「AirPlay」で快適連携！ − iOS 4.2 ＋ Apple TVの使い勝手を試す

■音楽配信も実に快適。iPodスピーカー業界にも変化を促す？

続いて音楽についても試してみた。…といっても、設定は特に必要なく、とても簡単だ。iPodアプリでいつも通りに楽曲を選んだあと、画面に現れるAirPlayをタップし、Apple TVを選択したら、それだけで操作は完了。すぐさまストリーミング配信が開始される。

これまでiPhoneやiPod内の音楽をスピーカーで聴こうと思ったら、iPodドックスピーカーに本体を装着したり、機器のUSB端子とケーブルで接続したりする方法が一般的だった。Bluetoothという方法も用意されているが、圧縮を伴うため音質が良いとは言えず、いわゆるハイファイ再生にはほとんど使われていない。

AirPlayでは、ドックに置いたりケーブルでつなぐ手間が不要で、ワイヤレスで気軽に音楽を再生することが可能になる。ドック端子で接続したときのような充電や同期が行えず、逆にバッテリーが消費されるという面はあるものの、手軽さという点ではほかに代え難い。AirPlayは、iPod関連オーディオ機器を開発するメーカーにとっても、非常に大きなインパクトを与えることだろう。

AirPlayの配信途中で、出力先のスピーカーを切り替えることも可能。ホームボタンをダブルタップして表示されるタスクバーを左にスワイプすると、AirPlayのスピーカー選択画面が現れ、iPhoneやApple TV、AirMac ExpressなどAirPlay対応スピーカーを選択できる。

■写真アプリから直接Apple TVに静止画を配信

そのほか、写真をAirPlayで配信することもできる。iPhoneの「写真」アプリを立ち上げ、任意の写真を表示した後、右上のAirPlayアイコンをタップ。そこでApple TVを選ぶとテレビに写真が表示される。しかも、写真を左右にフリックして切り替えると、テレビに表示される写真もそれに応じて切り替わる。

Apple TVではこれまでも、「Remote」アプリを使ってPC/Mac内の写真をApple TVで表示することができたが、それはあくまで、写真ライブラリをApple TVに一時的に読み込む、これまでのネットワークプレーヤーと同じ手法を採ったものだった。今回のAirPlayでは、iPhone側で写真を選ぶと、iPhoneとテレビに、同時に写真が表示される。この使い勝手と感覚は、「ありそうでなかった」もので、とても新鮮だ。

なお、前述の通り内蔵カメラで撮影した動画はAirPlayで配信できないため、iPhoneのフリック操作で写真を切り替えて、動画がiPhoneに表示されても、テレビ側には表示されない。操作を繰り返して静止画が現れたら、そのときだけテレビの表示が切り替わる仕組みだ。

■サードパーティ製の対応機器充実にも期待

ここまで、AirPlayとiOS端末との連携を紹介してきた。前回のレビューでも触れたとおり、Apple TVは発売した段階でも、その完成度はかなり高かったが、今回iOS 4.2のAirPlay機能が登場したことで、さらにその魅力が高まったことが実感できた。

これまで数インチのディスプレイで見ていたiPhoneやiPadの画面を、ケーブルなどを接続することなく、大画面テレビで手軽に表示できるのは、想像していた以上に便利だ。

サードパーティ製のAirPlay対応機器も徐々に増えてきている。アップルは現在、デノンやマランツ、B&Wなど数社限定でAirPlayのライセンスを行っているようだが、iPhoneやiPod、iPadとワイヤレス連携できるこの機能が、AVメーカーにとって非常に魅力的なことは間違いない。水面下で様々な話し合いが行われていることは確実で、対応機器は今後急速に拡大するだろう。

音声だけでなく動画・静止画の配信にも対応したサードパーティ機器の登場も含め、AirPlay対応機器の充実を期待したい。