公開日 2018/08/09 06:15
上位モデルの音質思想を継承
デノン “新世代エントリー”、CDプレーヤー「DCD-800NE」とプリメイン「PMA-800NE」の実力を探る
生形三郎
発売以来、高い評価を獲得し続けているデノンの新世代Hi-Fiコンポーネント「NE(New Era)シリーズ」。そこへ、新たなラインナップ「800NEシリーズ」が登場した(関連ニュース)。同社はこれまで、ミドルハイクラス「2500NEシリーズ」、ミドルクラス「1600NEシリーズ」を展開してきたが、新たに末弟となるエントリーラインが加わったというかたちだ。それも価格的には10万円を大きく下回る、競争激しいエントリークラスのボリュームレンジへの投入となる。
この800NEシリーズを発売に先駆け、早速、気になるその実力を徹底チェックしたので、2回にわたってレポートしたい(本記事は前編として、CDプレーヤー DCD-800NEとプリメインアンプ PMA-800NEの2機種を、後編でネットワークプレーヤー DNP800NEをレビューする)。結論から言って、良い意味で予想を大きく裏切られるプロダクトであった。
■上位機の音質思想を継承したNEシリーズのエントリー
800NEシリーズにラインアップされるのは、CDプレーヤー「DCD-800NE」(60,000円/税抜)、プリメインアンプ「PMA-800NE」(70,000円/税抜)、ネットワークプレーヤー「DNP-800NE」(60,000円/税抜)の3機種で、いずれも10万円を大きく下回る。これらはもちろん、同じNEシリーズの上位ライン「2500NE/1600NE」の思想を受け継ぐことが特徴で、「“継承と進化”を伴った新しいHi-Fiシリーズ」であるという。
目指すサウンドも、上位機種で掲げられてきた「ビビッド」(音の鮮度)と「スペーシャス」(空間再現性)を踏襲。開発当初は「1600NEシリーズの半額」という価格設定では困難かと思われていたそれらの音傾向を、上位機で培ったノウハウを元に実現させることができたと同社は紹介している。
なお、位置付け的にこの800NEシリーズは「1600NEシリーズ」と、プリメインアンプ「PMA-390RE」/CDプレーヤー「DCD-755RE」の間を補間するポジショニングとなる。だが、上記の経緯からも推察されるように、「NE」という名が冠された本シリーズは、先述の「RE」両機種を大きく上回る実力を有すると考えてよさそうだ。
■USBメモリーからのハイレゾ再生に対応したCDプレーヤー「DCD-800NE」
CD専用プレーヤー「DCD-800NE」は、音楽CDの再生に加え、USB-A入力から5.6MHz DSDや192kHz/24bitのWAV/AIFF/FLACなどのハイレゾ音源を再生することができるプレーヤーだ。
率直に言って、このUSB-A端子からのハイレゾ再生対応が大きなポイントのひとつと言えるだろう。価格の近い同社「DCD-755RE」(52,000円/税抜)では、USB-A入力で再生できるのはMP3とWMAのみとなっていたからだ。さらに、デジタルプレーヤーの心臓部とも言えるDACチップには、このクラスへの採用は同社初、これまで上位機のみで使用されていたという「PCM1795」を搭載。このほか、後述する上位機直系の技術を受け継ぐことで、確かな音質を確保していることが明白だ。
まず、デジタル再生の要となるクロックの制御には、上位機から「DACマスター・クロック・デザイン」を継承。DAC自体をマスタークロックに据えることで、DACの正確な動作とデジタル回路全体の高精度な同期を両立するという設計思想だ。クロック発振器も、44.1kHz系、48kHz系用にそれぞれ1基ずつを搭載する本格仕様となっている。
なお、信号再生にあたっては、同社独自のアナログ波形再現技術「Advanced AL32 Processing Plus」によって、音楽信号を705.6kHz/32bitへとアップサンプリング&ビット拡張再生するとともに、ここで独自設計のデジタルフィルター処理を行っている。
回路構成も、上位機の「ミニマム・シグナル・パス回路」を受け継ぐ。基板上の信号の引き回しを最短化し、回路間の干渉や外部ノイズ混入などを抑制。D/A変換以降のアナログオーディオ回路には、上位機と同じく、同社カスタム仕様の大容量ブロックコンデンサー(3,300μF)を搭載するほか、フラグシップ「DCD-SX1」の技術を汲む音質パーツを多数採用する充実のパーツ構成となっている。
振動対策にも抜かりがない。こちらも上位機で採用される振動抑制構造「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」を踏襲し、電源トランスやドライブメカのリジッドかつ最適な固定配置を行い、内部や外部からの振動の影響を抑制。また、上位機「DCD-1600NE」でも採用されるリブ入りの高剛性フットを備えるほか、フロントパネルの厚みを従来よりも14%厚くすることで、振動対策及び筐体剛性アップに努めた仕様となっている。
■同軸/光デジタル入力搭載のプリメインアンプ「PMA-800NE」
プリメインアンプ「PMA-800NE」は、192kHz/24bit対応の同軸/光デジタル入力を備えるとともに、MM/MC対応のフォノ入力も搭載して幅広い音楽ソースに対応する、現代的な構成のインテグレーテッドアンプだ。
こちらもDCD-800NEと同様、上位機の技術やノウハウが惜しげ無く盛り込まれている。アンプ部は、同社が最上位モデルから一貫して採用し続ける「シングル・プッシュプル」構成を採用。1ペアの素子のみで増幅を行うことにより、多数の素子を用いて大電流を得るパラレル駆動における音濁りなどの問題を回避している。
この800NEシリーズを発売に先駆け、早速、気になるその実力を徹底チェックしたので、2回にわたってレポートしたい(本記事は前編として、CDプレーヤー DCD-800NEとプリメインアンプ PMA-800NEの2機種を、後編でネットワークプレーヤー DNP800NEをレビューする)。結論から言って、良い意味で予想を大きく裏切られるプロダクトであった。
■上位機の音質思想を継承したNEシリーズのエントリー
800NEシリーズにラインアップされるのは、CDプレーヤー「DCD-800NE」(60,000円/税抜)、プリメインアンプ「PMA-800NE」(70,000円/税抜)、ネットワークプレーヤー「DNP-800NE」(60,000円/税抜)の3機種で、いずれも10万円を大きく下回る。これらはもちろん、同じNEシリーズの上位ライン「2500NE/1600NE」の思想を受け継ぐことが特徴で、「“継承と進化”を伴った新しいHi-Fiシリーズ」であるという。
目指すサウンドも、上位機種で掲げられてきた「ビビッド」(音の鮮度)と「スペーシャス」(空間再現性)を踏襲。開発当初は「1600NEシリーズの半額」という価格設定では困難かと思われていたそれらの音傾向を、上位機で培ったノウハウを元に実現させることができたと同社は紹介している。
なお、位置付け的にこの800NEシリーズは「1600NEシリーズ」と、プリメインアンプ「PMA-390RE」/CDプレーヤー「DCD-755RE」の間を補間するポジショニングとなる。だが、上記の経緯からも推察されるように、「NE」という名が冠された本シリーズは、先述の「RE」両機種を大きく上回る実力を有すると考えてよさそうだ。
■USBメモリーからのハイレゾ再生に対応したCDプレーヤー「DCD-800NE」
CD専用プレーヤー「DCD-800NE」は、音楽CDの再生に加え、USB-A入力から5.6MHz DSDや192kHz/24bitのWAV/AIFF/FLACなどのハイレゾ音源を再生することができるプレーヤーだ。
率直に言って、このUSB-A端子からのハイレゾ再生対応が大きなポイントのひとつと言えるだろう。価格の近い同社「DCD-755RE」(52,000円/税抜)では、USB-A入力で再生できるのはMP3とWMAのみとなっていたからだ。さらに、デジタルプレーヤーの心臓部とも言えるDACチップには、このクラスへの採用は同社初、これまで上位機のみで使用されていたという「PCM1795」を搭載。このほか、後述する上位機直系の技術を受け継ぐことで、確かな音質を確保していることが明白だ。
まず、デジタル再生の要となるクロックの制御には、上位機から「DACマスター・クロック・デザイン」を継承。DAC自体をマスタークロックに据えることで、DACの正確な動作とデジタル回路全体の高精度な同期を両立するという設計思想だ。クロック発振器も、44.1kHz系、48kHz系用にそれぞれ1基ずつを搭載する本格仕様となっている。
なお、信号再生にあたっては、同社独自のアナログ波形再現技術「Advanced AL32 Processing Plus」によって、音楽信号を705.6kHz/32bitへとアップサンプリング&ビット拡張再生するとともに、ここで独自設計のデジタルフィルター処理を行っている。
回路構成も、上位機の「ミニマム・シグナル・パス回路」を受け継ぐ。基板上の信号の引き回しを最短化し、回路間の干渉や外部ノイズ混入などを抑制。D/A変換以降のアナログオーディオ回路には、上位機と同じく、同社カスタム仕様の大容量ブロックコンデンサー(3,300μF)を搭載するほか、フラグシップ「DCD-SX1」の技術を汲む音質パーツを多数採用する充実のパーツ構成となっている。
振動対策にも抜かりがない。こちらも上位機で採用される振動抑制構造「ダイレクト・メカニカル・グラウンド・コンストラクション」を踏襲し、電源トランスやドライブメカのリジッドかつ最適な固定配置を行い、内部や外部からの振動の影響を抑制。また、上位機「DCD-1600NE」でも採用されるリブ入りの高剛性フットを備えるほか、フロントパネルの厚みを従来よりも14%厚くすることで、振動対策及び筐体剛性アップに努めた仕様となっている。
■同軸/光デジタル入力搭載のプリメインアンプ「PMA-800NE」
プリメインアンプ「PMA-800NE」は、192kHz/24bit対応の同軸/光デジタル入力を備えるとともに、MM/MC対応のフォノ入力も搭載して幅広い音楽ソースに対応する、現代的な構成のインテグレーテッドアンプだ。
こちらもDCD-800NEと同様、上位機の技術やノウハウが惜しげ無く盛り込まれている。アンプ部は、同社が最上位モデルから一貫して採用し続ける「シングル・プッシュプル」構成を採用。1ペアの素子のみで増幅を行うことにより、多数の素子を用いて大電流を得るパラレル駆動における音濁りなどの問題を回避している。
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