公開日 2020/09/15 06:30
【特別企画】「VGP2020 SUMMER イヤホン大賞」受賞モデル
シュア新世代イヤホン「AONIC 3/4/5」登場。3人の評論家が“推しポイント”を解説!
山本 敦/岩井 喬/高橋 敦
シュア高遮音性イヤホンに加わった、3つのNEWアイテム「AONIC 3/4/5」。それぞれの “AONIC” に惚れ込んだ評論家が"推しポイント"を解説! どれにするか迷っているアナタ、ぜひ参考にしてみては?
評論家 山本 敦の推しイヤホン
●AONIC 3
■新世代のスタンダード
プレミアムイヤホン、そしてリケーブルの文化を生み出した功労者といってもいい、シュアの高遮音性イヤホンシリーズ。新たにラインナップに加わった「AONIC 3」は、「SE315」「E4c」というシュアの “名機” と呼ばれたシングルBAイヤホン2モデルのDNAを受け継ぐ、期待の新製品だ。
AONIC 3は従来の “SEシリーズ” と違い、軽量かつスリムなハウジングを採用している。ケーブルは耳の後ろから回して “シュア掛け” にして、高遮音性イヤーチップで固定できる。音楽が鳴り始めるまでイヤホンを着け忘れてしまったかと錯覚するほどに軽快で開放的だ。プロ仕様ながら、小耳の女性でも気軽に使えるデザインを実現しており、より多くのユーザーに高音質を楽しんでもらえるものになっている。
サウンドはスリムな外観から想像も付かないほどにエネルギッシュだ。低音は重心が低くパンチ力もある。クリアで生命力にあふれる中高域のイメージは、上位機AONIC 5のエッセンスそのもの。輪郭線が力強く繊細に描かれるボーカルの存在感が際立っている。楽器の音色も自然で素直。
さすがは長年に渡って音楽のプロに寄り添いながら、スタジオ、ステージに必要な機材をマイクロフォンから手がけるシュアが創立95周年を迎えて放つ実力派だ。その音を聴けば誰もが2020年夏のVGPアワードでイヤホン大賞を獲得したことに納得するだろう。とりわけシュアの新世代のスタンダードとして、驚くほどのコスパを実現した、AONIC 3のインパクトには目を見張るはずだ。
評論家 岩井 喬の推しイヤホン
●AONIC 4
■音の繋がりがスムーズ
この夏、シュアから発売されたAONICシリーズの中で筆者が最も注目しているのが、ブランド初のハイブリッド型ドライバー採用モデル「AONIC 4」だ。
ダイナミック型ドライバーとBA型ドライバーを1基ずつ組み合わせたハイブリッド構成で、特性や駆動系のつくりが異なる2種類のユニットを融合させるため、世界最高峰の音響技術者が時間をかけてまとめ上げたという。ハイブリッドモデルとしては後発となるが、各々のユニットが持つ特徴を上手に引き出しつつ、シームレスな音の繋がりを実現していることに驚かされた。
AONICシリーズとしてはコスパの高い2モデルに挟まれているが、エネルギッシュで厚みのあるリズム隊の低重心な表現と、ヌケよく分離するボーカルのクリアさを両立し、シリーズの中で一際光る個性を打ち出している。
脚色の少ない自然な輝きを放つ弦楽器やピアノ、シンバルの響きの素直さが、サウンド全体の落ち着きを生む。声の帯域の滑らかさ、ボディ感の自然さはストリーミングサービスであっても分離よくスムーズなサウンドとして楽しめるだろう。高域にかけて過度な艶っぽさを廃した穏やかな音伸び、ニュートラルな音調はモニター由来の正確な表現である。
シュアのイヤホンラインナップとして主流のBA型ドライバーは使いこなしも熟成しているが、BA型マルチウェイだけではなく、ハイブリッド構成を今この時期に打ち出してきたシュアの自信の高さを窺わせる、極めて良質なプロダクトだ。
評論家 高橋 敦の推しイヤホン
●AONIC 5
■ノズル交換で音質調整
シュアが誇る名機「SE535」から低域2基+中高域1基のドライバー構成、そしてトップエンド「SE846」からはフィルター交換による音質カスタマイズ機能を継承したモデル。SE535発売からは約10年、SE846からも約7年を経ており、より洗練された形での継承だ。
ドライバー構成は同じでも、サウンドはSE535から明確に進化している。SE535は描写の正確さと同時に耳を疲れさせないナチュラルな感触も備えているが、本機はそれを継承しつつクリアさも高められている。お水に喩えると、どちらも美味しい天然水ではありつつ、SE535は軟水系でAONIC 5は硬水系のような口当たり。オーディオ的に言うなら「より現代的な解像感」といったところか。
フィルター交換機構は、SE846ではノズルを外してその中のフィルターを交換する手順だったが、AONIC 5では各フィルター内蔵のノズルだけを交換すればOKと簡略化されている。より手早く交換でき、聴き比べも使い分けも捗るだろう。
ノズルは「バランス」「ウォーム」「ブライト」の3種類で、AONIC 5に最適化されている。そして注目は新「ウォーム」フィルター。高域を減衰させるだけではない絶妙な調整で、クリアさを損なわずにナチュラルさを高めるような効果が得られる。これはSE535でもSE846でも得られない、AONIC 5ならではといえるサウンドだ。
シュアの現代版の音作りとSE846を超える機能性がSE846の約半額にまとめられた、お値段以上の価値を感じられるモデルとして、筆者はAONIC 5を推薦したい。
<Specification>
AONIC3
●型式:バランスド・アーマチュア型(BA1基)●再生周波数帯域:22-18,500Hz●インピーダンス:28Ω●付属品:フォーム・イヤーチップ(S/M/L)、イエロー・フォーム・イヤー
チップ、ソフト・フレックス・イヤーチップ(S/M/L)、トリプルフランジ・イヤーチップ、キャリングケース、6.3mmアダプター、クリーニングツール●カラー:ブラック
AONIC4
●型式:ハイブリッド型(BA1基+ダイナミック型1基)●再生周波数帯域:20-19,000Hz ●インピーダンス:7Ω●付属品:フォーム・イヤーチップ(S/M/L)、イエロー・フォーム・イヤーチップ、ソフト・フレックス・イヤーチップ(S/M/L)、トリプルフランジ・イヤーチップ、キャリングケース、6.3mmアダプター、クリーニングツール●カラー:ブラック、ホワイト
AONIC5
●型式:バランスド・アーマチュア型(BA3基)●再生周波数帯域:18-19,500Hz●インピーダンス:36Ω●付属品:交換ノズル(バランス、ウォーム、ブライト)、フォーム・イヤーチップ(S/M/L)、イエロー・フォーム・イヤーチップ、ソフト・フレックス・イヤーチップ(S/M/L)、トリプルフランジ・イヤーチップ、COMPLY Pタイプ イヤーチップ(S/M/L)キャリングケース、6.3mmアダプター、クリーニングツール●カラー:ブラック、クリア、レッド
本記事は「プレミアムヘッドホンガイド vol.24 2020秋版」からの転載です。
評論家 山本 敦の推しイヤホン
●AONIC 3
■新世代のスタンダード
プレミアムイヤホン、そしてリケーブルの文化を生み出した功労者といってもいい、シュアの高遮音性イヤホンシリーズ。新たにラインナップに加わった「AONIC 3」は、「SE315」「E4c」というシュアの “名機” と呼ばれたシングルBAイヤホン2モデルのDNAを受け継ぐ、期待の新製品だ。
AONIC 3は従来の “SEシリーズ” と違い、軽量かつスリムなハウジングを採用している。ケーブルは耳の後ろから回して “シュア掛け” にして、高遮音性イヤーチップで固定できる。音楽が鳴り始めるまでイヤホンを着け忘れてしまったかと錯覚するほどに軽快で開放的だ。プロ仕様ながら、小耳の女性でも気軽に使えるデザインを実現しており、より多くのユーザーに高音質を楽しんでもらえるものになっている。
サウンドはスリムな外観から想像も付かないほどにエネルギッシュだ。低音は重心が低くパンチ力もある。クリアで生命力にあふれる中高域のイメージは、上位機AONIC 5のエッセンスそのもの。輪郭線が力強く繊細に描かれるボーカルの存在感が際立っている。楽器の音色も自然で素直。
さすがは長年に渡って音楽のプロに寄り添いながら、スタジオ、ステージに必要な機材をマイクロフォンから手がけるシュアが創立95周年を迎えて放つ実力派だ。その音を聴けば誰もが2020年夏のVGPアワードでイヤホン大賞を獲得したことに納得するだろう。とりわけシュアの新世代のスタンダードとして、驚くほどのコスパを実現した、AONIC 3のインパクトには目を見張るはずだ。
評論家 岩井 喬の推しイヤホン
●AONIC 4
■音の繋がりがスムーズ
この夏、シュアから発売されたAONICシリーズの中で筆者が最も注目しているのが、ブランド初のハイブリッド型ドライバー採用モデル「AONIC 4」だ。
ダイナミック型ドライバーとBA型ドライバーを1基ずつ組み合わせたハイブリッド構成で、特性や駆動系のつくりが異なる2種類のユニットを融合させるため、世界最高峰の音響技術者が時間をかけてまとめ上げたという。ハイブリッドモデルとしては後発となるが、各々のユニットが持つ特徴を上手に引き出しつつ、シームレスな音の繋がりを実現していることに驚かされた。
AONICシリーズとしてはコスパの高い2モデルに挟まれているが、エネルギッシュで厚みのあるリズム隊の低重心な表現と、ヌケよく分離するボーカルのクリアさを両立し、シリーズの中で一際光る個性を打ち出している。
脚色の少ない自然な輝きを放つ弦楽器やピアノ、シンバルの響きの素直さが、サウンド全体の落ち着きを生む。声の帯域の滑らかさ、ボディ感の自然さはストリーミングサービスであっても分離よくスムーズなサウンドとして楽しめるだろう。高域にかけて過度な艶っぽさを廃した穏やかな音伸び、ニュートラルな音調はモニター由来の正確な表現である。
シュアのイヤホンラインナップとして主流のBA型ドライバーは使いこなしも熟成しているが、BA型マルチウェイだけではなく、ハイブリッド構成を今この時期に打ち出してきたシュアの自信の高さを窺わせる、極めて良質なプロダクトだ。
評論家 高橋 敦の推しイヤホン
●AONIC 5
■ノズル交換で音質調整
シュアが誇る名機「SE535」から低域2基+中高域1基のドライバー構成、そしてトップエンド「SE846」からはフィルター交換による音質カスタマイズ機能を継承したモデル。SE535発売からは約10年、SE846からも約7年を経ており、より洗練された形での継承だ。
ドライバー構成は同じでも、サウンドはSE535から明確に進化している。SE535は描写の正確さと同時に耳を疲れさせないナチュラルな感触も備えているが、本機はそれを継承しつつクリアさも高められている。お水に喩えると、どちらも美味しい天然水ではありつつ、SE535は軟水系でAONIC 5は硬水系のような口当たり。オーディオ的に言うなら「より現代的な解像感」といったところか。
フィルター交換機構は、SE846ではノズルを外してその中のフィルターを交換する手順だったが、AONIC 5では各フィルター内蔵のノズルだけを交換すればOKと簡略化されている。より手早く交換でき、聴き比べも使い分けも捗るだろう。
ノズルは「バランス」「ウォーム」「ブライト」の3種類で、AONIC 5に最適化されている。そして注目は新「ウォーム」フィルター。高域を減衰させるだけではない絶妙な調整で、クリアさを損なわずにナチュラルさを高めるような効果が得られる。これはSE535でもSE846でも得られない、AONIC 5ならではといえるサウンドだ。
シュアの現代版の音作りとSE846を超える機能性がSE846の約半額にまとめられた、お値段以上の価値を感じられるモデルとして、筆者はAONIC 5を推薦したい。
<Specification>
AONIC3
●型式:バランスド・アーマチュア型(BA1基)●再生周波数帯域:22-18,500Hz●インピーダンス:28Ω●付属品:フォーム・イヤーチップ(S/M/L)、イエロー・フォーム・イヤー
チップ、ソフト・フレックス・イヤーチップ(S/M/L)、トリプルフランジ・イヤーチップ、キャリングケース、6.3mmアダプター、クリーニングツール●カラー:ブラック
AONIC4
●型式:ハイブリッド型(BA1基+ダイナミック型1基)●再生周波数帯域:20-19,000Hz ●インピーダンス:7Ω●付属品:フォーム・イヤーチップ(S/M/L)、イエロー・フォーム・イヤーチップ、ソフト・フレックス・イヤーチップ(S/M/L)、トリプルフランジ・イヤーチップ、キャリングケース、6.3mmアダプター、クリーニングツール●カラー:ブラック、ホワイト
AONIC5
●型式:バランスド・アーマチュア型(BA3基)●再生周波数帯域:18-19,500Hz●インピーダンス:36Ω●付属品:交換ノズル(バランス、ウォーム、ブライト)、フォーム・イヤーチップ(S/M/L)、イエロー・フォーム・イヤーチップ、ソフト・フレックス・イヤーチップ(S/M/L)、トリプルフランジ・イヤーチップ、COMPLY Pタイプ イヤーチップ(S/M/L)キャリングケース、6.3mmアダプター、クリーニングツール●カラー:ブラック、クリア、レッド
本記事は「プレミアムヘッドホンガイド vol.24 2020秋版」からの転載です。