公開日 2021/02/09 06:30
日本を代表するオーディオアクセサリー・ブランドのひとつであるTAOC(タオック)。同ブランドの製品を愛用するユーザーをタオックの開発陣とともに訪ね、導入までのいきさつやその効果について、語っていただく特別対談企画がスタート。
その記念すべき第1回目は、テイチクエンタテインメントのマスタリングスタジオTEMASを探訪。同スタジオが導入しているのはタオックの最高峰となるオーディオラック「CSRシリーズ」である。プロの音楽制作エンジニアがオーディオラックにまでこだわる例を見るのはこれが初めてである。ケーブルでも電源でもインシュレーターでも、スピーカースタンドでもない。これは興味津々だ。早速同スタジオにて話を伺った。
参加していただいたのはテクニカルエンジニアの山田 忍さん、そして若きマスタリングエンジニアの吉良武男さんである。さらにCSRラックの開発者であるアイシン高丘(株)の廣瀬新吾さんともに、オーディオラックの、CSRラックの魅力を語り合っていただいた。
■タオックの製品はスタジオ内で自然に採用されていた
―まずはタオックのオーディオラックをTEMASスタジオに導入されたわけですが、もともとタオックというブランドはご存知だったのでしょうか?
山田 忍さん(以下、山田) 私が以前に勤務していたスタジオでもタオックのスピーカースタンドやスピーカーベースを使ってきているので、製品と特徴については以前から知っていました。
―タオックの製品はホームオーディオのユーザーさんのイメージが強いと思っていたのですが、プロの制作現場でも知名度が高いのですね。
山田 そうですね。民生機器の純正インシュレーターに使われているのをよく見かけますし、スタジオの大型スピーカーを置く際のスピーカーベースやインシュレーターにタオックの製品を使う事が多い印象です。スタジオの中で自然と採用されているので、この業界全体でも認知されているという感じですね。
吉良武男さん(以下、吉良) 私もタオックの製品はスタジオ内で知りました。私の印象では、レコーディングスタジオよりもマスタリングスタジオで採用していることが多いように感じます。
山田 マスタリングスタジオでは、家庭の再生環境を想定した装置で最終確認をすることもありますし、音に関して非常に細かな調整を重ねていきますので、ピュアオーディオ向けの製品を使用することも多いです。
吉良 私が見聞きしている中では、クラシックとかジャズを手掛けるマスタリングスタジオではタオックを採用する例が特に多いと思います。
■なぜオーディオラックにこだわったのか?
―今回ピュアオーディオ用の最高峰オーディオラックであるCSRシリーズをマスタリングスタジオのマシーンルームに導入されたのですが、ケーブルや電源関連のアイテムだけでなく、オーディオラックにもこだわるというのは非常に珍しいケースなのではないでしょうか?
山田 一般的なスタジオでは1Uサイズの機材を固定するためのマウントネジ穴がついた19インチラックを使用しています。これはスペース効率もいいので、ほとんどのスタジオのマシーンルームで使われています。ただし、このタイプのラックはフロント部をネジでとめているだけなので、機材の後ろ側は当然ブラブラした状態です。しかも各段の機材の振動がフロント部を通してすべて伝わってしまいます。音へのこだわりを追求していく過程で、ここは必ず改善すべきだと考えました。
そこでまず、タオックのラックを導入する前段階として、19インチラックの中にL型のアングルを仕込んで、そこに棚板を敷いて、その上に機材を置きました。これで個々の機材同士の振動はいくぶん遮断され、安定感も出てきました。
しかし、やはり同じラックフレームの中に単にアングルが付いているだけなので、振動の分離という面では十分ではありませんでした。
そんな矢先、スタジオのDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)の更新があったのです。DAWとは、マスタリング業務で音を再生したり音を録音してマスターを作成する機械なのですが、妥協せずにこだわり抜いた機材を新しく導入した結果、幸運にも従来のシステムより機材を量的にかなりダウンサイズすることができ、スペース的な余裕が生まれました。
そこで、これを機にさらに精度の高い再生を目指して、振動的にも電気的にも機器間を完全に分離できるような究極のラックを導入できないものか? ということになり、まずは各社さんのオーディオラックを比較してみようという話になりました。
[PR]ラックがプロの作業効率を上げた
【特別対談】タオックのある部屋(1) − TEMASスタジオ(テイチク)に最高峰ラックを導入
季刊・オーディオアクセサリー編集部 伊佐山勝則その記念すべき第1回目は、テイチクエンタテインメントのマスタリングスタジオTEMASを探訪。同スタジオが導入しているのはタオックの最高峰となるオーディオラック「CSRシリーズ」である。プロの音楽制作エンジニアがオーディオラックにまでこだわる例を見るのはこれが初めてである。ケーブルでも電源でもインシュレーターでも、スピーカースタンドでもない。これは興味津々だ。早速同スタジオにて話を伺った。
参加していただいたのはテクニカルエンジニアの山田 忍さん、そして若きマスタリングエンジニアの吉良武男さんである。さらにCSRラックの開発者であるアイシン高丘(株)の廣瀬新吾さんともに、オーディオラックの、CSRラックの魅力を語り合っていただいた。
TAOC(タオックとは?) タオックはアイシン高丘株式会社のハイグレード・オーディオ向けに1983年に設立したブランド。なお、アイシン高丘株式会社はトヨタグループの一翼を担い、自動車用鋳鉄部品では日本一の生産量を誇る世界トップクラスの鋳造メーカーである。タオックのすべての製品に共通する素材は鋳鉄。この鋳鉄に含まれるカーボン特有の振動減衰効果に着目し、インシュレーターやオーディオボード、スピーカースタンドからオーディオラックまで、主に機器の土台をチューニングする最強のツールとして、オーディオファンから高い知名度と絶対の信頼を得てきている。 |
■タオックの製品はスタジオ内で自然に採用されていた
―まずはタオックのオーディオラックをTEMASスタジオに導入されたわけですが、もともとタオックというブランドはご存知だったのでしょうか?
山田 忍さん(以下、山田) 私が以前に勤務していたスタジオでもタオックのスピーカースタンドやスピーカーベースを使ってきているので、製品と特徴については以前から知っていました。
―タオックの製品はホームオーディオのユーザーさんのイメージが強いと思っていたのですが、プロの制作現場でも知名度が高いのですね。
山田 そうですね。民生機器の純正インシュレーターに使われているのをよく見かけますし、スタジオの大型スピーカーを置く際のスピーカーベースやインシュレーターにタオックの製品を使う事が多い印象です。スタジオの中で自然と採用されているので、この業界全体でも認知されているという感じですね。
吉良武男さん(以下、吉良) 私もタオックの製品はスタジオ内で知りました。私の印象では、レコーディングスタジオよりもマスタリングスタジオで採用していることが多いように感じます。
山田 マスタリングスタジオでは、家庭の再生環境を想定した装置で最終確認をすることもありますし、音に関して非常に細かな調整を重ねていきますので、ピュアオーディオ向けの製品を使用することも多いです。
吉良 私が見聞きしている中では、クラシックとかジャズを手掛けるマスタリングスタジオではタオックを採用する例が特に多いと思います。
■なぜオーディオラックにこだわったのか?
―今回ピュアオーディオ用の最高峰オーディオラックであるCSRシリーズをマスタリングスタジオのマシーンルームに導入されたのですが、ケーブルや電源関連のアイテムだけでなく、オーディオラックにもこだわるというのは非常に珍しいケースなのではないでしょうか?
山田 一般的なスタジオでは1Uサイズの機材を固定するためのマウントネジ穴がついた19インチラックを使用しています。これはスペース効率もいいので、ほとんどのスタジオのマシーンルームで使われています。ただし、このタイプのラックはフロント部をネジでとめているだけなので、機材の後ろ側は当然ブラブラした状態です。しかも各段の機材の振動がフロント部を通してすべて伝わってしまいます。音へのこだわりを追求していく過程で、ここは必ず改善すべきだと考えました。
そこでまず、タオックのラックを導入する前段階として、19インチラックの中にL型のアングルを仕込んで、そこに棚板を敷いて、その上に機材を置きました。これで個々の機材同士の振動はいくぶん遮断され、安定感も出てきました。
しかし、やはり同じラックフレームの中に単にアングルが付いているだけなので、振動の分離という面では十分ではありませんでした。
そんな矢先、スタジオのDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)の更新があったのです。DAWとは、マスタリング業務で音を再生したり音を録音してマスターを作成する機械なのですが、妥協せずにこだわり抜いた機材を新しく導入した結果、幸運にも従来のシステムより機材を量的にかなりダウンサイズすることができ、スペース的な余裕が生まれました。
そこで、これを機にさらに精度の高い再生を目指して、振動的にも電気的にも機器間を完全に分離できるような究極のラックを導入できないものか? ということになり、まずは各社さんのオーディオラックを比較してみようという話になりました。