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公開日 2019/11/21 15:04

【AAEx2020 グランプリ受賞】音に有害な高周波ノイズを吸い上げる ―The Chord Company「Ground ARAY」

音に有害な高周波ノイズを吸い上げる
林 正儀
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■熟練エンジニアが手がけ7種類の仕様が揃う

新たに登場した「グラウンドアレイ」に関して、まずは現在のラインアップを紹介しよう。RCA、XLRのオスとメス、そしてBNC、LAN(RJ45)、HDMI、USB︱Aの7タイプである。

RCA(メス)タイプ(写真)のほか、オスタイプもラインアップ

GroundARAYのXLR(オス)タイプ

長さ約90mmのアルミ製シリンダーケースの内部には電気的にパッシブな5種類の素子が組み込まれている。詳細は企業秘密とのことだが、各素子はそれぞれ異なる帯域を受け待っており、あらゆる種類の高周波ノイズを吸収し、熱に変換して発散しているということらしいのだ。重さは約60g。研究成果がぎっしりつまっていて、精密感溢れるたたずまいが美しい。本機の働きは、高周波ノイズを熱変換して逃がすヒートシンクにたとえるとイメージが分かりやすいだろう。

GroundARAYのXLR(メス)タイプ

LANタイプ(写真)の他、HDMI、USB-AとBNC仕様も含めた7種類がラインアップ。アナログ、デジタルを問わず、オーディオにも映像機器にも効果を発揮する

極めて広帯域の高周波ノイズを効率よく吸い上げるため、「ノイズ・ポンプ」の愛称で呼ばれている。シールドの厳重さは同社の最高峰ケーブルである「コードミュージック」級とのこと。振動対策のダンピング材も入って厳重にロックされているのだ。

製作は、「コードミュージック」などの製作を担当する熟練エンジニアが、1本1本時間をかけて組み上げている。細かなセッティングは各仕様で微妙に異なってくるはずで、まさに芸術品といえる領域である。

■極限的といえる静寂から音楽が立ち上がってくる

それでは「グラウンドアレイ」の効果をレポートしよう。サクッと良い感触で端子に挿さる。音を聴いて、思わず息をのんだ。いったいノイズはどこへ行ったんだ? 音楽以外のよごれや雑味、さらにうっすらとしたベールのようなものまで、根こそぎ吸いだされた印象だ。ヴォーカルもクラシックも、音源そのまんまの“真に"ニュートラルなサウンドが聴けた。極限的といえる超高S/Nと、デリケートな純度感である、ほぼ無音の深い静寂から音楽がすくっと立ち上がる。

RCA(オス)タイプを接続したところ

XLR(オス)タイプをデジタル入力端子へ接続したところ

それでいてドラムのアタックはエモーショナル、かつ強靱だ。リニアに伸び切るピーク音量は天井知らずだし、こぢんまりしたライブのステージが天空をかけるがごとく立体的にスケールアップする。もう1度言うが、ミニカーからフェラーリの12気筒に乗り換えたような高揚感を味わうだろう。決して大げさではない感想と思えるくらいのクオリティアップが可能だとお伝えしたい。

XLR(メス)タイプをアナログ出力端子へ接続したところ

LANタイプは、2口以上の端子を装備するNASやルーターに使用できる

それぞれの機器の空き端子に差せば、さらに多重的な効果が期待でき、ブルーレイプレーヤーやプロジェクターなどの映像機器もフォーカスや遠近感、字幕の明瞭度すら大きく再現力が向上する。1本88,000円は確かに高価ではあるが、たった1本でもシステム全体を覚醒させるコード社渾身の画期的アイテムである。ぜひともまずは体験すべきだ。

(林 正儀)

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