[PR]ラックがプロの作業効率を上げた
【特別対談】タオックのある部屋(1) − TEMASスタジオ(テイチク)に最高峰ラックを導入
■オーディオラックは “基礎体力” である
山田 そういった音に関する基礎体力を重視することで、出てくる音の質に差が出てくるのだと思います。
―「タオックのオーディオラックは基礎体力」、またしてもいいワードが出てきましたね。
吉良 マスタリングスタジオでは出音がすべての評価につながっています。見た目や機材で評価されていない世界とも言えます。我々のスタジオ作りは、常に音の質をどれだけ上げられるかということをコアにしています。その結果として、アーティストが実現したい音と我々が供給できる最良の仕事が、しっかりとつなげられるスタジオとなってきています。その土台となっているのはマシーンルームへのタオックのオーディオラックの導入を含めた、妥協しない基礎体力のアップだと思っています。
でもこういうことは、実際のアーティストやミュージシャンのみなさんには、伝える必要もないと思っています。何度も繰り返しますが、あくまでも我々の仕事を通して出てくる音だけが勝負ですから。
■ “容積と密度” が作業効率も上げた
―開発者である廣瀬さんはオーディオラックをどのような存在とお考えでしょうか?
廣瀬新吾さん(以下、廣瀬) 山田さんや吉良さんが仰る通り、“基礎体力” に尽きると思います。タオックとして、オーディオラックはオーディオシステムのすべてにおける基準になるべき存在と考えています。TEMASの山田さん、吉良さんと同じように、ラックのレベルが上がったり下がったりしたら、結果的にせっかくの機材の性能について正しく評価できなくなります。ラックというのは、機器が本来持っている高いポテンシャルを充分に引き出すという責任があると考えています。
吉良 音の土台の向上というのは、仕事の中で感じる音場の画角や奥行きの変化がメインになっていましたが、今回特に感じたことは “容積と密度” と言うべき感覚でした。今回のセットアップの後にクロックジェネレーターとDAWを通して仕上がってきた音を再生した時、いちばんに感じたのは容積が大きくなったことと密度が上がったことです。
密度は自分が作業をしてみてわかるところで、より細かい精度で作業を追い込むことができました。タオックを入れる前と後では自分の作業上の手ごたえがまったく違うのです。それを廣瀬さんにお伝えしたら、タオック側の製品開発のコンセプトや目指す音と一致していて、驚きましたね。
CSRラックほどの大きな製品を入れるのは、はっきり言って最初は怖い気もしました。でも国内外での経験もあり、あらゆる機材に精通する山田が「これでいくぞ」と決意してからは、気づいてみれば各部屋に2台ずつ入れて、段数も6段サイズまで増えていきましたね。
廣瀬 私は個人的にもオーディオマニアでして、自宅でも演者の気持ちが本当に色付けなく、ストレートに出せるようなシステムを追求しています。スタジオ業界、オーディオ業界、またそれ以外の業界でも、そこで音を追求している方々にとってのCSRのラックの存在価値はここにあるのだと思います。ですから音を作り込むエンジニアのみなさんに、同じような考えで使っていただいていることを知り本当に感動しています。
―マシーンルームでタオックのCSRシリーズには具体的にどんな機材を載せているのでしょうか?
山田 まずマスタークロックジェネレーターです。それと先程お話しましたDAWのシステムの入ったPC、音源を保存するためのドライブ類。それからうちのスタジオではネットワークオーディオも使用しているので、そのためのHUBも収容しています。
あとはこれも効果が大きかったのですが、マスターデータを収録して納品するためのDVD-Rや、お客様が試聴されるためのCD-Rを作成するドライブ類もすべてCSRラックに収めています。
―具体的に最も大きな効果を発揮したのは、どの機器を載せた時でしたか?
吉良 クロックジェネレーターですね。クロックの向上が、スタジオ全体の基礎体力アップにつながります。この効果がかなり大きかったので、すぐに話題になりましたね。
山田 経験上、クロックにいちばん影響があるだろうとは予想していたのですが、基本的にはデジタル機材なので、アナログ機材を載せるよりは効果が少ないこともあるとも思っていたのです。ところが実際に導入してみて、その効果にとても驚いたことを覚えています。
吉良 以前からラックで音が変わるというのは知っていましたが、今回の導入がここまでの幅の差を生むとは思っていませんでした。ちょっと笑い話ですが、CSRラックが導入された直後に、「今回はなんかすごい違うぞ」ってスタジオの中で唸りました。真面目な話、エンジニアとして、なんというか音に触れる感覚が以前よりはっきりと体感できて、作業もしやすくなったんですよ。
廣瀬 これは東京インターナショナルオーディオショウでも紹介している表です。鋳鉄粉というのがタオックのコア技術の一つです。ポイントは、そこにカーボンが含有されていることです。簡単に言いますと、外からの力がカーボンに当たって、カーボン自体が組織の中で擦れる。擦れた時に熱エネルギーに変換されて音が消える。鋳鉄が制振するというのはそういう原理なのです。音が静粛になって音場がしっかり見えるというのは、鋳鉄の中のエネルギーの変換効果があるということです。
鋳鉄のある場合と無い場合では振動の収まり方に違いがある。物というのは常に何らかの形で揺れていて、特に、鋳鉄の中でも鋳鉄紛の振動抑制効果は、幅広い周波数の帯域に効果を発揮します。このようなことが静粛という言葉につながるのだと思います。
廣瀬 私たちは製品を作る時の基準として、音の立ち上がり感と立ち下がり感をいちばん重要視することで、まず『低域を締める』ように設計します。これが研究結果になります。ここで見るように、鋳鉄がない場合とある場合では、色で赤くなっているところを見ていただきたいのですが、立ち上がりがよくなっています。立ち下がりもスッと良くなっているので収束できるのです。結果として、低音の音の締りがものすごく向上するとか、それが実際の印象に出ているのだと思います。
吉良 確かに、低域について本当に深い部分のローエンドがわかる感じがしました。先ほど言いましたが、触れるという感覚ですね。だからこそ、いま使っている機材のポテンシャルを最大限使えていけるエリアが増えたし、それこそタオックのラックを入れてからのスタジオ機器の使い方が変化していっているという実感があります。