公開日 2022/01/04 07:00
オーディオ銘機賞2022 受賞インタビュー
ディーアンドエムホールディングス 岡田一馬氏:グループ企業となったB&W「800 D4シリーズ」を新展開
PHILEWEBビジネス 徳田ゆかり
オーディオ銘機賞2022
受賞インタビュー:Bowers&Wilkins
国内オーディオマーケットに展開される数々の製品の中で、卓越した性能、革新的な内容を持ち、かつオーディオマインドに溢れる“真の銘機”を選定する一大アワード「オーディオ銘機賞2022」において、特別大賞を獲得したBowers&Wilkins。「B&W」の名称でお馴染みの本ブランドを展開するディーアンドエムホールディングスの岡田一馬氏が、受賞に対する思いと、昨今の動向について語った。
株式会社ディーアンドエムホールディングス
アジアパシフィック コマーシャル・オペレーションズ ヴァイスプレジデント 岡田一馬氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■同じサウンドユナイテッドグループとなったBowers&Wilkinsの展開は
ーー このたび「オーディオ銘機賞2022」で、Bowers&Wilkinsの800 D4シリーズが特別大賞を受賞しました。受賞モデルの特徴についてお聞かせください。
岡田一馬氏(以下、岡田) 大変素晴らしい賞を頂戴しまして本当に有難うございます。800 D4シリーズは、Bowers&Wilkinsの旗艦スピーカーで、ダイヤモンドトゥイーターを搭載した最新世代800 Diamondシリーズの4世代目にあたります。外観は従来の800 D3からほとんど変化はありませんが、ブランドの設計・企画担当は「これまでで最高のものができた」と自負しており、内容にはめざましい進化を感じとることができます。
シリーズ内の大型モデル801 D4、802 D4、803 D4は、数年の開発を要した新たな筐体の形状を採用しており、これがパフォーマンスの進化に大きく寄与しました。ネットワークや台座の制振構造にもさらなる改良を施し、不必要な振動を徹底的に抑えて鳴らすべき音を鳴らす理想的な設計になっています。大型モデルもさることながら、トールボーイの804 D4、ブックシェルフの805 D4の進化も大変なもので、上級機種の流れを汲む内容になっています。
ーー Bowers&Wilkinsは昨年からサウンドユナイテッドグループに加わりましたが、そんな中での新シリーズ展開はいかがでしたでしょうか。
岡田 設計や技術的な展開などについては、長年培われてきたブランドのノウハウを尊重し、今後も大切に継続していく考え方に変わりはありません。いくつか変更点があるとすれば、商品づくりのプロセスを、サウンドユナイテッドの標準に沿った方向性にシフトしてきております。たとえば開発の日程管理や、商品企画のプロセスといったところです。
Bowers&Wilkinsでは今まで設計主導でのものづくりをしてきており、それは800 D4シリーズのようなハイファイの旗艦スピーカーには良いと思いますが、ヘッドホンやライフスタイル系の商品の企画には、より市場の声を反映する必要があり、そこを強化してきております。さらに、サプライチェーンのプロセスも大幅な改善活動を展開中です。
これまでBowers&Wilkinsに対して我々は代理店の立場でしたから、製品が形になるまでの進捗が見えない部分がありました。それがグループ内のブランドとなったことで、開発の進捗が見える化され、開発が順調なのか遅れているのか、遅れているとすればその要因は何か、といったことがわかる状態になってきています。
ーー ものづくりのポリシーはブランドに委ね、展開する製品のスケジュールや、開発段階のスケジュールを共有し、計画に合わせた進行を管理する、ということですね。
岡田 こうした情報の共有は意外に難しいのです。日本のものづくりでは当たり前のことでも、海外ではそういった情報共有の必要性を感じていない場合がありますから。開発していく中で、製品がもっとよくなりそうだとなると掘り下げていきたくなり、進行がおのずと遅れます。エンジニア中心の組織ではそういうことがおこりがちです。
Bowers&Wilkinsはまさにそういう会社で、そのこだわりがここまで素晴らしい製品群を生み出したとも言えます。ただ、製品の性能同様、開発日程、コスト、品質も経営の面からは非常に重要です。関係部署全てが今、どの状況にあるのかをお互いに把握し、会社にとって最適な判断をすることはとても必要な事です。同じグループになってかなり早い段階で、関係者間における相互コミュニケーションのプロセスを取り入れ、皆が納得できる様な判断がされるようになりました。
■高まる需要を捉え、新たなお客様づくりに注力する
ーー コロナ禍における影響はいかがでしたか。
岡田 半導体を始めとする部品不足は深刻ですが、800 D4はその影響は受けていません。ただ供給が追いつかない状況です。おかげさまで世界中で高くご評価いただき、これまで以上に多くの需要があります。イギリスの工場での手づくりの生産ですから、急に供給を増やせるものでもなく、不足の状態が継続したままでご迷惑をおかけしています。さらに物流面でも深刻な影響を受けています。
我々が展開するデノンやマランツなどのエレクトロニクスの製品は部品不足の影響が非常に大きいです。なんとか乗り切ってはいますが、本当に日々いろいろな問題が起きているところです。半導体はただでさえ需要が増えているのに、供給量は急に増やすことはできず、そこにコロナ禍の影響が加わっています。この状況は恐らく、1年程度は継続するのではないかと思います。
ーー 「オーディオ銘機賞2022」では、DALIのOPTICON Mk2シリーズ、今年新たに国内展開されているPolk AudioのPolk Signature Eliteシリーズも銅賞を受賞されました。それぞれのブランドはどのような位置付けとなっているのでしょうか。
岡田 ブランドの位置付けとして、最上位にBowers&Wilkins 、次にDALI、そしてよりお求めやすい価格帯での商品展開をもつPolk Audioで裾野を広げるイメージです。それぞれのキャラクターはまったく違います。
Bowers&Wilkinsは英国のピュア・ハイエンドスピーカー。DALIは北欧スピーカーで、より聴きやすく音楽を楽しむためのアイテム。Polk Audioは元気で屈託のないサウンドのアメリカンスピーカー。解像度もクオリティも高い、ハイコストパフォーマンスといえます。ブランド自体は歴史があり、来年50周年を迎えます。これからもっともっと国内に浸透させていきたいところです。
ーー 来年に向けた活動のご計画はいかがでしょうか。
岡田 新しいお客様の開拓に注力したいですね。まず若い世代の方々を、ヘッドホンやサウンドバー、ワイヤレススピーカーをきっかけにオーディオに引き寄せたいです。そして様々な製品で上質なものをお求めになるが、オーディオに馴染みのない方々に対しても、まさに800 D4がきっかけになるといいと思っておりますし、試行錯誤しながら販売店様と一緒に注力していきたいと思っております。
ーー さらなるご活動も楽しみですね。ありがとうございました。
受賞インタビュー:Bowers&Wilkins
国内オーディオマーケットに展開される数々の製品の中で、卓越した性能、革新的な内容を持ち、かつオーディオマインドに溢れる“真の銘機”を選定する一大アワード「オーディオ銘機賞2022」において、特別大賞を獲得したBowers&Wilkins。「B&W」の名称でお馴染みの本ブランドを展開するディーアンドエムホールディングスの岡田一馬氏が、受賞に対する思いと、昨今の動向について語った。
株式会社ディーアンドエムホールディングス
アジアパシフィック コマーシャル・オペレーションズ ヴァイスプレジデント 岡田一馬氏
インタビュアー 徳田ゆかり(ファイルウェブビジネス担当)
■同じサウンドユナイテッドグループとなったBowers&Wilkinsの展開は
ーー このたび「オーディオ銘機賞2022」で、Bowers&Wilkinsの800 D4シリーズが特別大賞を受賞しました。受賞モデルの特徴についてお聞かせください。
岡田一馬氏(以下、岡田) 大変素晴らしい賞を頂戴しまして本当に有難うございます。800 D4シリーズは、Bowers&Wilkinsの旗艦スピーカーで、ダイヤモンドトゥイーターを搭載した最新世代800 Diamondシリーズの4世代目にあたります。外観は従来の800 D3からほとんど変化はありませんが、ブランドの設計・企画担当は「これまでで最高のものができた」と自負しており、内容にはめざましい進化を感じとることができます。
シリーズ内の大型モデル801 D4、802 D4、803 D4は、数年の開発を要した新たな筐体の形状を採用しており、これがパフォーマンスの進化に大きく寄与しました。ネットワークや台座の制振構造にもさらなる改良を施し、不必要な振動を徹底的に抑えて鳴らすべき音を鳴らす理想的な設計になっています。大型モデルもさることながら、トールボーイの804 D4、ブックシェルフの805 D4の進化も大変なもので、上級機種の流れを汲む内容になっています。
ーー Bowers&Wilkinsは昨年からサウンドユナイテッドグループに加わりましたが、そんな中での新シリーズ展開はいかがでしたでしょうか。
岡田 設計や技術的な展開などについては、長年培われてきたブランドのノウハウを尊重し、今後も大切に継続していく考え方に変わりはありません。いくつか変更点があるとすれば、商品づくりのプロセスを、サウンドユナイテッドの標準に沿った方向性にシフトしてきております。たとえば開発の日程管理や、商品企画のプロセスといったところです。
Bowers&Wilkinsでは今まで設計主導でのものづくりをしてきており、それは800 D4シリーズのようなハイファイの旗艦スピーカーには良いと思いますが、ヘッドホンやライフスタイル系の商品の企画には、より市場の声を反映する必要があり、そこを強化してきております。さらに、サプライチェーンのプロセスも大幅な改善活動を展開中です。
これまでBowers&Wilkinsに対して我々は代理店の立場でしたから、製品が形になるまでの進捗が見えない部分がありました。それがグループ内のブランドとなったことで、開発の進捗が見える化され、開発が順調なのか遅れているのか、遅れているとすればその要因は何か、といったことがわかる状態になってきています。
ーー ものづくりのポリシーはブランドに委ね、展開する製品のスケジュールや、開発段階のスケジュールを共有し、計画に合わせた進行を管理する、ということですね。
岡田 こうした情報の共有は意外に難しいのです。日本のものづくりでは当たり前のことでも、海外ではそういった情報共有の必要性を感じていない場合がありますから。開発していく中で、製品がもっとよくなりそうだとなると掘り下げていきたくなり、進行がおのずと遅れます。エンジニア中心の組織ではそういうことがおこりがちです。
Bowers&Wilkinsはまさにそういう会社で、そのこだわりがここまで素晴らしい製品群を生み出したとも言えます。ただ、製品の性能同様、開発日程、コスト、品質も経営の面からは非常に重要です。関係部署全てが今、どの状況にあるのかをお互いに把握し、会社にとって最適な判断をすることはとても必要な事です。同じグループになってかなり早い段階で、関係者間における相互コミュニケーションのプロセスを取り入れ、皆が納得できる様な判断がされるようになりました。
■高まる需要を捉え、新たなお客様づくりに注力する
ーー コロナ禍における影響はいかがでしたか。
岡田 半導体を始めとする部品不足は深刻ですが、800 D4はその影響は受けていません。ただ供給が追いつかない状況です。おかげさまで世界中で高くご評価いただき、これまで以上に多くの需要があります。イギリスの工場での手づくりの生産ですから、急に供給を増やせるものでもなく、不足の状態が継続したままでご迷惑をおかけしています。さらに物流面でも深刻な影響を受けています。
我々が展開するデノンやマランツなどのエレクトロニクスの製品は部品不足の影響が非常に大きいです。なんとか乗り切ってはいますが、本当に日々いろいろな問題が起きているところです。半導体はただでさえ需要が増えているのに、供給量は急に増やすことはできず、そこにコロナ禍の影響が加わっています。この状況は恐らく、1年程度は継続するのではないかと思います。
ーー 「オーディオ銘機賞2022」では、DALIのOPTICON Mk2シリーズ、今年新たに国内展開されているPolk AudioのPolk Signature Eliteシリーズも銅賞を受賞されました。それぞれのブランドはどのような位置付けとなっているのでしょうか。
岡田 ブランドの位置付けとして、最上位にBowers&Wilkins 、次にDALI、そしてよりお求めやすい価格帯での商品展開をもつPolk Audioで裾野を広げるイメージです。それぞれのキャラクターはまったく違います。
Bowers&Wilkinsは英国のピュア・ハイエンドスピーカー。DALIは北欧スピーカーで、より聴きやすく音楽を楽しむためのアイテム。Polk Audioは元気で屈託のないサウンドのアメリカンスピーカー。解像度もクオリティも高い、ハイコストパフォーマンスといえます。ブランド自体は歴史があり、来年50周年を迎えます。これからもっともっと国内に浸透させていきたいところです。
ーー 来年に向けた活動のご計画はいかがでしょうか。
岡田 新しいお客様の開拓に注力したいですね。まず若い世代の方々を、ヘッドホンやサウンドバー、ワイヤレススピーカーをきっかけにオーディオに引き寄せたいです。そして様々な製品で上質なものをお求めになるが、オーディオに馴染みのない方々に対しても、まさに800 D4がきっかけになるといいと思っておりますし、試行錯誤しながら販売店様と一緒に注力していきたいと思っております。
ーー さらなるご活動も楽しみですね。ありがとうございました。
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