• ブランド
    特設サイト
ガジェット 公開日 2023/06/15 17:24

Apple Vision Pro搭載の「OLEDマイクロディスプレイ」、ソニーが1年以上前に公開していた

当面ソニー以外は製造できなさそう
Gadget Gate
多根清史
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
アップルの空間コンピュータ「Apple Vision Pro」が持つ大きな強みの1つは、内部ディスプレイの解像度だろう。両目合わせて2300万ピクセルという密度は、Meta Quest Pro(約703万ピクセル)等と比べても圧倒的だ。

このディスプレイについて、公式には「micro-OLEDテクノロジーにより、広色域とハイダイナミックレンジを備えた切手サイズ」「4Kテレビよりも多くの画素数がそれぞれの目に用意されている」以上の説明はない。だが、パネルをソニーが一社独占で供給していることは広く知られている。

そして、実はソニーが1年以上前に、このディスプレイ技術を披露していたと米9to5Macが主張している。

このディスプレイに使われている技術は、一般的には「OLED on Silicon」、通称「OLEDoS」と呼ばれているものだ。すなわちバックプレーンとしてガラス基板の代わりにシリコンウェハーを使ったパネルであり、ソニーが圧倒的な存在感を誇っている。

しかし、当のソニーは「OLEDマイクロディスプレイ(OLED Microdisplay)」という名称を使っている。複数の用語が入り乱れていることもあり、Apple Vision Pro報道でも「マイクロLED」と誤記しているメディアも少なからずあったようだ。

さて9to5Macが紹介しているのは、2021年末のSony Technology Day開催時に公開されたプロモーションビデオである。

ここでお披露目された「HMD用ディスプレイ」は片目で4K、両目で8Kを実現。細かい文字や素材の質感まで、映像が現実さながらだと言われている。まさにApple Vision Proの内部ディスプレイそのものだ。

ピクセルなりドットが認識されるとディスプレイを見ているような感覚になるため、リアルな映像体験のためには、多くのドットを拡大しても見えないようにする必要がある。また限られたフォームファクターに収めるよう、パネルサイズも小さくしなければならない。

この2つの要求に対して、1インチあたり4Kという超高解像度のOLEDマイクロディスプレイを開発。このディスプレイはスマートフォン用有機ELと比べてドット数が2倍以上となり、パネルサイズを約20分の1に縮小することができる、とソニーは説明している。

実際、当時メディア関係者がこのヘッドセットを試用していたが、「ドット感」が一切ないと驚いていた。同パネルの生産には、ソニーが得意とするイメージセンサーの製造に用いる微細加工技術や高度なパッケージング技術が活かされているというから、競合他社の追随を許さないのだろう。

さらにビデオでは、超低遅延も解像度と並んで重要な要素だと述べられている。ユーザーがどこを見ているかを把握し、先回りして描画していくことで、遅延を通常の0.1秒から0.01秒以下にまで短縮できたという。

なぜ低遅延が重要かといえば、頭の動きと映像の動きのズレ(遅延)がVR酔いの原因の1つになるからだ。複数のセンサーから得たデータと遅延補完技術を組み合わせたアプローチは、まさにApple Vision Proそのものである。

しかし、その高度な製造プロセスゆえに、ソニーの年間パネル生産能力は90万台にすぎず、2024年内のApple Vision Pro出荷台数もせいぜい数十万台と予想する報道もあった。アップルはソニーに生産能力を拡大するよう要請したが、ソニーは拒否したとのことだ。

Apple Vision ProでのAR/VR体験が卓越していることは、実際に被ってみた複数の識者らが伝えており、疑いはないだろう。しかし、その体験が多くの人に届くのは数年先のことになるのかもしれない。

Source: Sony(YouTube)
via: 9to5Mac

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック

クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 Amazonブラックフライデー、本セールが29日午前0時スタート!先行セールと何が違う?
2 ついに始まった日本版Qobuz! 運営が語る“音楽好きに愛される”ハイレゾサブスクの魅力とは
3 プロが判定「これは買い」。 JBLの最新TWS「LIVE BEAM 3/BUDS 3」が1万5千円切りに!Amazonブラックフライデー
4 「10万円台」「ハイコスパ」AVアンプ/HDMIプリメインをガチ比較!デノン/マランツの厳選モデルを一斉レビュー
5 「今、売れているオーディオアクセサリー」<売れ筋ランキング10月 番外編>
6 オーディオテクニカの開放型ヘッドホン徹底比較!「ATH-ADX3000」「ATH-ADX5000」の差に迫る
7 独自技術を結集したPolk Audioの最高峰「R700」に迫る徹底レビュー
8 「Sonos Ace」レビュー。美しいデザインに高いノイキャン性能、そして音質…完成度の高さにVGP審査員が唸った
9 大画面の歴史を塗り替える “ビッグサイズ・4K Mini LED液晶レグザ”、「Z990Rシリ ーズ」「Z770Nシリーズ」はプロも認める映像体験
10 選挙がオーディオ店の集客にも影響も本当に良い製品には関係なし<販売店の声・売れ筋ランキング10月>
11/29 10:32 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.195
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX