発売直前最速レポート！『スター・ウォーズ』BD-BOXのクオリティ＆見どころを総力検証

エピソードII　クローンの攻撃

■画質チェック：徹底的な高S/N路線で透明感のある画作り

本作は長編映画で初めて全編デジタル撮影された作品だ。そこで気になるのは画質の完成度である。

デジタルの撮影機材は現在進行形で進化し続けているので、最初期の機材で撮影された本作の画質について、少なからぬ不安を覚えていたのは事実だ。スキャンによるデジタル化や修復といった工程が介在し、手法の進歩により画質の向上も見込めるフィルムと違い、デジタル撮影は撮った時点で画質が決まってしまうからだ。

しかし、本作は世界初にして、既に完成されていた。昨今のデジタル撮影の作品で主流となっている、粒状感付加によるハイディティール志向とは一線を画した、徹底的な高S/N路線と透明感のある画作り。穏やかな光に溢れる清廉な画は、フィルムかデジタルかの違いはあれ、まぎれも無くエピソードIから継承した「スター・ウォーズの画」と言える。

フィルムからデジタルに移行したことで、フィルム由来のグレインが無くなってさらに高S/Nな映像となり、シーンごとの画質のバラつきも解消されている。また実写パート（すなわち俳優）の情報量も確実に増しており、エピソードI以上に揺るぎない、安定した画質が全編に渡って実現されている。

CGIも長足の進歩を遂げており、目を見張るようなディティールに満ちている。2002年という制作年を考えると、これはやはり別格である。

本作から俳優以外はほとんど実写が介在しないグリーンバック撮影となったようだが、確かに俳優と背景はエピソードI以上に、露骨に合成であることが見てとれる。

しかしこれもエピソードIと同様、受け入れてさえしまえば、後に待っているのは夢幻の如く美しい映像の連続である。美しいものは美しいのだから仕方が無い。そこに実写もCGIもありはしない。コルサントの凄まじい凝縮感、さらに美しくなったナブーの光景、ぎょっとするほどのディティールが冴えるカミーノ星人など、これでもかと言わんばかりに視覚のご馳走が続く。

本作は実質的にほとんどフルCGアニメーションということで、デジタルアニメにありがちなマッハバンドが見られないかと気を付けて見てみたが、そんな低いレベルではないと、開始数分で悟った。事実、砂塵が吹き荒れるような非常に厳しいシーンにおいても、グラデーションの崩れは一切感じられなかった。

一作目からあらゆる点においてパワーアップを果たしている本作は、初のフルデジタル撮影作品でありながら、超高品位BDとして知られる『アイ・ロボット』と同レベルの画質を実現している（ちなみに『アイ・ロボット』は2004年の作品で、同じくFOXから発売されている）。

本作の画質面での見どころは、ジオノーシスの戦い、コルサントの風景、ナブーの風景、カミーノ星人のパートあたりだろうか。繰り返しになるが、本作の画質は世界初にして、既に完成されていたのだ。

【画質評価】
　情報量：95
　解像感：85
　安定感：95
　総合評価：93

■音質チェック：小惑星帯のドッグファイトが音響的なハイライト

エピソードIと同様、音響の精度としては、これ以上求めようがないとさえ思えるレベルに達している。ただし、シーンとしての盛り上がりやダイナミズムは前作には及ばない印象を受ける。

ライトセーバー同士の戦闘も前作のダース・モール戦のような高揚感は感じられず、ジオノーシスの戦いにおけるジェダイとドロイドの集団戦でも、火線の量に対して盛り上がりが足りない。

作中で使われるのがブラスターではなく実体弾を使う銃だったら、それこそ下手な戦争映画も裸足で逃げ出す、恐るべき音響になっていたと思うのだが、それはそれだ。

そんな中で気を吐いているのが、小惑星帯におけるドッグファイトのシーンである。効果音単体の威力はそれほどでもないが、ブラスターの連射、ミサイルの軌跡、サイズミック弾の炸裂など、素晴らしいサウンドデザインも相まって、本作随一の音響的ハイライトとなっている。

総じて前作と同様、あくまで音楽主体のオーディオ的に優れた、非常に上品な音作りとなっている。アクション映画としてはもっともっと盛り上げてほしかったというのが本音だが、映像との絡み、世界観の表現という意味で考えるなら、これはこれでアリだろう。音量を上げて楽しむべき作品だ。

【音質評価】
　技術：95
　力感：75
　品位：90
　総合評価：85

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