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公開日 2020/02/24 16:45
ゲーム体験も強化
ソニー、5G対応最上位スマホ「Xperia 1 II」。3.5mm端子復活、ZEISSレンズなどカメラも強化
山本敦
ソニーは、フラグシップスマホ「Xperia 1 II(エクスペリア ワン マークツー)」を発表した。2020年春以降、日本を含む世界の各国・地域で発売を予定する。
同社は2月24日からスペイン・バルセロナで開催が予定されていたモバイルの展示会「MWC Barcelona 2020」に出展を計画していた。今回MWCの開催が中止となったことから、代わりに実施されたYouTubeによるビデオカンファレンスで新製品を発表した。
カンファレンスではXperia 1 IIのほかにも、日本でも発売予定のエントリーモデル「Xperia 10 II(エクスペリア テン マークツー)」や、5Gのミリ波通信に対応するスマホ型デバイス「Xperia PRO」の開発発表が行われている。本稿ではXperia 1 IIを中心に紹介したい。
■スマホによる高品位なコンテンツ体験を加速させる「5G対応」
Xperia 1 IIは、ソニーがコンシューマー向けに発売する初の5G対応スマホとなる。ソニーでは高速・大容量のモバイル通信を可能にする5Gの特徴を活かし、高品位コンテンツのダウンロード・アップロードがリアルタイムに楽しめる次世代エンターテインメント端末として、新しい5G対応Xperiaをアピールする考えだ。
最新Xperiaのフラグシップモデルには、ソニーが各カテゴリーで培ってきた最先端の技術が詰め込まれている。カメラは静止画と動画の撮影機能がさらに向上したほか、ディスプレイはXperia 1から採用するアスペクト比21対9、サイズ約6.5インチの4K/HDR対応有機ELを継承。オーディオについても、後ほど詳しく触れるがハイレゾ再生まわりが大幅に強化されている。さらにゲーム体験についても新たな付加価値を打ち出した。
■5G対応はSub-6から。Wi-Fi 6もサポートする
Xperia 1 IIの各機能紹介へ移る前に、基本的なスペックや性能を確認しておこう。
SoCにはクアルコムが昨年末に発表したモバイル向けの最新フラグシップラインである「Qualcomm Snapdragon 865 5G Mobile Platform」を採用している。
5G対応のモデムは、6GHz以下の周波数帯であるSub-6のみをカバーし、ミリ波による通信には非対応とした。
高周波数帯を利用するミリ波の5G通信は、指向性や到達距離など伝搬損失の制御が難しい。このためソニーモバイルは、特にコンシューマー向けの5G通信は当初Sub-6対応を軸に展開し、ミリ波技術の成熟を待つ考えのようだ。もちろんXperia 1 IIに搭載されるモデムは4G LTE通信との互換性も確保している。
グローバルモデルは、世界各国・各地域のニーズに応じてデュアルSIMとシングルSIMの端末が2種類用意される。
Wi-Fiによる無線通信は次世代規格のWi-Fi 6をサポートした。そしてメインメモリには8GBのRAMを採用。また内蔵ストレージについても、国・地域のニーズに合わせて128GBと256GBのモデルを展開。外部記憶ストレージにはmicroSDカードも使える。
■21対9のシネマワイドコンセプトを継承するデザイン
フロントパネルは約6.5インチのディスプレイの上下左右にベゼルを設けているが、左右ベゼルの幅はXperia 1よりもさらに狭額縁化が図られている。フロント側カメラはベゼル幅内に組み込まれており、ディスプレイに切り欠き部分はない。
同じくXperia 1とサイズや重さを比べると、本体の縦方向のサイズは1mm短く166mmに、奥行き方向は0.3mm短く7.9mmとなった。横幅方向は72mmと変わらず。質量は3gほど増えている。
本体のカラーバリエーションはブラック/パープル/ホワイトの3色。光沢感の強いミラー仕上げとして、特にXperiaのトラディショナルカラーであるパープルの端末は、背面パネルを光にかざすとシルバークロームのようにも見える。マルチレンズカメラユニットはXperia 1ではセンター位置としていたが、Xperia 1 IIはXperia 5と同じ正面左側に移っている。
そして本体の上部にはアナログイヤホン端子が復活した。オーディオの仕様については後ほど詳しくお伝えする。
端末の画面側を正面に構えて右側に、指紋センサーを引き続き内蔵する。本体の防水・防滴仕様はIP65/IP68相当。内蔵するバッテリーの容量はXperia 1よりも増えて4,000mAhになり、ワイヤレス充電にも対応する。ソニー独自のAI技術をベースにした「いたわり充電」機能をオンにすると、バッテリー劣化も防げる。
続いて、Xperia 1 IIの各機能の紹介へ進みたい。なお今回の取材時点ではまだ動作する端末に触れることができなかったため、各機能のインプレッションについては機会をあらためて報告したいと思う。
■Xperia初のZEISSレンズ搭載。AF性能が進化
背面には動画と静止画の撮影に使うトリプルレンズカメラと、被写体の測距等に使う3D iToFセンサーを搭載する。一見するとクアッドレンズカメラのようにも見える。
1画素に2つのフォトダイオードを割り当てた「デュアルPDセンサー」を標準レンズと広角レンズに採用している。F値は16mm広角レンズが2.6。標準レンズは画角が26mmから24mmになり、F値1.7としている。3D iToFセンサーと連携しながら、暗い場所でもXperia 1比で約1.5倍の高感度撮影と、精度の高い高速オートフォーカスを合わせて実現する。望遠レンズはXperia 1の52mmから、マークIIでは70mmに強化されている。24mmの標準レンズとともに光学手ブレ補正を搭載している。
動画撮影は最大4K/HDR/60fpsまで対応している。8K動画撮影機能は搭載していない。
注目すべきは、Xperiaに初めてカールツァイス製のT*(ティースター)コーティング対応レンズが搭載されたことだろう。レンズの性能が上がったことで写真・動画撮影にどれほどの恩恵がもたらされるのか、ぜひXperia 1との撮影比較も行ってみたい。
ソニーがデジタル一眼カメラ「α9」の開発で培ってきた高速撮影性能も、Xperiaに注入された。世界初のAF/AE追従20コマ高速連写機能を搭載。毎秒60回のAF/AE演算処理を行いながら、動きの速い被写体にもフォーカスを合わせ続ける。AFエリアカバー率を70%としているので、被写体がフレームの端に移動しても追従精度が落ちない。毎秒60回秒のAF/AE演算を行なっている。これによって毎秒20コマ/秒撮影を実現した。
リアルタイム瞳AFは動く人物だけでなく、動物の瞳にもフォーカスが合わせられる。さらにシャッタースピードやISO感度、ホワイトバランスなどαシリーズをはじめとする、ソニーのデジタルカメラの使い勝手を踏襲したユーザーインターフェースを操作しながら、より本格的なマニュアル撮影がXperiaで楽しめる「Photography Pro(フォトグラフィー プロ)」が新機能として加わる。
■シネマプロは4K/60p対応に。撮影補助機能を追加
Xperia 1から搭載が始まっている「Cinamatography Pro(シネマプロ)」には、ユーザーからの声を受け、いくつかの機能追加が図られる。
4K/HDR動画は最高画質が4K/30pから4K/60pに拡大。画面タッチによるAF合わせや、露出バランスをマニュアルで微調整する際に便利なメーター、水準器などサポート機能が加わるほか、ホワイトバランスのカスタム設定や、録音時に風切りノイズを防ぐためのフィルターも搭載する。
■ディスプレイは90Hz駆動相当に動画表示を改善
ディスプレイは動画の表示性能を改善した。パネル性能はXperia 1と同じ60Hz駆動のまま変えていないが、映像のフレームが切り替わる瞬間に電圧を上げて残像を低減。ホールドボケの改善を図り、90Hzディスプレイに相当するクリアな映像表示を可能にした。なおタッチパネルの検出レートは120Hzとして、ゲームコンテンツの操作パフォーマンスも高めている。
さらに、ディスプレイのホワイトバランス設定のメニューには、標準光源/色温度から色味を選択できる機能も追加される。
このほかにも、アスペクト比21対9のディスプレイを2画面表示にし、複数のアプリを同時に操作できる「マルチウィンドウ」の使い勝手を改善。各画面に表示したいアプリをシンプルな左右スワイプで切り換えられるようになる。
■3.5mmアナログイヤホン端子が2年ぶりに復活
Xperia 1 IIはオーディオ機能の大幅強化が図られている。そして2018年に発売されたXperia XZ2以来、約2年ぶりに3.5mmアナログイヤホン端子が復活する。イヤホン出力によるハイレゾ再生は従来通り192kHz/24bit対応だ。ソニーモバイルの担当者は「スピーカーボックスを含む内部の設計、基板のレイアウトを効率化できたこと」がアナログイヤホン端子の復活につながったと説明している。もちろんXperiaのユーザーから復活を求める声も多くあったのだろう。
本体に搭載するステレオスピーカーは、Xperia 1/Xperia 5では本体を構えたときに片側が横向きに配置されていた。マークIIでは左右とも正面向きに配置されたことでステレオ感の向上とクロストーク性能の改善が図られている。ソニーモバイルの担当者は両側のスピーカー開口部が正面を向くことにより、演算処理による位相合わせが不要になるため、より自然な音が再生できると説明している。
ドルビーアトモス音声にも対応し、これらのコンテンツを、内蔵スピーカーとイヤホン出力の両方で楽しめる。映画の音はソニー・ピクチャーズエンタテインメント、音楽再生のチューニングはソニー・ミュージックエンタテインメントのエンジニアと、ノウハウをすりあわせながら丁寧に追い込んだ。なお、ソニー・ミュージックエンタテインメントとXperiaの協業は今回のモデルが初めてになる。
Xperia側では192kHz/24bitまでのハイレゾ再生をサポート。ただしアプリの仕様によって192kHz/24bitで再生されない場合もあり、Amazon Music HDでは現時点で192kHz/24bitで再生されない仕様となっている。(記事初出時、「Xperia 1 IIでは、Amazon Music HDが配信するハイレゾ音源も、ダウンコンバート処理を介さず、ネイティブでストリーミング再生できる。ソニーモバイルの担当者は、Xperia側のソフトウェア設計を見直すことにより、この機能を実現したと説明している」と掲載しておりましたが、ソニーモバイルの追加調査により現時点ではネイティブ再生ができないことが判明しましたため、お詫びして訂正いたします)
今回はXperia 1 IIのグローバルモデルが発表された格好なので、海外ではTIDALやDeezer、Nugs.netが先行スタートさせている360 Reality Audio音源がXperiaで楽しめることについても触れられている。
日本ではAmazon Music HDが同技術をベースにした立体音源を配信しているが、現在のところAmazonのスマートスピーカー「Echo Stuio」でしか聴くことができない。マークIIの国内発売に合わせてAmazon Music側が対応してくるのかにも要注目だ。
■最新のDSEE Ultimate搭載。aptX Adaptive対応も
ほかにも、ストリーミングサービスやCDリッピングの音源などをアップコンバート処理によってハイレゾ相当音質に高めるソニーの独自技術「DSEE」が、最新版の「DSEE Ultimate」としてXperia 1 IIに搭載される。DSEE Ultimateは有線と無線、どちらの場合にも効果を発揮する。ヘッドホンもイヤホンも、どちらもOKだ。
そしてBluetoothのオーディオコーデックについては、ソニー独自のLDACのほか、クアルコムのaptX Adaptiveもサポートする。ハイレゾ相当のワイヤレスオーディオ再生についても、さらに一歩踏み込んだ格好だ。
■ゲーム体験も充実
ゲーム体験についても、Xperiaのフラグシップモデルらしく充実度を高めている。ディスプレイのハイライトとして紹介した残像低減技術のほか、Snapdragonの最新チップがCPU/GPUの処理速度を25%高速化したことで、ゲーム体験の底力がアップしている。
また本機は、クアルコムが立ち上げた「Snapdragon Elite Gaming」ブランドを冠するスマートフォンでもある。アクセサリーはPS4用ワイヤレスコントローラー「DUALSHOCK 4」の接続にも対応する。
日本国内の大手キャリアは、新規参入の楽天も含め、今春に5Gの商用サービスを開始すると宣言している。先日シャープが初の5Gスマホ「AQUOS R5G」を披露したほか、海外ではサムスンが、6インチ台に3つのバリエーションを揃えるGalaxy S20シリーズを発表している。国内キャリアもおそらく扱うことになりそうな、これらの5Gスマホの動向も気になるところだ。
プロ志向のクオリティに一段と磨きをかけた、Xperia最新フラグシップモデルの実力を試せる日が待ち遠しい。
同社は2月24日からスペイン・バルセロナで開催が予定されていたモバイルの展示会「MWC Barcelona 2020」に出展を計画していた。今回MWCの開催が中止となったことから、代わりに実施されたYouTubeによるビデオカンファレンスで新製品を発表した。
カンファレンスではXperia 1 IIのほかにも、日本でも発売予定のエントリーモデル「Xperia 10 II(エクスペリア テン マークツー)」や、5Gのミリ波通信に対応するスマホ型デバイス「Xperia PRO」の開発発表が行われている。本稿ではXperia 1 IIを中心に紹介したい。
■スマホによる高品位なコンテンツ体験を加速させる「5G対応」
Xperia 1 IIは、ソニーがコンシューマー向けに発売する初の5G対応スマホとなる。ソニーでは高速・大容量のモバイル通信を可能にする5Gの特徴を活かし、高品位コンテンツのダウンロード・アップロードがリアルタイムに楽しめる次世代エンターテインメント端末として、新しい5G対応Xperiaをアピールする考えだ。
最新Xperiaのフラグシップモデルには、ソニーが各カテゴリーで培ってきた最先端の技術が詰め込まれている。カメラは静止画と動画の撮影機能がさらに向上したほか、ディスプレイはXperia 1から採用するアスペクト比21対9、サイズ約6.5インチの4K/HDR対応有機ELを継承。オーディオについても、後ほど詳しく触れるがハイレゾ再生まわりが大幅に強化されている。さらにゲーム体験についても新たな付加価値を打ち出した。
■5G対応はSub-6から。Wi-Fi 6もサポートする
Xperia 1 IIの各機能紹介へ移る前に、基本的なスペックや性能を確認しておこう。
SoCにはクアルコムが昨年末に発表したモバイル向けの最新フラグシップラインである「Qualcomm Snapdragon 865 5G Mobile Platform」を採用している。
5G対応のモデムは、6GHz以下の周波数帯であるSub-6のみをカバーし、ミリ波による通信には非対応とした。
高周波数帯を利用するミリ波の5G通信は、指向性や到達距離など伝搬損失の制御が難しい。このためソニーモバイルは、特にコンシューマー向けの5G通信は当初Sub-6対応を軸に展開し、ミリ波技術の成熟を待つ考えのようだ。もちろんXperia 1 IIに搭載されるモデムは4G LTE通信との互換性も確保している。
グローバルモデルは、世界各国・各地域のニーズに応じてデュアルSIMとシングルSIMの端末が2種類用意される。
Wi-Fiによる無線通信は次世代規格のWi-Fi 6をサポートした。そしてメインメモリには8GBのRAMを採用。また内蔵ストレージについても、国・地域のニーズに合わせて128GBと256GBのモデルを展開。外部記憶ストレージにはmicroSDカードも使える。
■21対9のシネマワイドコンセプトを継承するデザイン
フロントパネルは約6.5インチのディスプレイの上下左右にベゼルを設けているが、左右ベゼルの幅はXperia 1よりもさらに狭額縁化が図られている。フロント側カメラはベゼル幅内に組み込まれており、ディスプレイに切り欠き部分はない。
同じくXperia 1とサイズや重さを比べると、本体の縦方向のサイズは1mm短く166mmに、奥行き方向は0.3mm短く7.9mmとなった。横幅方向は72mmと変わらず。質量は3gほど増えている。
本体のカラーバリエーションはブラック/パープル/ホワイトの3色。光沢感の強いミラー仕上げとして、特にXperiaのトラディショナルカラーであるパープルの端末は、背面パネルを光にかざすとシルバークロームのようにも見える。マルチレンズカメラユニットはXperia 1ではセンター位置としていたが、Xperia 1 IIはXperia 5と同じ正面左側に移っている。
そして本体の上部にはアナログイヤホン端子が復活した。オーディオの仕様については後ほど詳しくお伝えする。
端末の画面側を正面に構えて右側に、指紋センサーを引き続き内蔵する。本体の防水・防滴仕様はIP65/IP68相当。内蔵するバッテリーの容量はXperia 1よりも増えて4,000mAhになり、ワイヤレス充電にも対応する。ソニー独自のAI技術をベースにした「いたわり充電」機能をオンにすると、バッテリー劣化も防げる。
続いて、Xperia 1 IIの各機能の紹介へ進みたい。なお今回の取材時点ではまだ動作する端末に触れることができなかったため、各機能のインプレッションについては機会をあらためて報告したいと思う。
■Xperia初のZEISSレンズ搭載。AF性能が進化
背面には動画と静止画の撮影に使うトリプルレンズカメラと、被写体の測距等に使う3D iToFセンサーを搭載する。一見するとクアッドレンズカメラのようにも見える。
1画素に2つのフォトダイオードを割り当てた「デュアルPDセンサー」を標準レンズと広角レンズに採用している。F値は16mm広角レンズが2.6。標準レンズは画角が26mmから24mmになり、F値1.7としている。3D iToFセンサーと連携しながら、暗い場所でもXperia 1比で約1.5倍の高感度撮影と、精度の高い高速オートフォーカスを合わせて実現する。望遠レンズはXperia 1の52mmから、マークIIでは70mmに強化されている。24mmの標準レンズとともに光学手ブレ補正を搭載している。
動画撮影は最大4K/HDR/60fpsまで対応している。8K動画撮影機能は搭載していない。
注目すべきは、Xperiaに初めてカールツァイス製のT*(ティースター)コーティング対応レンズが搭載されたことだろう。レンズの性能が上がったことで写真・動画撮影にどれほどの恩恵がもたらされるのか、ぜひXperia 1との撮影比較も行ってみたい。
ソニーがデジタル一眼カメラ「α9」の開発で培ってきた高速撮影性能も、Xperiaに注入された。世界初のAF/AE追従20コマ高速連写機能を搭載。毎秒60回のAF/AE演算処理を行いながら、動きの速い被写体にもフォーカスを合わせ続ける。AFエリアカバー率を70%としているので、被写体がフレームの端に移動しても追従精度が落ちない。毎秒60回秒のAF/AE演算を行なっている。これによって毎秒20コマ/秒撮影を実現した。
リアルタイム瞳AFは動く人物だけでなく、動物の瞳にもフォーカスが合わせられる。さらにシャッタースピードやISO感度、ホワイトバランスなどαシリーズをはじめとする、ソニーのデジタルカメラの使い勝手を踏襲したユーザーインターフェースを操作しながら、より本格的なマニュアル撮影がXperiaで楽しめる「Photography Pro(フォトグラフィー プロ)」が新機能として加わる。
■シネマプロは4K/60p対応に。撮影補助機能を追加
Xperia 1から搭載が始まっている「Cinamatography Pro(シネマプロ)」には、ユーザーからの声を受け、いくつかの機能追加が図られる。
4K/HDR動画は最高画質が4K/30pから4K/60pに拡大。画面タッチによるAF合わせや、露出バランスをマニュアルで微調整する際に便利なメーター、水準器などサポート機能が加わるほか、ホワイトバランスのカスタム設定や、録音時に風切りノイズを防ぐためのフィルターも搭載する。
■ディスプレイは90Hz駆動相当に動画表示を改善
ディスプレイは動画の表示性能を改善した。パネル性能はXperia 1と同じ60Hz駆動のまま変えていないが、映像のフレームが切り替わる瞬間に電圧を上げて残像を低減。ホールドボケの改善を図り、90Hzディスプレイに相当するクリアな映像表示を可能にした。なおタッチパネルの検出レートは120Hzとして、ゲームコンテンツの操作パフォーマンスも高めている。
さらに、ディスプレイのホワイトバランス設定のメニューには、標準光源/色温度から色味を選択できる機能も追加される。
このほかにも、アスペクト比21対9のディスプレイを2画面表示にし、複数のアプリを同時に操作できる「マルチウィンドウ」の使い勝手を改善。各画面に表示したいアプリをシンプルな左右スワイプで切り換えられるようになる。
■3.5mmアナログイヤホン端子が2年ぶりに復活
Xperia 1 IIはオーディオ機能の大幅強化が図られている。そして2018年に発売されたXperia XZ2以来、約2年ぶりに3.5mmアナログイヤホン端子が復活する。イヤホン出力によるハイレゾ再生は従来通り192kHz/24bit対応だ。ソニーモバイルの担当者は「スピーカーボックスを含む内部の設計、基板のレイアウトを効率化できたこと」がアナログイヤホン端子の復活につながったと説明している。もちろんXperiaのユーザーから復活を求める声も多くあったのだろう。
本体に搭載するステレオスピーカーは、Xperia 1/Xperia 5では本体を構えたときに片側が横向きに配置されていた。マークIIでは左右とも正面向きに配置されたことでステレオ感の向上とクロストーク性能の改善が図られている。ソニーモバイルの担当者は両側のスピーカー開口部が正面を向くことにより、演算処理による位相合わせが不要になるため、より自然な音が再生できると説明している。
ドルビーアトモス音声にも対応し、これらのコンテンツを、内蔵スピーカーとイヤホン出力の両方で楽しめる。映画の音はソニー・ピクチャーズエンタテインメント、音楽再生のチューニングはソニー・ミュージックエンタテインメントのエンジニアと、ノウハウをすりあわせながら丁寧に追い込んだ。なお、ソニー・ミュージックエンタテインメントとXperiaの協業は今回のモデルが初めてになる。
Xperia側では192kHz/24bitまでのハイレゾ再生をサポート。ただしアプリの仕様によって192kHz/24bitで再生されない場合もあり、Amazon Music HDでは現時点で192kHz/24bitで再生されない仕様となっている。(記事初出時、「Xperia 1 IIでは、Amazon Music HDが配信するハイレゾ音源も、ダウンコンバート処理を介さず、ネイティブでストリーミング再生できる。ソニーモバイルの担当者は、Xperia側のソフトウェア設計を見直すことにより、この機能を実現したと説明している」と掲載しておりましたが、ソニーモバイルの追加調査により現時点ではネイティブ再生ができないことが判明しましたため、お詫びして訂正いたします)
今回はXperia 1 IIのグローバルモデルが発表された格好なので、海外ではTIDALやDeezer、Nugs.netが先行スタートさせている360 Reality Audio音源がXperiaで楽しめることについても触れられている。
日本ではAmazon Music HDが同技術をベースにした立体音源を配信しているが、現在のところAmazonのスマートスピーカー「Echo Stuio」でしか聴くことができない。マークIIの国内発売に合わせてAmazon Music側が対応してくるのかにも要注目だ。
■最新のDSEE Ultimate搭載。aptX Adaptive対応も
ほかにも、ストリーミングサービスやCDリッピングの音源などをアップコンバート処理によってハイレゾ相当音質に高めるソニーの独自技術「DSEE」が、最新版の「DSEE Ultimate」としてXperia 1 IIに搭載される。DSEE Ultimateは有線と無線、どちらの場合にも効果を発揮する。ヘッドホンもイヤホンも、どちらもOKだ。
そしてBluetoothのオーディオコーデックについては、ソニー独自のLDACのほか、クアルコムのaptX Adaptiveもサポートする。ハイレゾ相当のワイヤレスオーディオ再生についても、さらに一歩踏み込んだ格好だ。
■ゲーム体験も充実
ゲーム体験についても、Xperiaのフラグシップモデルらしく充実度を高めている。ディスプレイのハイライトとして紹介した残像低減技術のほか、Snapdragonの最新チップがCPU/GPUの処理速度を25%高速化したことで、ゲーム体験の底力がアップしている。
また本機は、クアルコムが立ち上げた「Snapdragon Elite Gaming」ブランドを冠するスマートフォンでもある。アクセサリーはPS4用ワイヤレスコントローラー「DUALSHOCK 4」の接続にも対応する。
日本国内の大手キャリアは、新規参入の楽天も含め、今春に5Gの商用サービスを開始すると宣言している。先日シャープが初の5Gスマホ「AQUOS R5G」を披露したほか、海外ではサムスンが、6インチ台に3つのバリエーションを揃えるGalaxy S20シリーズを発表している。国内キャリアもおそらく扱うことになりそうな、これらの5Gスマホの動向も気になるところだ。
プロ志向のクオリティに一段と磨きをかけた、Xperia最新フラグシップモデルの実力を試せる日が待ち遠しい。