公開日 2019/11/21 10:19
【特別企画】目玉はタンノイ「オートグラフ」にJBL「4344」
あの「ハードオフ」がオーディオに注ぐ熱い想い。“オーディオサロン”で銘機に聴き惚れた至極のイベントをレポート!
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純
■中古オーディオに全盛時の輝きを取り戻す
中古オーディオ専門店「ハードオフ オーディオサロン」が、10月19日(土)に吉祥寺店、11月2日(土)に新潟紫竹山店で初の本格試聴イベントを開催した。ゲストにオーディオ評論家の炭山アキラ氏を迎え、それぞれ1日3回、いずれも満席の大盛況となった。
今回のイベントが異彩を放ったのは、主役を務めたのが“中古オーディオ”であったこと。そして、いずれの製品もが徹底したリペアにより全盛時の輝きを取り戻した製品であったことだ。
すっかり身近な存在になったハードオフグループは全国に約900店舗を構える。しかし、その起源が新潟県に5店舗を構えたオーディオ専門店「サウンド北越」であることは意外と知られていない。2014年5月1日のハードオフオーディオサロン紫竹山店の立ち上げに際し、山本善政社長(現会長)は「オーディオ専門店を止めたくて止めたわけではない。チャンスがあればもう一度リベンジしたい思いをずっと持ち続けていた」と訴えた。
新潟紫竹山店の店長を務める番場清作氏は、立ち上げから3年前の2011年、本部から現場に戻ると、本来の性能を出しきれていない中古オーディオばかりで愕然としたと振り返る。「もう一度いい音に戻して大切に使えないだろうかと、オーバーホール、メンテナンス、音出しと基本作業を丹念に3年間コツコツと地道に続けました。すると、足を止めてくださる方、購入してくださる方が徐々に増えていきました」と語る。
2014年5月1日、ハードオフオーディオサロン新潟紫竹山店がいよいよ立ち上がる。2年後の2016年9月16日にはオーディオサロンの2号店として吉祥寺店がオープン。昨年4月には中古オーディオ製品の修理を専門に扱う新拠点「ハードオフ新潟紫竹山リペアセンター」を構え、往年のメーカー技術者7名がその任に当たる。
■会場を魅了した目玉は「オートグラフ」と「4344」
新品とは違い、中古オーディとの出会いは一期一会。新潟紫竹山店のイベントで“目玉”として登場したのは、1953年にデビューしたタンノイの銘機「オートグラフ」。K3808ユニットを搭載した1981年式のTEAC純正モデルだ。
「鳴らすのが本当にむずかしいスピーカー」と語る炭山氏。「ギシギシした耳障りな音かモコモコとハイ落ちした音、そのどちらかになるケースが大半」と指摘する。しかし、デュアルコンセントリックドライバーがきちんと動作するように整備され、キャビネット、ネットワーク、ターミナルもオーバーホールを施した。「こんなに鳴るオートグラフを聴くのは生涯で2度目でしょうか。抜けが良くてレンジが広く、本当に迫力がある」と目を丸くした。
一方、吉祥寺店の“目玉”は、全ユニット、ネットワークをオーバーホールして蘇ったJBLの4ウェイスタジオモニター「4344」(1982年式)。「こんなに軽やかに鳴る4344をいままで聴いたことがない。新品当時の店でも重々しく鳴っているところばかりでしたから」と会場を魅了した。
「ビンテージの修理には2つの方法があります」と解説した炭山氏。1つはオリジナルのパーツを草の根分けて探し出すというもの。しかしこれは、困難を極め、自ずと高価にならざるを得ない。
もう1つは現代のパーツを利用する方法。「危惧されるのは本来の音ではなくなってしまう恐れがあること。実際、コンデンサーの交換に、定数が合っていればそれでよしと、開発当時にエンジニアが想いを込めた音とはまったく違う音になってしまう店も見受けられます。しかし、オーディオサロンは後者ですが、大きな特長は、全盛時にどんな音だったのかを知っているエンジニアがいること。コンデンサーにしても何を使えばいいのか、あれでもないこれでもないといくつも聴き比べ、厳選されたものを採用しています」。
昔より良いパーツもあり、「往時の音の延長線上で、さらにいい音をつくることもできるわけです」と語る。そんなシーンを目の当たりにしたのが、両会場で2つ目の試聴スピーカーシステムとして登場したヤマハ「NS-1000M」。弱点だった細いケーブルしか通せないスピーカー端子はバナナプラグやYラグにも対応する削り出しの金メッキのものに交換。徹底したリペアで蘇ったスペシャルな逸品。読者訪問などで数多くのNS-1000Mの音を聴いてきた炭山氏も「こんなにスピード感に溢れる1000Mの音を聴いたことがない。度胆を抜かれました」と舌を巻いた。
ヤマハ「NS-1000M」は1974年から97年まで23年にわたり発売されたロングセラーモデル。ゆえに中古市場に出回る数も多く、吉祥寺店に登場したのは、松竹梅の“梅”クラスのリペア製品で価格は275,000円(税込)。新潟紫竹山店のイベントには、1個7,000円もする最上位の大型コンデンサーに交換した“松”クラスのリペア製品(税込495,000円)が登場。分解能力の格段の違いを見せつけた。
中古オーディオにまつわる負のイメージを払拭し、これまでの常識を覆す「ハードオフオーディオサロン」。「整備の差はズバリ“音離れ”です。音がぱーっと拡がっていきます。そこが新品にはない課題であり、面白さでもあります」と語る番場氏。
ビンテージのみならず、初めてオーディオを始めたい人が手頃な価格で始められるのも中古オーディオならではの魅力のひとつ。吉祥寺店店長・宮澤康久氏は「中古の魅力を存分に楽しんで欲しい」と訴える。高級オーディオ店さながらの佇まい、顔を並べるオーディオマニア垂涎の銘機、オーディオとの贅沢なひとときを過ごせる空間へ、ぜひ一度、足を運んでみてはいかがだろう。
ハードオフ オーディオサロン新潟紫竹山店
〒950-0914 新潟県新潟市中央区紫竹山1-10-23(新潟紫竹山I.Cより車で5分。駐車場27台)TEL 025-247-4375
ハードオフ オーディオサロン吉祥寺店
〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町1-4-27アソルティ吉祥寺エスト3F(JR・井の頭線「吉祥寺駅」北口徒歩7分)TEL 0422-27-6891
(協力:ハードオフコーポレーション)
中古オーディオ専門店「ハードオフ オーディオサロン」が、10月19日(土)に吉祥寺店、11月2日(土)に新潟紫竹山店で初の本格試聴イベントを開催した。ゲストにオーディオ評論家の炭山アキラ氏を迎え、それぞれ1日3回、いずれも満席の大盛況となった。
今回のイベントが異彩を放ったのは、主役を務めたのが“中古オーディオ”であったこと。そして、いずれの製品もが徹底したリペアにより全盛時の輝きを取り戻した製品であったことだ。
すっかり身近な存在になったハードオフグループは全国に約900店舗を構える。しかし、その起源が新潟県に5店舗を構えたオーディオ専門店「サウンド北越」であることは意外と知られていない。2014年5月1日のハードオフオーディオサロン紫竹山店の立ち上げに際し、山本善政社長(現会長)は「オーディオ専門店を止めたくて止めたわけではない。チャンスがあればもう一度リベンジしたい思いをずっと持ち続けていた」と訴えた。
新潟紫竹山店の店長を務める番場清作氏は、立ち上げから3年前の2011年、本部から現場に戻ると、本来の性能を出しきれていない中古オーディオばかりで愕然としたと振り返る。「もう一度いい音に戻して大切に使えないだろうかと、オーバーホール、メンテナンス、音出しと基本作業を丹念に3年間コツコツと地道に続けました。すると、足を止めてくださる方、購入してくださる方が徐々に増えていきました」と語る。
2014年5月1日、ハードオフオーディオサロン新潟紫竹山店がいよいよ立ち上がる。2年後の2016年9月16日にはオーディオサロンの2号店として吉祥寺店がオープン。昨年4月には中古オーディオ製品の修理を専門に扱う新拠点「ハードオフ新潟紫竹山リペアセンター」を構え、往年のメーカー技術者7名がその任に当たる。
■会場を魅了した目玉は「オートグラフ」と「4344」
新品とは違い、中古オーディとの出会いは一期一会。新潟紫竹山店のイベントで“目玉”として登場したのは、1953年にデビューしたタンノイの銘機「オートグラフ」。K3808ユニットを搭載した1981年式のTEAC純正モデルだ。
「鳴らすのが本当にむずかしいスピーカー」と語る炭山氏。「ギシギシした耳障りな音かモコモコとハイ落ちした音、そのどちらかになるケースが大半」と指摘する。しかし、デュアルコンセントリックドライバーがきちんと動作するように整備され、キャビネット、ネットワーク、ターミナルもオーバーホールを施した。「こんなに鳴るオートグラフを聴くのは生涯で2度目でしょうか。抜けが良くてレンジが広く、本当に迫力がある」と目を丸くした。
一方、吉祥寺店の“目玉”は、全ユニット、ネットワークをオーバーホールして蘇ったJBLの4ウェイスタジオモニター「4344」(1982年式)。「こんなに軽やかに鳴る4344をいままで聴いたことがない。新品当時の店でも重々しく鳴っているところばかりでしたから」と会場を魅了した。
「ビンテージの修理には2つの方法があります」と解説した炭山氏。1つはオリジナルのパーツを草の根分けて探し出すというもの。しかしこれは、困難を極め、自ずと高価にならざるを得ない。
もう1つは現代のパーツを利用する方法。「危惧されるのは本来の音ではなくなってしまう恐れがあること。実際、コンデンサーの交換に、定数が合っていればそれでよしと、開発当時にエンジニアが想いを込めた音とはまったく違う音になってしまう店も見受けられます。しかし、オーディオサロンは後者ですが、大きな特長は、全盛時にどんな音だったのかを知っているエンジニアがいること。コンデンサーにしても何を使えばいいのか、あれでもないこれでもないといくつも聴き比べ、厳選されたものを採用しています」。
昔より良いパーツもあり、「往時の音の延長線上で、さらにいい音をつくることもできるわけです」と語る。そんなシーンを目の当たりにしたのが、両会場で2つ目の試聴スピーカーシステムとして登場したヤマハ「NS-1000M」。弱点だった細いケーブルしか通せないスピーカー端子はバナナプラグやYラグにも対応する削り出しの金メッキのものに交換。徹底したリペアで蘇ったスペシャルな逸品。読者訪問などで数多くのNS-1000Mの音を聴いてきた炭山氏も「こんなにスピード感に溢れる1000Mの音を聴いたことがない。度胆を抜かれました」と舌を巻いた。
ヤマハ「NS-1000M」は1974年から97年まで23年にわたり発売されたロングセラーモデル。ゆえに中古市場に出回る数も多く、吉祥寺店に登場したのは、松竹梅の“梅”クラスのリペア製品で価格は275,000円(税込)。新潟紫竹山店のイベントには、1個7,000円もする最上位の大型コンデンサーに交換した“松”クラスのリペア製品(税込495,000円)が登場。分解能力の格段の違いを見せつけた。
中古オーディオにまつわる負のイメージを払拭し、これまでの常識を覆す「ハードオフオーディオサロン」。「整備の差はズバリ“音離れ”です。音がぱーっと拡がっていきます。そこが新品にはない課題であり、面白さでもあります」と語る番場氏。
ビンテージのみならず、初めてオーディオを始めたい人が手頃な価格で始められるのも中古オーディオならではの魅力のひとつ。吉祥寺店店長・宮澤康久氏は「中古の魅力を存分に楽しんで欲しい」と訴える。高級オーディオ店さながらの佇まい、顔を並べるオーディオマニア垂涎の銘機、オーディオとの贅沢なひとときを過ごせる空間へ、ぜひ一度、足を運んでみてはいかがだろう。
ハードオフ オーディオサロン新潟紫竹山店
〒950-0914 新潟県新潟市中央区紫竹山1-10-23(新潟紫竹山I.Cより車で5分。駐車場27台)TEL 025-247-4375
ハードオフ オーディオサロン吉祥寺店
〒180-0002 東京都武蔵野市吉祥寺東町1-4-27アソルティ吉祥寺エスト3F(JR・井の頭線「吉祥寺駅」北口徒歩7分)TEL 0422-27-6891
(協力:ハードオフコーポレーション)
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