公開日 2020/10/07 06:30
【PR】16年ぶりのデザイン刷新
マランツ「SACD 30n」「MODEL 30」を聴く。70年の伝統を受け継ぐ新たなマイルストーン
山之内 正
マランツのHi-Fiコンポーネントが16年ぶりにデザインを刷新。新たな装いとなったネットワークSACDプレーヤー「SACD 30n」と、プリメインアンプ「MODEL 30」が登場した。一見するとこれまでのマランツとは大きく異なるモデルのようにも思えるが、デザイン的にも機能的にも、マランツの伝統を踏襲しつつ現代的な要素も秘めた、まさに新たなマイルストーンにふさわしい製品だ。注目の本製品の実力を、山之内 正氏がレビューする。
■往年の“マランツらしさ”を持ちつつ最先端の技術を投入「SACD 30n」「MODEL 30」
新製品との出会いは多かれ少なかれ気分が高揚する。新しいデザインを身にまとうモデルならなおさらだ。マランツの「SACD 30n」と「MODEL 30」を初めて見たとき、その高揚感を久々に味わうことができた。その時点ではまだ内容も価格も知らされていなかったのだが、これまで見たことのない意匠に強く興味を引かれたのだ。
16年ぶりに見直したという基本デザインは、新しさだけでなく懐かしさも感じる。丸窓や円形のツマミはそれだけでもレトロな雰囲気をたたえているが、ベテランの愛好家なら「Model 7」などマランツの原点ともいうべき名機のデザインを思い出すに違いない。
筆者より少し上の世代のオーディオファンにとって、マランツ最初期の真空管式セパレートアンプであるModel 7と「Model 9」はまさに憧れの存在。オリジナルはもちろんのこと、復刻モデルでその印象的なデザインに惹かれたリスナーも少なくないはずだ。
新デザインの背景には、オリジナルをリスペクトしつつブランドの再活性化を狙う意図もありそうだが、今回の新デザイン、個人的な印象では成功しそうな予感がする。特にフロントパネル左右の仕上げや厚手のアルミ製サイドカバーはクラスレスの質感をたたえていて、明るさを変えられるイルミネーションも含め、見られることを意識した工夫が心憎い。
デザインは一新されたが、中身はこれまで積み重ねてきた技術に磨きをかける形で継続的な発展を遂げたという印象だ。ベースとなる“12シリーズ”の「SA-12」「PM-12」は、マランツの新世代モデルを代表する“10シリーズ”の設計思想を受け継いでおり、従来機から一新された最新アーキテクチャを採用していた。つまり、12シリーズの段階で技術的な熟成がかなり進んでいたので、今回の更新は少なくとも「フルモデルチェンジ」とはいえないだろう。
とはいえ、もちろん新たな技術も投入されている。マランツ独自のディスクリートDAC「MMM」を積むSACD 30nは、HEOSモジュールが受け持つネットワーク再生の音質を改善する高品質なジッタークリーナー素子を導入。オーディオ用NASの音源に加え、ハイレゾストリーミングでも音質に妥協しない姿勢は、ネットワークプレーヤーの性能改善に熱心なマランツならではのものだ。
さらに、ディスクドライブの固定方法を再検討して振動対策を強化するなど、機構面での見直しも進めた。コストを抑えるためにローダーは樹脂製に変更されたが、よりリジッドにシャーシと固定されているため、音質への影響はほとんどないはずだ。
MODEL 30はクラスDアンプを導入することでパワーアンプ回路の面積を抑え、プリアンプの回路設計に十分な余裕を持たせていることはPM-12と共通の利点だ。アナログのパワーアンプは巨大なヒートシンクが不可欠だが、HypexのNC500で構成したパワーアンプ回路は数分の1以下の体積に収まる。そのおかげで従来はミニマムなスペースしか使えなかったプリアンプの回路基板を大胆に再設計し、音を追い込む余地が生まれるのだ。
PM-12と同様、パワーアンプとは別に独立した電源回路を用意したこともその一例だが、さらにJRC製の高精度な電子ボリュームICを採用したり、JFET入力を積極的に導入してカップリングコンデンサーを減らすなど、再生音の純度を高める工夫は枚挙にいとまがない。
■往年の“マランツらしさ”を持ちつつ最先端の技術を投入「SACD 30n」「MODEL 30」
新製品との出会いは多かれ少なかれ気分が高揚する。新しいデザインを身にまとうモデルならなおさらだ。マランツの「SACD 30n」と「MODEL 30」を初めて見たとき、その高揚感を久々に味わうことができた。その時点ではまだ内容も価格も知らされていなかったのだが、これまで見たことのない意匠に強く興味を引かれたのだ。
16年ぶりに見直したという基本デザインは、新しさだけでなく懐かしさも感じる。丸窓や円形のツマミはそれだけでもレトロな雰囲気をたたえているが、ベテランの愛好家なら「Model 7」などマランツの原点ともいうべき名機のデザインを思い出すに違いない。
筆者より少し上の世代のオーディオファンにとって、マランツ最初期の真空管式セパレートアンプであるModel 7と「Model 9」はまさに憧れの存在。オリジナルはもちろんのこと、復刻モデルでその印象的なデザインに惹かれたリスナーも少なくないはずだ。
新デザインの背景には、オリジナルをリスペクトしつつブランドの再活性化を狙う意図もありそうだが、今回の新デザイン、個人的な印象では成功しそうな予感がする。特にフロントパネル左右の仕上げや厚手のアルミ製サイドカバーはクラスレスの質感をたたえていて、明るさを変えられるイルミネーションも含め、見られることを意識した工夫が心憎い。
デザインは一新されたが、中身はこれまで積み重ねてきた技術に磨きをかける形で継続的な発展を遂げたという印象だ。ベースとなる“12シリーズ”の「SA-12」「PM-12」は、マランツの新世代モデルを代表する“10シリーズ”の設計思想を受け継いでおり、従来機から一新された最新アーキテクチャを採用していた。つまり、12シリーズの段階で技術的な熟成がかなり進んでいたので、今回の更新は少なくとも「フルモデルチェンジ」とはいえないだろう。
とはいえ、もちろん新たな技術も投入されている。マランツ独自のディスクリートDAC「MMM」を積むSACD 30nは、HEOSモジュールが受け持つネットワーク再生の音質を改善する高品質なジッタークリーナー素子を導入。オーディオ用NASの音源に加え、ハイレゾストリーミングでも音質に妥協しない姿勢は、ネットワークプレーヤーの性能改善に熱心なマランツならではのものだ。
さらに、ディスクドライブの固定方法を再検討して振動対策を強化するなど、機構面での見直しも進めた。コストを抑えるためにローダーは樹脂製に変更されたが、よりリジッドにシャーシと固定されているため、音質への影響はほとんどないはずだ。
MODEL 30はクラスDアンプを導入することでパワーアンプ回路の面積を抑え、プリアンプの回路設計に十分な余裕を持たせていることはPM-12と共通の利点だ。アナログのパワーアンプは巨大なヒートシンクが不可欠だが、HypexのNC500で構成したパワーアンプ回路は数分の1以下の体積に収まる。そのおかげで従来はミニマムなスペースしか使えなかったプリアンプの回路基板を大胆に再設計し、音を追い込む余地が生まれるのだ。
PM-12と同様、パワーアンプとは別に独立した電源回路を用意したこともその一例だが、さらにJRC製の高精度な電子ボリュームICを採用したり、JFET入力を積極的に導入してカップリングコンデンサーを減らすなど、再生音の純度を高める工夫は枚挙にいとまがない。