公開日 2013/09/05 10:01
<IFA:速攻レビュー>ソニーのハイレゾ対応ウォークマン&HDDプレーヤーの音質は?
ドイツ現地で早速試聴
ソニーがハイレゾオーディオへの本格参入をIFAで宣言したことの影響は計り知れない。しかも、モバイルオーディオからピュアオーディオまで複数のクラスに完成度の高い製品を一気に投入する意味はきわめて大きいといえるだろう。CDとSACDでディスクメディアの進化を牽引してきた同社が、基幹となる製品群にファイル再生を導入する決断を下したわけで、今後、ネットオーディオに向かう潮流に大きな変化を引き起こす可能性が高い。
■ハイレゾ対応ウォークマン「F880」を聴く
オーディオファンの間にはハイレゾ音源が浸透し始めているが、ウォークマンを持ち歩く音楽ファンにはまだハイレゾオーディオはほとんど認知されていない。「F880」シリーズ(関連ニュース)はその状況を変えることができるだろうか。
展示ブースのハイレゾオーディオコーナーでは、F880シリーズの再生音をじっくり聴くことができた。通常の試聴に加え、192kHz/24bitのFLAC音源と96kbpsのMP3音源をワンタッチで切り替えて聴き比べるコーナーも用意。ルーサー・ヴァンドロスの《Never Too Much》が、同じ曲とは思えないほど印象を変え、ヘッドホンでの試聴でも音の違いを明瞭に聴き取ることができる。パーカッションの粒立ち、ボーカルの実在感は明らかにハイレゾ音源が優位に立ち、情報量の違いを思い知らされる。
クリアでしかもストレスのないなめらかさを引き出すことが、ハイレゾ音源の大きなアドバンテージだ。参考出品されたヘッドホンアンプ「PHA-2」との組み合わせで聴いたハービー・ハンコックの《ウォーター・メロン・マン》は40年前の録音だが、その時期の録音からも鮮度の高さを引き出すことに注目したい。
■HDDオーディオプレーヤー「HAP-Z1ES」とプリメインアンプ「TA-A1ES」を聴く
ブース内の特設試聴室では、HDDオーディオプレーヤーの上位機種「HAP-Z1ES」とプリメインアンプ「TA-A1ES」(関連ニュース)を組み合わせ、ボーカルやピアノ協奏曲など多様なハイレゾ音源のサウンドを体験することができた。
クッキー・マレンコのスタジオから届けられたDSDネイティブ音源(ブルーコーストレコーズ)を聴くと、ギターとボーカルのシンプルな組み合わせながら、サウンドステージの深みと音場を満たす高密度な空気の存在がリアルで、空間の奥行きをとても深く感じられる。声は限りなくスムーズで潤いがあり、伸びのあるギターの音色との対比が鮮やかだ。
PCM音源は、ソニー・クラシカルから10月リリース予定のラトル指揮ベルリンフィル&ラン・ランによるバルトークのピアノ協奏曲を試聴した。繊細さと力強さを併せ持つラン・ランのピアノは音色のパレットが豊かで、陰影に富んでいる。オーケストラは低音楽器の響きに伸びやかな開放感があり、ベルリンフィルならではの精度の高いアンサンブルが鮮明に浮かび上がってきた。スピーカー「SS-NA2ES」の音は何度も聴いているが、ここまで音のイメージが実体感を伴って鳴るのは初めての経験だ。ハイレゾ音源ならではのニュアンスの豊かさとアンプの質感の高さをうかがうことができる。
(山之内 正)
■ハイレゾ対応ウォークマン「F880」を聴く
オーディオファンの間にはハイレゾ音源が浸透し始めているが、ウォークマンを持ち歩く音楽ファンにはまだハイレゾオーディオはほとんど認知されていない。「F880」シリーズ(関連ニュース)はその状況を変えることができるだろうか。
展示ブースのハイレゾオーディオコーナーでは、F880シリーズの再生音をじっくり聴くことができた。通常の試聴に加え、192kHz/24bitのFLAC音源と96kbpsのMP3音源をワンタッチで切り替えて聴き比べるコーナーも用意。ルーサー・ヴァンドロスの《Never Too Much》が、同じ曲とは思えないほど印象を変え、ヘッドホンでの試聴でも音の違いを明瞭に聴き取ることができる。パーカッションの粒立ち、ボーカルの実在感は明らかにハイレゾ音源が優位に立ち、情報量の違いを思い知らされる。
クリアでしかもストレスのないなめらかさを引き出すことが、ハイレゾ音源の大きなアドバンテージだ。参考出品されたヘッドホンアンプ「PHA-2」との組み合わせで聴いたハービー・ハンコックの《ウォーター・メロン・マン》は40年前の録音だが、その時期の録音からも鮮度の高さを引き出すことに注目したい。
■HDDオーディオプレーヤー「HAP-Z1ES」とプリメインアンプ「TA-A1ES」を聴く
ブース内の特設試聴室では、HDDオーディオプレーヤーの上位機種「HAP-Z1ES」とプリメインアンプ「TA-A1ES」(関連ニュース)を組み合わせ、ボーカルやピアノ協奏曲など多様なハイレゾ音源のサウンドを体験することができた。
クッキー・マレンコのスタジオから届けられたDSDネイティブ音源(ブルーコーストレコーズ)を聴くと、ギターとボーカルのシンプルな組み合わせながら、サウンドステージの深みと音場を満たす高密度な空気の存在がリアルで、空間の奥行きをとても深く感じられる。声は限りなくスムーズで潤いがあり、伸びのあるギターの音色との対比が鮮やかだ。
PCM音源は、ソニー・クラシカルから10月リリース予定のラトル指揮ベルリンフィル&ラン・ランによるバルトークのピアノ協奏曲を試聴した。繊細さと力強さを併せ持つラン・ランのピアノは音色のパレットが豊かで、陰影に富んでいる。オーケストラは低音楽器の響きに伸びやかな開放感があり、ベルリンフィルならではの精度の高いアンサンブルが鮮明に浮かび上がってきた。スピーカー「SS-NA2ES」の音は何度も聴いているが、ここまで音のイメージが実体感を伴って鳴るのは初めての経験だ。ハイレゾ音源ならではのニュアンスの豊かさとアンプの質感の高さをうかがうことができる。
(山之内 正)