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公開日 2022/06/06 15:39
天王星と海王星、どちらも氷の惑星なのになぜ微妙に色が違う? その理由が判明【Gadget Gate】
まだまだ謎の多い巨大氷惑星
天王星と海王星は、いずれも水やメタン、アンモニアを豊富に含む氷で成り立っていることから、巨大氷惑星と呼ばれている。そしてどちらも、地球の4倍ほどの直径があり、質量や大気の組成もよく似ている。
ところが、この2つの惑星にも違う点がある。地球からこの2つの星を観測したとき、天王星は淡い青色をしているのに対して、海王星はもっと彩度の高い鮮やかな青に見えるのだ。
色が異なる理由を調べることは、この2つの惑星の内部環境をより良く理解するために役立つと考えられる。NASAの研究者らは、なぜこの色合いが異なるのかの解明に取り組んだ。
天王星は太陽から約29億km、海王星は約45億km離れた公転軌道を持っており、そんな遠くの惑星について調べるのは非常に難しい。火星探査ローバーPerseveranceが日々、現地から探査データを送ってくる火星とは異なり、この2つの惑星に探査機が接近したのは約30年前のボイジャー2号だけだ。
そこで、NASAの研究者らはハワイにあるジェミニ北天文台と、NASA赤外線望遠鏡施設(IRTF)、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを突き合わせて解析し、天王星と海王星の大気モデルを作った。これまでの大気の解析では、特定の波長における色の見え方についてのみの研究だったため、大気が赤色を吸収し青を反射していることはわかっても、色合いが違う理由までは調べていなかったからだ。今回の新しいモデルでは、波長域を広げて、複数の大気の層を観察することができたという。
NASAのリリースによると、研究の主任執筆者でオックスフォード大学の惑星物理学教授のPatrick G.J. Irwin氏は、「これは紫外線から近赤外線に至るまで、太陽光の反射を広範に、同時に調べた最初の例だ」「そして、天王星と海王星の目に見える色の違いを説明する最初の研究でもある」と述べている。
そして研究によると、天王星では大気に含まれる “ヘイズ” 、つまり微粒子や何らかの煙霧状のものが厚く濃く含まれているため、外からは星が明るく見えることがわかった。これに対し、海王星はそのヘイズの層が薄いことに加え、天王星よりも流動的で活発な乱気流も発生する大気が、メタン粒子を凝縮して雪を形成しやすく、その雪がヘイズを取り除くため、大気中の青い光がより多く反射され鮮やかな青色になると説明されている。
研究者らは、このモデルが海王星にときおり発生する、ダークスポットこと大暗班の発生の解明にも役立つと考えている。
研究の詳細は、査読付き科学ジャーナルJournal of Geophysical Research: Planets(JGR Planets)に掲載された。
ちなみに、全米アカデミーは今年4月、NASAが今後10年のあいだに進めるべき惑星探査の方針となる「惑星探査10年計画」で、最も重要な計画として天王星の探査を掲げた。天王星や海王星は、太陽系の一部ながらまだまだ未開拓な領域であり、巨大氷惑星という種類の惑星についてもわからないことが多い。太陽系外では、ハビタブルゾーンに巨大氷惑星が存在しているのも確認されている。それらがどうやって形成し、どのような物質で構成され、どのように大気や磁場が変動しているのかを天王星の探査を通じて明らかにしていくことが期待されている。
Source:Journal of Geophysical Research: Planets, NASA
via:Independent, CNN
Coverage:American Institute of Physics
※テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」を近日中にローンチ予定です。本稿は、そのプレバージョンの記事として掲載しています。
ところが、この2つの惑星にも違う点がある。地球からこの2つの星を観測したとき、天王星は淡い青色をしているのに対して、海王星はもっと彩度の高い鮮やかな青に見えるのだ。
色が異なる理由を調べることは、この2つの惑星の内部環境をより良く理解するために役立つと考えられる。NASAの研究者らは、なぜこの色合いが異なるのかの解明に取り組んだ。
天王星は太陽から約29億km、海王星は約45億km離れた公転軌道を持っており、そんな遠くの惑星について調べるのは非常に難しい。火星探査ローバーPerseveranceが日々、現地から探査データを送ってくる火星とは異なり、この2つの惑星に探査機が接近したのは約30年前のボイジャー2号だけだ。
そこで、NASAの研究者らはハワイにあるジェミニ北天文台と、NASA赤外線望遠鏡施設(IRTF)、ハッブル宇宙望遠鏡の観測データを突き合わせて解析し、天王星と海王星の大気モデルを作った。これまでの大気の解析では、特定の波長における色の見え方についてのみの研究だったため、大気が赤色を吸収し青を反射していることはわかっても、色合いが違う理由までは調べていなかったからだ。今回の新しいモデルでは、波長域を広げて、複数の大気の層を観察することができたという。
NASAのリリースによると、研究の主任執筆者でオックスフォード大学の惑星物理学教授のPatrick G.J. Irwin氏は、「これは紫外線から近赤外線に至るまで、太陽光の反射を広範に、同時に調べた最初の例だ」「そして、天王星と海王星の目に見える色の違いを説明する最初の研究でもある」と述べている。
そして研究によると、天王星では大気に含まれる “ヘイズ” 、つまり微粒子や何らかの煙霧状のものが厚く濃く含まれているため、外からは星が明るく見えることがわかった。これに対し、海王星はそのヘイズの層が薄いことに加え、天王星よりも流動的で活発な乱気流も発生する大気が、メタン粒子を凝縮して雪を形成しやすく、その雪がヘイズを取り除くため、大気中の青い光がより多く反射され鮮やかな青色になると説明されている。
研究者らは、このモデルが海王星にときおり発生する、ダークスポットこと大暗班の発生の解明にも役立つと考えている。
研究の詳細は、査読付き科学ジャーナルJournal of Geophysical Research: Planets(JGR Planets)に掲載された。
ちなみに、全米アカデミーは今年4月、NASAが今後10年のあいだに進めるべき惑星探査の方針となる「惑星探査10年計画」で、最も重要な計画として天王星の探査を掲げた。天王星や海王星は、太陽系の一部ながらまだまだ未開拓な領域であり、巨大氷惑星という種類の惑星についてもわからないことが多い。太陽系外では、ハビタブルゾーンに巨大氷惑星が存在しているのも確認されている。それらがどうやって形成し、どのような物質で構成され、どのように大気や磁場が変動しているのかを天王星の探査を通じて明らかにしていくことが期待されている。
Source:Journal of Geophysical Research: Planets, NASA
via:Independent, CNN
Coverage:American Institute of Physics
※テック/ガジェット系メディア「Gadget Gate」を近日中にローンチ予定です。本稿は、そのプレバージョンの記事として掲載しています。