公開日 2021/07/27 06:30
CHORD COMPANYのスピーカーケーブルが激変! 「絶縁体」と「プラグ処理」の進化が鍵
【特別企画】期間限定のアップグレードキャンペーンも
英国を代表するケーブルブランドとして、日本でも絶大な人気を誇るCHORD COMPANY。そんな同ブランドの魅力は、最高峰の「Chord Music」や「Sarum T」をはじめとしたトップエンドだけではない。エントリーからミドルレンジの製品も劇的な進化を遂げている。今回はスピーカーケーブルをクローズアップし、新たに投入された絶縁体と端子部の進化を解説する。
■新絶縁材「XLPE」で、エントリー〜中級クラスのケーブルがグレードアップ
CHORD COMPANYのケーブルの絶縁材といえば、最高峰の「Chord Music」や「Sarum T」のみに採用の “タイロン” がお馴染みだろう。これまで見過ごされていた温度による位相エラー(位相が大きく変動すること)をコントロールする画期的な特許技術だ。その音質改善効果は驚くべきものがある。だが極めて貴重な素材のため、下位モデルへの展開はできない。その壁を突破したのが、タイロンに迫る特性を備えた新世代の絶縁材。その名も “XLPE” である。
XLPEの詳細は企業秘密だが、同社の従来のエントリーからミドルレンジ、旧Sarum等に採用されていた絶縁材、PTFE(テフロン)に代わる、より高性能なマテリアルとして注目されているのだ。室温で大きな位相変動の起きるPTFEに対して、XLPEはタイロンに近似したフラットな位相特性だという。これが微小レベルの再現性に大きく影響する。ごくわずかなニュアンスの表現が音楽再生には決定的な差になるわけだ。
今回はこの新絶縁素材XLPEを採用し、ブラッシュアップされたスピーカーケーブルを紹介しよう。ずばり「Epic」以下の全モデル。ビギナーからミッドまでの、比較的お手頃価格のスピーカーケーブルを全て刷新するという大英断に驚く。しかも価格もリーズナブルだ。従来モデルからほとんど変わらずに済むのはコード・ユーザーとしても嬉しい限りだろう。
■プラグの圧着処理を最適化する “コードオーミック” も採用
もうひとつの進化のポイントが圧着プラグの “Ohmic(オーミック)”。従来はハンダ付けを採用してきたが、圧着機の仕様を最適化することで、作業性はもちろん、音質的にも大きな効果を引き出すことに成功した。「コードオーミック」と命名された端末処理で、プラグはバナナ、Yラグ仕様ともに接点部には特殊合金+銀メッキ(ダイレクトプレーティング)を採用。
この端末処理は2つのグレード別に分かれている。タイプ(1)が同社の上位モデル「Chord Music」から「Epic XL」に採用されているもので、圧着とハンダ付けのダブル処理で接続。プラグにはシールド効果のあるアルミ製ケースを採用。
タイプ(2)はミドルからエントリークラスに採用。「Epic X」から「Leyline X」までに採用され、圧着のみでの接続。プラグにはABS樹脂製ケースを採用している。タイプ(1)(2)はともにドイツ製の特注電動圧着機を使用。理想的な圧着処理を可能にしている。
「XLPE絶縁材」と圧着処理の「コードオーミック」。この2つの技術が新たに採用されたことを念頭においていただき、個々に解説していこう。
一昨年から今年の頭にかけて登場したXLPE搭載モデルは、末尾に「X」がついてXシリーズとしてラインナップされているのでわかりやすい。上位モデルから「Epic X(上位にEpic XLもある)」「Shawline X」「Clearway X」「C-Screen X」。そして屋内配線等を想定したインストール用の「Leyline X」の合計6製品である。
CHORD COMPANY社がシールドを重視しているのは周知だろう。もちろんそのシールドの厳重さや導体もランクによって異なる。
濃い茶色のシースは高級モデルEpic Xと上位仕様であるEpic XL。銀メッキ導体は共通だが、シールドとプラグも異なるからだ。左右別々にシールドするか、まとめてシールドするかが異なる。Epic Xではまとめてシールドするのに対して、格上のEpic XLは1本1本、より厳重にシールドをかけたもの。外観からもおわかりだろう。
続いて白いシースの方を見ると、Shawline Xは高・低周波シールドを施した銀メッキ導体。その下のClearway Xからは銀メッキを省略。弟分のC-screenXも同様だ。最エントリーのLeyline Xだが、これは錫メッキ導体に、XLPE絶縁材と圧着プラグの “コードオーミック” を備える超ハイCPモデルだ。
前述の端子処理はEpic XLが圧着とハンダのダブル処理+アルミ製ケースのタイプ(1)。その他は、圧着のみ+ABS樹脂製ケースのタイプ(2)を採用。この違いも音質を語る上でのポイントだ。
■新旧ケーブルを徹底比較。ニュアンスや伸びやかさが増す
では実際、従来モデルから新作ケーブルへの音の進化がどんなものか。アンダンテラルゴの試聴室で新旧の各6モデルをガチンコ比較してみた。
アデルの『25』。この女性ヴォーカルのCDをかけてみると、最エントリーのLeyline Xから瞬時に違いが分かる。旧モデルは声がざらっぽく、ニュアンスもない。それが新モデルだと声の粒子が細やかに。ニュアンスや伸びやかさが増し、鍵盤のタッチにも変化が生まれた。この傾向がハイCP人気モデルのC-Screen XやClearway Xではさらに顕著になったのだ。これがXLPE絶縁材の御利益なのか。
その上のShawline Xまでくると、世界観と表現したくなるような、様々な感情のこもった音色が聴けて楽しい。発音のひとつひとつが大切にされる。躍動感たっぷりな一方、かすかな音色変化や感情表現も聴き逃せないなという感想だ。これを聴いて「Xシリーズ」に変えない手はないだろう。
次はミドルクラスのEpic Xだ。ここで先ほどの圧着加工プラグの実験である。目の前でバサっと「旧エピック」のハンダ取り付けの端末をカット。大型の電動圧着マシンを用いて新型のバナナプラグをケーブルにつなぐのだが、作業は意外に簡単で数分で完了。接点が劇的に改善され、あいまいだったディテールがぴったりに描かれる。音楽がよりダイレクトに訴えかけるメリットがありそうだ。
同じアデルの曲をEpic Xで聴くと、また一段とヴォーカルが冴えてハーモニーの流れがよく、絶縁材の違いを思い知る。両者あいまっての効果だ。Epic XLに格上げした時のサウンドはもちろん今回の最上位。左右独立シールドのポテンシャルが存分に発揮された。
ここで嗜好をかえ、アナログ盤のエリック・クラプトン『アンプラグド』、シンプルな楽曲の「ウォーキング・ブルース」だ。Epic Xでの比較試聴だが、これはギターやヴォーカルのリズムとスイング感が見事に合って気持ちよい。Xだと「どおん」ではなく「どん!」とキマるのだ。旧モデルではどうもズレ=時間差が気になり、誰がリードしているかもわからない。タイムが合うか合わないかは音楽演奏では決定的な違いだろう。あなたも、時間のずれたケーブルで聴いてはいけない。
最後にお知らせが。8月末までの期間限定で、「オーミックプラグ」へのアップグレードキャンペーンをスタートするとのこと。お手持ちのCHORD COMPANY製スピーカーケーブルを、通常価格の半額でアップデートできるということなので、ぜひこの機会に「オーミックプラグ」の実力を試してほしい。
■新絶縁材「XLPE」で、エントリー〜中級クラスのケーブルがグレードアップ
CHORD COMPANYのケーブルの絶縁材といえば、最高峰の「Chord Music」や「Sarum T」のみに採用の “タイロン” がお馴染みだろう。これまで見過ごされていた温度による位相エラー(位相が大きく変動すること)をコントロールする画期的な特許技術だ。その音質改善効果は驚くべきものがある。だが極めて貴重な素材のため、下位モデルへの展開はできない。その壁を突破したのが、タイロンに迫る特性を備えた新世代の絶縁材。その名も “XLPE” である。
XLPEの詳細は企業秘密だが、同社の従来のエントリーからミドルレンジ、旧Sarum等に採用されていた絶縁材、PTFE(テフロン)に代わる、より高性能なマテリアルとして注目されているのだ。室温で大きな位相変動の起きるPTFEに対して、XLPEはタイロンに近似したフラットな位相特性だという。これが微小レベルの再現性に大きく影響する。ごくわずかなニュアンスの表現が音楽再生には決定的な差になるわけだ。
今回はこの新絶縁素材XLPEを採用し、ブラッシュアップされたスピーカーケーブルを紹介しよう。ずばり「Epic」以下の全モデル。ビギナーからミッドまでの、比較的お手頃価格のスピーカーケーブルを全て刷新するという大英断に驚く。しかも価格もリーズナブルだ。従来モデルからほとんど変わらずに済むのはコード・ユーザーとしても嬉しい限りだろう。
■プラグの圧着処理を最適化する “コードオーミック” も採用
もうひとつの進化のポイントが圧着プラグの “Ohmic(オーミック)”。従来はハンダ付けを採用してきたが、圧着機の仕様を最適化することで、作業性はもちろん、音質的にも大きな効果を引き出すことに成功した。「コードオーミック」と命名された端末処理で、プラグはバナナ、Yラグ仕様ともに接点部には特殊合金+銀メッキ(ダイレクトプレーティング)を採用。
この端末処理は2つのグレード別に分かれている。タイプ(1)が同社の上位モデル「Chord Music」から「Epic XL」に採用されているもので、圧着とハンダ付けのダブル処理で接続。プラグにはシールド効果のあるアルミ製ケースを採用。
タイプ(2)はミドルからエントリークラスに採用。「Epic X」から「Leyline X」までに採用され、圧着のみでの接続。プラグにはABS樹脂製ケースを採用している。タイプ(1)(2)はともにドイツ製の特注電動圧着機を使用。理想的な圧着処理を可能にしている。
「XLPE絶縁材」と圧着処理の「コードオーミック」。この2つの技術が新たに採用されたことを念頭においていただき、個々に解説していこう。
一昨年から今年の頭にかけて登場したXLPE搭載モデルは、末尾に「X」がついてXシリーズとしてラインナップされているのでわかりやすい。上位モデルから「Epic X(上位にEpic XLもある)」「Shawline X」「Clearway X」「C-Screen X」。そして屋内配線等を想定したインストール用の「Leyline X」の合計6製品である。
CHORD COMPANY社がシールドを重視しているのは周知だろう。もちろんそのシールドの厳重さや導体もランクによって異なる。
濃い茶色のシースは高級モデルEpic Xと上位仕様であるEpic XL。銀メッキ導体は共通だが、シールドとプラグも異なるからだ。左右別々にシールドするか、まとめてシールドするかが異なる。Epic Xではまとめてシールドするのに対して、格上のEpic XLは1本1本、より厳重にシールドをかけたもの。外観からもおわかりだろう。
続いて白いシースの方を見ると、Shawline Xは高・低周波シールドを施した銀メッキ導体。その下のClearway Xからは銀メッキを省略。弟分のC-screenXも同様だ。最エントリーのLeyline Xだが、これは錫メッキ導体に、XLPE絶縁材と圧着プラグの “コードオーミック” を備える超ハイCPモデルだ。
前述の端子処理はEpic XLが圧着とハンダのダブル処理+アルミ製ケースのタイプ(1)。その他は、圧着のみ+ABS樹脂製ケースのタイプ(2)を採用。この違いも音質を語る上でのポイントだ。
■新旧ケーブルを徹底比較。ニュアンスや伸びやかさが増す
では実際、従来モデルから新作ケーブルへの音の進化がどんなものか。アンダンテラルゴの試聴室で新旧の各6モデルをガチンコ比較してみた。
アデルの『25』。この女性ヴォーカルのCDをかけてみると、最エントリーのLeyline Xから瞬時に違いが分かる。旧モデルは声がざらっぽく、ニュアンスもない。それが新モデルだと声の粒子が細やかに。ニュアンスや伸びやかさが増し、鍵盤のタッチにも変化が生まれた。この傾向がハイCP人気モデルのC-Screen XやClearway Xではさらに顕著になったのだ。これがXLPE絶縁材の御利益なのか。
その上のShawline Xまでくると、世界観と表現したくなるような、様々な感情のこもった音色が聴けて楽しい。発音のひとつひとつが大切にされる。躍動感たっぷりな一方、かすかな音色変化や感情表現も聴き逃せないなという感想だ。これを聴いて「Xシリーズ」に変えない手はないだろう。
次はミドルクラスのEpic Xだ。ここで先ほどの圧着加工プラグの実験である。目の前でバサっと「旧エピック」のハンダ取り付けの端末をカット。大型の電動圧着マシンを用いて新型のバナナプラグをケーブルにつなぐのだが、作業は意外に簡単で数分で完了。接点が劇的に改善され、あいまいだったディテールがぴったりに描かれる。音楽がよりダイレクトに訴えかけるメリットがありそうだ。
同じアデルの曲をEpic Xで聴くと、また一段とヴォーカルが冴えてハーモニーの流れがよく、絶縁材の違いを思い知る。両者あいまっての効果だ。Epic XLに格上げした時のサウンドはもちろん今回の最上位。左右独立シールドのポテンシャルが存分に発揮された。
ここで嗜好をかえ、アナログ盤のエリック・クラプトン『アンプラグド』、シンプルな楽曲の「ウォーキング・ブルース」だ。Epic Xでの比較試聴だが、これはギターやヴォーカルのリズムとスイング感が見事に合って気持ちよい。Xだと「どおん」ではなく「どん!」とキマるのだ。旧モデルではどうもズレ=時間差が気になり、誰がリードしているかもわからない。タイムが合うか合わないかは音楽演奏では決定的な違いだろう。あなたも、時間のずれたケーブルで聴いてはいけない。
最後にお知らせが。8月末までの期間限定で、「オーミックプラグ」へのアップグレードキャンペーンをスタートするとのこと。お手持ちのCHORD COMPANY製スピーカーケーブルを、通常価格の半額でアップデートできるということなので、ぜひこの機会に「オーミックプラグ」の実力を試してほしい。