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公開日 2023/11/16 15:43
12K360度撮影での大自然VR体験コンテンツなども展示
<Inter BEE>NHK、『どうする家康』を“ほぼ外ロケ無し”で作った最新技術/1画面内で解像度、コマ数など変えられるイメージセンサー
編集部:杉山康介
音や映像、通信技術の展示会イベント「Inter BEE 2023」が、11月15日(水)から17日(金)にかけて開催されている。本項ではNHKブースの展示内容を紹介したい。
NHKは、「NHK/JEITA」ブースと「NHKエンタープライズ」「NHKテクノロジーズ」共同ブースの2つで出展。このうちNHK/JEITAブースでは、「未来のメディア」「AI技術・IP活用サービス」「4K8K普及推進」の3つを柱とした展示を行っていた。
中でも目を引いていたのが、巨大なディスプレイを設置したスタジオでドラマ・映画を撮影する「インカメラVFX」という技術。このディスプレイには背景画像が投影されるのだが、連動したカメラで撮影すると、カメラに映っている部分のみ、カメラの動きに合わせて画角などの見え方が変わってくるため、グリーンバックよりも手軽にリアルな映像が撮影できる、というものだ。
近年ハリウッドなどで盛り上がっている技術だそうだが、NHKはいち早く着目し、2年ほど前から『どうする家康』で本格導入しようと動いていたという。
しかし当時のインカメラVFX採用事例は予算もふんだんなハリウッド大作映画などがほとんどなうえ、グリーンバックのように演者に緑色の反射光が落ちる、緑色の衣装が使えないといった制限はないものの、ディスプレイとスタジオの照明の色味を合わせたりと、インカメラVFX特有の技術も求められたのこと。
そのためNHKでは、毎週放送のドラマに落とし込めるようミニチュアを使って検証したり、現場スタッフでの勉強会を行ったりして技術やノウハウを蓄積。『どうする家康』は、ほぼ全てのカットをインカメラVFXのスタジオで撮影しているそうだ。ブースにはミニチュアセットでの体験キットが置かれていたが、撮影用のカメラにはiPhoneが使われており、「それだけ手軽に採用できる手法」なのだと語っていた。
また、参考品として「エリア制御イメージセンサー」も展示。普通、映像は画面全体で解像度やコマ数が一定になっているが、本センサーを使うと、動いているものはコマ数を増やす、精細なものは高画質にするなど、画面の中で領域ごとに撮影条件を変えることができるという。
ここでは1K画質、かつ領域ごとに撮影条件が固定された状態でのデモが行われていたが、現在は画面上の情報を認識して自動で最適化させたり、より細かく範囲指定させられるよう研究を進めているとのこと。同時に画質の向上も図っており、「数年後のInter BEEでは1つのカメラデバイスの状態での展示が行えると思う。8Kなどの超高画質を実現するにはNHK単体では難しいところもあるので、このような場で企業さまとつながり、協業して作っていきたい」と語っていた。
ほかにも高精細な3Dモデルにより原爆ドームを再現し、普段は見ることのできない内部をVRで見学できる体験展示や、ゴム製基板を用いた伸縮自在なLEDディスプレイ、AIを活用した顔自動認識システム、自動顔ぼかしシステムなど、さまざまな先端技術が展示されていた。
NHKエンタープライズ/NHKテクノロジーズのブースでも、最新技術を活用したサービスやソリューションを紹介。
独自の制作システム「MoCoSS(超高解像度自動撮影システム)」などを活用した超高解像度3DCGソリューションとして、ゴッホの「ひまわり」や国宝「油滴天目茶碗」のリアルな3DCGモデルを展示。3Dプリンターで出力された模型がコントローラーになっており、実際に手で触れながら3DCGで細部まで見ることができるという、新たな美術鑑賞方法が提案されていた。
また、12Kの360度VR撮影システムで製作されたVRコンテンツ「どこでも大自然」も初展示。『ダーウィンが来た』などのNHK自然番組を多く手がけるチームが製作したもので、元々は病気などであまり出歩けない方にも雄大な大自然を体験していただきたい、という想いからスタートしたプロジェクトなのだという。
360度のVR撮影システムになると、映像のうち実際の視野角に入るのは全体の4分の1程度になるため、例え8Kカメラを使っても体験できるのは実質2K程度の映像になってしまう。そのため、より高品質な映像にするため12Kシステムを採用したそうだ。ブースには水中撮影用の12K VR撮影システムも展示されていた。
さらに、手話CG自動生成システムを活用したデジタルヒューマン「KIKI」も披露。KIKIは2025年に東京で開催される「東京2025デフリンピック」の公式アンバサダーにも就任しており、15日より原宿で期間限定オープン中の「みるカフェ」でも会うことができるとのこと。
■NHK/JEITA
NHKは、「NHK/JEITA」ブースと「NHKエンタープライズ」「NHKテクノロジーズ」共同ブースの2つで出展。このうちNHK/JEITAブースでは、「未来のメディア」「AI技術・IP活用サービス」「4K8K普及推進」の3つを柱とした展示を行っていた。
中でも目を引いていたのが、巨大なディスプレイを設置したスタジオでドラマ・映画を撮影する「インカメラVFX」という技術。このディスプレイには背景画像が投影されるのだが、連動したカメラで撮影すると、カメラに映っている部分のみ、カメラの動きに合わせて画角などの見え方が変わってくるため、グリーンバックよりも手軽にリアルな映像が撮影できる、というものだ。
近年ハリウッドなどで盛り上がっている技術だそうだが、NHKはいち早く着目し、2年ほど前から『どうする家康』で本格導入しようと動いていたという。
しかし当時のインカメラVFX採用事例は予算もふんだんなハリウッド大作映画などがほとんどなうえ、グリーンバックのように演者に緑色の反射光が落ちる、緑色の衣装が使えないといった制限はないものの、ディスプレイとスタジオの照明の色味を合わせたりと、インカメラVFX特有の技術も求められたのこと。
そのためNHKでは、毎週放送のドラマに落とし込めるようミニチュアを使って検証したり、現場スタッフでの勉強会を行ったりして技術やノウハウを蓄積。『どうする家康』は、ほぼ全てのカットをインカメラVFXのスタジオで撮影しているそうだ。ブースにはミニチュアセットでの体験キットが置かれていたが、撮影用のカメラにはiPhoneが使われており、「それだけ手軽に採用できる手法」なのだと語っていた。
また、参考品として「エリア制御イメージセンサー」も展示。普通、映像は画面全体で解像度やコマ数が一定になっているが、本センサーを使うと、動いているものはコマ数を増やす、精細なものは高画質にするなど、画面の中で領域ごとに撮影条件を変えることができるという。
ここでは1K画質、かつ領域ごとに撮影条件が固定された状態でのデモが行われていたが、現在は画面上の情報を認識して自動で最適化させたり、より細かく範囲指定させられるよう研究を進めているとのこと。同時に画質の向上も図っており、「数年後のInter BEEでは1つのカメラデバイスの状態での展示が行えると思う。8Kなどの超高画質を実現するにはNHK単体では難しいところもあるので、このような場で企業さまとつながり、協業して作っていきたい」と語っていた。
ほかにも高精細な3Dモデルにより原爆ドームを再現し、普段は見ることのできない内部をVRで見学できる体験展示や、ゴム製基板を用いた伸縮自在なLEDディスプレイ、AIを活用した顔自動認識システム、自動顔ぼかしシステムなど、さまざまな先端技術が展示されていた。
■NHKエンタープライズ/NHKテクノロジーズ
NHKエンタープライズ/NHKテクノロジーズのブースでも、最新技術を活用したサービスやソリューションを紹介。
独自の制作システム「MoCoSS(超高解像度自動撮影システム)」などを活用した超高解像度3DCGソリューションとして、ゴッホの「ひまわり」や国宝「油滴天目茶碗」のリアルな3DCGモデルを展示。3Dプリンターで出力された模型がコントローラーになっており、実際に手で触れながら3DCGで細部まで見ることができるという、新たな美術鑑賞方法が提案されていた。
また、12Kの360度VR撮影システムで製作されたVRコンテンツ「どこでも大自然」も初展示。『ダーウィンが来た』などのNHK自然番組を多く手がけるチームが製作したもので、元々は病気などであまり出歩けない方にも雄大な大自然を体験していただきたい、という想いからスタートしたプロジェクトなのだという。
360度のVR撮影システムになると、映像のうち実際の視野角に入るのは全体の4分の1程度になるため、例え8Kカメラを使っても体験できるのは実質2K程度の映像になってしまう。そのため、より高品質な映像にするため12Kシステムを採用したそうだ。ブースには水中撮影用の12K VR撮影システムも展示されていた。
さらに、手話CG自動生成システムを活用したデジタルヒューマン「KIKI」も披露。KIKIは2025年に東京で開催される「東京2025デフリンピック」の公式アンバサダーにも就任しており、15日より原宿で期間限定オープン中の「みるカフェ」でも会うことができるとのこと。
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