公開日 2024/10/28 17:20
パナソニック コネクト株式会社 および パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社は、「放送事業説明会および映像音響新製品発表会」を開催した。映像クオリティの向上と業務効率化という業界を取り巻く2つの課題に対する取り組みを紹介するとともに、映像音響の新製品、11月13日に幕張メッセで開幕する「InterBEE 2024」の出展ブースの見どころ、熱戦が繰り広げられたパリ2024オリンピック・パラリンピックにおける映像・放送システムの取り組みについて紹介した。
まず、国内の放送事業について、パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー 映像メディアサービス本部 マネージングダイレクター 梶井孝洋氏が説明を行った。
エンターテインメント業界の現場を取り巻く課題として梶井氏は、視聴者ニーズの多様化により映像コンテンツの多様化や没入感ある空間の演出など映像のクオリティが求められていること。そして、人出不足やコスト削減に対応できる業務の効率化という2つを指摘。そのなかで「“撮る” “創る” “映す” というワークフローを軸にしながら、場所や人をつなげ、コンテンツやリソースをシェアし、多様化する視聴者のニーズに対応していく」と同社の役割を示した。
とりわけ放送業界においてはリモートプロダクションで貢献。「場所を越え、中継先と拠点をIPネットワークで繋ぎ、番組を制作するリモートプロダクションは、人の移動や時間の削減から業務の効率化に貢献している。我々の技術力を加えたさまざまな商品群や70年近く放送業界に向き合ってきた経験と現場理解力により、幅広いパートナー様と連携し、多様な顧客ニーズに応えている」と語る。
スタジオを構築するためのコアとなる商材が「KAIROS」だ。リアルタイムに映像を合成・加工して、映像を創出するソリューションで、ネットワーク経由での映像の取り込み、解像度や画角に依存しないオペレーション、レイヤー構成による多彩な映像表現を備える。「非常に使い勝手に優れていて、ソフトウェアの追加により機能拡張や外部機器との連携も可能。顧客ニーズに合わせたさまざまな使い方ができる」とアピールする。
国内での累計実績は、オンプレミスは2020年9月の提供開始から52社109式を受注、クラウドソリューションは2022年6月提供開始から30社86件の契約がある。スタジオのIP化による運用の効率化、スタジオ間のリソースシェアによる効率化、放送局間のリモートプロダクションによる運用の効率化や中継車レスの実現などの事例を紹介。リモートプロダクション、リソースシェア用途で活用が拡大している。
機能面の進化として、映像取り込み状態とアイドル状態を自動的に切り替えることで、より多くの入力ソースを仮想的に扱える「スマートルーティング機能」、1台のKairos Coreを共有して複数ユーザーで操作する場合、他のユーザーの操作を排除可能にする「リソースシェア」を新たに提供。
また、KAIROSクラウドソリューションのラインナップとして、二極化する映像制作ニーズに対し、コストパフォーマンスを重視するニーズに応え、スイッチング・配信機能に絞って安価に提供する「KAIROSクラウドソリューション ライト」、高度な映像制作を行うニーズに対応し、他社連携を含めたトータルソリューションなど拡張性を強化した「KAIROSクラウドソリューション」の提供開始を2024年12月より予定する。
梶井氏は「“撮る” “創る” “映す” というワークフローを軸に、今後は、生成AIの技術を活用した分析・解析や高度な人材のナレッジシェアにもチャレンジしながら、エンターテインメント業界に継続的に貢献していきたい」と訴えた。
続いて、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社(PEAC) 副社長 津村敏行氏が、イメージングソリューション事業について説明を行った。まず冒頭では、「元々はパナソニックコネクト株式会社に所属していたプロフェッショナルAVカテゴリーが、この4月からPEACに統合され、新たにイメージング&ソリューション事業として発足した。引き続きパナソニックコネクト株式会社との密な連携により、トータルのシステムソリューションとして提供できる体制としている」とPEACの新体制について紹介した。
ミラーレスカメラを中心とするコンシューマーイメージング事業と、映像制作システムと業務用音響・放送システムを提供するプロAV事業により、映像と音響をトータルのソリューションで提供できるのが強みだという。
「イメージングソリューション事業は非常に大きな成長分野として期待を持って発足した」と語る背景には、「高品質な映像コンテンツはBtoB、BtoCともに成長している。そのなかで、個人のクリエイターがプロ化していったり、プロの現場の低予算のコンテンツ制作にBtoCの製品が使われたりといった市場のボーダーレス化が急速に進んでいる。そこに新しい需要が生まれており、今後、さらなる市場の拡大を予想している」と“融合市場”が拡大していることを指摘する。
「コンシューマーとプロAVの強みをお互いに融合させることで、お客様に新しい価値提供ができるように幅を広げていく。さらに、アライアンスパートナーとの連携を強化することで、映像制作のエコシステムを構築し、今後、お客様の多様なニーズがさらに変化していくなかで、もっともスピーディーに対応していける会社にしたい」と価値提供のさらなる拡大を目指す。
シナジーによる事業成長により、「2027年度までに新商品数を20%以上増加、これに伴い、事業規模を25%以上成長させる計画だ。今後のイメージングソリューション事業にご期待いただきたい」と力を込めた。
2024年下期には、「コンシューマーイメージング」「プロビデオ」「プロオーディオ」の3つの知見を活かし、映像クオリティの向上と業務効率の拡大という2つの課題に応えたプロAVカテゴリーの新商品を発売する。
4Kスタジオカメラ「AK-UCX100」(税込5,973,000円、12月発売予定)、カメラファイバーアダプター「AK-CFA100」(税込1,155,000円、12月発売予定)は、現場の環境や予算に合わせた運用スタイルを選択することが可能な製品だ。
AK-UCX100は、CCUを用いることなく、カメラヘッド単体での運用を実現。IPスタンダード時代を見越してSMPTE ST 2110に対応し、IPネットワークで多拠点一括管理が行える。さらに、リダンダンシー運用も実現している。4K120P、水平・垂直ともに解像度2,000TV本の高品位な映像撮影を誇り、AK-CFA100と組み合わせることで、約2km離れたカメラへの電源供給を可能とする。
また4Kマルチパーパスカメラ「AW-UB50」(2024年度第4四半期発売)、「AW-UB10」(2024年度第4四半期発売)は、同社製リモートカメラシステムとの連携を可能とする共通のIP制御プロトコルに対応し、ワークフローを円滑化することができる製品。
AW-UB50は24.2MフルサイズMOSセンサーを搭載し、Lマウントに対応、AW-UB50は10.3M 4/3MOSセンサーを搭載し、マイクロフォーサーズマウントに対応する。ユーザビリティを追求したボックススタイルで、豊かな映像表現と現場での運用性を兼ね備えている。NDI HX2、RTMPS、SRTなど多彩なIP伝送規格への対応が予定されている。
構図にこだわった高品位で自然な映像の自動撮影を実現する「オートフレーミングアプリケーション」は、同社リモートカメラ「AW-UE160」にオートフレーミング機能として2024年度第4四半期に無償アップグレード、Media Production Suiteの新しい有償プラグイン「Advanced Auto Framing」として2025年度第1四半期の提供開始を予定する。
同社製リモートカメラコントローラーと連携し、フレーミング操作の自動/手動をシームレスに切り替え。マルチカメラ表示を選択することで、複数台のリモートカメラを一覧してオペレーションすることができる。ディープラーニング技術による人体検出と高精度なカメラ制御により、動く被写体に対しても安定したフレーミングが可能となる。
AVプロセッサー「WR-AV800」(オープン価格、2025年度第1四半期発売)は、リアルとオンラインをつなぐハイブリッド形式の会議や授業において、ストレスのないシームレスなコミュニケーションを実現する。
シーリングカメラ最大4台、リモートカメラ最大8台までの連携が可能で、ワイヤレスマイクとリモートカメラのPCレスによる連携を実現する。独自の調整方式とDSP機能により、音声のストレスを軽減するボイスリフト(シーリングマイクで収音した話者の声を複数の天井スピーカーから出力し、話者が部屋のどこにいても、すべての参加者に声が届くようにする仕組み)を実現する。ソフトウェアによる各機器の設定を一元化することで、効率的な運用をサポートする。
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社 プロAV商品企画部 井端勇介氏は「魅力ある映像コンテンツを効率的に制作・配信できるよう、革新的な商品開発で、新たな価値を提供していく」とアピールした。
11月13日に幕張メッセで開幕する「InterBEE 2024」の出展ブースの見どころについても紹介。『現場がつながる・変わる』をコンセプトに掲げ、「映像制作ZONE」「会議室ソリューションZONE」の2つのエリアを展開する。
映像制作ZONEでは、映像クオリティ向上と業務効率化の課題に対し、リモートプロダクションによる省力化、KAIROSをコアとしたリソースシェア、多彩な映像表現力を備えたカメラのラインナップなど、ワークフロー変革のためのソリューションを展示する。
会議室ソリューションZONEでは、多様な働き方をする企業が増え、リアル&リモートでの会議への工夫が求められるなか、ハイブリッドな環境のなかでも “一体感が醸成される空間” が必要になると指摘。「Activity Based Working」の考えのもと、働く場所を自分で選べる時代に最適なソリューションを展示する。
さらにメインステージでは、パリ2024オリンピックでも大きな注目を集めた「ブレイキン」のリアルタイム映像制作を実演する。幕張の会場の「KOBE 8ROCKS」と青海スタジオの「FUNDA NATION」をKAIROSを用いてつなぎ、白熱した試合をご覧いただきながら、映像制作の模様をデモンストレーションで説明する。
また、パリ2024オリンピック・パラリンピックにおける映像・放送システムの取り組みを、プロフェッショナルAV事業統括 谷口昌利氏と現地で長期にわたりサポートに携わったカスタマーサクセス部 大西歩太氏、プロAV技術一部 利光祐紀氏の3名によるトークセッションで紹介した。
大西氏はKAIROSによる会場演出について、「これだけの大規模は初めてだったが、KAIROSを初めて扱われる方も、2週間で使いこなせるまでになった」とKAIROSの直感的な使いやすさを改めて実感。また、パリ市内の競技会場にKairos Coreを設置し、約20?離れたIBC(国際放送センター)からリモートでの中継映像制作を実現。「ワークフローを改善することができ、負担軽減にも貢献できた」と説明した。
利光氏は「オリンピックに向けて準備してきた」という前述の「リソースシェア」について説明。これまでは会場それぞれに映像演出用のスイッチャーを必要としていたが、コンコルド広場で行われた4競技3会場はKairos Core 1台で運用した。環境負荷の軽減、設置するスペースの削減、設置時間・コストの削減を実現することができたという。
大西氏は「大規模イベントでもKAIROSが十分に使用できることを証明できた。パナソニックはこれからも、映像制作における市場に最新の技術とノウハウで貢献し、業界をリードしていきたい」とパリ2024オリンピック・パラリンピックにおける映像・放送システムの取り組み成果をアピールした。
2024年度下期に投入するプロAV新商品も発表
パナソニック、“融合市場” が拡大するイメージング事業の取り組みを披露。コンシューマー×プロのシナジーで力強く牽引
PHILE WEB ビジネス編集部・竹内純■映像クオリティ向上と業務効率化という2つの課題
パナソニック コネクト株式会社 および パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社は、「放送事業説明会および映像音響新製品発表会」を開催した。映像クオリティの向上と業務効率化という業界を取り巻く2つの課題に対する取り組みを紹介するとともに、映像音響の新製品、11月13日に幕張メッセで開幕する「InterBEE 2024」の出展ブースの見どころ、熱戦が繰り広げられたパリ2024オリンピック・パラリンピックにおける映像・放送システムの取り組みについて紹介した。
まず、国内の放送事業について、パナソニック コネクト株式会社 現場ソリューションカンパニー 映像メディアサービス本部 マネージングダイレクター 梶井孝洋氏が説明を行った。
エンターテインメント業界の現場を取り巻く課題として梶井氏は、視聴者ニーズの多様化により映像コンテンツの多様化や没入感ある空間の演出など映像のクオリティが求められていること。そして、人出不足やコスト削減に対応できる業務の効率化という2つを指摘。そのなかで「“撮る” “創る” “映す” というワークフローを軸にしながら、場所や人をつなげ、コンテンツやリソースをシェアし、多様化する視聴者のニーズに対応していく」と同社の役割を示した。
とりわけ放送業界においてはリモートプロダクションで貢献。「場所を越え、中継先と拠点をIPネットワークで繋ぎ、番組を制作するリモートプロダクションは、人の移動や時間の削減から業務の効率化に貢献している。我々の技術力を加えたさまざまな商品群や70年近く放送業界に向き合ってきた経験と現場理解力により、幅広いパートナー様と連携し、多様な顧客ニーズに応えている」と語る。
スタジオを構築するためのコアとなる商材が「KAIROS」だ。リアルタイムに映像を合成・加工して、映像を創出するソリューションで、ネットワーク経由での映像の取り込み、解像度や画角に依存しないオペレーション、レイヤー構成による多彩な映像表現を備える。「非常に使い勝手に優れていて、ソフトウェアの追加により機能拡張や外部機器との連携も可能。顧客ニーズに合わせたさまざまな使い方ができる」とアピールする。
国内での累計実績は、オンプレミスは2020年9月の提供開始から52社109式を受注、クラウドソリューションは2022年6月提供開始から30社86件の契約がある。スタジオのIP化による運用の効率化、スタジオ間のリソースシェアによる効率化、放送局間のリモートプロダクションによる運用の効率化や中継車レスの実現などの事例を紹介。リモートプロダクション、リソースシェア用途で活用が拡大している。
機能面の進化として、映像取り込み状態とアイドル状態を自動的に切り替えることで、より多くの入力ソースを仮想的に扱える「スマートルーティング機能」、1台のKairos Coreを共有して複数ユーザーで操作する場合、他のユーザーの操作を排除可能にする「リソースシェア」を新たに提供。
また、KAIROSクラウドソリューションのラインナップとして、二極化する映像制作ニーズに対し、コストパフォーマンスを重視するニーズに応え、スイッチング・配信機能に絞って安価に提供する「KAIROSクラウドソリューション ライト」、高度な映像制作を行うニーズに対応し、他社連携を含めたトータルソリューションなど拡張性を強化した「KAIROSクラウドソリューション」の提供開始を2024年12月より予定する。
梶井氏は「“撮る” “創る” “映す” というワークフローを軸に、今後は、生成AIの技術を活用した分析・解析や高度な人材のナレッジシェアにもチャレンジしながら、エンターテインメント業界に継続的に貢献していきたい」と訴えた。
■市場のボーダーレス化で大きな成長が期待されるイメージングソリューション事業
続いて、パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社(PEAC) 副社長 津村敏行氏が、イメージングソリューション事業について説明を行った。まず冒頭では、「元々はパナソニックコネクト株式会社に所属していたプロフェッショナルAVカテゴリーが、この4月からPEACに統合され、新たにイメージング&ソリューション事業として発足した。引き続きパナソニックコネクト株式会社との密な連携により、トータルのシステムソリューションとして提供できる体制としている」とPEACの新体制について紹介した。
ミラーレスカメラを中心とするコンシューマーイメージング事業と、映像制作システムと業務用音響・放送システムを提供するプロAV事業により、映像と音響をトータルのソリューションで提供できるのが強みだという。
「イメージングソリューション事業は非常に大きな成長分野として期待を持って発足した」と語る背景には、「高品質な映像コンテンツはBtoB、BtoCともに成長している。そのなかで、個人のクリエイターがプロ化していったり、プロの現場の低予算のコンテンツ制作にBtoCの製品が使われたりといった市場のボーダーレス化が急速に進んでいる。そこに新しい需要が生まれており、今後、さらなる市場の拡大を予想している」と“融合市場”が拡大していることを指摘する。
「コンシューマーとプロAVの強みをお互いに融合させることで、お客様に新しい価値提供ができるように幅を広げていく。さらに、アライアンスパートナーとの連携を強化することで、映像制作のエコシステムを構築し、今後、お客様の多様なニーズがさらに変化していくなかで、もっともスピーディーに対応していける会社にしたい」と価値提供のさらなる拡大を目指す。
シナジーによる事業成長により、「2027年度までに新商品数を20%以上増加、これに伴い、事業規模を25%以上成長させる計画だ。今後のイメージングソリューション事業にご期待いただきたい」と力を込めた。
■2つの課題を解消するプロAV商品群を下期に投入
2024年下期には、「コンシューマーイメージング」「プロビデオ」「プロオーディオ」の3つの知見を活かし、映像クオリティの向上と業務効率の拡大という2つの課題に応えたプロAVカテゴリーの新商品を発売する。
4Kスタジオカメラ「AK-UCX100」(税込5,973,000円、12月発売予定)、カメラファイバーアダプター「AK-CFA100」(税込1,155,000円、12月発売予定)は、現場の環境や予算に合わせた運用スタイルを選択することが可能な製品だ。
AK-UCX100は、CCUを用いることなく、カメラヘッド単体での運用を実現。IPスタンダード時代を見越してSMPTE ST 2110に対応し、IPネットワークで多拠点一括管理が行える。さらに、リダンダンシー運用も実現している。4K120P、水平・垂直ともに解像度2,000TV本の高品位な映像撮影を誇り、AK-CFA100と組み合わせることで、約2km離れたカメラへの電源供給を可能とする。
また4Kマルチパーパスカメラ「AW-UB50」(2024年度第4四半期発売)、「AW-UB10」(2024年度第4四半期発売)は、同社製リモートカメラシステムとの連携を可能とする共通のIP制御プロトコルに対応し、ワークフローを円滑化することができる製品。
AW-UB50は24.2MフルサイズMOSセンサーを搭載し、Lマウントに対応、AW-UB50は10.3M 4/3MOSセンサーを搭載し、マイクロフォーサーズマウントに対応する。ユーザビリティを追求したボックススタイルで、豊かな映像表現と現場での運用性を兼ね備えている。NDI HX2、RTMPS、SRTなど多彩なIP伝送規格への対応が予定されている。
構図にこだわった高品位で自然な映像の自動撮影を実現する「オートフレーミングアプリケーション」は、同社リモートカメラ「AW-UE160」にオートフレーミング機能として2024年度第4四半期に無償アップグレード、Media Production Suiteの新しい有償プラグイン「Advanced Auto Framing」として2025年度第1四半期の提供開始を予定する。
同社製リモートカメラコントローラーと連携し、フレーミング操作の自動/手動をシームレスに切り替え。マルチカメラ表示を選択することで、複数台のリモートカメラを一覧してオペレーションすることができる。ディープラーニング技術による人体検出と高精度なカメラ制御により、動く被写体に対しても安定したフレーミングが可能となる。
AVプロセッサー「WR-AV800」(オープン価格、2025年度第1四半期発売)は、リアルとオンラインをつなぐハイブリッド形式の会議や授業において、ストレスのないシームレスなコミュニケーションを実現する。
シーリングカメラ最大4台、リモートカメラ最大8台までの連携が可能で、ワイヤレスマイクとリモートカメラのPCレスによる連携を実現する。独自の調整方式とDSP機能により、音声のストレスを軽減するボイスリフト(シーリングマイクで収音した話者の声を複数の天井スピーカーから出力し、話者が部屋のどこにいても、すべての参加者に声が届くようにする仕組み)を実現する。ソフトウェアによる各機器の設定を一元化することで、効率的な運用をサポートする。
パナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社 プロAV商品企画部 井端勇介氏は「魅力ある映像コンテンツを効率的に制作・配信できるよう、革新的な商品開発で、新たな価値を提供していく」とアピールした。
■「InterBEE 2024」ブースではブレイキンのリアルタイム映像制作を実演
11月13日に幕張メッセで開幕する「InterBEE 2024」の出展ブースの見どころについても紹介。『現場がつながる・変わる』をコンセプトに掲げ、「映像制作ZONE」「会議室ソリューションZONE」の2つのエリアを展開する。
映像制作ZONEでは、映像クオリティ向上と業務効率化の課題に対し、リモートプロダクションによる省力化、KAIROSをコアとしたリソースシェア、多彩な映像表現力を備えたカメラのラインナップなど、ワークフロー変革のためのソリューションを展示する。
会議室ソリューションZONEでは、多様な働き方をする企業が増え、リアル&リモートでの会議への工夫が求められるなか、ハイブリッドな環境のなかでも “一体感が醸成される空間” が必要になると指摘。「Activity Based Working」の考えのもと、働く場所を自分で選べる時代に最適なソリューションを展示する。
さらにメインステージでは、パリ2024オリンピックでも大きな注目を集めた「ブレイキン」のリアルタイム映像制作を実演する。幕張の会場の「KOBE 8ROCKS」と青海スタジオの「FUNDA NATION」をKAIROSを用いてつなぎ、白熱した試合をご覧いただきながら、映像制作の模様をデモンストレーションで説明する。
また、パリ2024オリンピック・パラリンピックにおける映像・放送システムの取り組みを、プロフェッショナルAV事業統括 谷口昌利氏と現地で長期にわたりサポートに携わったカスタマーサクセス部 大西歩太氏、プロAV技術一部 利光祐紀氏の3名によるトークセッションで紹介した。
大西氏はKAIROSによる会場演出について、「これだけの大規模は初めてだったが、KAIROSを初めて扱われる方も、2週間で使いこなせるまでになった」とKAIROSの直感的な使いやすさを改めて実感。また、パリ市内の競技会場にKairos Coreを設置し、約20?離れたIBC(国際放送センター)からリモートでの中継映像制作を実現。「ワークフローを改善することができ、負担軽減にも貢献できた」と説明した。
利光氏は「オリンピックに向けて準備してきた」という前述の「リソースシェア」について説明。これまでは会場それぞれに映像演出用のスイッチャーを必要としていたが、コンコルド広場で行われた4競技3会場はKairos Core 1台で運用した。環境負荷の軽減、設置するスペースの削減、設置時間・コストの削減を実現することができたという。
大西氏は「大規模イベントでもKAIROSが十分に使用できることを証明できた。パナソニックはこれからも、映像制作における市場に最新の技術とノウハウで貢献し、業界をリードしていきたい」とパリ2024オリンピック・パラリンピックにおける映像・放送システムの取り組み成果をアピールした。
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