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公開日 2024/03/13 11:47
OpenAIの「GPT-3.5turbo」を搭載
AIがキャディに!ポケトークの次をねらうゴルフ向け「バーディトーク」開発者に聞く
山本 敦
ソースネクストがアスリートの支援を目的とした生成AI搭載のウェアラブルデバイス「BirdieTalk(バーディトーク)」を開発中だ。
同社は、横浜で開催されたジャパンゴルフフェア2024でプロトタイプを公開した。イベント会場で、製品の開発に携わるソースネクストの辻正鷹氏にプロダクトの特徴や目指すライフスタイルを聞いた。
ソースネクストといえばAI通訳機の「POCKETALK(ポケトーク)」や、関連するAI通訳アプリやAI字幕ツールなどが広く知られている。同社はBirdieTalkを “ゴルフ用IoTデバイス” として開発する。ソースネクストにとって初めてのゴルフ関連デバイスだ。なぜ新領域のプロダクト開発に進出するのか、辻氏が理由を語る。
「当社はこれまでPCソフトにはじまり、ポケトークや自動文字起こし機能を搭載する音声レコーダーのオートメモなどIoT製品を数多く開発しています。これらの製品を開発する段階で、AIに関わる知見も深めてきました。この強みを活かして、ゴルフ用IoTデバイスの市場に新しい価値を提案したいと考えました」。
BirdieTalkは、生成型のチャットAIを活用した、アスリート向けコーチング用デバイスだ。第1弾のスポーツにゴルフが選ばれた背景には、ソースネクストの代表取締役社長兼COOである小嶋智彰氏がゴルフをたしなむからという理由もある。そして、ゴルフがボディコンタクトを伴わない個人競技であることも、音声でチャットAIとやり取りするウェアラブルデバイスと相性が良い。
BirdieTalkのプロトタイプは、大きさが縦36mm×横57mm。ゴルファーがキャップやサンバイザーに装着して使えるサイズ感を目指す。本体にはワイヤレス通信用のチップとバッテリーのほか、マイクとスピーカーなどを内蔵する。
Bluetooth Low Energy(BLE)でペアリングしたスマホを介して、クラウド上の生成AIにつなぐ使い方を想定している。スマホなどモバイル端末向けに、BirdieTalk専用のアプリもソースネクストが用意する。
ソースネクストが現時点で想定するBirdieTalkの主な機能は3つある。
ひとつは、プレーの状況を音声でアドバイスする機能。本体の「ASK」ボタンを押すと、スマホを介してクラウドAIにつながり、コースの状況や難しいコンディションを打開するショットの打ち方や、その他の細かなゴルフのルールなどを教えてくれる。
2つめはグリーンの中心までの距離確認。とはいえ、ゴルフ専用を謳うスマートウォッチやモバイルアプリ等にも、同様の機能を搭載するデバイスやサービスは存在する。ウェアラブルデバイスであるBirdieTalkは、音声による確認がよりスムーズに行えるところが特徴だ。
ディスプレイを搭載するスマートウォッチよりも、BirdieTalkの方が内蔵バッテリーの減りを気にせず、ゴルフに集中できる。スタミナについては1日2ラウンドを続けて回れる使い勝手を目指すという。
そして3つめがショット分析機能だ。本体のボタンを押して使うクラブや打球の結果をBirdieTalkに伝えると、番手ごとの飛距離やミスの傾向を分析してくれる。結果はアプリで確認する。
本体をバイザーにクリップで固定するデザインとした理由を辻氏に聞いた。
「生成AIと音声でコミュニケーションすることを想定しているので、頭部に着けるスタイルが最も適していると考えました。サイズをより小さくすることもできますが、グローブを装着したままAIを呼び出すボタンのクリック感を得るためには、一定の大きさが必要であることから、このサイズにしています。反響を見ながら、女性ゴルファーの皆様も親しみやすいデザインやカラーのバリエーションを増やすことも検討したいと思っています」
辻氏は人気プロゴルファーや、ゴルフ用アパレルウェアのブランドとのコラボレーションの可能性も積極的に探りたいと話している。
ソースネクストは今回、OpenAIの生成AI「GPT-3.5turbo」を搭載するBirdieTalkの試作を展示。会場ではまだ実機によるチャットを体験できなかったが、代わりにPCを使ったデモンストレーションで、使い方のイメージをつかむことができた。
チャットの応答はスムーズで小気味よい。「バンカーで砂が硬い時のショットの攻め方」「左足上がりのライに捕まった時の対処方法」などをAIが教えてくれる。
BirdieTalkのアプリはChatGPTのAPIをベースにして、ソースネクストがゴルフ向けに独自に最適化したクラウド上のデータセットにつなぎ込まれる。いかに生成AIがスムーズに応答できたところで、ゴルフを楽しむプレーヤーに「意義あるアドバイス」を返せなければ無用の長物だ。
辻氏は今後も、ゴルフに関わるプロフェッショナルの知見を盛り込みながら、今夏8月末の商品化に向けて、AIのパフォーマンスをブラッシュアップすると意気込む。
「ゴルフというスポーツには、一緒にコースを回るプレーヤーのためにテンポよくプレイする “Play Fast” という考え方があります。BirdieTalkを使う方がプレイファーストを意識して、気持ちよくゴルフを楽しめることも考えながら、ユーザー体験をデザインすることも心がけています。次の1打に迷ってしまうプレーヤーの皆様に、BirdieTalkが “自分だけのキャディ” として様々な形で役に立つことを目指します」。
残念ながら筆者はゴルフをプレイしないが、趣味として時々遊ぶビリヤードやボウリングに、プロのアドバイスとつながるAI対応のウェアラブルデバイスがあれば、ぜひ使ってみたい。辻氏は、ゴルフで成功事例を作ることができれば、他の様々なパーソナルコーチに展開する道も開けそうだと語っている。同社が蓄えてきた知見が、多方面に活きることを期待したい。
同社は、横浜で開催されたジャパンゴルフフェア2024でプロトタイプを公開した。イベント会場で、製品の開発に携わるソースネクストの辻正鷹氏にプロダクトの特徴や目指すライフスタイルを聞いた。
■ポケトークから得たAIの知見をゴルフ用IoTデバイスに活かす
ソースネクストといえばAI通訳機の「POCKETALK(ポケトーク)」や、関連するAI通訳アプリやAI字幕ツールなどが広く知られている。同社はBirdieTalkを “ゴルフ用IoTデバイス” として開発する。ソースネクストにとって初めてのゴルフ関連デバイスだ。なぜ新領域のプロダクト開発に進出するのか、辻氏が理由を語る。
「当社はこれまでPCソフトにはじまり、ポケトークや自動文字起こし機能を搭載する音声レコーダーのオートメモなどIoT製品を数多く開発しています。これらの製品を開発する段階で、AIに関わる知見も深めてきました。この強みを活かして、ゴルフ用IoTデバイスの市場に新しい価値を提案したいと考えました」。
BirdieTalkは、生成型のチャットAIを活用した、アスリート向けコーチング用デバイスだ。第1弾のスポーツにゴルフが選ばれた背景には、ソースネクストの代表取締役社長兼COOである小嶋智彰氏がゴルフをたしなむからという理由もある。そして、ゴルフがボディコンタクトを伴わない個人競技であることも、音声でチャットAIとやり取りするウェアラブルデバイスと相性が良い。
■BirdieTalkの「3つの機能」
BirdieTalkのプロトタイプは、大きさが縦36mm×横57mm。ゴルファーがキャップやサンバイザーに装着して使えるサイズ感を目指す。本体にはワイヤレス通信用のチップとバッテリーのほか、マイクとスピーカーなどを内蔵する。
Bluetooth Low Energy(BLE)でペアリングしたスマホを介して、クラウド上の生成AIにつなぐ使い方を想定している。スマホなどモバイル端末向けに、BirdieTalk専用のアプリもソースネクストが用意する。
ソースネクストが現時点で想定するBirdieTalkの主な機能は3つある。
ひとつは、プレーの状況を音声でアドバイスする機能。本体の「ASK」ボタンを押すと、スマホを介してクラウドAIにつながり、コースの状況や難しいコンディションを打開するショットの打ち方や、その他の細かなゴルフのルールなどを教えてくれる。
2つめはグリーンの中心までの距離確認。とはいえ、ゴルフ専用を謳うスマートウォッチやモバイルアプリ等にも、同様の機能を搭載するデバイスやサービスは存在する。ウェアラブルデバイスであるBirdieTalkは、音声による確認がよりスムーズに行えるところが特徴だ。
ディスプレイを搭載するスマートウォッチよりも、BirdieTalkの方が内蔵バッテリーの減りを気にせず、ゴルフに集中できる。スタミナについては1日2ラウンドを続けて回れる使い勝手を目指すという。
そして3つめがショット分析機能だ。本体のボタンを押して使うクラブや打球の結果をBirdieTalkに伝えると、番手ごとの飛距離やミスの傾向を分析してくれる。結果はアプリで確認する。
■生成AIが「自分だけのキャディ」になる
本体をバイザーにクリップで固定するデザインとした理由を辻氏に聞いた。
「生成AIと音声でコミュニケーションすることを想定しているので、頭部に着けるスタイルが最も適していると考えました。サイズをより小さくすることもできますが、グローブを装着したままAIを呼び出すボタンのクリック感を得るためには、一定の大きさが必要であることから、このサイズにしています。反響を見ながら、女性ゴルファーの皆様も親しみやすいデザインやカラーのバリエーションを増やすことも検討したいと思っています」
辻氏は人気プロゴルファーや、ゴルフ用アパレルウェアのブランドとのコラボレーションの可能性も積極的に探りたいと話している。
ソースネクストは今回、OpenAIの生成AI「GPT-3.5turbo」を搭載するBirdieTalkの試作を展示。会場ではまだ実機によるチャットを体験できなかったが、代わりにPCを使ったデモンストレーションで、使い方のイメージをつかむことができた。
チャットの応答はスムーズで小気味よい。「バンカーで砂が硬い時のショットの攻め方」「左足上がりのライに捕まった時の対処方法」などをAIが教えてくれる。
BirdieTalkのアプリはChatGPTのAPIをベースにして、ソースネクストがゴルフ向けに独自に最適化したクラウド上のデータセットにつなぎ込まれる。いかに生成AIがスムーズに応答できたところで、ゴルフを楽しむプレーヤーに「意義あるアドバイス」を返せなければ無用の長物だ。
辻氏は今後も、ゴルフに関わるプロフェッショナルの知見を盛り込みながら、今夏8月末の商品化に向けて、AIのパフォーマンスをブラッシュアップすると意気込む。
「ゴルフというスポーツには、一緒にコースを回るプレーヤーのためにテンポよくプレイする “Play Fast” という考え方があります。BirdieTalkを使う方がプレイファーストを意識して、気持ちよくゴルフを楽しめることも考えながら、ユーザー体験をデザインすることも心がけています。次の1打に迷ってしまうプレーヤーの皆様に、BirdieTalkが “自分だけのキャディ” として様々な形で役に立つことを目指します」。
残念ながら筆者はゴルフをプレイしないが、趣味として時々遊ぶビリヤードやボウリングに、プロのアドバイスとつながるAI対応のウェアラブルデバイスがあれば、ぜひ使ってみたい。辻氏は、ゴルフで成功事例を作ることができれば、他の様々なパーソナルコーチに展開する道も開けそうだと語っている。同社が蓄えてきた知見が、多方面に活きることを期待したい。
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