公開日 2018/08/17 12:29
超ハイコストパフォーマンスで簡単導入
増やせば増やすほど音質向上! iFi audioの電源エンハンサー「iPurifier AC」を複数使った効果を試す
岩井 喬
昨年iFi audioから登場したアクティブ電源ノイズキャンセラー「iPurifier AC」。コンセントや電源タップの空き口に差し込むだけの手軽な使用感ながら音質にもたらす効果は絶大で、発売より大きな注目を集めている。今回は、その手頃な価格設定から簡単に行うことができる複数での導入についての効果を検証。岩井 喬氏に解説いただいた。
■電源のステータスまで確認可能な画期的アイテム
電源の質がオーディオの音質に関わる大事な要素のひとつであることは周知の事実である。特にAC家庭用電源は他の電化機器からのノイズ流入など、音質を悪化させる要因は無数に存在し、その対策を行うアクセサリーも複数紹介されてきた。そして昨年の冬、ネットオーディオ市場で高い支持を集めるiFi audioから画期的な電源エンハンサーiPurifier ACがリリースされ、話題となっている。
これまではUSB電源などの小電力分野のアクセサリーをリリースしたこともあったが、ここにきて本格的なAC家庭用電源に向けたアイテムを発表したこと、さらにはその価格自体が非常に低価格なものであることもあり、多くのオーディオマニアの関心を寄せるものとなった。
iPurifier ACは3Pタイプのコンセントへそのまま差し込むだけの電源改善アクセサリーである。本体ボディに取り付けられた2つのLEDにより、電源の極性やアース接続状態もチェックできるアクティブ型電源ノイズキャンセラーであり、特許技術であるアクティブ・ノイズ・キャンセレーションによって幅広い周波数帯域に対して混入するノイズをキャンセルする。
またアースが欠落していても別売りグラウンド・ケーブルを本機に繋ぎ、内蔵するグラウンド・ループ保護回路によってアクティブにアースを供給することが可能なインテリジェント・グラウンド接続機能も有している。
3Pコンセントを設置していてもアース線を接続していないという場合もあり得るが、そうしたときも効果を発揮できることがポイントであり、Earthランプが問題ありと判断される赤色表示であっても、ニュートラル極とライブ極間でのディファレンシャル・ノイズリダクションが働く。もちろん、この2極とアース間で効果を発揮するコモンモード・ノイズリダクションも条件が揃えば有効になるため、どのようなコンセント環境でも対策が可能なのだ。
そしてiPurifier ACならではの利点は低価格なことであり、複数個導入するのもたやすい。ここからは実際に1個から3個まで、各々違う壁コンセントから供給される電源タップに使用した場合の効果を確認していこう。
■ひとつ追加するにつれてより品位の高いサウンドへ
編集部の試聴室にてiPurifier ACを用いてみたが、まずはNASやルーターなどのデジタル機器用電源タップに装着。LEDステータスは両方緑なので、この試聴室はアースがつながっていることになり、コモンモード・ノイズリダクションも働く環境だ。音像はスッキリと分離良く感じられるようになり、キックドラムやベースの輪郭も引き締まり、音場の透明度が向上。楽器の定位もフォーカス良く決まる。S/Nが高く質感描写のていねいさも増しているようだ。
続いてパワーアンプを繋いでいる電源タップに2個目を装着。こちらはPolarityランプが赤表示となっていたが、それでも音像のフォーカスが増し、付帯音のないサウンドに進化。音場に関しても奥行き感が生まれ、質感もよりナチュラルに描かれる。音離れの良さ、S/N感も一段と向上しており、ディテールの滑らかさや余韻の階調性がより掴みやすくなった。
最後に2つのLEDが赤表示となるアース未接続コンセントからの電源タップに3個目を装着してみたが、変化の度合いはここまでの中でも少ないものとなる印象だ。しかし分離良くしなやかで立体的な音場表現と、ハーモニクスの澄んだ爽やかな倍音の響きはハイエンド環境に繋がる品位の高いものであり、リアルさや空間情報の正確な表現においては最も良いレベルまで引き上げられている。
そしてもうひとつ、1個目のiPurifier ACにグラウンド・ケーブルを繋ぎ、DACのRCA端子のGNDと結んでアクティブ・アース環境を構築して試聴を行った。この場合は、非常に抜けよく高S/Nで、楽器の質感もひと際細かく表現できるようになった。音場の情報量や音像の引き締め効果も高まり、ハイレゾらしい開放的で誇張のない、自然な解像度の高さを実感。インテリジェント・グラウンドの効果についても申し分ない。
■ありがちなマイナス要素は一切感じられない
こうした電源系アクセサリーの多くは使うほど音が痩せ、エナジーのないサウンドになりがちだが、iPurifier ACは3個までの実験では全くそうしたマイナス効果を感じることがなかった。広帯域に渡るアクティブ・ノイズリダクションというAC電源では他に類を見ないアプローチをリーズナブルに実現したことに驚きを隠しえない。まさに電源系アクセサリーの定番として欠かせない存在といえるだろう。
※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」168号所収記事を転載したものです。本誌の購入はこちらから。
■電源のステータスまで確認可能な画期的アイテム
電源の質がオーディオの音質に関わる大事な要素のひとつであることは周知の事実である。特にAC家庭用電源は他の電化機器からのノイズ流入など、音質を悪化させる要因は無数に存在し、その対策を行うアクセサリーも複数紹介されてきた。そして昨年の冬、ネットオーディオ市場で高い支持を集めるiFi audioから画期的な電源エンハンサーiPurifier ACがリリースされ、話題となっている。
これまではUSB電源などの小電力分野のアクセサリーをリリースしたこともあったが、ここにきて本格的なAC家庭用電源に向けたアイテムを発表したこと、さらにはその価格自体が非常に低価格なものであることもあり、多くのオーディオマニアの関心を寄せるものとなった。
iPurifier ACは3Pタイプのコンセントへそのまま差し込むだけの電源改善アクセサリーである。本体ボディに取り付けられた2つのLEDにより、電源の極性やアース接続状態もチェックできるアクティブ型電源ノイズキャンセラーであり、特許技術であるアクティブ・ノイズ・キャンセレーションによって幅広い周波数帯域に対して混入するノイズをキャンセルする。
またアースが欠落していても別売りグラウンド・ケーブルを本機に繋ぎ、内蔵するグラウンド・ループ保護回路によってアクティブにアースを供給することが可能なインテリジェント・グラウンド接続機能も有している。
3Pコンセントを設置していてもアース線を接続していないという場合もあり得るが、そうしたときも効果を発揮できることがポイントであり、Earthランプが問題ありと判断される赤色表示であっても、ニュートラル極とライブ極間でのディファレンシャル・ノイズリダクションが働く。もちろん、この2極とアース間で効果を発揮するコモンモード・ノイズリダクションも条件が揃えば有効になるため、どのようなコンセント環境でも対策が可能なのだ。
そしてiPurifier ACならではの利点は低価格なことであり、複数個導入するのもたやすい。ここからは実際に1個から3個まで、各々違う壁コンセントから供給される電源タップに使用した場合の効果を確認していこう。
■ひとつ追加するにつれてより品位の高いサウンドへ
編集部の試聴室にてiPurifier ACを用いてみたが、まずはNASやルーターなどのデジタル機器用電源タップに装着。LEDステータスは両方緑なので、この試聴室はアースがつながっていることになり、コモンモード・ノイズリダクションも働く環境だ。音像はスッキリと分離良く感じられるようになり、キックドラムやベースの輪郭も引き締まり、音場の透明度が向上。楽器の定位もフォーカス良く決まる。S/Nが高く質感描写のていねいさも増しているようだ。
続いてパワーアンプを繋いでいる電源タップに2個目を装着。こちらはPolarityランプが赤表示となっていたが、それでも音像のフォーカスが増し、付帯音のないサウンドに進化。音場に関しても奥行き感が生まれ、質感もよりナチュラルに描かれる。音離れの良さ、S/N感も一段と向上しており、ディテールの滑らかさや余韻の階調性がより掴みやすくなった。
最後に2つのLEDが赤表示となるアース未接続コンセントからの電源タップに3個目を装着してみたが、変化の度合いはここまでの中でも少ないものとなる印象だ。しかし分離良くしなやかで立体的な音場表現と、ハーモニクスの澄んだ爽やかな倍音の響きはハイエンド環境に繋がる品位の高いものであり、リアルさや空間情報の正確な表現においては最も良いレベルまで引き上げられている。
そしてもうひとつ、1個目のiPurifier ACにグラウンド・ケーブルを繋ぎ、DACのRCA端子のGNDと結んでアクティブ・アース環境を構築して試聴を行った。この場合は、非常に抜けよく高S/Nで、楽器の質感もひと際細かく表現できるようになった。音場の情報量や音像の引き締め効果も高まり、ハイレゾらしい開放的で誇張のない、自然な解像度の高さを実感。インテリジェント・グラウンドの効果についても申し分ない。
■ありがちなマイナス要素は一切感じられない
こうした電源系アクセサリーの多くは使うほど音が痩せ、エナジーのないサウンドになりがちだが、iPurifier ACは3個までの実験では全くそうしたマイナス効果を感じることがなかった。広帯域に渡るアクティブ・ノイズリダクションというAC電源では他に類を見ないアプローチをリーズナブルに実現したことに驚きを隠しえない。まさに電源系アクセサリーの定番として欠かせない存在といえるだろう。
※本記事は「季刊オーディオアクセサリー」168号所収記事を転載したものです。本誌の購入はこちらから。