公開日 2016/07/01 11:56
【特別企画】富士通テンが開始した新たな取り組みを探る
ECLIPSEがオーディオショップ向けに立ち上げた“パートナーシップ”制度とは?<前編>
編集部:小澤貴信
ECLIPSEを手がける富士通テンは、オーディオショップ向けの“ECLIPSEパートナーシップ”制度を発足させた。これはECLIPSEの販売に意欲的なショップに対して同社が認定を行い、製品知識やデモのスキル、設置ノウハウ、店舗での展開までをサポートしていくという認定制度だ。前後編の2回にわたって、このパートナーシップの狙いと同社のビジョンを探っていきたい。
■ECLIPSEが取り組むパートナーシップとは?
2016年春某日、兵庫県神戸市の富士通テン本社には、全国12の有力オーディオショップから計14名のスタッフが集まり、同社が新たに立ち上げる「ECLIPSEパートナーシップ」の説明会およびセミナーに参加した。
ECLIPSEパートナーシップは、富士通テンとオーディオショップが、製品情報やデモ体験、さらには販売店の認知向上/ブランディングのノウハウまでを共有することで、より強固な協力関係を構築することを目指している。しかし、その狙いは単なる販促にとどまらず、「お客様に感動を提供できる場所をショップと一緒に作りあげていく」ことを目指している。よってメーカー側の一方的な販促支援ではなく、ショップ側が普遍的かつ本質的なメリットが得られる枠組みを用意している。
パートナーシップの根幹には、感動を提供するためのノウハウの共有がある。富士通テンの白井雅弥氏は、「ECLIPSEは条件がそろったとき、他のスピーカーでは味わえない感動を与えることができます」と語る。その条件とは、部屋の音響特性やセッティング、再生するソース、そしてECLIPSEの思想を正しくユーザーに伝えることにある。
ECLIPSEのスピーカーの設計思想の核心となるのは、「正確な音」の再現である。そのために同社は、音楽信号波形の正確再現を、時間軸という観点から追求してきた。今でこそ多くのハイエンドスピーカーがインパルス応答や過渡特性の向上に取り組んでいるが、同社はブランド設立以来、独自の切り口でこの点にいち早く取り組んだ。結果、ECLIPSEの正確な音を、世界トップクラスのエンジニアやミュージシャン、オーディオ評論家が高く評価するに至っている。
しかし、ECLIPSEだからこそ可能な「正確な音」を正しく再生するためには、通常のスピーカー以上にシビアなセッティングやルームアコースティックが求められる。再生ソース選びも重要だ。忠実再現を旨とするスピーカーで録音の悪い音源を再生したら、初めて体験する人はその実力を見誤りかねない。さらには「正確な音」とは何か、なぜECLIPSEだからそれが再現できるのか、それを伝えずしてECLIPSEのサウンドの本質を理解してもらうのは難しいことだと思う。
こうした点を踏まえ、同社が「感動」を実現するために必要なものとして定義するのが、「デモスキル」「音響知識」「ショップの認知向上」の3つだ。この3要素を複合的に機能させることで、ユーザーを感動体験へと導いていく。
■パートナーシップを通して様々なスキル向上をサポート
最初に重要となるのが、製品の正しい魅力を伝えるための「デモスキル」と「音響知識」だ。この2点は、ECLIPSEスピーカーの性格上からも重要だろう。
もちろんオーディオショップは、オーディオに対する高度なスキルと知識を備えている。しかしECLIPSEの魅力を伝えるためには、製品により特化したデモスキルや、直接的なオーディオの知識にとどまらないレコーディングや音響ルーム設計の知識も必要となる。こうした知識やスキルを備えることが、オーディオショップの実力をお客様に伝えることにも貢献すると同社は説明する。
ECLIPSEパートナーシップが、一般的な販売店支援制度と最も異なる点は、同社製品の販売にとどまらない「ショップの認知向上」強化のサポートを提供する点だ。ショップの発展に貢献する認知向上やブランディングのセミナーも提供していくとのこと。
このパートナーシップでは、ショップの認知向上から商談技術向上までのトータルサポートも実施する。具体的には、PRスキルのサポートによるショップの認知向上、ECLIPSEのサイト上からの誘導強化、試聴会のサポート、製品知識や音響知識を深めるためのセミナーの実施まで、お客様の満足度アップにつながるサポートが用意される。こうしたサポートは、各ショップのECLIPSE試聴環境に応じて、段階的に行っていくものとなる。
専門店と様々なノウハウを共有し、同社製品の販促にとどまらない知識やノウハウをサポートすることで、ECLIPSEスピーカーの感動をもっと多くのお客様に伝えたい。それによってオーディオショップの活動にもっと貢献する。富士通テンが立ち上げたパートナーシップの第一義はここにあると言える。
■開発者の解説を交え“フル510”システムでドルビーアトモスを視聴
パートナーシップ・セミナーでは、本社試聴室のフルECLIPSEシステムによるドルビーアトモスの試聴が行われた。試聴室の模様はこちらの記事でもお伝えしたが、グランドレベルに「TD510ZMK2」を5本、トップスピーカーとして「TD510MK2」を4本、そしてサブウーファーに「TD725SWMK2」を用いた5.2.4システムだ。スタジオを兼ねた試聴室で、その広さは50畳を超える。
試聴時には、開発メンバーがECLIPSEのコンセプトを改めて紹介。さらには、昨年末に新設したこのアトモスシステムの音響設計へのこだわり、ECLIPSEだからこそ可能なアトモス再生の聴きどころについても説明を行った。
■プロ講師による販促&店舗ブランディングセミナーも開催
午後からは本社内のセミナールームに移動。『ヨコイ式「売れる販促」の教科書』などの著書でも知られる“販促プロデューサー”横井孝治氏を講師に迎え、「店舗PRスキルのレベルアップ(再ブランディング)」をテーマとしたセミナーが行われた。
販促の基本から店舗ブランディングの重要性、ウェブサイトやSNSの活用法などについて、約2時間にわたって講義を行った横井氏。単に販促の一般論を語るのではなく、販促のプロの目線からのオーディオショップの分析を踏まえつつ解説を行っている点も印象的だった。
イベントに参加した各ショップのスタッフからは、「販促に特化したセミナーをプロの講師から受けられる機会は大変貴重だ」「店舗のブランディングについて、根本から考え直させられた」などの感想を聞くことができた。
◇
オーディオ体験を通してより多くのお客様に感動を伝えたい。その想いはメーカー側、オーディオ専門店も同じだろう。富士通テンはECLIPSEパートナーシップを通して、ECLIPSEの魅力をさらに伝えていきたいと考えている。ECLIPSEがショップに貢献するために様々なメリットを用意していることにも注目したい。
後編では、ECLIPSEパートナー店である宮崎県・木田電業をレポートする。パートナー店が実際にどのようにしてECLIPSEの魅力を伝えているのか、ショップの現場の模様をお伝えしたい。
(特別企画 協力:富士通テン)
■ECLIPSEが取り組むパートナーシップとは?
2016年春某日、兵庫県神戸市の富士通テン本社には、全国12の有力オーディオショップから計14名のスタッフが集まり、同社が新たに立ち上げる「ECLIPSEパートナーシップ」の説明会およびセミナーに参加した。
ECLIPSEパートナーシップは、富士通テンとオーディオショップが、製品情報やデモ体験、さらには販売店の認知向上/ブランディングのノウハウまでを共有することで、より強固な協力関係を構築することを目指している。しかし、その狙いは単なる販促にとどまらず、「お客様に感動を提供できる場所をショップと一緒に作りあげていく」ことを目指している。よってメーカー側の一方的な販促支援ではなく、ショップ側が普遍的かつ本質的なメリットが得られる枠組みを用意している。
パートナーシップの根幹には、感動を提供するためのノウハウの共有がある。富士通テンの白井雅弥氏は、「ECLIPSEは条件がそろったとき、他のスピーカーでは味わえない感動を与えることができます」と語る。その条件とは、部屋の音響特性やセッティング、再生するソース、そしてECLIPSEの思想を正しくユーザーに伝えることにある。
ECLIPSEのスピーカーの設計思想の核心となるのは、「正確な音」の再現である。そのために同社は、音楽信号波形の正確再現を、時間軸という観点から追求してきた。今でこそ多くのハイエンドスピーカーがインパルス応答や過渡特性の向上に取り組んでいるが、同社はブランド設立以来、独自の切り口でこの点にいち早く取り組んだ。結果、ECLIPSEの正確な音を、世界トップクラスのエンジニアやミュージシャン、オーディオ評論家が高く評価するに至っている。
しかし、ECLIPSEだからこそ可能な「正確な音」を正しく再生するためには、通常のスピーカー以上にシビアなセッティングやルームアコースティックが求められる。再生ソース選びも重要だ。忠実再現を旨とするスピーカーで録音の悪い音源を再生したら、初めて体験する人はその実力を見誤りかねない。さらには「正確な音」とは何か、なぜECLIPSEだからそれが再現できるのか、それを伝えずしてECLIPSEのサウンドの本質を理解してもらうのは難しいことだと思う。
こうした点を踏まえ、同社が「感動」を実現するために必要なものとして定義するのが、「デモスキル」「音響知識」「ショップの認知向上」の3つだ。この3要素を複合的に機能させることで、ユーザーを感動体験へと導いていく。
■パートナーシップを通して様々なスキル向上をサポート
最初に重要となるのが、製品の正しい魅力を伝えるための「デモスキル」と「音響知識」だ。この2点は、ECLIPSEスピーカーの性格上からも重要だろう。
もちろんオーディオショップは、オーディオに対する高度なスキルと知識を備えている。しかしECLIPSEの魅力を伝えるためには、製品により特化したデモスキルや、直接的なオーディオの知識にとどまらないレコーディングや音響ルーム設計の知識も必要となる。こうした知識やスキルを備えることが、オーディオショップの実力をお客様に伝えることにも貢献すると同社は説明する。
ECLIPSEパートナーシップが、一般的な販売店支援制度と最も異なる点は、同社製品の販売にとどまらない「ショップの認知向上」強化のサポートを提供する点だ。ショップの発展に貢献する認知向上やブランディングのセミナーも提供していくとのこと。
このパートナーシップでは、ショップの認知向上から商談技術向上までのトータルサポートも実施する。具体的には、PRスキルのサポートによるショップの認知向上、ECLIPSEのサイト上からの誘導強化、試聴会のサポート、製品知識や音響知識を深めるためのセミナーの実施まで、お客様の満足度アップにつながるサポートが用意される。こうしたサポートは、各ショップのECLIPSE試聴環境に応じて、段階的に行っていくものとなる。
専門店と様々なノウハウを共有し、同社製品の販促にとどまらない知識やノウハウをサポートすることで、ECLIPSEスピーカーの感動をもっと多くのお客様に伝えたい。それによってオーディオショップの活動にもっと貢献する。富士通テンが立ち上げたパートナーシップの第一義はここにあると言える。
■開発者の解説を交え“フル510”システムでドルビーアトモスを視聴
パートナーシップ・セミナーでは、本社試聴室のフルECLIPSEシステムによるドルビーアトモスの試聴が行われた。試聴室の模様はこちらの記事でもお伝えしたが、グランドレベルに「TD510ZMK2」を5本、トップスピーカーとして「TD510MK2」を4本、そしてサブウーファーに「TD725SWMK2」を用いた5.2.4システムだ。スタジオを兼ねた試聴室で、その広さは50畳を超える。
試聴時には、開発メンバーがECLIPSEのコンセプトを改めて紹介。さらには、昨年末に新設したこのアトモスシステムの音響設計へのこだわり、ECLIPSEだからこそ可能なアトモス再生の聴きどころについても説明を行った。
■プロ講師による販促&店舗ブランディングセミナーも開催
午後からは本社内のセミナールームに移動。『ヨコイ式「売れる販促」の教科書』などの著書でも知られる“販促プロデューサー”横井孝治氏を講師に迎え、「店舗PRスキルのレベルアップ(再ブランディング)」をテーマとしたセミナーが行われた。
販促の基本から店舗ブランディングの重要性、ウェブサイトやSNSの活用法などについて、約2時間にわたって講義を行った横井氏。単に販促の一般論を語るのではなく、販促のプロの目線からのオーディオショップの分析を踏まえつつ解説を行っている点も印象的だった。
イベントに参加した各ショップのスタッフからは、「販促に特化したセミナーをプロの講師から受けられる機会は大変貴重だ」「店舗のブランディングについて、根本から考え直させられた」などの感想を聞くことができた。
オーディオ体験を通してより多くのお客様に感動を伝えたい。その想いはメーカー側、オーディオ専門店も同じだろう。富士通テンはECLIPSEパートナーシップを通して、ECLIPSEの魅力をさらに伝えていきたいと考えている。ECLIPSEがショップに貢献するために様々なメリットを用意していることにも注目したい。
後編では、ECLIPSEパートナー店である宮崎県・木田電業をレポートする。パートナー店が実際にどのようにしてECLIPSEの魅力を伝えているのか、ショップの現場の模様をお伝えしたい。
(特別企画 協力:富士通テン)