公開日 2015/03/30 14:14
【第7回】MCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧方式への誘い<4>対応昇圧トランスのお薦め製品
連載:藤岡誠のオーディオワンショット
藤岡誠が、自身の推薦するオーディオ機器、関連アクセサリー、あるいはコンポーネントの組合せ。またある時は新技術や様々な話題など、毎回自由なテーマで原稿を進めていく本連載。MCカートリッジ出力のバランス伝送をテーマとした第4回目は、本方式に対応した昇圧トランスを紹介する。
■フォノケーブルはMCカートリッジにとって発電コイルの“延長線”
「その3」では私がお薦めするバランス伝送対応フォノケーブルのいくつかを紹介した(前回記事)。その後、IKEDA(イケダ)が参入、Zonotone(ゾノトーン)も3月中旬頃に発売がスタート。また、ortofon(オルトフォン)も5月頃までには製品化される。さらに現時点では明らかにできないが、他に数社が発売を予定している。
こうした製品数の増加は、「これからMCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧(増幅)方式をやってみようか!」というアナログレコードの高忠実度再生を志向する方々のフォノケーブルの選択肢の拡大に直接的に結びつき、同方式の理解と普及にとってもプラスだと私は思う。
ましてやMC型カートリッジにとってフォノケーブルは、発電コイルの“延長線”そのものだから、とても重要だ。当然、フォノケーブルを交換することで聴こえに変化があるが、その変化こそがオーディオコンポーネンツの主目的である“自分の音探し”の一助にもなる。
■MCカートリッジからの出力電圧を昇圧する「バランス伝送対応昇圧トランス」
今回はそうしたバランス対応フォノケーブルで伝送されるMC型カートリッジからの出力を受けて電圧を昇圧するバランス伝送対応昇圧トランスを紹介する。
「バランス対応昇圧トランス」といっても、別段に新しいわけでも特別でもない。LPモノラル時代からMC型カートリッジの出力電圧を高める技法として昇圧トランスの使用は当時の放送局用プレーヤーでは常識だし、オーディオファイルも自然に使っていた。
ステレオ時代になってもその初期は、アンプがフォノEQを含めて真空管方式だったからSN比を確保するためにMC型には昇圧トランスが使われた。その後、ゲルマニウムトランジスターが登場してからHA(ヘッドアンプ)が使われることもあったが、SN比においてピュアオーディオの世界では受け入れられることはほとんどなかった。
その当時、私はどうしていたかというとユニバーサル型アーム元祖でもある「SME3012」にオルトフォンのMC型「SPU-GTE」をつけて楽しんでいた。このカートリッジは独自形状(Gシェル)のシェル内に小指の先ほどの大きさの昇圧トランスを内蔵していたため出力電圧は十分高く、シュアやエラックなどのMM型とまったく同様に取り扱うことができた。
SPU-GTEは、他のMC型の無機的でオーディオ的な聴こえではなく、中低域から低域にかけて厚手で独自の音調を漂わせていた。ずっと後で気がついたのだが、内蔵の昇圧トランスがこの音調を演出していたのだ。何で分かったかといえば内蔵トランスを外してチェックした経験があるからだ。その時は「MC型は組合せる昇圧トランスと一体化して音質・音調を捉えるべきだ」と決めつけたものだ。
今日の昇圧トランスは当時とはコア素材もその形状、さらに線材や巻き方も進化しているから過剰な演出が加わることがないことを確認済みだが、それでも前述した決めつけを完全否定はできないこともある。何れにせよ、今振り返るととても懐かしい。それでは以下、バランス伝送対応昇圧トランスのお薦め製品である。
■フォノケーブルはMCカートリッジにとって発電コイルの“延長線”
「その3」では私がお薦めするバランス伝送対応フォノケーブルのいくつかを紹介した(前回記事)。その後、IKEDA(イケダ)が参入、Zonotone(ゾノトーン)も3月中旬頃に発売がスタート。また、ortofon(オルトフォン)も5月頃までには製品化される。さらに現時点では明らかにできないが、他に数社が発売を予定している。
こうした製品数の増加は、「これからMCカートリッジ出力のバランス伝送・昇圧(増幅)方式をやってみようか!」というアナログレコードの高忠実度再生を志向する方々のフォノケーブルの選択肢の拡大に直接的に結びつき、同方式の理解と普及にとってもプラスだと私は思う。
ましてやMC型カートリッジにとってフォノケーブルは、発電コイルの“延長線”そのものだから、とても重要だ。当然、フォノケーブルを交換することで聴こえに変化があるが、その変化こそがオーディオコンポーネンツの主目的である“自分の音探し”の一助にもなる。
■MCカートリッジからの出力電圧を昇圧する「バランス伝送対応昇圧トランス」
今回はそうしたバランス対応フォノケーブルで伝送されるMC型カートリッジからの出力を受けて電圧を昇圧するバランス伝送対応昇圧トランスを紹介する。
「バランス対応昇圧トランス」といっても、別段に新しいわけでも特別でもない。LPモノラル時代からMC型カートリッジの出力電圧を高める技法として昇圧トランスの使用は当時の放送局用プレーヤーでは常識だし、オーディオファイルも自然に使っていた。
ステレオ時代になってもその初期は、アンプがフォノEQを含めて真空管方式だったからSN比を確保するためにMC型には昇圧トランスが使われた。その後、ゲルマニウムトランジスターが登場してからHA(ヘッドアンプ)が使われることもあったが、SN比においてピュアオーディオの世界では受け入れられることはほとんどなかった。
その当時、私はどうしていたかというとユニバーサル型アーム元祖でもある「SME3012」にオルトフォンのMC型「SPU-GTE」をつけて楽しんでいた。このカートリッジは独自形状(Gシェル)のシェル内に小指の先ほどの大きさの昇圧トランスを内蔵していたため出力電圧は十分高く、シュアやエラックなどのMM型とまったく同様に取り扱うことができた。
SPU-GTEは、他のMC型の無機的でオーディオ的な聴こえではなく、中低域から低域にかけて厚手で独自の音調を漂わせていた。ずっと後で気がついたのだが、内蔵の昇圧トランスがこの音調を演出していたのだ。何で分かったかといえば内蔵トランスを外してチェックした経験があるからだ。その時は「MC型は組合せる昇圧トランスと一体化して音質・音調を捉えるべきだ」と決めつけたものだ。
今日の昇圧トランスは当時とはコア素材もその形状、さらに線材や巻き方も進化しているから過剰な演出が加わることがないことを確認済みだが、それでも前述した決めつけを完全否定はできないこともある。何れにせよ、今振り返るととても懐かしい。それでは以下、バランス伝送対応昇圧トランスのお薦め製品である。