公開日 2014/09/08 12:03
BAイヤホンの銘機、Klipsch「X10」が復刻! − ハイレゾ音源でその実力に迫る
【特別企画】兄弟機「X11」「X7」試聴も
■BAイヤホンの銘機「X10」が復刻 |
電気信号を振動に変換し、聴く者に音として認知させる。イヤホンの役割は、つまるところそれのみだ。限りなく単機能のカテゴリーである(逆にイヤホンと接続することの多いスマートフォンやiPhoneは多機能の権化のようである)。そんなイヤホンに求められるものは、音質のクオリティと、フィット感や持ち運びやすさを含めた使い勝手の良さに集約される。
特にフィット感やはずれにくさにおいては昨今、さまざまな構造が考案されている。中には過剰ともいえる機構が採用されているものも見かける。プロダクトとして、いびつさを感じさせるものさえある。だが、冒頭のようにイヤホンの役割を翻って考えてみたとき、もっとシンプルでさりげなく音楽と向き合える製品が好ましいと思えるのは僕だけではないはずだ。これまで数多くのイヤホンを試聴して来た身にとって偽らざる心境である。
そんな観点で振り返ってみると、いくつかの製品が思い浮かぶ。そのひとつがKlipsch(クリプシュ)の「Image X10」だ。
メーカーリリースによると2008年の発売とのことだが、僕が実機を手にしたのは2010年ごろだったように思う。バランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーが今ほど知られていなかった時代だ。そんなドライバーの小ささをフルに活かしたようなスリムなボディに目を奪われた。アルミニウムを用いた流線形のフォルムで、まるで小魚のようだった。そのおかげで耳の奥にすっと入ってゆく心地よさも感じた。それは音のイメージとも重なっていたのも印象深い。
その後、iPhone対応のコントローラーが付いた「Image X10i」が登場。やがてImage X10の販売は終了となった。販売期間は約3年。まるで、BA型ドライバーの利点を広く知らしめるという役目を終えたかのようだった。
ところが、そうしたImage X10の魅力は僕のみならず、多くのイヤホンラバーにとって忘れられないものとなっていた。そんな想いを窺い知ったかのように、Image X10が復刻された(関連ニュース)。品番はシンプルに「X10」。仕様は一部の付属品とプラグ部がストレートになった以外で変更点はない。
興味深いのは、複数のドライバーを搭載したイヤホンが続々登場する中、BA型1基で復刻させたことだ。それは6年前から高い完成度を誇っていたことを示す、メーカーのプライドなのかも知れない。
また、コントローラーというパーツを経由しないため、ピュアな伝送も期待できる。特にハイレゾ対応ポータブルプレーヤーとの組み合わせでその効果を発揮しそうだ。
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