• ブランド
    特設サイト
PR 公開日 2023/09/05 06:30

【集中連載】イヤホン イコライザー基礎知識:第3回「ゲインを調整すると音はどう変わる?」

ビクター「HA-FX150T」を例に解説
高橋 敦
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

今回はゲインの調整で音はどう変わるのかを解説
スマートフォンアプリから音質を細かくイコライジングできることも特徴であるビクターの完全ワイヤレスイヤホン「HA-FX150T」。ただ、イコライザーとは何者なのか? 理解しているようで実は少しあやふやな人もいるのでは? HA-FX150Tを例にとりながら、イコライザーの基礎知識や使いこなすコツを短期集中連載で解説します。

今回は「ゲイン」のイコライジングについて解説。ゲインとは何者で、ゲインを調整すると音はどう変わるのか? そのポイントを紹介します。


【関連記事】
第1回「イコライザーって何?」
第2回「周波数設定の自由度こそパライコの強み」

ゲインとは「どれくらいの強さ/弱さでイコライジングするか」



パラメトリックイコライザー、略してパライコの設定項目は、HA-FX150Tではそれぞれ、

●周波数=どの周波数を中心に
●ゲイン=どれほどの増減量
●Q=どれほどの周波数幅

です。今回は「ゲイン」を説明していきましょう。

といっても「ゲイン」はシンプルに、狙った周波数をどのくらい強めるか/弱めるかの増減量の設定です。その意味や効果はすっと理解できることでしょう。単位の「dB(デシベル)」は見慣れないものかもしれませんが、今は単に気にしなくてもOKです。

ビクターが用意した「±6.0dB」というゲイン幅の絶妙さ



さてHA-FX150Tのパライコは、手をつけない0dBを基準に、-6dBまで下げる、6dBまで上げるというゲイン調整が可能。この±6dBというゲイン幅が実は絶妙です。他のイヤホンのイコライザーの中にはもっと広い幅を備えるものもありますが、HA-FX150Tはおそらく意図的に±6dBにとどめてあります。

というのも極端なゲイン設定でのイコライジングは、楽器本来の音色や楽曲本来の印象、イヤホンの個性を崩してしまいがち。音楽制作時のエフェクターとしてならありですが、音楽リスニング環境で使うには過剰な効果です。

リスニングにおいて+8dBや+10dBのイコライジングが必要になることは滅多にありません。ですが例えば±12dBの幅が用意されていると、+8dBや+10dBも「真ん中よりちょっと上」「まだ天井ではない」という見え方になってしまいます。初心者は躊躇なく+8dBや+10dBを使ってしまうかもしれません。

対して±6dBのゲイン幅ならそんな間違いは起きません。最大値である-6dBや+6dBにセッティングしても、音色や音楽を破綻させたり、HA-FX150Tらしさを大きく損なうことはないでしょう。これぞ実用的な範囲!

ではその絶妙な増減幅を体感してみましょう。YOASOBI「アイドル」の今回は中高域をイコライジング。

「Victor Headphones」アプリでサウンドモード「CUSTOM 3」の設定を開き、ポイント(2)の値を調整。

●周波数:2400Hz前後(2.4kHz前後)
●ゲイン:-6.0dB/0dB/+6.0dB
●Q:0.6

として、曲を再生しながらゲインを0dBから-6.0dB、+6.0dBへと動かしてみましょう。

周波数とQは固定のまま、ゲインだけ-6.0dBや+6.0dBなど極端な最大値に動かしてみます

2.4kHz付近は、音のアタック感や明るさなど様々な要素に影響する周波数。-6.0dBにするとボーカルも楽器も当たりが柔らかくなり、全体もウォームで奥行きのある雰囲気に。逆に+6.0dBでは音のアタック感やシャープさが強調され、前に出てくるアグレッシブな雰囲気にといった変化が生まれます。どちらが好みですか?筆者としては「アイドル」には後者のアグレッシブな表現がフィットするかなと思います。

ですが好みは人それぞれ。そして±6dBの増減どちら側の変化も楽曲の印象を激変させてしまうほどではなく、「好み次第でどちらもあり」の範疇に収まってはいますよね。

それが「HA-FX150Tのパライコのゲイン幅はリスニング向けとして実用的な範囲」ということ。スペックの数字を大きくすることにとらわれない、堅実な設計です。

……でも実はHA-FX150Tのパライコには6dB超のイコライジングをできちゃう裏技も。ポイント(1)(2)(3)のうち複数の周波数設定を同じ帯域に重ねることで、ひとつの帯域に±6dBを3回重ねがけできるのです。

「ゲインが高すぎます」の警告が表示されますがイコライジング自体は機能します

この裏技を実際に使う機会はほとんどないかと思いますが、HA-FX150Tのパライコの自由度の高さが表れているところですね。

(提供:JVCケンウッド)

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE
クローズアップCLOSEUP
アクセスランキング RANKING
1 楽天ブラックフライデーでJBLの超人気サウンドバー「BAR 1000/800」が激安!プロも驚く革新的モデルはどんな音を鳴らす?
2 評論家が厳選!マランツ「MODEL M1」でPolk Audio/KEF/TAD/Harbethのスピーカーを鳴らす
3 ビクター新ワイヤレスヘッドホン「HA-S99N」速攻レビュー! 評論家が「もう驚きでしかない」と高評価した魅力とは?
4 ボーズ、McIntosh Groupを買収。マッキントッシュ、ソナス・ファベールが傘下に
5 レグザが100型クラス大画面4Kテレビを拡充する理由とは? 目黒蓮の特別コメントも
6 パナソニック「2023年度 優秀ご販売店様謝恩会」を開催。21店が栄誉に輝く
7 山之内 正氏によるエソテリック×アキュフェーズ×マランツ比較試聴会、「ハイエンドオーディオ&アクセサリーショウ2024」で開催
8 オーディオファイル待望の物量投入型プリメインアンプ!デノン「PMA-3000NE」をクオリティチェック
9 B&Wの音は “信頼に値する重要な指標”。音元出版の新試聴室に「802 D4」が導入されたワケ
10 新開発ユニットを巧みに操る懐深いサウンド。ELAC「Debut 3.0」フロア型/ブックシェルフ型を聴く
11/22 10:41 更新
MAGAZINE
音元出版の雑誌
オーディオアクセサリー193号
季刊・オーディオアクセサリー
最新号
Vol.194
オーディオアクセサリー大全2025~2026
別冊・ケーブル大全
別冊・オーディオアクセサリー大全
最新号
2025~2026
プレミアムヘッドホンガイドマガジン vol.22 2024冬
別冊・プレミアムヘッドホンガイドマガジン
最新号
Vol.22
プレミアムヘッドホンガイド Vol.32 2024 AUTUMN
プレミアムヘッドホンガイド
(フリーマガジン)
最新号
Vol.32(電子版)
VGP受賞製品お買い物ガイド 2024年冬版
VGP受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年夏版(電子版)
DGPイメージングアワード2024受賞製品お買い物ガイド(2024年冬版)
DGPイメージングアワード受賞製品お買い物ガイド
(フリーマガジン)
最新号
2024年冬版(電子版)
音元出版の雑誌 電子版 読み放題サービス
「マガジンプレミアム」お試し無料!

雑誌販売に関するお問合せ

WEB
  • PHILE WEB
  • PHILE WEB AUDIO
  • PHILE WEB BUSINESS
  • ホームシアターCHANNEL
  • デジカメCHANNEL
AWARD
  • VGP
  • DGPイメージングアワード
  • DGPモバイルアワード
  • AEX
  • AA AWARD
  • ANALOG GPX