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公開日 2018/10/30 17:00
所有イヤホン&ヘッドホンは20超

小岩井ことりさんは“ガチ”。イベント&インタビューからポタオデ愛が溢れ出た!

編集部:押野 由宇
ポータブルオーディオ界でいまキラリと存在感を放つ女性声優、小岩井ことりさん。なぜそう言い切れるのかといえば、小岩井さんが “ガチ” だからだ。


あらためて語るまでもないが、数々のイヤホン・ヘッドホン・DAPなどに対する深い知識、DTMの腕前を活かした作曲力など、明らかに “沼” 寄り。というか作曲家としてデビューもしているので、そちらではプロでもある。信じられないという方は、なかなかの頻度で音周りのつぶやきが行われているので、小岩井さんのTwitterをチェックしてみてほしい。

そんな小岩井さんは、最近ポータブルオーディオ関連イベントに引っ張りだこ。こんなに “ガチ” で語ってくれる方なのだから、そうなるのも自然な流れかもしれない。今回、「秋のヘッドフォン祭り2018」でも、S'NEXTのfinalブランド新製品発表イベントに小岩井さんの姿があった。


イベントは小岩井さんによる書き下ろし曲「Nevertheless」の生歌唱からスタート。この曲を192kHz/32bit floatで自宅録音したという小岩井さんは、「良いですね、家でのハイレゾRECができる時代」としみじみコメント。そこからあらためて、「声優の小岩井ことりです!」と挨拶した。

イベントの司会を務める野村ケンジ氏、ゲスト参加の高橋 敦氏の両名とも、「Nevertheless」の楽曲としての良さだけではなく音質を絶賛。「宅録のクオリティじゃない」という感想に、「NEUMANNのU87Aiマイクなど、スタジオで使われているような機材をできる限り導入しています」と小岩井さん。「聴くイヤホンによって音が変わると思うので、ぜひ色々聴き比べてみてください」と、完全に作り手のコメントをしていた。

finalの既存ラインナップについてテーマがシフトすると、イヤホン「Eシリーズ」について、「E5000は白米! クリアで生の音が楽しめるので、使うことが多いです」と独特ながら思わず納得できる表現をしたかと思えば、「E2000、E4000派は、手練な気がします」と主張。これに野村ケンジ氏も「E4000には、E5000のケーブルを装着するとすごく良いんです」とプッシュすると、メーカー担当者から11月中〜下旬にfinalのケーブルが単売されるという情報が明かされた。

ここで話題はEシリーズの最新にしてエントリーモデル「E1000」に。E1000は実売2,480円という手頃な価格設定となっているが、小岩井さんはfinalがドライバーの設計から開発までを自社で行っていることに触れ、「安かろう悪かろうではないのがfinalさんなんですよ!」と饒舌にアピール。一緒に登壇した野村ケンジ氏、高橋 敦氏も「もう語ることはありません」というほどの活躍をしていた。

さらに良いイヤホンを購入することについての話題では、小岩井さんから「人生の残り時間はあと何時間でしょう?」という突然の問いかけ。そして、笑いとどよめきの起こる会場に向けて「その時間を良い音で過ごしたくないですか!?」の追撃。「私は過ごしたいと思って、良いモデルを買っています」と力強い言葉で会場から拍手を集めた。


続いてクラウドファンディングで約3,500万円の支援を集めた「Makeシリーズ」に話が移ると、小岩井さんのテンションがさらに上昇。「超気になっています、イヤホンをバラせるんですよ! バラしたいですよね! 自分でここをもうちょっとこうしたい、というポイントを調整できるなんて、最高ですよね! 楽しみー!」と声量を上げる。

そしてMakeのドライバー構造について、興が乗った小岩井さんは、BAドライバーとダイナミックドライバーについて「簡単に説明すると・・・」と自ら説明を開始。メーカー担当者の出番をも抑え、イベントは小岩井さんの独壇場となっていった。

さて、そうして大盛り上がりのままイベントは終了したのだが、これほどのポータブルオーディオ好きとしてのエネルギーはどこから生まれているのだろうか? 小岩井さん本人に聞いてみた。


小岩井ことり〜Profile〜 京都府出身、2月15日生まれ。ピアレスガーベラ所属の声優。2011年よりTVアニメやゲームなど幅広くこなす。作詞、作曲、DTMもしていたことから、MIDI検定1級と、さらには講師資格も取得し声優として活躍する一方、作詞作曲家として楽曲提供なども行っている。2018年4月「Sister」の作詞作曲で作家としてメジャーデビュー。「Sister」が収録されたCD「M@STER SPARKLE 08」はオリコンアニメアルバムランキングで1位を飾る。代表作としては「のんのんびより」宮内れんげ、「おこしやす、ちとせちゃん」、「ぱすてるメモリーズ」六郷沙織ほか多数。


ーー早速ですが、小岩井さんはいまイヤホンやヘッドホンをどのくらいの数お持ちなんでしょう?

小岩井さん:どのくらいだろう・・・、10は超えてて、20も超えたくらい・・・? バンナイズさんのケースを使っているんですが、宝石ケースみたいなんですよ。全部埋めたくなるじゃないですか! それをちょっとずつ揃えていくうちに、いつの間にか。不思議ですね(笑)。

ーーもはや “沼” の住人といった小岩井さんですが、そのきっかけはなんだったんでしょうか?

小岩井さん:もともとは声優としての技術を磨くために、DAWを取り入れながら勉強をするのにあたって、インターフェースを揃えだしたんです。そうするうち、「音ってなんだろう?」ということを追求しだして、サンプリングレートとかも勉強しました。でも、1人だと偏った知識になりそうなので、MIDI検定にチャレンジして色んな知識を学んだりもしました。趣味としても音楽を聴くのが好きでしたし、勉強としても「より良い音で聴きたいな」と思い始めたんです。最近は、お小遣いで好きなものを買えるようになってきたので、「イヤホンとか欲しいな」って沼に浸っていった感じです。

ーーDTMなどの音楽制作の方面から入ると、やはりモニタリング向けのモデルからスタートしたんですか?

小岩井さん:最初はやっぱり、スタジオに行った時に緊張しないように業界標準のものを揃えよう、というのがコンセプトでしたね。だからマイクもNEUMANのU87Aiだったり、ヘッドホンはソニーの MDR-CD900STみたいに、どこでも使われているものにしました。そうやって機材をちょっとずつ追加していくなかで、趣味使い用と言いますか、楽しく音を聴くためのものとモニタリング用を分けてみるのも面白いかなって思ったんです。

ーーなるほど、そこからコンシューマー向けモデルにも手が伸び始めたわけですね。

小岩井さん:900STは本当に優れているんですけど、ずっと聴いていると、歯擦音とかまで聴こえすぎて疲れちゃう、ということもあると思うんです。それに、900STは遮音性がそんなに高くないので、録るときも場面によっては違うヘッドホンが最適だったりもしますから、イヤホン、ヘッドホンはあればあるほど良い! 「映画ならどれだろう、この曲だったらなんだろう?」って、楽しく極めていきたいです。

ーーモニタリング向けモデルはスタジオに標準であるもの、というある意味お手本があったわけですが、コンシューマー向けモデルはどのように選び始めたのでしょうか?

小岩井さん:特に何かをお手本としたということはなくって、自分で色んな販売店さんに足を運んで、聴き比べたものから好みで選んでいますね。そうやって色んなモデルを聴くうちに、それぞれの良いところが分かってきたりとか、「こういう場面は、こっちの方が良いな」といったことを考えられるようになってきました。

ーーでは逆に、小岩井さんはポータブルオーディオ好きとして誰かのお手本となったりは?

小岩井さん:私がお手本なんて恐れ多いです! でも、いま電車に乗ったりすると、スマホとイヤホンは皆さんお使いじゃないですか。イヤホンってそれだけ必需品になっているのに、その選び方は分からないまま買っていることが多いんじゃないかなと思うんです。だから、声優さんとかから「前に使っていたのが断線しちゃって、次はどれが良いかな?」って相談を受けることが増えてきました。

ーーそうした場合は、どのように回答されるのですか?

小岩井さん:よく聴く音楽はもちろんなんですが、まず用途別に考えますね。Bluetooth接続はどうしてもまだ音質的には有線に勝てないかなって思うんですが、声優も歌って踊るみたいな機会があって、練習の時にはBluetoothタイプが良いですし、ゲームに没頭したいのなら有線の迫力あるモデルが良いかな、とか用途にあわせてお伝えしています。

ーー想像していたより、かなり幅広い選択肢からオススメしてくれるんですね。

小岩井さん:いえいえ、私なんかまだまだですが、機会があれば質問して貰えたらぜひ答えたいと思っています(笑)。

ーーでは、私もちょっと教えて欲しいんですが、小岩井さんが携わった曲で「こんなイヤホンだったら合うかも」というものを挙げてもらえますか?

小岩井さん:では、私が初めて声優として大きなライブに参加させてもらったのが『アイドルマスター ミリオンライブ!』の2ndLIVEで、そのときに歌わせてもらったのが「Maria Trap」という曲なんですが、ロックでカッコよく、力強いところもあるので、finalさんのイヤホンでいうならE4000が、パンッと強い感じの音作りなので楽しく聴けるんじゃないかなって思います。

ーーご自身が作曲をされた曲ではいかがでしょう?

小岩井さん:私が作詞作曲を担当させていただいた「Sister」ですが、これは葛藤の曲なんですよ。中域に厚みがあるミキシングになっているので、解像度が高ければ、その葛藤を表現している部分がより分かりやすく受け取れるんじゃないかなって思います。finalさんだったらE5000ですし、ほかにもES3(EarSonics)とか、K3003(AKG)みたいに、高解像度なモデルで聴いてみていただけたらと思います。

ーーありがとうございます、参考にします! 小岩井さん、ほかに伝えておきたいことなどは?

小岩井さん:ことりの音』というラジオをやらせていただいていて、ときにはNEUMANNのU67マイクを使ったりする、タイトルの通り “音” に注目した番組です。配信もできるだけ高音質で行っていますので、ぜひ聴いてみていただけたらと思います。お便りお待ちしてます!

ーーそれでは最後に、読者の方にひと言お願いします。

小岩井さん:まだまだ “オーオタ” としても未熟者ですが、好きな気持ちはいっぱいありますので、皆さんに色々教えてもらいながら、音を楽しんでいけたらと思います。良い組み合わせなどがあったら、教えてください!

☆ ☆ ☆


実際に話をしても、ポンポンと「FLAC」「サンプリングレート」などのワードがよどみなく飛び出してくるあたり、小岩井さんは “本物” だった。

今後も周りの人をガンガン引っ張ってきていただきたいし、1から10まで小岩井ことりプロデュースのようなモデルにも期待したい。あと、普通に小岩井さんの作る楽曲をもっと聴いてみたいし、アニメなどで声も聴きたい。これからの小岩井さんのオールラウンドな活躍がますます楽しみだ。

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