイズキャンセリングについては、フィードフォワード方式を採用しつつ、精度の高いキャンセル信号を追求したと角田氏は解説する。音質の要となるドライバーユニットについても、筐体に収まるなかで最大サイズの10mmドライバーを採用。なおこのドライバーについては、公式には謳っていないものの、高域の周波数特性が優れており、特性だけでみるとハイレゾ対応といえるほどの性能があるという。
ハウジングの形状は、1回あたり約2時間のテストを数千回、つまり1万時間以上のテストから決定されていると説明。先述のユニットサイズについても、ここでハウジング形状が確定してから検討に入ったという。
そのほかFreeBuds 4iのポイントとして、接続についても言及。キャリングケースの蓋を開けると接続開始できるほか、電波の状況を見分けて左右のマスターを入れ替えることで、接続安定性とバッテリーの最大化を図っている。さらにゲームを検知して遅延を軽減する低遅延モードや、装着検知機能も特徴とアピールした。
なお、FreeBuds 4iは6月中を目標に、iOS版の「Huawei AI Life」に対応予定。これまではAndroid版のみの対応だったが、これにより、iOS端末でも操作設定やファームウェアアップデートが行えるようになる。