公開日 2021/07/10 08:00
ノイズ対策の新常識:ストリーミングにも効く! アクセサリーの効果的な使い方を徹底解説
【短期集中連載(3)】置き方や時間も重要
■ストリーミングをもっといい音で聴きたい! そんな時、どこから手をつける?
これまで、電源に乗ってくる高周波のノイズ対策について考えてきた。しかし、オーディオ用ではないアイテムは、使い方を誤ると音にえぐみが出たりネガティブな影響を与えてしまうものも少なくない。
それではオーディオ用に開発された製品を紹介したいところだが、ノイズ対策のオーディオ製品は安価なアクセサリーからコンポーネント級の大型製品までたくさんあって、やみくもになんでも取り入れれば良いというものでもない。そこでここでは、具体的なデスクトッププランを想定し、どんな考え方で、どういう順番で投入していったらいいのかを考えてみよう。
ケース・スタディとしてのオーディオシステムはこんなイメージだ。机の上にセットされた小型スピーカー、ELACの小型2ウェイ「Debut B5.2」をコンパクトなプリメインアンプDENON「PMA-30」で駆動し、音源はストリーマーとしてBluesoundの「NODE 2i」を使用している。ここに月額1,000円弱のAmazon Music HDを契約すれば、ハイレゾストリーミングが聴き放題になる。
これまでのおさらいをすると、まずはエアコンや冷蔵庫、そしてオーディオ機器のある部屋以外のマイコンを使った製品やデジタル機器の電源ケーブルに、フェライトコアの電源フィルターを装着すること。つづいて、オーディオの置いてある部屋の照明がLEDだったら、これを白熱電灯に交換したい。ノイズ源自体への対策や、ノイズ源の撤去だ。もうこれだけでもけっこう音の純度は上がっているはずだ。
■ルーターはオーディオ機器から物理的に距離を離そう
もしオーディオのある部屋にルーターが設置されているのであれば、廊下に出したり、別の部屋に移してほしい。なぜならばルーターは電源ケーブル(電源アダプター)などを介して、壁コンセントに高周波のノイズを還流させている。さらにWi-Fiの電波を出していて、距離が近いとこの電波が強く、オーディオ機器やケーブル類にノイズとして飛び込んでしまうからだ。ルーターとの距離を取ることにより、電波の強さを弱めたいし、電源もオーディオを鳴らしているのとは別のブレーカーを通した電気にしたい。
そして、その位置のルーターから長めのLANケーブルを使い、ストリーマーに直接接続するのではなく、ストリーマーの近くに「スイッチングハブ」を設置してイーサネット環境を構築してほしい。スイッチングハブはとりあえずは汎用のものでいいが、金属製のしっかりしたボディのものの方が音は良くなる。また、スイッチングハブとストリーマーの間を1m以内にすれば、オーディオクオリティのLANケーブルを選択した時にもケーブル代を節約できる。
また、スイッチングハブにも電源アダプターを使用していると思うので、この電源アダプターのコードにNS(中村製作所)のアモルメットコアを装着しよう。AC用の電源ケーブルだといったんプラグを外さなければいけないが、アダプターからの細い線と端子であれば簡単に装着できるだろう。
アモルメットは、チョークコイルをオーディオ用に洗練させたものだ。側面にステッカーが貼ってあって、上側と下側を識別できるようになっているが、どちらを本体側にするかによって厳密には音が違う。これは実際に装着して確かめてみるしかないが、違いがわからなければスルーしてもらっていい。
■アナログ用とデジタル用が分離されている電源タップを導入
つづいて、ストリーマーとアンプの電源の取り方だ。
クリプトンの4口の電源ボックス「PB-150」を使うのはどうだろう。3万円代の製品だが、良質な電源ケーブルも付属しているし、オーディオ用としてきちんとしたモノ作りがされている。ボディは厚みのあるスチール製で、ACインレットやコンセント、内部配線材の選択にも気を使っている。そして、電源フィルターが2系統分採用されているのも大きな特徴だ。「大電流機器・高ノイズ機器」(こちらにアンプの電源ケーブルを挿す)と「小電流機器」(ストリーマーの電源)というように、分離しての接続ができて、ふたつのコンポーネントの相互影響をかなり軽減してくれる。
ここまで来ると特に都市部のマンションなどの住環境の人であれば、相当に音の純度は上がっているはずだ。
以上のやり方は、ストリーマーの代わりにPCとUSB-DACを組み合わせて使っている人にも応用が効くだろう。また、両者を接続するUSBケーブルには、いわゆるUSBフィルターも効果的だ。PCの内部ではどうしても高周波のノイズが発生するために、それをUSB-DAC側に伝えないようにするための処置だ。さまざまな製品があるが、手軽なものとしてiFi audioの「iSilencer+」を推薦しておこう。
■オーディオ機器には「慣らし」の時間が必要
そしてぜひ付け加えておきたいのは、アンプにしてもストリーマーにしても、あるいは電源タップやオーディオアクセサリー類にしても“慣らし”の時間(=エージング)が必要な点だ。新品で購入して接続して、すぐにその実力を発揮するものは少ない。特にBluesoundのNODE 2iは筆者宅で試用して、最初はもっさりした音だったが、2カ月程度で音の抜けがかなり良くなった。
あるいはデノンのPMA-30は設置する時に縦置きでも横置きでも使用できるが、横にした時の方が概して音はいい。縦に置いた時の方が振動の問題が増幅されてしまうからだ。コンポーネントやケーブル類が振動すると、それが音楽信号に影響を与え、再生音を濁らせてしまったり余計な付帯音を発生させる、というように考えてほしい。
こういうことが趣味としての繊細なオーディオではよくあるので、慣らしにせよ、機械の置き方にせよ、音を聴いてひとつずつ進めていきたい。ちなみにノイズ対策のオーディオアクセサリーやコンポーネントの製品については季刊誌『Audio Accessary』や、『電源&アクセサリー大全』等にさらに詳しく記事が載っているので、ぜひ参考にしてほしい。
▶▶▶集中連載(4)ノイズ対策の新常識:アース対策の基本をおさらい!仮想アース導入のメリットは?
これまで、電源に乗ってくる高周波のノイズ対策について考えてきた。しかし、オーディオ用ではないアイテムは、使い方を誤ると音にえぐみが出たりネガティブな影響を与えてしまうものも少なくない。
それではオーディオ用に開発された製品を紹介したいところだが、ノイズ対策のオーディオ製品は安価なアクセサリーからコンポーネント級の大型製品までたくさんあって、やみくもになんでも取り入れれば良いというものでもない。そこでここでは、具体的なデスクトッププランを想定し、どんな考え方で、どういう順番で投入していったらいいのかを考えてみよう。
ケース・スタディとしてのオーディオシステムはこんなイメージだ。机の上にセットされた小型スピーカー、ELACの小型2ウェイ「Debut B5.2」をコンパクトなプリメインアンプDENON「PMA-30」で駆動し、音源はストリーマーとしてBluesoundの「NODE 2i」を使用している。ここに月額1,000円弱のAmazon Music HDを契約すれば、ハイレゾストリーミングが聴き放題になる。
これまでのおさらいをすると、まずはエアコンや冷蔵庫、そしてオーディオ機器のある部屋以外のマイコンを使った製品やデジタル機器の電源ケーブルに、フェライトコアの電源フィルターを装着すること。つづいて、オーディオの置いてある部屋の照明がLEDだったら、これを白熱電灯に交換したい。ノイズ源自体への対策や、ノイズ源の撤去だ。もうこれだけでもけっこう音の純度は上がっているはずだ。
■ルーターはオーディオ機器から物理的に距離を離そう
もしオーディオのある部屋にルーターが設置されているのであれば、廊下に出したり、別の部屋に移してほしい。なぜならばルーターは電源ケーブル(電源アダプター)などを介して、壁コンセントに高周波のノイズを還流させている。さらにWi-Fiの電波を出していて、距離が近いとこの電波が強く、オーディオ機器やケーブル類にノイズとして飛び込んでしまうからだ。ルーターとの距離を取ることにより、電波の強さを弱めたいし、電源もオーディオを鳴らしているのとは別のブレーカーを通した電気にしたい。
そして、その位置のルーターから長めのLANケーブルを使い、ストリーマーに直接接続するのではなく、ストリーマーの近くに「スイッチングハブ」を設置してイーサネット環境を構築してほしい。スイッチングハブはとりあえずは汎用のものでいいが、金属製のしっかりしたボディのものの方が音は良くなる。また、スイッチングハブとストリーマーの間を1m以内にすれば、オーディオクオリティのLANケーブルを選択した時にもケーブル代を節約できる。
また、スイッチングハブにも電源アダプターを使用していると思うので、この電源アダプターのコードにNS(中村製作所)のアモルメットコアを装着しよう。AC用の電源ケーブルだといったんプラグを外さなければいけないが、アダプターからの細い線と端子であれば簡単に装着できるだろう。
アモルメットは、チョークコイルをオーディオ用に洗練させたものだ。側面にステッカーが貼ってあって、上側と下側を識別できるようになっているが、どちらを本体側にするかによって厳密には音が違う。これは実際に装着して確かめてみるしかないが、違いがわからなければスルーしてもらっていい。
■アナログ用とデジタル用が分離されている電源タップを導入
つづいて、ストリーマーとアンプの電源の取り方だ。
クリプトンの4口の電源ボックス「PB-150」を使うのはどうだろう。3万円代の製品だが、良質な電源ケーブルも付属しているし、オーディオ用としてきちんとしたモノ作りがされている。ボディは厚みのあるスチール製で、ACインレットやコンセント、内部配線材の選択にも気を使っている。そして、電源フィルターが2系統分採用されているのも大きな特徴だ。「大電流機器・高ノイズ機器」(こちらにアンプの電源ケーブルを挿す)と「小電流機器」(ストリーマーの電源)というように、分離しての接続ができて、ふたつのコンポーネントの相互影響をかなり軽減してくれる。
ここまで来ると特に都市部のマンションなどの住環境の人であれば、相当に音の純度は上がっているはずだ。
以上のやり方は、ストリーマーの代わりにPCとUSB-DACを組み合わせて使っている人にも応用が効くだろう。また、両者を接続するUSBケーブルには、いわゆるUSBフィルターも効果的だ。PCの内部ではどうしても高周波のノイズが発生するために、それをUSB-DAC側に伝えないようにするための処置だ。さまざまな製品があるが、手軽なものとしてiFi audioの「iSilencer+」を推薦しておこう。
■オーディオ機器には「慣らし」の時間が必要
そしてぜひ付け加えておきたいのは、アンプにしてもストリーマーにしても、あるいは電源タップやオーディオアクセサリー類にしても“慣らし”の時間(=エージング)が必要な点だ。新品で購入して接続して、すぐにその実力を発揮するものは少ない。特にBluesoundのNODE 2iは筆者宅で試用して、最初はもっさりした音だったが、2カ月程度で音の抜けがかなり良くなった。
あるいはデノンのPMA-30は設置する時に縦置きでも横置きでも使用できるが、横にした時の方が概して音はいい。縦に置いた時の方が振動の問題が増幅されてしまうからだ。コンポーネントやケーブル類が振動すると、それが音楽信号に影響を与え、再生音を濁らせてしまったり余計な付帯音を発生させる、というように考えてほしい。
こういうことが趣味としての繊細なオーディオではよくあるので、慣らしにせよ、機械の置き方にせよ、音を聴いてひとつずつ進めていきたい。ちなみにノイズ対策のオーディオアクセサリーやコンポーネントの製品については季刊誌『Audio Accessary』や、『電源&アクセサリー大全』等にさらに詳しく記事が載っているので、ぜひ参考にしてほしい。
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