公開日 2019/11/01 07:30
レコードからサブスクまでこれ1台でOK。新時代の正統派プリメイン・マランツ「PM7000N」実力検証
【特別企画】高音質と先進機能が詰まった注目機
マランツから、プリメインアンプ「PM7000N」が10月31日に発売となった。マランツのHi-Fi製品としてのサウンドクオリティを備えつつ、ネットワーク/ストリーミング再生機能を内蔵した注目機だ。本機を、評論家の土方久明氏が自宅で使用。氏も「純粋なアンプとしての音質クオリティを強力に担保しつつ多彩なソースを楽しめる」と太鼓判を押すその実力を紐解いていこう。
■マランツらしい高音質と先進機能を併せ持つ、新時代のプリメインアンプが登場
1953年にアメリカ・ニューヨーク州で設立されたマランツ。オーディオファンの間では「マランツ#7」などの銘アンプを数多く送り出してきたことで知られるが、現在も合計10機種のHiFiプリメインアンプやCDプレーヤーなどを発売する総合メーカーとして安定した評価を得ている。
また、先だって歌手の井筒香奈江さんも導入した、非常に高いコストパフォーマンスを持つ一体型コンポーネント「M-CR612」や、ネットワーク機能搭載CDプレーヤー「ND8006」など、近年のマランツは国産メーカーらしい安定した品質をバックに、全価格帯でパフォーマンスと先進性を備えたオーディオ機器を製造し、好調なセールスを記録している。
そんなマランツが既発のプリメインアンプ「PM8006」と「PM6006」の間に位置するミドルクラスのネットワーク/ストリーミング対応プリメインアンプ「PM7000N」を発表した(製品ニュースはこちら)。
今回、本モデルを自宅に持ち込みクオリティチェックを行ったのが、最初に言ってしまうと、「PM7000N」の魅力は本物だ。
HDAMや電流帰還型増幅回路など、マランツ伝統の技術を搭載して音質を徹底的に高める従来型のプリメインアンプの意匠を持ちながら、ネットワークシステムHEOSを搭載。ハイレゾファイル再生や話題のストリーミングサービスなどの最新ソースを単体ネットワークプレーヤー顔負けの本格的なネットワーク再生で聴取できるなど、新時代を予見させる素晴らしいディメンションを持っていた。
■豊富な接続端子。テレビからスマホまで組み合わせられる懐の深さ
それでは、スペックとアウトラインを確認しよう。
「PM7000N」は、定格出力60W + 60W(8Ω)を持つ2チャンネルのプリメインアンプだ。シャーシは横幅440mmのフルサイズ。左右にソースセレクターとボリュームノブが装着されたPM8006/PM6006の意匠を継承しつつ、中央に視認性の良い有機ELパネルを追加して、その下部には3つの小型ノブが設置されている。シンメトリーかつモダンなデザインで先進的な面持ちだ。ボディカラーは薄いシャンパーンゴールドで、以前の同社製品とも組み合わせられるし、今回の環境のようにシルバー基調のオーディオ機器と並べても違和感がない絶妙なトーンに仕上がっている。
音声入力端子は、RCAアナログ×3、RCA Phono(MM)×1、TOS光デジタル×2、同軸デジタル×1。音声出力端子はテープデッキ等とつなげるRCAのRECアウトに加え、サブウーファー出力も備えるので、光デジタル入力を利用してテレビと組みわせることで、簡易的だが音の良いAVシステムの構築も可能。また、6.3mm標準ジャックによるヘッドホン出力も備える。
ネットワーク周りのインターフェイスについては有線/Wi-Fi LANを搭載し、NASを利用したネットワーク再生やUSBメモリー内に保存されたファイルの聴取が可能で、当然のようにBluetoothも搭載する。
大きな魅力は、ネットワークプレーヤー等を追加することなく、ハイレゾ楽曲ファイルの再生や、話題のAmazon Music HDやSpotifyなどのストリーミングサービスの再生が可能なことだ。再生フォーマット/レゾリューションは、DSD 5.6MHz、PCM 192kHz / 24bitまで対応している。
■上位機のノウハウや高品位パーツ投入で電源を大幅に強化。高い駆動力を確保
そして嬉しい事に、プリメインアンプとしての音質対策もかなり充実している。アンプといえばまずは電源部が気になるが、PM7000Nには高効率で振動/漏洩磁束特性に優れる大容量のトロイダル型電源トランスや、15,000μF×2の大容量を持つELNA製のカスタムブロックコンデンサーが搭載されている。
更に、同社のお家芸でもある高速アンプモジュール「HDAM-SA3」を採用したフルディスクリート構成の電流帰還型増幅回路を採用したうえ、電流ラインを最短で接続し、左右チャンネルを対称に配置する「ショート・パワーライン・レイアウト」を採用、新型のLAPTパワートランジスタと大電流ドライバートランジスタを搭載(PM7005比で45%以上もの瞬時電流供給能力を達成)するなど、クラス以上の充実した内容を持つ。
プリアンプ部やD/Aコンバーター部も強力だ。ボリュームコントロールICには、上位モデルPM8006に採用された「HDAM」と「HDAM-SA2」を用いた可変ゲイン型プリアンプ回路を搭載する。それによりトータルのS/N比は、PM7005比でなんと11 dBも向上した。
更に、ボリューム回路は左右チャンネル間のクロストークや音量差が生じないJRC製のボリュームコントロールICを使用したデジタル制御。DAC回路はDACチップにAK4490EQを搭載し、D/Aコンバーター以後のアナログ段はフルディスクリート回路としている。
■徹底したノイズ対策でデジタル回路からの悪影響を排除
また、純粋なアナログアンプにデジタル回路が搭載されると、気になるのはデジタル回路からの伝導ノイズや輻射ノイズだが、PM7000Nは、その点もしっかり考慮されている。デジタルオーディオ回路をシールドケースに封入し、輻射ノイズを低減。加えてデカップリングコンデンサーを用い、電源ラインに流入する伝導ノイズを除去する。更に、ネットワーク/USBメモリー再生やWi-Fi、Bluetooth回路をオフにする機能も備えている。
このように純粋なアンプとしての音質クオリティを強力に担保しつつ多彩なソースを楽しめる「PM7000N」、試聴前の期待値も上がる。自宅の試聴環境に本機を持ち込み、その実力を検証した。
1953年にアメリカ・ニューヨーク州で設立されたマランツ。オーディオファンの間では「マランツ#7」などの銘アンプを数多く送り出してきたことで知られるが、現在も合計10機種のHiFiプリメインアンプやCDプレーヤーなどを発売する総合メーカーとして安定した評価を得ている。
また、先だって歌手の井筒香奈江さんも導入した、非常に高いコストパフォーマンスを持つ一体型コンポーネント「M-CR612」や、ネットワーク機能搭載CDプレーヤー「ND8006」など、近年のマランツは国産メーカーらしい安定した品質をバックに、全価格帯でパフォーマンスと先進性を備えたオーディオ機器を製造し、好調なセールスを記録している。
そんなマランツが既発のプリメインアンプ「PM8006」と「PM6006」の間に位置するミドルクラスのネットワーク/ストリーミング対応プリメインアンプ「PM7000N」を発表した(製品ニュースはこちら)。
今回、本モデルを自宅に持ち込みクオリティチェックを行ったのが、最初に言ってしまうと、「PM7000N」の魅力は本物だ。
HDAMや電流帰還型増幅回路など、マランツ伝統の技術を搭載して音質を徹底的に高める従来型のプリメインアンプの意匠を持ちながら、ネットワークシステムHEOSを搭載。ハイレゾファイル再生や話題のストリーミングサービスなどの最新ソースを単体ネットワークプレーヤー顔負けの本格的なネットワーク再生で聴取できるなど、新時代を予見させる素晴らしいディメンションを持っていた。
■豊富な接続端子。テレビからスマホまで組み合わせられる懐の深さ
それでは、スペックとアウトラインを確認しよう。
「PM7000N」は、定格出力60W + 60W(8Ω)を持つ2チャンネルのプリメインアンプだ。シャーシは横幅440mmのフルサイズ。左右にソースセレクターとボリュームノブが装着されたPM8006/PM6006の意匠を継承しつつ、中央に視認性の良い有機ELパネルを追加して、その下部には3つの小型ノブが設置されている。シンメトリーかつモダンなデザインで先進的な面持ちだ。ボディカラーは薄いシャンパーンゴールドで、以前の同社製品とも組み合わせられるし、今回の環境のようにシルバー基調のオーディオ機器と並べても違和感がない絶妙なトーンに仕上がっている。
音声入力端子は、RCAアナログ×3、RCA Phono(MM)×1、TOS光デジタル×2、同軸デジタル×1。音声出力端子はテープデッキ等とつなげるRCAのRECアウトに加え、サブウーファー出力も備えるので、光デジタル入力を利用してテレビと組みわせることで、簡易的だが音の良いAVシステムの構築も可能。また、6.3mm標準ジャックによるヘッドホン出力も備える。
ネットワーク周りのインターフェイスについては有線/Wi-Fi LANを搭載し、NASを利用したネットワーク再生やUSBメモリー内に保存されたファイルの聴取が可能で、当然のようにBluetoothも搭載する。
大きな魅力は、ネットワークプレーヤー等を追加することなく、ハイレゾ楽曲ファイルの再生や、話題のAmazon Music HDやSpotifyなどのストリーミングサービスの再生が可能なことだ。再生フォーマット/レゾリューションは、DSD 5.6MHz、PCM 192kHz / 24bitまで対応している。
■上位機のノウハウや高品位パーツ投入で電源を大幅に強化。高い駆動力を確保
そして嬉しい事に、プリメインアンプとしての音質対策もかなり充実している。アンプといえばまずは電源部が気になるが、PM7000Nには高効率で振動/漏洩磁束特性に優れる大容量のトロイダル型電源トランスや、15,000μF×2の大容量を持つELNA製のカスタムブロックコンデンサーが搭載されている。
更に、同社のお家芸でもある高速アンプモジュール「HDAM-SA3」を採用したフルディスクリート構成の電流帰還型増幅回路を採用したうえ、電流ラインを最短で接続し、左右チャンネルを対称に配置する「ショート・パワーライン・レイアウト」を採用、新型のLAPTパワートランジスタと大電流ドライバートランジスタを搭載(PM7005比で45%以上もの瞬時電流供給能力を達成)するなど、クラス以上の充実した内容を持つ。
プリアンプ部やD/Aコンバーター部も強力だ。ボリュームコントロールICには、上位モデルPM8006に採用された「HDAM」と「HDAM-SA2」を用いた可変ゲイン型プリアンプ回路を搭載する。それによりトータルのS/N比は、PM7005比でなんと11 dBも向上した。
更に、ボリューム回路は左右チャンネル間のクロストークや音量差が生じないJRC製のボリュームコントロールICを使用したデジタル制御。DAC回路はDACチップにAK4490EQを搭載し、D/Aコンバーター以後のアナログ段はフルディスクリート回路としている。
■徹底したノイズ対策でデジタル回路からの悪影響を排除
また、純粋なアナログアンプにデジタル回路が搭載されると、気になるのはデジタル回路からの伝導ノイズや輻射ノイズだが、PM7000Nは、その点もしっかり考慮されている。デジタルオーディオ回路をシールドケースに封入し、輻射ノイズを低減。加えてデカップリングコンデンサーを用い、電源ラインに流入する伝導ノイズを除去する。更に、ネットワーク/USBメモリー再生やWi-Fi、Bluetooth回路をオフにする機能も備えている。
このように純粋なアンプとしての音質クオリティを強力に担保しつつ多彩なソースを楽しめる「PM7000N」、試聴前の期待値も上がる。自宅の試聴環境に本機を持ち込み、その実力を検証した。