公開日 2019/08/07 07:00
通常版と異なる魅力をまとう
アヴァンギャルド「UNO XD/DUO XD」のピアノ仕上げモデル“BLACK EDITION”を聴く
鈴木 裕
ドイツのAvantgarde(アヴァンギャルド)の第3世代スピーカーシステム「XDシリーズ」。本記事では、唯一無二の存在感を放つ「DUO XD」と「UNO XD」の特別モデルとなる「BLACK EDITION」を、鈴木 裕氏がレポートする。
■XDとなって完成度が極まり、さらに高いハイファイ性能を獲得
「XD」とつけられた現在のアヴァンギャルドのモデル群。見た感じは初代からあまり変化がないようにも感じるが、第2世代で進化し、さらにXDの世代になって極めて高い完成度に到達している。その特有の世界観は初代そのままに、さらに高いハイファイ性能を獲得しているのだ。他のメーカーのスピーカーではこういう音楽の聴かせ方はしない。唯一無二の存在となっている。
■キャビがピアノブラック仕上げのDUO XDとUNO XDが登場
「DUO XD」と「UNO XD」の特別モデルである「BLACK EDITION」は、いずれもエンクロージャーをピアノブラック仕上げにしている。スペック的にはレギュラーモデルと同様ということだが、シックで高級感のある仕上げには、また異なる魅力を感じる。
UNO XDのスペックを短く紹介しておくと、上位機種と同じく能率が107dB、ノミナルインピーダンス18Ωという数字で、それは振動板にマイラーフィルムを採用したH3オメガトゥイーターやミッドレンジのダブルフェライトマグネット/メッシュドーム採用によるものだ。また、サブウーファー内蔵のパワーアンプは1,000Wで、デジタル領域の制御部と合わせてリニアリティの高い低音を目指している。
■音像が大きく特有の立体感で生々しい世界に放り込まれる
テストはエソテリックの試聴室で行った。プレーヤーは「Grandioso K1」、プリメインアンプは「Grandioso F1」である。
エリック・クラプトンの『アンプラグド』を聴くと、まず印象的なのはヴォーカルやバックのミュージシャンたちの音像が大きく、特有の立体感を持っている点。音の表面のディテールが細やかにあり、ツルツルしていたり、ザラザラしている描写力が高い。大きく、生々しい世界に、聴き手が放り込まれるような感覚さえある。
さすがと思えるのは低域や最低域に違和感がないことで、低音の立ち上がるタイミングが合っていて、音色的にも中高域とシームレスにつながっている。
■空間の透明度や微小領域のリニアリティの高さが素晴らしい
SACDでアバド指揮ベルリン・フィルの『ジルヴェスターコンサート1997』を聴くと、その空間の透明度や微小領域のリニアリティの高さが素晴らしい。と、同時にアンプやプレーヤーの音を反映する度合いがずいぶん高いスピーカーなのもよく分かる。
K1の音の色彩感や、F1のいい意味で湿りけのある音色感が再生音全体にあり、生々しい描写とともに、オーディオ的な美音の世界を形成。何か深々とした鳴りの良さがあるのだ。
この音の鳴り方、あるいはサウンドステージの成立のさせ方にいったんハマると、他のスピーカーでは満足できなくなるだろう。
■至高のデザインと能力を持ち、所有者の満足度を高めてくれる
初代ではホーンの受け持つ中高域と、サブウーファー部の低音が違う鳴り方をする場面があり、できうるだけ大きなサイズのホーンのモデルを使いたいと思わせられたアヴァンギャルドだった。しかし、XDになって中高域と低域がシームレスに鳴る度合いが相当に高くなって、それは特にUNO XDやDUO XDの価値観を高めている。
そこに登場したBLACK EDITION。音楽を聴かせるこれならではの実力とともに、このスピーカーのオーナーになる人の満足度を高めてくれるだろう。
(鈴木 裕)
<Specification>
【システム】●周波数特性:サテライト290〜20kHz 、サブウーファー18〜350Hz ●許容入力:50W ●能率(1w/1m) :107dB以上●クロスオーバー周波数:290Hz/3kHz●インピーダンス:18Ω
【ホーン】●形式:スフェリカルホーン●材質:ABS樹脂●仕上げ:ポリッシュ仕上げ●放射特性:180°●ホーン直径:ミッドレンジ 500mm(20インチ)、トゥイーター 130mm(5インチ)
【ホーンドライバー】●口径:ミッドレンジ 127mmダブルフェライトマグネット、トゥイーター 25mmフェライトマグネット
【サブウーファー】●最大出力(RMS):2×500W●ドライバー口径:2×250mmフェライトマグネット
【デジタルサウンドプロセッサー】●0.01mSecで調整可能●パラメトリックイコライザー:プログラム可能、10×パラメトリックイコライザー●サイズ:500W×1380H(±15)×590Dmm●質量:73.5kg●取り扱い:エソテリック(株)
本記事は季刊・オーディオアクセサリー 170号 AUTUMNからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。
■XDとなって完成度が極まり、さらに高いハイファイ性能を獲得
「XD」とつけられた現在のアヴァンギャルドのモデル群。見た感じは初代からあまり変化がないようにも感じるが、第2世代で進化し、さらにXDの世代になって極めて高い完成度に到達している。その特有の世界観は初代そのままに、さらに高いハイファイ性能を獲得しているのだ。他のメーカーのスピーカーではこういう音楽の聴かせ方はしない。唯一無二の存在となっている。
■キャビがピアノブラック仕上げのDUO XDとUNO XDが登場
「DUO XD」と「UNO XD」の特別モデルである「BLACK EDITION」は、いずれもエンクロージャーをピアノブラック仕上げにしている。スペック的にはレギュラーモデルと同様ということだが、シックで高級感のある仕上げには、また異なる魅力を感じる。
UNO XDのスペックを短く紹介しておくと、上位機種と同じく能率が107dB、ノミナルインピーダンス18Ωという数字で、それは振動板にマイラーフィルムを採用したH3オメガトゥイーターやミッドレンジのダブルフェライトマグネット/メッシュドーム採用によるものだ。また、サブウーファー内蔵のパワーアンプは1,000Wで、デジタル領域の制御部と合わせてリニアリティの高い低音を目指している。
■音像が大きく特有の立体感で生々しい世界に放り込まれる
テストはエソテリックの試聴室で行った。プレーヤーは「Grandioso K1」、プリメインアンプは「Grandioso F1」である。
エリック・クラプトンの『アンプラグド』を聴くと、まず印象的なのはヴォーカルやバックのミュージシャンたちの音像が大きく、特有の立体感を持っている点。音の表面のディテールが細やかにあり、ツルツルしていたり、ザラザラしている描写力が高い。大きく、生々しい世界に、聴き手が放り込まれるような感覚さえある。
さすがと思えるのは低域や最低域に違和感がないことで、低音の立ち上がるタイミングが合っていて、音色的にも中高域とシームレスにつながっている。
■空間の透明度や微小領域のリニアリティの高さが素晴らしい
SACDでアバド指揮ベルリン・フィルの『ジルヴェスターコンサート1997』を聴くと、その空間の透明度や微小領域のリニアリティの高さが素晴らしい。と、同時にアンプやプレーヤーの音を反映する度合いがずいぶん高いスピーカーなのもよく分かる。
K1の音の色彩感や、F1のいい意味で湿りけのある音色感が再生音全体にあり、生々しい描写とともに、オーディオ的な美音の世界を形成。何か深々とした鳴りの良さがあるのだ。
この音の鳴り方、あるいはサウンドステージの成立のさせ方にいったんハマると、他のスピーカーでは満足できなくなるだろう。
■至高のデザインと能力を持ち、所有者の満足度を高めてくれる
初代ではホーンの受け持つ中高域と、サブウーファー部の低音が違う鳴り方をする場面があり、できうるだけ大きなサイズのホーンのモデルを使いたいと思わせられたアヴァンギャルドだった。しかし、XDになって中高域と低域がシームレスに鳴る度合いが相当に高くなって、それは特にUNO XDやDUO XDの価値観を高めている。
そこに登場したBLACK EDITION。音楽を聴かせるこれならではの実力とともに、このスピーカーのオーナーになる人の満足度を高めてくれるだろう。
(鈴木 裕)
<Specification>
【システム】●周波数特性:サテライト290〜20kHz 、サブウーファー18〜350Hz ●許容入力:50W ●能率(1w/1m) :107dB以上●クロスオーバー周波数:290Hz/3kHz●インピーダンス:18Ω
【ホーン】●形式:スフェリカルホーン●材質:ABS樹脂●仕上げ:ポリッシュ仕上げ●放射特性:180°●ホーン直径:ミッドレンジ 500mm(20インチ)、トゥイーター 130mm(5インチ)
【ホーンドライバー】●口径:ミッドレンジ 127mmダブルフェライトマグネット、トゥイーター 25mmフェライトマグネット
【サブウーファー】●最大出力(RMS):2×500W●ドライバー口径:2×250mmフェライトマグネット
【デジタルサウンドプロセッサー】●0.01mSecで調整可能●パラメトリックイコライザー:プログラム可能、10×パラメトリックイコライザー●サイズ:500W×1380H(±15)×590Dmm●質量:73.5kg●取り扱い:エソテリック(株)
本記事は季刊・オーディオアクセサリー 170号 AUTUMNからの転載です。本誌の詳細および購入はこちらから。