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公開日 2024/11/13 21:00
NEUMANN製品などの展示も

<Inter BEE>ゼンハイザー、国内未発売製品を初お披露目/NHK、“自由に変形する”ディスプレイ/コルグ「Live Extreme」試聴デモ

編集部 : 伴 修二郎
音と映像と通信機器の総合展示会「Inter BEE 2024」が、本日11月13日(水)から15日(金)まで開催される。本稿では、ゼンハイザー、NHK/JEITA、コルグのブースの模様をレポートしたい。

「Inter BEE 2024」が開幕

■ゼンハイザー〈多機能ワイヤレスマイク「Profile Wireless」国内初お披露目〉



ゼンハイザーブースのプロオーディオ部門では、国内未発売である世界初のワイドバンド双方向デジタルワイヤレスエコシステム「SPECTERA」を参考出品し、国内初お披露目している。1つのベースユニットに最大64チャンネル(32入力/32出力)を備えており、「プロフェッショナルオーディオに比類のない機能と柔軟性を提供する」と謳っている。

ゼンハイザーのブースの様子

全11種類のオーディオリンクモードを搭載しており、各リンクのレイテンシーやオーディオ品質などを前例のない方法で制御が可能。双方向のボディパックは1台でインイヤーモニターとマイク/ライン信号両方を送受信可能だとしている。なお、本機は現時点では日本での発売は未定とのことだ。

「SPECTERA」

続いて、本日発表されたばかりの新製品となる、映像のプロやクリエイター向けのワイヤレスマイクシステム「Profile Wireless」を早速参考出展している。発売は12月中旬頃を予定しており、価格はオープンだが税込55,000円前後での実売が予想される。

「Profile Wireless」

スマートフォンやカメラ、パソコン等と接続して使用できるワイヤレスマイクシステムで、2.4GHz帯による2チャンネル仕様となっている。本仕様は同社マイク製品としては初とのことだ。

コンパクトな充電バーと、OLEDタッチディスプレイを備えたワイヤレス受信機、2つのクリップオンマイクがセットになっており。ワイヤレス受信機をカメラやスマートフォンに装着し、クリップオンマイクと組み合わせて音声収録が行える。受信機側でヘッドホンでのモニタリングもできるなど、高い汎用性が特徴とアピールしていた。

OLEDタッチディスプレイを備えたワイヤレス受信機と送信機

送信機も非常にコンパクト

また、充電バーとクリップオンマイクを組み合わせることで、ハンドマイクや卓上マイクとしても使用できる。ブース担当者によれば、様々な方法ですぐに録音できる手軽さや、持ち運びやすい利便性を重視するなど、主に動画配信者向けに開発したと説明してくれた。マイクはコンデンサー式で収音パターンは全指向性。外部ピンマイクと接続できるコネクタも搭載する。

卓上マイクとしてポッドキャスト配信などにもピッタリだという

ハンドマイクとしても活用可能で、屋外での撮影にも適している

ほか便利な機能面として、内部録音用の16GBメモリを搭載しており、ワイヤレス信号が一定以上弱くなった時にクリップオンマイク内部録音が自動的にオンになる「バックアップ録音モード」をサポート。また音割れ対策として、通常音量と−6dbの音量を同時録音できる「セーフティチャンネルモード」も搭載するとのこと。

スマホ接続中のイメージ。タッチディスプレイでは各種操作が手軽に行える

ブース内では、「HD 490 PRO」や「MD 421 Kompakt」といった今年発売の新製品をはじめとするヘッドホン、マイク製品もズラリとラインナップされていた。

各種製品ラインナップもズラリ

ビジネス・コミュニケーション部門では、同社が展開する次世代会議音響システムの製品群を展開。特許取得のダイナミックビームフォーミングを搭載した天井設置型マイクロホンから大規模の会議・講義対応モデル「TeamConnect Ceiling 2」や、中規模の会議・講義対応モデル「TeamConnect Ceiling Medium」などを展示している。

「TeamConnect Ceiling 2」

「TeamConnect Ceiling Medium」

NEUMANNの展示では、ブランド初となる直感的なタッチスクリーンコントロールを備えたプレミアムオーディオインターフェース「MT 48」や、39Hzの驚異的な低域性能とDSPコントロールによるパワフルな2ウェイパワードモニター「KH 150」、ライブでのアコースティック楽器のクローズマイキングに適したマイクシステム「Miniature Clip Mic System (MCM)」などを展開していた。

「MT 48」

写真右が「KH 150」

■NHK/JEITA〈「放送100年、そして未来へ」をコンセプトに最新テクノロジーを紹介〉



NHKとJEITAによるブースでは、2025年3月にラジオ放送開始から100年を迎えるにあたり「放送100年、そして未来へ」をコンセプトに、ラジオ放送開始からこれまでの放送関連機器の変遷、およびNHKのサービスや最新の技術を「過去(これまで)」「現在(いま)」「未来(これから)」の3つのカテゴリーで紹介している。

NHK/JEITAのブースの様子

「過去(これまで)」スペースでは、これまでの放送技術の歴史を振り返る展示を展開。過去の番組制作を支えた映像機器関連や家庭用テレビ、VTRといった機器の展示やパネル解説、映像などを交えて、ラジオ放送やテレビ放送の開始、アナログからデジタルへの移行など放送の変遷や技術開発の歴史を紹介している。

これまでの放送技術の歴史を振り返る展示を展開

歴代の撮影機器もズラリ

特に家庭用機器では、コロムビアの「6CT5型」(1969年製)やナショナルの「CT-31PN」(1969年製)といった時代を彩ったカラーテレビや、VHS方式家庭用ビデオ第1号機となる日本ビクター(現在:JVCケンウッド)の「HR-3300」(1976年製)、ソニーのHDトリニトロンカラーテレビ「KW-3600HD」(1992年製)などが注目を集め、ブース内でも「懐かしい..!」といった声が多く寄せられていた。

コロムビア「6CT5型」(1969年製)

ナショナル「CT-31PN」(1969年製)


ソニーのHDトリニトロンカラーテレビ「KW-3600HD」(1992年製)

日本ビクター(現在:JVCケンウッド)「HR-3300」(1976年製)

「現在(いま)」のスペースでは、最新の3D表現技術を用いたバーチャル制作や、メタデータ自動生成技術を活用したコンテンツ制作の省力化といった、制作現場向けの新たな取り組みを紹介している。

注目展示では、超高精細映像を活用した事例として、4式のカメラで制作した縦方向12Kの映像から切り出した迫力あるロケット打ち上げ映像を体感できる「8KとVRで体感!H3ロケット打ち上げ映像」コーナーが設けられている。

ロケット打ち上げ映像を体感できる「8KとVRで体感!H3ロケット打ち上げ映像」コーナー

撮影にはロケット打ち上げ撮影用マルチカメラシステムが用いられており、4式の6Kカメラを組み合わせて縦方向の12K映像として収録。また、ロケット打ち上げの爆風からカメラを保護する防爆システムも用いられたとのこと。ブース内では3ヵ所で撮影した360度カメラ映像をVRコンテンツとして体験できる。

ヘッドマウントディスプレイでVRコンテンツとして視聴できる

ロケット打ち上げ撮影用マルチカメラシステム

また、アプリ不要の番組体験型ARコンテンツを紹介している。番組PRイベントのでAR活用として開発されたもので、来場者は自らのスマートフォンでARを動かして番組の世界観を体験することができる。

ブース内では橋本環奈主演の連続テレビ小説『おむすび』とのコラボレーションとして、QRコードを読み込んで専用ページから希望の出演者を選択し、選択した出演者パネルに記載されているQRコードを読み込むと、スマホの画面上でパネルの出演者が動き出すという体験ができる。

橋本環奈主演の連続テレビ小説『おむすび』とのコラボ

スマホの画面上でパネルの出演者が動き出す

そのほか、手書きのキャラクターとモーションデータを合成してアニメーションを作成するシステム「おえかきアニメーション」や、手話CGによる鉄道の運行情報配信に関する実証実験、視覚障害者向けのプロ野球テレビ観戦用音声ガイドアプリ、コンテンツ制作の省略化を目的とした映像シーンの説明テキスト生成技術、最新の3D表現技術による報道バーチャル制作といった最新技術の展示や体験デモが行われていた。

映像シーンの説明テキスト生成技術を紹介

「おえかきアニメーション」の様子

「未来(これから)」スペースでは、2030〜2040年頃を目標に、日常のあらゆる生活空間でいつでもどこでも没入感・臨場感あふれるコンテンツを視聴・体感できるメディア環境を目指す取り組みを紹介している。

その1つが、様々な形状に自由に変形できる「ディフォーマブルディスプレイ」の研究開発だ。ブース内ではゴム基板上に伸縮配線とミニLED、およびマイクロLEDを形成したディスプレイを展示している。

ミニLED「ディフォーマブルディスプレイ」

マイクロLED「ディフォーマブルディスプレイ」

液体金属を用いることで、伸縮させても断線することなく低い電気抵抗を維持できる伸縮配線を開発。液体金属の流動性を制御することで、印刷技術を使った細かい配線パターンの形成を実現したのだという。

加えて、柔軟なゴム基板上に赤・緑・青色のLED画素を形成し、画素間を伸縮配線で接続することでフルカラーのディフォーマブルディスプレイを実現できたと説明していた。

活用イメージ

柔軟なゴム基板上にも触れられる

担当者によれば最大約50%の伸縮率を備えているとのことで、衣服や腕に巻き付けることや車形状に沿ってディスプレイを配置するといった活用例をアピールしていた。画素数は32×32(カラー)で、画素ピッチは2mm、画面サイズは64×64mmとなっている。

そのほか、イマーシブメディアの体験デモとして、懐かしの造形教育番組「できるかな」をモチーフに、バーチャル技術の活用や視聴者のインタラクションを可能にする制作手法により3次元空間内に構築した体験コンテンツ「体感!できるかな2030」を、ヘッドマウントディスプレイを用いてVRで体感できる。

■コルグ〈「Live Extreme」体験デモ。国内未発売の取り扱い製品も参考出品〉



コルグのブースでは、同社の動画配信システム「Live Extreme」の展示を実施。Live Extremeでは最大4K解像度の映像に加えて、ロスレス・オーディオやPCM 384kHz/24bit、DSD 5.6MHzまでのハイレゾ・オーディオに対応しており、これまでに200公演以上のコンサートやイベント配信に採用されている。

コルグのブースの様子

2023年には「AURO-3D」「Dolby Atmos」、2024年には最大16chの非圧縮PCM伝送に対応に加えて、MPEG-H 3D Audioのライブ配信(最大22.2ch/24オブジェクト)への対応や、最近ではDolby Atmosのロスレス配信に世界初対応するなど、機能面の強化が図られている。

「Live Extreme」のデモを実施

ECLIPSE(イクリプス)のホームオーディオ用スピーカーを使用

ブース内では、ECLIPSE(イクリプス)のホームオーディオ用スピーカーなどを活用した試聴システムを用意し、MR.BIGのライブ曲コンテンツを再生しており、試聴が行える。

ほか、Apple TVやFire TV、Android TVでLive Extremeコンテンツを再生できるアプリ「Live Extreme Experience for TV」についてもアピールするほか、AndroidスマートフォンでのDolby Atmos再生の試聴デモなども用意されていた。

アプリ「Live Extreme Experience for TV」をアピール

AndroidスマートフォンによるDolby Atmos再生の試聴デモ

同社取り扱いの製品展示も行われており、同社初のインテリア雑貨として癒やしの音を3Dサラウンド再生する「ON・YU」や、フランスの電子機器メーカーARTURIAのオーディオインターフェース「AudioFuse」シリーズの実機ラインナップなどを展示している

「ON・YU」

ARTURIAのオーディオインターフェース「AudioFuse」シリーズ

さらに、イギリスのマイクロフォンメーカーSONTRONICSのマイク製品を複数展示。フラグシップ機にあたるリボンマイク「APOLLO 2」(税込459,800円)や、リーズナブル価格なダイナミックマイク「SOLO」(税込24,970円)といった全6モデルを展開していた。日本での発売は年内頃を目指しているとのことだ。

SONTRONICSのマイク製品をラインナップ

「APOLLO 2」

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