PRテレビとHDMI接続できるモデルまで、多機能モデルが勢揃い!
今こそ「ミニコンポ」が面白い! デノン/マランツ/B&Wの令和ライフにマッチする厳選5モデルレビュー
CDからサブスクまで楽しめる多機能ミニコンポ5モデルを聴き比べ
かつて音楽の楽しみ方といえば、CDをミニコンポで再生するのが主流だった。特に若者にとってミニコンポは憧れの存在であり、アルバイトで貯めたお金やお小遣いをやりくりして手に入れる「高嶺の花」だった。筆者自身もそのひとりで、学生時代に購入したミニコンポを自室に設置し、お気に入りのCDやラジオ番組を聴きまくった記憶がある。
現在は音楽サブスクサービスを活用し、イヤホンやヘッドホンで音楽を聴くことが主流となっているが、ミニコンポで音楽を楽しみたいというニーズは根強く存在しており、ユーザーの声に応じてミニコンポは進化を遂げた。CD再生という基本機能はそのままに、Bluetooth対応やネットワーク再生機能を搭載し、現代のライフスタイルに適応している。
ディーアンドエムホールディングスは、ミニコンポに対しても幅広いラインナップを備えているが、本稿ではデノンから「RCD-M41」「RCD-N12」、マランツから「M-CR612」「MODEL M1」、そしてストリーミングサービスの再生をメインとしたBowers & Wilkins(B&W)のワイヤレススピーカー「Zeppelin Pro Edition」の5モデルに厳選して、魅力を紹介していきたい。
今回の試聴では、ミュージカリティあふれるヨーロピアンサウンドを楽しむことができるデンマークはDALIのエントリー・スピーカー「OBERON1」を組み合わせたサウンドインプレッションを基に、価格順にチェック。あなたの音楽生活を豊かにする一台を見つける参考になれば幸いだ。
デノン「RCD-M41」、コンパクトながらも高級機の技術を踏襲した本格派
デノンのフルサイズHi-Fiコンポーネント“NEシリーズ”を目指して開発されたCDレシーバー。プリアンプ回路やデジタル回路には、NEシリーズと同等のカスタムコンデンサーやカーボン抵抗を採用。パワーアンプにはディスクリート回路を搭載し、音質向上を図っている。音質も、エンジニアとサウンドマスターが試作と試聴を繰り返し、緻密に仕上げたという。
CDプレーヤーのほかにBluetooth機能を搭載しており、スマートフォンやタブレットからのワイヤレス再生が可能。FM/AMラジオチューナーや外部入力端子も備え、多様な音楽ソースを楽しめる。ヘッドホン専用アンプ回路を内蔵しており、夜間や静かな環境でも高音質を堪能できる。
外観はNEシリーズを踏襲したシンプルかつ高級感のあるデザインでありながら、210W×115H×309Dmmのコンパクト設計。書斎や寝室にぴったりで、リビングやダイニングにも映える製品だ。
中低域の表現力に優れ、ロックやポップスと好相性
中域に厚みがあり、低域は弾むような音色で温かみがある。オアシスのCD『モーニング・グローリー』から「Don't Look Back In Anger」を再生すると、ディストーションの効いたギターが分厚く、体の芯に迫るようだ。ボーカルは大らかでリラックスして楽しめる印象。
Bluetooth接続では、レディー・ガガとブルーノ・マーズのコラボ楽曲「Die With A Smile」を再生。ブルーノ・マーズの熱のこもった歌声とレディー・ガガの透明感ある表現力が光る。CDやBluetoothで聴いた楽曲の中低域表現は豊かで、特にロックやポップスとの相性が良好だ。昔ながらのコンパクトなコンポスタイルが好きな方や、コスパの良い本格派モデルを探している初心者におすすめできる。
マランツ「M-CR612」、HEOS対応で多彩な音楽ソースを簡単に楽しめる
多彩な音楽ソースを、マランツこだわりのサウンドで楽しめるCDレシーバー“M-CRシリーズ”の第5世代モデル。280W×111H×303Dmmというコンパクトなサイズながら、4chのパワーアンプを搭載している。通常の2ch出力に加え、内部で並列化する「パラレルBTL」、2組のスピーカーの独立駆動、バイアンプ駆動が可能だ。最大出力は60W+60Wと、サイズを超えた駆動力を備える。
幅広い音源に対応している点も大きな魅力である。CDプレーヤーに加え、BluetoothやWi-Fiによるネットワーク再生機能を搭載。「HEOS」に対応しており、Amazon Musicなどの音楽ストリーミングサービスを簡単に楽しめるほか、Spotify ConnectやAirPlay 2もサポートする。また、DLNA機能により、自宅ネットワークを活用したハイレゾ音源の再生も可能だ。
デザイン面では、マランツの伝統的な意匠を現代的に進化させた仕上がりとなっている。光沢のあるフロントパネルとシンプルなレイアウトが上品さを際立たせており、リビングや寝室など、さまざまな空間に馴染みやすい外観も評価できるポイントだ。
4chパワーアンプの駆動力を活かした、明瞭で力強いサウンド
アニメ映画で注目されたジャズ漫画『BLUE GIANT』シリーズとBLUE NOTEのコラボレーションアルバム『BLUE GIANT × BLUE NOTE』より、テナーサックス奏者デクスター・ゴードンの「チーズ・ケイク」を再生する。解像感に優れたクリアな音色が印象的だ。
空間の中で音の存在感が際立ち、ハイハットの歯切れは良好。サックスの音色にも勢いがあり、ダイナミックな演奏を感じさせる。同じくCDでオアシスの「Don't Look Back In Anger」を聴くと、エレキギターのパワフルさが際立つ。繊細な表現力も持ち合わせ、弦を弾く情景が目に浮かぶようだ。
HEOSアプリを介してレディー・ガガ & ブルーノ・マーズの「Die With A Smile」を聴くと、静かな空間に音が漂う表現力が秀逸である。声の高精細さと力強さが両立し、音の芯が密度高く詰まっているのが分かる。さらに、Mrs. GREEN APPLEの「ライラック」では、イントロのギターの静とバンドサウンドの動を明確に描き分ける。アプリの操作性も高く、スマホ感覚で良質なサウンドを楽しめる利便性も魅力的だ。
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