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公開日 2018/10/20 07:00
VODとの融合や高精度の予測検索も

新4K衛星放送を前にEPGも大幅進化。「Gガイド」最新事情をTiVoが公開

編集部:成藤正宣
EPG(電子番組表)「Gガイド」を手がけるTiVoは、Gガイドの現況と今後の展開についてプライベート展示会を開催。これまで搭載してきた機能から、海外で普及している番組検索プラットフォームの例、さらには次世代番組表で検討中の新機能まで、幅広いデモを行った。

Gガイド開発のTiVoが今年も展示会を開催

地上波/衛星放送にとどまらず採用される「Gガイド」

幅広いメーカーのテレビ、レコーダーなどに採用されてきたGガイドだが、現時点における最新バージョンが、HTML 5をベースに作った「GガイドHTML」。従来のGガイドと比べ、インターネットに接続することで番組のより詳しい情報が検索できるほか、出演者が共通する番組や類似したジャンルの番組など、関連情報へ容易にアクセスできる点が特徴となる。

4K環境にあわせ、GガイドHTMLの解像度/表示範囲を増した「GガイドHTML 4K」の提供も始まっている。いよいよ今年12月にスタートを控える新4K衛星放送に向け、様々な新製品が発表されているが、その中にも「GガイドHTML 4K」採用を明らかにしている製品がある。

展示会場ではデモンストレーションとして、シャープの4K液晶テレビにGガイドHTML 4Kを表示。17chを一度に網羅する情報量と、その情報量を文字潰れなどせずに表示できる4K解像度の視認性が強調されていた。

Gガイドは地上波/衛星放送受信機器に限らず、J:COMなどケーブルテレビのSTB(セットトップボックス)にも、カスタマイズされて採用されている。例えばJ:COMのGガイドでは、番組表の上部に「見逃し配信」の項目を設置。同社がVODで提供している放送済み番組のオンデマンド配信を、Gガイド上から直接検索/視聴することができる。まだ視聴手続き前の有料チャンネルであれば、J:COMの手続き画面に飛ぶことも可能だ。

Gガイドを搭載するケーブルテレビSTB

また、Android TVを搭載するKDDIのSTBでは、Androidの音声認識を利用した音声検索機能を搭載。フリーワード検索をはじめ、番組/ジャンル/出演者名など特定のカテゴリーに絞った検索を行うことができる。

検索にあたっては、Androidで認識したキーワードをGガイドのデータベースと照会しており、フルネームの人名を入力すると出演者名検索のオプションのみが表示されるというように、簡単なふるい分けも行っている。

さらに、スマートフォン/タブレット向けのバージョンとして「GガイドxD」も提供されている。テレビなどに組み込まれたGガイド同様、番組情報の検索や閲覧ができるほか、リモートで録画予約を行う機能なども搭載。メーカー各社のテレビ操作用アプリに採用されており、TiVoも独自にGガイドアプリを開発している。

スマホ/タブレット向けGガイドも存在する

ユーザーに不便を感じさせない、VODとのシームレスな融合に取り組む

現在試験中の機能として、(株)プレミアム・プラットフォーム・ジャパンのVODサービス「Paravi」と、GガイドのVODサービスとの連携機能「Gガイド VOD Link」がデモされた。

Paraviと提携したVOD連携機能のデモ画面

プレミアム・プラットフォーム・ジャパンはTBSやテレビ東京、WOWOW等6社が共同出資する企業で、Paraviではそれらの放送局のコンテンツを中心に提供。最長で2週間前までさかのぼれる、放送終了済み番組の見逃し配信も備えている。

デモでは、STB搭載Gガイドのように見逃し配信を直接Gガイドから検索/視聴まで行える機能を組み込み、VODとの融合を図っている。加えて、見逃し配信が可能な番組には、番組表上でマークを表記。視聴可能な見逃し配信をわかりやすく通知する。

見逃し配信が利用できる番組にはマークが付けられ、現在放送中の番組から過去の見逃し配信に飛ぶこともできる

テレビでVODの見逃し配信が見られるという発想自体は目新しいものではなく、既にテレビ向けの視聴アプリによって実現している。しかしTiVoによれば、そうした視聴アプリはテレビの性能が不十分だと快適に動作しなかったり、有料チャンネル視聴時に煩雑な認証操作が必要であったりと障壁があり、利用率は非常に低いのだという。

それに比べ、もともとテレビやレコーダー上で動かすことが前提のGガイドをベースにすれば、処理性能が低めのテレビでも動作させやすい。またテレビユーザーが見慣れた画面からシームレスにVODコンテンツにアクセスできるため、視聴までの障壁も低くなる。同社はこの利点に加え、有料コンテンツの視聴手続きを簡素にする仕組みを検討しているという。

テレビの性能向上にともない、より見やすくアクセスしやすいデザインに

同社はGガイドHTML 4K以降の次世代Gガイドについての展望についてもプレゼン。より見やすく、ユーザーが見たいコンテンツに素早く到達できるデザインを提案していた。

4KテレビやレコーダーではCPUやメモリーの高性能化から処理能力が向上することを受け、サムネイルやカラー分けなど、ビジュアルを多用したUIを採用。放送、録画、VODなど、異なるメディアを横断したおすすめ番組のサジェストや、気になる番組を保存しておくマイリスト機能など、インターネット動画配信にも通じる機能を盛り込んでいる。

ユーザーが望むコンテンツへ素早く簡単にアクセスできる、見やすいデザインを提案。4Kテレビの処理能力向上によりグラフィカルなUIも採用やすくなったという

同社が欧米で導入している番組検索プラットフォーム「パーソナライズドコンテンツディスカバリー」の導入も検討している。このシステムはユーザーがよく視聴するジャンル、時間帯などに基づくおすすめ番組のサジェストや、ナレッジベースに基づいた精度の高い予測検索を搭載。具体的には、検索語句の候補を50音順ではなく検索される頻度の多い順に表示したり、作品中の役名や台詞からでも検索候補を絞り込むことができる。

欧米ではすでに提供を開始している、ナレッジベースのパーソナライズや予測検索も日本語化され、導入が検討されている

パーソナライズドコンテンツディスカバリーの日本語対応は完了しており、今後コンテンツ提供元と共同で試験を行う予定とのことだ。

新4K衛星放送の開始によって新しいコンテンツの登場に期待が高まる中、コンテンツへの導線となる番組表も着実な進化を遂げている。

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