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公開日 2019/07/12 14:19
受賞メーカー特別インタビュー

パナソニック、VGP2019 SUMMER「総合金賞」「批評家大賞」受賞で新価値訴求を加速する

Senka21編集部 徳田ゆかり

国内最大級を誇るオーディオビジュアル機器の総合アワード「VGP」では、プロの評論家および全国の有力販売店が参加し、数々の優秀製品が選出される。先ごろ発表された「VGP2019 SUMMER」において、「総合金賞」および「批評家大賞」の2大重要賞をパナソニックが獲得した。受賞の抱負とともに、各製品への取り組みやこれからの展開について、同社アプライアンス社 コンシューマーマーケティングジャパン本部 スマートライフネットワーク商品部 部長の齋藤伸英氏が語る。

VGP2019 SUMMER受賞一覧はこちら



パナソニック株式会社 アプライアンス社 コンシューマーマーケティングジャパン本部 スマートライフネットワーク商品部
部長 齋藤伸英氏


インタビュアー 永井光晴(音元出版 取締役専務)

■パナソニック、VGP2019 SUMMERの2大重要賞獲得で拡販に弾み
総合金賞「おうちクラウドディーガ全自動モデル」


ーー VGP2019 SUMMERにおいて、パナソニックおよびテクニクスブランドの多くの商品が賞を獲得しました。特に最優秀プロダクトに贈られる2つの賞、総合金賞と批評家大賞を双方受賞されたのは素晴らしいこと。誠におめでとうございます。

齋藤 このたびは有難うございます。私どもの商品を高くご評価いただき大変光栄に思っております。この夏商戦を皮切りとした販売において大きな追い風となります。

私はマレーシアで2年間ほど、AV事業に従事しておりました。久しぶりに戻って感じる日本市場は、多くの4Kコンテンツが揃っており、そこに様々な商品をご提案することで、市場を活性化できるとあらためて実感しています。私が担当していた東南アジア市場では、4K放送やコンテンツが少なく、高画質でテレビを楽しむ文化がほとんどない状況でした。日本だからこそできる提案があり、今からワクワクしております。

ーー 映像音響部会において、販売店と評論家によって選出される総合金賞を獲得したのは、おうちクラウドディーガ全自動モデルです。総合金賞は販売店および評論家の票、お店の意向が入ることでもっとも売りたい商品と言うことができます。

齋藤 レコーダーの“全自動”のコンセプトは、初期設定を済ませれば録画に関する操作は何もしなくていい、ということ。過去の番組も遡って楽しめる、都合のいい時間にいつでも見たい番組を見られるといった新たな楽しみ方のご提案です。パナソニックが提案してきた5年ほどの間でその価値が受け入れられ、ひとつの市場を作れたかと思っております。

さらに「おうちクラウドディーガ」はまた新たな切り口。スマホで撮影した写真や動画もディーガに貯めることができ、また、そのコンテンツを持ち出してどこでも楽しめる、こうしたことがお客様にも受け入れられてきたと感じています。これはもっと訴求を強化し、さらに浸透させなければなりません。“録画機”を求めるお客様にこの新たな楽しみ方を知っていただき、新たな価値をご理解いただきたいと思います。

ーー お客様は実際に、どんな使い方をされているのでしょうか。

齋藤 専用アプリをダウンロードされている方が全体の5割強ということで、ご購入者の半数ほどが持ち出し視聴を楽しんでおられると思われます。宅内でタブレットなどを使って使用されている方が意外に多いようで、リビングでお子さんたちがテレビを占領し、お父さんは自室でアプリを利用してディーガのコンテンツを見るといったシーンが想定されますね。あるいは出張中、録画したコンテンツをスマートフォンで手軽に見るといった使われ方が根付いてきたと思います。

録って、保存する、というレコーダーの既存の概念ではなく、いつでもどこでもコンテンツを楽しむ方向にユーザーメリットがシフトしていますね。この先5Gの時代になれば、もっと簡単にストレスなくテレビ番組なども楽しめる世界になるでしょう。そうなると、レコーダーの楽しみ方はもっともっと広がると思います。

■パナソニック、VGP2019 SUMMERの2大重要賞獲得で拡販に弾み
批評家大賞「4K有機ELビエラ GZ2000シリーズ」


ーー また、4K有機ELビエラ GZ2000シリーズが批評家大賞を受賞しました。評論家が選出する批評家大賞は、技術やモノとしての高い価値を評価するもの。GZ2000シリーズの画質や音質、機能などが高く評価されたと言えます。 

齋藤 液晶テレビは、今やパネルがあれば誰でもつくれるような時代です。素材は一緒、料理人によって味が違うという感じでしょうか。そういう中で4K有機ELビエラ GZ2000シリーズは素材そのものが他のシリーズとは一線を画すもの。さらに腕のいい料理人が素材を生かし、うまみのある料理に仕上げた。そこが先生方に評価していただけたかと思います。独自の制御技術を始め、パナソニックの高い技術力を総動員した画作りが大きなポイントです。立体音響をもたらすイネーブルドスピーカーを搭載しており、画質のみならず音も強化して、東京オリンピック・パラリンピックに向けた最高のテレビと自負しております。

その商品価値をご販売店様とお客様にどうお伝えするか、それは重要な課題であり、マーケティング部門の使命。販売部門と連携し、しっかりと対応してまいります。ただ店頭に並べておくだけではよさが伝わりませんので、特に立体音響の訴求については、背後にスピーカーを搭載していることをアピールするため販促助成物なども用意しています。店頭でお客様がどう評価してくださるか、私も大変期待しております。

■東京オリンピック・パラリンピックに向けた、AV製品拡大への販促策

ーー 東京オリンピック・パラリンピックに向けて、AVではどんな取り組みをされていますか。

齋藤 パナソニックでは現在、「東京2020 オリンピック・パラリンピック 観戦チケットを当てよう」キャンペーンを展開していますが、ご応募者の多くはテレビ、レコーダーを購入された方です。そこでは、買い換えるならいいテレビをという傾向が顕著になってきています。またこの秋は消費増税が控えていますが、その駆け込み需要も期待したいところ。そこに応えるかたちでGZ2000シリーズをしっかりと訴求したいと思います。

ーー 4K、8Kテレビの店頭展開では、しばらく放送コンテンツがなかったために、画質がいいハイグレードなテレビの位置付けで訴求されてきましたね。

齋藤 今は4K放送もNHKを中心にコンテンツが増えてきましたし、さらにNetflixやAmazon prime videoといったVODサービスでも4Kコンテンツが増えています。そのような環境の中、4Kコンテンツとハードを組合わせた価値をどう伝えるかが問われます。店頭では、4Kネイティブ放送を受信した液晶テレビと有機ELテレビとの画面比較を演出していただきながら、有機ELテレビの映像の奥行き感や黒色の表現力をアピールしたいですね。

夏商品に向けては、こうした販売手法を展開し、お客様の購買のベクトルができるだけ上のゾーンに向くようにしております。さらに、当社ならではのオリンピックに連動した助成物も有効活用していきます。当社独自のオリジナルコンテンツ、2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向かってのプロジェクト「ビューティフルジャパン」も含めて、お客様に商品価値を伝えて参ります。

■ピュアオーディオ批評家大賞を受賞、テクニクス「SL-1500C」でオーディオファンを掘り起こす

ーー また、VGP2019 SUMMERのピュアオーディオ部会においては、テクニクスのSL-1500Cが批評家大賞を受賞しました。

齋藤 ピュアオーディオはより趣向性が強い分野。日本や欧州に根強いテクニクスファンがおられますが、私どもとしてはさらに、かつてテクニクスのファンでいらっしゃった方々を掘り起こす、また、新しいユーザーの方々も獲得したいという思いで商品開発をしています。ターンテーブルSL-1500Cは、どちらかといえばエントリーゾーンに位置付けられる商品で、まさにファンの掘り起こしに相応しいと思っております。アナログレコードを聴き続けてこられた方のプレーヤーの買い替え需要や、昨今のレコードブームで興味を持たれた方々におすすめし、レコードの音のよさをしっかりお伝えしたいと思います。

ーー テクニクスではSC-C70やSC-C500もライフスタイル分科会のハイコンポのカテゴリーで金賞を受賞しています。これらのカテゴリーでは、かつてのテクニクスを知らない世代も多くいらっしゃいますね。新しいお客様にテクニクスを、パナソニックとも連動してあらためて御社の展開する音における存在感を強く知らしめアピールすることになります。

齋藤 我々の年代はテクニクスをよく知っていますが、若い世代での認知度はまだまだ。そんな中でたとえば、テレビ商品で「Tuned by Technics」を展開してテクニクスへの興味を喚起するなど、テクニクスの技術を色々な商品に入れて盛り上げていきたいと思っています。

■パナソニックの技術力が各製品に高い完成度をもたらし、さまざまな分野で受賞を果たす

ーー 今回金賞を受賞したプロジェクターのTH-100FP1は、みんなでオリンピックを見るのにうってつけですね。

齋藤 プロジェクターはテレビと違って、画面を見ない時には本体の存在を感じないようにすることができます。つまり、リビングの住空間を邪魔しないということ。コンテンツを見たい時に手軽に設置して、超大画面で楽しむ。この商品で東京オリンピック・パラリンピックをみんなで観戦していただくのもご提案のひとつです。

ーー カメラでは、DC-S1が特別大賞を獲得し、さらにデジタルカメラ部門で金賞を獲得しました。

齋藤 DC-S1では、当社独自の技術を含め、商品価値をしっかりお伝えすることができたかと思います。カメラそのものの需要は、フルサイズは伸びているものの全体が落ちていますから、我々としては高価値モデルをいかに売っていくかが重要です。そのためにもお客様とのタッチポイントを増やすことが鍵で、4月にオープンさせていただいたショウルーム「LUMIX GINZA TOKYO」で様々なワークショップを開催し、DC-S1の商品価値を直接、お客様にお伝えしています。

DC-S1はもちろん簡単に売れる商品ではありませんから、まずはお客様接点を強化することによって、ルミックスファンを増やしていくことが先決。地道な活動が必要です。プロ仕様であり趣味性の高い商品のため、プロカメラマンやハイアマチュアの方々への質の高い接客などしっかりと地に足をつけた活動を行っていきたいと考えています。

ーー 一方では、YouTuberのようなパーソナルなハイアマチュアの間でGHシリーズの評価が高いですね。若い世代に対するルミックス浸透のけん引役になっています。

齋藤 GHの技術力、ブランド力は確かに非常に高い評価をいただいています。“下から上”へのシャワー効果も期待したいですね。

ーー HC-WXF1M/WZXF1Mをはじめとするビデオカメラも金賞を受賞しています。

齋藤 東京オリンピック・パラリンピックに向けて、改めて「4Kワールド」を展開したいですね。自ら4Kで撮る、そして見る、残す、ということをしっかりと訴求していきたいと思います。

ーー ハイエンドのブルーレイプレーヤーDP-UB9000は、JVCのプロジェクターとのマッチングなどが特に北米で注目されているそうです。

齋藤 パナソニックの財産である、技術の蓄積が花開いたものです。レコーダーや画質に関する技術は、やはり長年の技術の蓄積の賜物です。私の所属は「スマートライフネットワーク商品部」ですが、事業部もこの4月から「スマートライフネットワーク事業部」という名称となり、これまでのテレビ事業部、ホームエンターテインメント事業部、イメージングネットワーク事業部、コミュニケーションプロダクツ事業部が1つになったもの。そのシナジー効果は、従来の単品商品から機器同士がつながるIOT連携による新しいコト提案だと期待しております。レコーダーの画質や技術を含め、蓄積された財産をどの分野にどう波及させるかが、今後の事業展開の鍵だと考えています。

■東京オリンピック・パラリンピック以降を見据え、次の手を講じる

ーー 今後の市場についてはどうご覧になりますか。

齋藤 東京オリンピック・パラリンピック以降は、全体の需要そのものはやはり落ちてくると見ています。その時にパナソニックとしてどのような提供価値ができるのか?生活空間やスタイルに合わせてどんな商品が必要なのかを模索して参ります。

ーー ポータブルテレビとして金賞を受賞したプライベートビエラUN-15TD9も、新たな方向性の一翼を担いそうですね。

齋藤 プライベートビエラは6年ほど展開しています。小型テレビの需要そのものは若干縮小傾向ですが、その中で継続する意義は、お風呂やキッチンなど家の中には、さまざまな場所でテレビを見るシーンがあるということ。今年のモデルは「YouTubeを手軽に見られる」機能を強化し、需要もしっかりと獲得する、といったラインナップです。

おっしゃるようにレコーダー&テレビの新たな方向性で、プライベートビエラを50インチくらいの大画面で展開する、という考え方もありだと思います。今若い人は面白い番組がないということで、テレビを見ない傾向が強まっていますが、今後その子供の世代は生まれながらにテレビがない環境になるかもしれません。そうならないよう、我々が本当に魅力的な世界を提案していかなければと考えます。

ーー パナソニックが提案する、住空間でさまざまなものがつながり連携する「Home X」のようなコンセプトも期待が高まります。リビングテレビがタッチポイントの窓口になりそうです。

齋藤 IoTという言葉がひとり歩きしていて、現時点では肝心のお客様にとってのメリットを十分に提案しきれていないと思っています。情報の窓口は必要で、それはテレビなのか、プライベートビエラのようなものなのか。あるいはスマートフォンかもしれません。エンドユーザーにとってのメリットという視点で提案して参りたいと思います。

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