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6作品の画質・音質を徹底チェック

発売直前最速レポート!『スター・ウォーズ』BD-BOXのクオリティ&見どころを総力検証

公開日 2011/09/09 11:00 逆木 一
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エピソードI ファントム・メナス

■画質チェック:最高級のフィルム画質

本作の画質を一言で言い表すなら「最高級のフィルム画質」だ。ナブーの俯瞰風景、タトゥイーンの夜景などがディスク全体を通した見どころだろう。

実写撮影の部分はもちろん、CGIも当時最高水準のディティールを確保したうえで、フィルム撮影にありがちなノイジーな表情を絶対に見せない。いかにもフィルムらしくストンと落ちる闇や、タトゥイーンの夜景の暗がりにも、撮影由来・圧縮由来のノイズを殆ど見出すことができない。フィルムマスターの映画としては、私の知る限り最もS/Nが高い映像である。


ナブーにおける数々の造形デザインなどから、本作が科学一辺倒のSFではなく、多分に幻想的な要素を含んでいることが分かる。

その幻想を画作りとしても表現するためだろう、フィルム由来の粒状感は最小限度であり、徹底的に純化された透明感が全編を覆う。澄んだ空気に光が満ちる。穏やかかつ清澄な光に満ちた映像はさながら魔法のようであり、まったく隙の無いBD化によって美しい工芸品として結実している。

なお本作では一部実験的にデジタル撮影も行われたようだが、本編中のどのシーンが該当するかは、画質上では判別できなかった。

1999年の作品ということで、BDで見た際のCGIのディティールや完成度について少々不安もあったが、まったくの杞憂に終わった。

さすがに最近の『トランスフォーマー』や『アバター』などの作品と比べると厳しいが、この年代のものとしてはまさに「別格」。特にデストロイヤー・ドロイドの造形の緻密さが強い印象を残した。

高画質化が進んだ結果、CGのキャラクターと俳優が共演するようなシーンでの合成の不自然さが目に付くようになったが、そもそもスター・ウォーズとはそういう作品であって、CGと実写の絡みが不自然云々などというのは無粋だ。むしろ、そこまでの情報が明確に見通せることをファンは喜ぶべきで、それも含めて楽しむべきものだ。

一方、高S/N路線ということと、フィルム撮影とCGIの技術的・年代的制約から、絶対的な情報量としては限界も見える。撮影由来のものと思われる、一時的に映像が甘くなるシーンも、ごくわずかではあるが散見される。

しかし、それらを補って余りあるほどに、本作の映像は美しい。工学的な高画質と、感覚的に美しい映像は異なるが、本作はその二つを両立している。両者が互いに補完しあい、視覚を通して大きな多幸感を与えてくれる。

【画質評価】
 情報量:90
 解像感:80
 安定感:90
 総合評価:90

■音質チェック:音楽主体の音作り - ライトセーバーの効果音に注目

音質はまず、血沸き肉踊るオープニングが強く印象に残る。ジョン・ウィリアムスによる劇伴は完璧にサラウンドミックスされ、全く違和感や誇張感の無い劇場そのものの音を実現している。

これは新三部作に共通した特徴で、BGMのサラウンドミックスの巧みさは、私が見てきたあらゆる作品の中でもトップクラスだ。映画音響にはある種の“くどさ”や“やりすぎ感”がつきものだが、新三部作の音響にはそれが無い。むしろオーディオ的に高品位なBGMこそが音響の主体となっている。

そのぶん、サウンドエフェクトに関して言えば、想像していたほどの存在感、ダイナミズムは得られなかった。アクション映画として考えると、音数の豊富さや音響の工学的精度は群を抜いているが、全体的に一歩引いた印象を受けるのだ。例えばプライベート・ライアンのように、効果音だけで全てを語り尽くすような音作りにはなってはいない。

これはもちろん、あくまで音楽との兼ね合いで、相乗効果を発揮するようサウンドデザインを行った結果だろう。音響も映像同様、非常に高S/Nであり、音量を上げても耳障りにならないという美点があるため、ここはぜひとも音量をグイと上げるべきだろう。


なにより嬉しかったのは、ライトセーバー絡みの効果音が素晴らしかったことだ。クライマックスにおけるクワイ=ガン&オビ=ワンとダース・モールの戦闘は、殺陣の素晴らしさ、唸るライトセーバー、迸るスパークのテンションの高さのおかげで、シリーズ屈指の盛り上がりを見せる。ライトセーバーが唸るあらゆる場面が、本作のサウンドの聴きどころとなっている。

【音質評価】
 技術:95
 力感:75
 品位:90
 総合評価:86

TM & (C)2011 Lucasfilm Ltd. All Rights Reserved. Used Under Authorization.
Star Wars and all characters, names and related indicia are trademarks of and (C)Lucasfilm Ltd.
TWENTIETH CENTURY FOX, FOX and associated logos are trademarks of Twentieth Century Fox Film Corporation and its related entities.


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