公開日 2009/10/07 18:56
吸音材「クワイセントパネル」を設置して残響時間を測定! - その効果のほどは!?
製品版に加えプロトタイプの測定も実施
低周波の吸音が確実にできると話題となっている昭和電線デバイステクノロジー社の吸音材「クワイセントパネル」(井上千岳氏によるレビュー記事)。グラスウール系吸音材とは異なり、膜振動の原理を使っているため、薄いパネル形状で低周波帯域の吸音ができ、定在波の除去などに効果的に使用できるルームチューニング材である。
リスニングルームはひとつひとつ違う環境であるため、「ルームチューニング材の効果」というものは明らかにしにくく、その効果が数値で公表されていない製品も多い。しかし、部屋の環境に問題を抱えるユーザーの立場に立ってみると、実際にどのような効果が見込めるのか、ある程度把握できないことには、ルームチューニング材は導入しにくいのではないだろうか。
昭和電線デバイステクノロジー社は、JISが定める残響室法吸音率の測定方法に基づいて吸音デバイスの効果を測定し同社ホームページなどで公開しているが、ここでは、同社が一般居室に近いサイズの部屋として音元出版内のユーティリティ―ルームを使って行った、クワイセントパネルの音場改善実験の測定結果をお伝えしたい。
本実験は、加藤建築環境研究所の加藤雅裕氏によって行われたものである。
クワイセントパネルは現在2つの機種があり、広帯域吸音タイプの「SQ25R50」(¥63,000)と、狭帯域吸音タイプの「SQR25」(¥42,000)が発売されているが、今回の実験では、「まったくクワイセントパネルを置かない場合」、「SQ25R50、SQR25をそれぞれ設置した場合」、「SQ25R50、SQR25の両方を同じ部屋に配置した場合」などを測定。また、プロトタイプである2分の1サイズの厚型、薄型を同じ部屋に配置した場合なども測定した。
その測定結果が下記のグラフだ。なお、測定した地点は部屋内の3箇所、測定結果としては3箇所の平均値を採用している。
昭和電線デバイステクノロジー社はこの実験結果を受けて、「吸音材を使わない状態では、125、200、500Hzの残響時間が極端に長い状態があった。これにクワイセントパネルを配置すると、残響時間の極端に長い周波数帯の残響だけが効率的に短くなっていることが分かる。これはクワイセントパネルの特性が良く現れた例といえる。残響時間のバランスの良い配置は、SQ25R50をスピーカーの背面に、SQR25をリスナーの側面に配置したものだった。1/2サイズ(プロトタイプ)においても残響時間を短くできる周波数帯域は同等であることが確認できた」とコメントしている。
数値上だけでなく、実際に音楽を再生した聴感上の印象においても、クワイセントパネルを設置するとフラッターエコーが消滅し、音の輪郭が明瞭になることが分かった。また、聴感的にも、広帯域吸音タイプSQ25R50をスピーカー背面に、狭帯域吸音タイプのSQR25を側面に置くという方法においてもっともバランスの良い音が得られたので、その配置を基本として、実際に使う部屋の大きさや形状によって、数を増やしたりしていくと良いようだ。
なお、本実験での数値化はしていないが、部屋のコーナー及びリスナー背面、またリスナー正面にもクワイセントパネルを設置すると、聴感上、より高い効果が得られることも実験によって分かった。
さて、クワイセントパネルは、この夏に発表されて以来、有力なオーディオショップ、ホームシアターショップにもその実力が広まってきているが、東京・東銀座にあるオーディオ&ホームシアターショップ「サウンドクリエイト」のインストーラー、藤井貴夫氏からも、次のような評価を得ていることを最後にお伝えしておきたい。
「吸音の効果が分かるよう、スピーカーの後方、後方と側面の両方にSQ25R50を置いて、一次反射音を反射する位置にSQR25を置いて試聴してみたが、吸音のバランスの良さに驚いた。部屋の大きさを問わず使用できそうだし、サイズやパネルの仕上げ(クロス)の変更にも相談にのってもらえるとのことなので、専用室にも使ってみたい」
なお、10月9日から11日まで行われるハイエンドショウトウキョウ2009の音元イベントでも、9日(金)の17時40分からと、11日(日)の10時半からの2枠で、クワイセントパネルあり・なしの違いを実体験できる予定。特に9日(金)の17時40分からのクワイセントパネルの試聴イベントでは、「SQR25」が当たるモニタープレゼント企画もあるので、興味のある方はぜひご来場いただきたい。
リスニングルームはひとつひとつ違う環境であるため、「ルームチューニング材の効果」というものは明らかにしにくく、その効果が数値で公表されていない製品も多い。しかし、部屋の環境に問題を抱えるユーザーの立場に立ってみると、実際にどのような効果が見込めるのか、ある程度把握できないことには、ルームチューニング材は導入しにくいのではないだろうか。
昭和電線デバイステクノロジー社は、JISが定める残響室法吸音率の測定方法に基づいて吸音デバイスの効果を測定し同社ホームページなどで公開しているが、ここでは、同社が一般居室に近いサイズの部屋として音元出版内のユーティリティ―ルームを使って行った、クワイセントパネルの音場改善実験の測定結果をお伝えしたい。
本実験は、加藤建築環境研究所の加藤雅裕氏によって行われたものである。
クワイセントパネルは現在2つの機種があり、広帯域吸音タイプの「SQ25R50」(¥63,000)と、狭帯域吸音タイプの「SQR25」(¥42,000)が発売されているが、今回の実験では、「まったくクワイセントパネルを置かない場合」、「SQ25R50、SQR25をそれぞれ設置した場合」、「SQ25R50、SQR25の両方を同じ部屋に配置した場合」などを測定。また、プロトタイプである2分の1サイズの厚型、薄型を同じ部屋に配置した場合なども測定した。
その測定結果が下記のグラフだ。なお、測定した地点は部屋内の3箇所、測定結果としては3箇所の平均値を採用している。
昭和電線デバイステクノロジー社はこの実験結果を受けて、「吸音材を使わない状態では、125、200、500Hzの残響時間が極端に長い状態があった。これにクワイセントパネルを配置すると、残響時間の極端に長い周波数帯の残響だけが効率的に短くなっていることが分かる。これはクワイセントパネルの特性が良く現れた例といえる。残響時間のバランスの良い配置は、SQ25R50をスピーカーの背面に、SQR25をリスナーの側面に配置したものだった。1/2サイズ(プロトタイプ)においても残響時間を短くできる周波数帯域は同等であることが確認できた」とコメントしている。
数値上だけでなく、実際に音楽を再生した聴感上の印象においても、クワイセントパネルを設置するとフラッターエコーが消滅し、音の輪郭が明瞭になることが分かった。また、聴感的にも、広帯域吸音タイプSQ25R50をスピーカー背面に、狭帯域吸音タイプのSQR25を側面に置くという方法においてもっともバランスの良い音が得られたので、その配置を基本として、実際に使う部屋の大きさや形状によって、数を増やしたりしていくと良いようだ。
なお、本実験での数値化はしていないが、部屋のコーナー及びリスナー背面、またリスナー正面にもクワイセントパネルを設置すると、聴感上、より高い効果が得られることも実験によって分かった。
さて、クワイセントパネルは、この夏に発表されて以来、有力なオーディオショップ、ホームシアターショップにもその実力が広まってきているが、東京・東銀座にあるオーディオ&ホームシアターショップ「サウンドクリエイト」のインストーラー、藤井貴夫氏からも、次のような評価を得ていることを最後にお伝えしておきたい。
「吸音の効果が分かるよう、スピーカーの後方、後方と側面の両方にSQ25R50を置いて、一次反射音を反射する位置にSQR25を置いて試聴してみたが、吸音のバランスの良さに驚いた。部屋の大きさを問わず使用できそうだし、サイズやパネルの仕上げ(クロス)の変更にも相談にのってもらえるとのことなので、専用室にも使ってみたい」
なお、10月9日から11日まで行われるハイエンドショウトウキョウ2009の音元イベントでも、9日(金)の17時40分からと、11日(日)の10時半からの2枠で、クワイセントパネルあり・なしの違いを実体験できる予定。特に9日(金)の17時40分からのクワイセントパネルの試聴イベントでは、「SQR25」が当たるモニタープレゼント企画もあるので、興味のある方はぜひご来場いただきたい。