公開日 2016/08/25 11:00
蘇る英国の銘機。REGAのレコードプレーヤー「Planar3」で注目アナログ盤を聴き尽くす
【特別企画】手頃な価格でデザイン性と音質を兼備
主要部品はもちろん、パーツまで“Made in England”のものづくりを行うブランド「REGA」から、往年の銘機「Planar3」をブラッシュアップしたアナログプレーヤー「Planar3 with Elys2」が登場した。見た目よし、音よし、操作性よしの高コストパフォーマンスさで人気を博したアイコニックなモデルは、現代にどのように生まれ変わったのか? 中林直樹がピックアップした、今だからこそ聴きたいアナログレコードの新盤とPlanar3 with Elys2を組み合わせ、そのクオリティを検証した。
使い勝手に優れ、インテリアと溶け合うシンプルなデザイン、そして手の届きやすい価格。サウンドのクオリティも、もちろんないがしろにしていない。アナログレコードを取り巻く状況がにわかに活性化している今、プレーヤーに求められているのは、こうしたポイントだろう。
レガが今年、日本に再上陸を果たしたのはその意味で非常に価値のあることだ。まず、お披露目されたのはRP10を頂点とするプレミアムなライン。今回紹介する「Planar3 with Elys 2」は、その下位に位置づけられるシリーズの最上位機種だ。シンプルで上質さをたたえた佇まいで、価格は税抜き10万円、しかも後述するような同社のアドバンテージが惜しげもなく盛り込まれているのだから注目せざるを得ない1台である。
製品の概要や試聴インプレッションに移る前に、このブランドのアウトラインに簡単に触れておこう。
真摯なものづくりを行う「REGA」というブランド
REGAの設立は1973年。ロイ・ガンディらによって、アナログプレーヤーを世に送り出したことに始まる。以来、CDがメジャーな音楽ソフトとして定着した現在においても一貫してアナログプレーヤーを開発し続けている。また、カートリッジやトーンアーム、フォノアンプなどの関連アイテムもラインアップ。トーンアームはOEMも行っているそうだ。
さらに、平行してCDプレーヤーやアンプ、スピーカーなども手がけている。以前、日本で販売されていた頃には、それらも展開されていたのを思い出す(現在は日本での取り扱いはないが、今後の展開を予定しているという)。特にプレーヤーやアンプはレッドやライムグリーンといったビビッドカラーも用意されており、ブランドの個性をルックスでも強く訴えかけていた。
また、開発から生産まですべて本社があるイギリス、エセックス州で行っていることも同社の特徴だ。徹底した「Made in England」を標榜し、2015年末には海外で成功した企業としてロイヤルファミリーから賞を授かっている。
さらに彼らのものづくりの姿勢は、全製品、しかも廃番になったものでも修理を承るという「ライフタイムワランティー」にも見て取れる。一度購入した愛着ある製品を、末永く使ってほしい、そんな真摯な想いがこもっているのだ。ちなみに本社にある3棟のパーツ倉庫のうち、2棟が販売終了モデルのパーツで埋め尽くされているそうだ。
銘機「Planar3」復活のブラッシュアップポイントとは?
さて、「Planar3 with Elys2」である。往年の銘機「Planar3」を復活させるべく、従来モデルのRP3をベースに、2年をかけて開発されたという。駆動方式はベルトドライブ。ストレートタイプのトーンアームはこのモデルのために新たに設計されたものでRB330と名付けられている。さらに、アンチスケーティングの改良や、台座のベアリングの見直しなども図られた。
キャビネットはMDFに特殊なアクリルを貼り付けすることで、硬度の高さと美しさを両立させた。さらに天面にはアルミプレートを、底面には3mm厚のフェノール材製のプレートを取り付け、アーム部をしっかりと固定しつつ、不要な響きも抑え込む。
モーターは低振動タイプを採用。制御回路を再検討し、回転ムラの発生を低減させている。プラッターはガラス製。12mm厚のずっしりした質感でOptiWhite加工と呼ばれる手法によって極めてフラットで、クリアに仕上げられている。斜め上から眺めると、その側面が光を受けて上品なエメラルドグリーンに輝きだした。
回転数は33 1/3と45rpm。プラッター下のベルトを掛け替えることで対応する。MM型カートリッジElys 2を付属。出力は6.8-7.2 m V、針圧は1.75g。こんなふうにアナログプレーヤーを構成する重要な要素に手が加えられて姿を現したのだ。開発に2年を有したというのも頷ける。
セッティングは極めて容易だ。カートリッジは工場出荷時に装着済み。あとは、プラッターを取り付け、トーンアームをフリーにしてカウンターウエイトを差し込んで水平をとり、針を落とせば完了する。
本機にはフォノイコライザーは非搭載。ゆえに今回の試聴は同社のフォノアンプFONO miniと接続して行った。これは幅約10cmというコンパクトモデルでプレーヤーの横にさりげなく置けるのが良い。しかも、アナログの入出力が各1系統に加え、USB端子も備えているのが面白い。アナログ音声をデジタル変換してパソコンに取り込める。これは今後、機会があればぜひ検証してみたい。
なお今回の試聴では、プリメインアンプはアキュフェーズのE-470、スピーカーはモニターオーディオのフロアスタンディングタイプ GOLD100をセッティングした。
使い勝手に優れ、インテリアと溶け合うシンプルなデザイン、そして手の届きやすい価格。サウンドのクオリティも、もちろんないがしろにしていない。アナログレコードを取り巻く状況がにわかに活性化している今、プレーヤーに求められているのは、こうしたポイントだろう。
レガが今年、日本に再上陸を果たしたのはその意味で非常に価値のあることだ。まず、お披露目されたのはRP10を頂点とするプレミアムなライン。今回紹介する「Planar3 with Elys 2」は、その下位に位置づけられるシリーズの最上位機種だ。シンプルで上質さをたたえた佇まいで、価格は税抜き10万円、しかも後述するような同社のアドバンテージが惜しげもなく盛り込まれているのだから注目せざるを得ない1台である。
製品の概要や試聴インプレッションに移る前に、このブランドのアウトラインに簡単に触れておこう。
真摯なものづくりを行う「REGA」というブランド
REGAの設立は1973年。ロイ・ガンディらによって、アナログプレーヤーを世に送り出したことに始まる。以来、CDがメジャーな音楽ソフトとして定着した現在においても一貫してアナログプレーヤーを開発し続けている。また、カートリッジやトーンアーム、フォノアンプなどの関連アイテムもラインアップ。トーンアームはOEMも行っているそうだ。
さらに、平行してCDプレーヤーやアンプ、スピーカーなども手がけている。以前、日本で販売されていた頃には、それらも展開されていたのを思い出す(現在は日本での取り扱いはないが、今後の展開を予定しているという)。特にプレーヤーやアンプはレッドやライムグリーンといったビビッドカラーも用意されており、ブランドの個性をルックスでも強く訴えかけていた。
また、開発から生産まですべて本社があるイギリス、エセックス州で行っていることも同社の特徴だ。徹底した「Made in England」を標榜し、2015年末には海外で成功した企業としてロイヤルファミリーから賞を授かっている。
さらに彼らのものづくりの姿勢は、全製品、しかも廃番になったものでも修理を承るという「ライフタイムワランティー」にも見て取れる。一度購入した愛着ある製品を、末永く使ってほしい、そんな真摯な想いがこもっているのだ。ちなみに本社にある3棟のパーツ倉庫のうち、2棟が販売終了モデルのパーツで埋め尽くされているそうだ。
銘機「Planar3」復活のブラッシュアップポイントとは?
さて、「Planar3 with Elys2」である。往年の銘機「Planar3」を復活させるべく、従来モデルのRP3をベースに、2年をかけて開発されたという。駆動方式はベルトドライブ。ストレートタイプのトーンアームはこのモデルのために新たに設計されたものでRB330と名付けられている。さらに、アンチスケーティングの改良や、台座のベアリングの見直しなども図られた。
キャビネットはMDFに特殊なアクリルを貼り付けすることで、硬度の高さと美しさを両立させた。さらに天面にはアルミプレートを、底面には3mm厚のフェノール材製のプレートを取り付け、アーム部をしっかりと固定しつつ、不要な響きも抑え込む。
モーターは低振動タイプを採用。制御回路を再検討し、回転ムラの発生を低減させている。プラッターはガラス製。12mm厚のずっしりした質感でOptiWhite加工と呼ばれる手法によって極めてフラットで、クリアに仕上げられている。斜め上から眺めると、その側面が光を受けて上品なエメラルドグリーンに輝きだした。
回転数は33 1/3と45rpm。プラッター下のベルトを掛け替えることで対応する。MM型カートリッジElys 2を付属。出力は6.8-7.2 m V、針圧は1.75g。こんなふうにアナログプレーヤーを構成する重要な要素に手が加えられて姿を現したのだ。開発に2年を有したというのも頷ける。
セッティングは極めて容易だ。カートリッジは工場出荷時に装着済み。あとは、プラッターを取り付け、トーンアームをフリーにしてカウンターウエイトを差し込んで水平をとり、針を落とせば完了する。
本機にはフォノイコライザーは非搭載。ゆえに今回の試聴は同社のフォノアンプFONO miniと接続して行った。これは幅約10cmというコンパクトモデルでプレーヤーの横にさりげなく置けるのが良い。しかも、アナログの入出力が各1系統に加え、USB端子も備えているのが面白い。アナログ音声をデジタル変換してパソコンに取り込める。これは今後、機会があればぜひ検証してみたい。
なお今回の試聴では、プリメインアンプはアキュフェーズのE-470、スピーカーはモニターオーディオのフロアスタンディングタイプ GOLD100をセッティングした。