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公開日 2022/09/26 07:00
ユアサプライムス、“製品安全性”の担保へSマーク認証を活用。流通から厚い信頼を獲得
自前だけではない第三者評価の意義
■中国協力工場の製品安全への姿勢も高めるSマーク
コロナ禍のおうち時間増も後押しして、ネット通販がより身近な存在になると同時に、そこには中国製をはじめとする海外製品が台頭する。急速な環境変化に伴い、これまで消費者に担保されていた商品の安全性に対する土台も揺らぎ始めている。店頭で手に取り確認したり、販売員に質問したりすることができないネット通販ではとりわけ、つい安さにつられて手を出し、失敗した経験を持つ人も少なくないだろう。そうしたなかでもより心配されるのが、モバイルバッテリーの発火事故などがニュースでも報じられる、商品の “安全性” に対する問題だ。
消費者はもちろん、提供するメーカーにとっても重要な課題となるなか、家電製品の開発・輸入・販売を手掛けるユアサプライムスでは、自前のチェック体制に万全を期すのはもちろんのこと、第三者認証「Sマーク」を積極的に活用して安全な製品の提供に力を注ぎ、流通から厚い信頼を獲得している。
ユアサプライムスは、夏は扇風機やサーキュレーター、冬はこたつやセラミックヒーターなどの季節家電をメインに、調理家電、生活家電などの家電製品を「YUASA」ブランドで提供している。こたつの製造はベトナムやマレーシアを拠点とするが、それ以外の大半は中国が製造拠点となる。
製造拠点となる中国の協力会社は、元々は台湾の企業で、厳しい競争下にコストダウンが迫られるなかで中国やマレーシアへと拠点を移した例がほとんどだという。先の上海ロックダウンでは様々な製品の製造に大きな影響を及ぼしたことも記憶に新しいが、ユアサプライムスでも、1年前に当時はまだ中国と同じゼロコロナ政策をとるベトナムで、工場が完全にストップし、打撃を受けている。
同社商品統括部 商品部 部長代理・海老原淳也氏は「中国は依然ゼロコロナ政策をとるため、リスクは決して小さくありません。中国への一極集中から、東南アジアへ分散させていく考えももちろんあります。しかし、コロナ禍で新しい動きを起こしにくいこと。また、何より部品等の価格はまだまだ中国が安いですし、幅広い部品の入手性に優れていますから」とその背景を説明する。
安全な製品を見極める上でひとつの目安となるのがPSEマークなのだが、「現地の製造業者とのやりとりではPSEマークの有無ではなく、具体的に技術基準を満たしていることをどのように確認していくかがポイントになります」と語る。そのような状況下、「目指す製品の技術基準に対し、当社と先方の工場とが一緒になって検証を行い、さらにSマーク認証を取得することで、第三者による確認も積極的に活用しています」(同社商品統括部 品質管理室 室長・簗瀬一郎氏)と何重ものチェック機能を働かせている。
信じがたいことに、部品メーカーが許可なく納品する部品を知らないうちに代えてしまう例(サイレントチェンジ)なども報告されている。しかし、「当社が製造を委託する製品でSマークを取得する率が高いことは、中国の協力工場でもきちんと認識していて、Sマークに登録している製品に使用する部品は変えられないことも十分に理解してくれています」と積極的なSマーク認証の取得が、中国の協力工場の製品の安全性に対する見識にも波及効果をもたらしている。
ただ、Sマーク認証の取得にはコストがかかることから、どうしてもヒット商品やロングラン商品が優先されるが、「本来ならすべての商品で取得できれば理想的です」と話す。また、YUASAブランドを付けた製品のほかにも販売先ブランドも扱っており、こちらはさらに厳しい条件のもと、「現地でYUASAの専用ラインで作ってもらっている商品などでは、品質担当者を派遣してより厳しく目を光らせています」と説明する。
■流通サイドでもSマーク活用の動き高まる
ユアサプライムスでは、『「快適で安心な生活」を提案するために、パートナーとお互いの価値観を共有し、高品質でクレーム・ロスのない、市場から評価される商品を安定供給するために、継続的な改善を図り、「顧客満足の向上」に努める』と品質方針を謳っている。熱心な取り組みは流通バイヤーも知るところで、「YUASAは製品安全に高い意識をもって取り組んでいるブランド」との認識が深まっている。
海老原氏は「今は誰でも簡単に輸入して販売することができるので、品質は大丈夫なのかととても心配になります。今後、製品の安全安心がより厳しく問われることに疑う余地はありません」と語気を強める。輸入商品はほぼ買い取りのため、よほどのことがない限り返品はまずできない。それが不良品となり、廃棄することにでもなれば、その損害金額は馬鹿にならない。「私達もチェック態勢をさらに強化していきますが、自前だけではなく、第三者で評価してくれるSマークがそこで重要や役割を担います」と大きな信頼を寄せる。
消費者、メーカー同様に、売り手側にとっても “製品の安全性” は譲れない条件。「Sマークがついた商品でないとだめという販売店もありますし、納品する商品のSマークの有無をリストにして提出を求めるところもあります」と流通サイドでもSマーク活用への意識が高まりつつある。
家電製品の販売を取り巻く環境が急速に変化していくなか、家電メーカーにいた人材を採用したり、製品の技術基準の裏付けの提供依頼があったり、流通における製品安全への対応強化の動きが高まっている。簗瀬氏は「Sマークの認知と理解がさらに高まり、とりわけ消費者の間でも『これ、Sマークがついているから安心だね』と言っていただけるような環境が構築できると助かります」と語る。
「家電製品の安全性」は人々の生活に寄り添う身近な問題。「消費者の皆様が安心して使用できる製品をこれからもお届けして参ります」と力を込める海老原氏。大変心強い言葉であると同時に、そこにはメーカーや販売店の企業努力だけでなく、消費者自らも「Sマーク」をはじめとしたその仕組みについて、より知識を深めていくことが今後ますます大事になってくることは間違いない。