公開日 2023/01/27 06:30
【特別企画】<オーディオアクセサリー銘機賞2023>特別賞受賞
特殊素材「NCF」でさらに進化! フルテック最高峰XLRプラグを評論家5人がレビュー
福田雅光/井上千岳/林 正儀/炭山アキラ/生形三郎
フルテックの「NCF」はケーブルや電源周りのアクセサリーに導入され、世界中で高評価を受ける特殊素材。その優れた性能を信号系プラグに起用したXLRプラグ「CF-601M NCF」が登場した。「オーディオアクセサリー銘機賞2023」でも特別賞を受賞。製品の魅力を、同賞の審査委員も務める5人の評論家に語っていただいた。
■圧倒的に高性能な音質と設計、革命的な作りのXLRプラグ(福田)
XLRプラグは、ノイトリック社製が世界的なスタンダードになっている。低価格で勘合性が確実である。端子は金メッキのほか銀メッキもあるが、材質は柔らかく頻繁に抜き差しするスタジオ業務用には最適とはいえない。音質的にも硬度が高いロジウムメッキの採用を期待していた。
このような現状に、フルテックがXLRプラグに革命的な製品を誕生させた。「CF-601M NCF(R)」と「CF-602F NCF(R)」である。オス型は純銅素材の中空ピンにロジウムメッキのワンピース構造を採用。その中空部には、NCF液晶ポリマー樹脂を注入した制振構造。メス型も純銅導体にロジウムメッキのワンピース構造を採用した。
これは圧倒的な高品質仕様を投入、構造も見事な設計である。金属系の部品は全て超低温処理で物性を改善、さらに消磁処理を加え、残留する磁気を完全に排除。
音質はノイトリックの金メッキと比較して、圧倒的な高純度で洗練された解像度の高い性能がある。
■大きな効果を生むNCF新構造、情報量や解像度を大きく改善(井上)
形の上では従来の「CF-601M(R)」「CF-602F(R)」の進化形ということになるが、構造を見るとかなり大きな違いがあるようだ。前のモデルの一部にNCFを加えたというような単純なものではない。
ハウジングは3層構造のうち中間にNCFを含んでいるし、ボディにもNCF共振減衰素材が組み合わせられている。また導体ピンにNCF液晶ポリマーが注入されているのも大きい。これを見た時に、このプラグの核心を感じた気がしたものだ。
NCFは静電防止素材だが、随所に使用することで、極めて大きな効果を生み出すということが、これで明らかになったと言える。実際、同じケーブルで従来のプラグと比べてみれば、その違いは歴然としている。
とても同じケーブルとは思えないほど、出てくる音に情報量や解像度の差が現れるのだ。ケーブルの要素としてプラグはもちろん重要なひとつだが、それによって大きな音質改善が得られることを証明した点でも、その成果は絶大である。
■史上最強のクオリティを持ち、ケーブルの潜在能力を出し切る(林)
フルテックは信号系プラグにNCFを採用したRCAプラグ「CF-102 NCF(RCA)」が高評価を得ているが、これはシリーズ第2弾のフラグシップXLRプラグだ。
手に取ると、精密さと美しさに思わず見惚れる。独自の工夫を盛り込んだ構造とその素材。マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボンの厳重な3重構造や、ボディ部のNCF共振減衰素材など、長年培ってきたNCF技術を見事に開花させたものだ。
パーツとしてのクオリティはおそらく史上最強。素姓の知れたケーブルに装着してみると、レスポンスが極めて正確かつスピーディなことに加え、高度なバランスが保持されていることが大きな魅力だと感じた。NCF効果により音場全体の静粛性がキープされる。
ジャズはベース領域を引き締めダンピングを高める印象だ。ケーブルの潜在能力を限界まで出し切り、最高級XLRプラグの魅力を満喫できる逸品とみた。新たにネジ止めによる結線が可能なことも自作ファンには嬉しい。
■ネジ留め接続にも新たに対応し、とてつもないハイファイを再現(炭山)
これまでXLRプラグといえばフルテックの「CF-601M(R)」「CF-602F(R)」が世界最高だ、と固く信じてきた。あの不安定要素を寄せ付けない揺るぎなさ、爆発的な低音をこともなげに表現する器の大きさは、他をもって代え難い特徴と感じていた次第。
ところが新世代のNCFモデルが登場してきたら、まず内部構造材にNCF樹脂が用いられているのはもちろん、導体接続がネジ留め式も可能になっているではないか。旧型はハンダ付けタイプだったから、これでケーブル自作派のXLRに対するハードルが下がることにも期待したい。
同じ線材に新旧のプラグを取り付けたケーブルを聴き比べたが、新作は音が軽々立ち上がって超ハイスピードに切れ込み、華麗に散乱する音場が素晴らしい。旧作の方が低音の量感はあるが、新作を聴いてしまうといささかスピード感が遅れて聴こえてしまう。まったくもって新作はとてつもないハイファイだ。鮮やかな世代交代といえるだろう。
■入念かつ緻密な構造の成果が、ケーブルの実力を底上げする(生形)
このたび登場したNCF採用の最高峰XLRコネクターは、昨年登場したRCAプラグのXLRコネクターバージョン。これまで登場してきたNCF採用の各種プラグと同様に、著しい効用が得られている。
とりわけ印象的なのが、S/N感の向上による立体的な描写力の進化だ。背景の静けさが著しく増しており、演奏空間の奥行きや楽器音像の立体的な表現が大幅に拡大される。ホール録音による音源ではステージの奥行きが深くなり、残響のリアリティが増している。スタジオ録音によるヴォーカルソースでも、やはり歌声にかけられたリバーブの残響が、より明瞭な質感で蘇るさまが印象的である。
また低域方向も明瞭度が増し、しっかりとした土台表現となる。構造的にもかなり入念な作りとなっており、先述の効果は緻密な設計の賜物と推察される。このコネクターの登場によって、今後発売される各社のインターコネクトケーブルの実力が大幅に底上げされることになるだろう。
【CF-601M NCF(R)/CF-602F NCF(R)】
●導体部:純銅素材のα(アルファ)-導体、非磁性ロジウムメッキのワンピース構造の導体ピン●ボディ部:特殊な「NCF」反共振減衰素材(ナイロン/グラスファイバーにナノサイズの結晶性セラミックパウダー&カーボンパウダーを調合)を耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂と組み合わせ●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボンハウジング(外側のハードクリアコートとその下のハイブリッドNCFシルバーメッキ3kカーボンファイバーの別の層で構成)、内部は非磁性ステンレスハウジング●導体線結線方式:ネジ止めまたはハンダによる結線●適応最大ケーブル径:10.0mm●適応導体ワイヤーサイズ:撚線→13AWG (2.62sq.mm)MAX、単芯→12AWG (3.3sq.mm)MAX、線径→2.4mm MAX●サイズ/質量:〔CF-601M NCF(R)〕→全長約18.6φ×64.6mm、約46.9g、〔CF-602F NCF(R)〕→全長約18.6φ×70.85mm、約58.2g
(提供:フルテック)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー187号』からの転載です。
新機軸が満載の革命的なXLRプラグがバランス接続の実力を飛躍させる
■圧倒的に高性能な音質と設計、革命的な作りのXLRプラグ(福田)
XLRプラグは、ノイトリック社製が世界的なスタンダードになっている。低価格で勘合性が確実である。端子は金メッキのほか銀メッキもあるが、材質は柔らかく頻繁に抜き差しするスタジオ業務用には最適とはいえない。音質的にも硬度が高いロジウムメッキの採用を期待していた。
このような現状に、フルテックがXLRプラグに革命的な製品を誕生させた。「CF-601M NCF(R)」と「CF-602F NCF(R)」である。オス型は純銅素材の中空ピンにロジウムメッキのワンピース構造を採用。その中空部には、NCF液晶ポリマー樹脂を注入した制振構造。メス型も純銅導体にロジウムメッキのワンピース構造を採用した。
これは圧倒的な高品質仕様を投入、構造も見事な設計である。金属系の部品は全て超低温処理で物性を改善、さらに消磁処理を加え、残留する磁気を完全に排除。
音質はノイトリックの金メッキと比較して、圧倒的な高純度で洗練された解像度の高い性能がある。
■大きな効果を生むNCF新構造、情報量や解像度を大きく改善(井上)
形の上では従来の「CF-601M(R)」「CF-602F(R)」の進化形ということになるが、構造を見るとかなり大きな違いがあるようだ。前のモデルの一部にNCFを加えたというような単純なものではない。
ハウジングは3層構造のうち中間にNCFを含んでいるし、ボディにもNCF共振減衰素材が組み合わせられている。また導体ピンにNCF液晶ポリマーが注入されているのも大きい。これを見た時に、このプラグの核心を感じた気がしたものだ。
NCFは静電防止素材だが、随所に使用することで、極めて大きな効果を生み出すということが、これで明らかになったと言える。実際、同じケーブルで従来のプラグと比べてみれば、その違いは歴然としている。
とても同じケーブルとは思えないほど、出てくる音に情報量や解像度の差が現れるのだ。ケーブルの要素としてプラグはもちろん重要なひとつだが、それによって大きな音質改善が得られることを証明した点でも、その成果は絶大である。
■史上最強のクオリティを持ち、ケーブルの潜在能力を出し切る(林)
フルテックは信号系プラグにNCFを採用したRCAプラグ「CF-102 NCF(RCA)」が高評価を得ているが、これはシリーズ第2弾のフラグシップXLRプラグだ。
手に取ると、精密さと美しさに思わず見惚れる。独自の工夫を盛り込んだ構造とその素材。マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボンの厳重な3重構造や、ボディ部のNCF共振減衰素材など、長年培ってきたNCF技術を見事に開花させたものだ。
パーツとしてのクオリティはおそらく史上最強。素姓の知れたケーブルに装着してみると、レスポンスが極めて正確かつスピーディなことに加え、高度なバランスが保持されていることが大きな魅力だと感じた。NCF効果により音場全体の静粛性がキープされる。
ジャズはベース領域を引き締めダンピングを高める印象だ。ケーブルの潜在能力を限界まで出し切り、最高級XLRプラグの魅力を満喫できる逸品とみた。新たにネジ止めによる結線が可能なことも自作ファンには嬉しい。
■ネジ留め接続にも新たに対応し、とてつもないハイファイを再現(炭山)
これまでXLRプラグといえばフルテックの「CF-601M(R)」「CF-602F(R)」が世界最高だ、と固く信じてきた。あの不安定要素を寄せ付けない揺るぎなさ、爆発的な低音をこともなげに表現する器の大きさは、他をもって代え難い特徴と感じていた次第。
ところが新世代のNCFモデルが登場してきたら、まず内部構造材にNCF樹脂が用いられているのはもちろん、導体接続がネジ留め式も可能になっているではないか。旧型はハンダ付けタイプだったから、これでケーブル自作派のXLRに対するハードルが下がることにも期待したい。
同じ線材に新旧のプラグを取り付けたケーブルを聴き比べたが、新作は音が軽々立ち上がって超ハイスピードに切れ込み、華麗に散乱する音場が素晴らしい。旧作の方が低音の量感はあるが、新作を聴いてしまうといささかスピード感が遅れて聴こえてしまう。まったくもって新作はとてつもないハイファイだ。鮮やかな世代交代といえるだろう。
■入念かつ緻密な構造の成果が、ケーブルの実力を底上げする(生形)
このたび登場したNCF採用の最高峰XLRコネクターは、昨年登場したRCAプラグのXLRコネクターバージョン。これまで登場してきたNCF採用の各種プラグと同様に、著しい効用が得られている。
とりわけ印象的なのが、S/N感の向上による立体的な描写力の進化だ。背景の静けさが著しく増しており、演奏空間の奥行きや楽器音像の立体的な表現が大幅に拡大される。ホール録音による音源ではステージの奥行きが深くなり、残響のリアリティが増している。スタジオ録音によるヴォーカルソースでも、やはり歌声にかけられたリバーブの残響が、より明瞭な質感で蘇るさまが印象的である。
また低域方向も明瞭度が増し、しっかりとした土台表現となる。構造的にもかなり入念な作りとなっており、先述の効果は緻密な設計の賜物と推察される。このコネクターの登場によって、今後発売される各社のインターコネクトケーブルの実力が大幅に底上げされることになるだろう。
【CF-601M NCF(R)/CF-602F NCF(R)】
●導体部:純銅素材のα(アルファ)-導体、非磁性ロジウムメッキのワンピース構造の導体ピン●ボディ部:特殊な「NCF」反共振減衰素材(ナイロン/グラスファイバーにナノサイズの結晶性セラミックパウダー&カーボンパウダーを調合)を耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂と組み合わせ●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボンハウジング(外側のハードクリアコートとその下のハイブリッドNCFシルバーメッキ3kカーボンファイバーの別の層で構成)、内部は非磁性ステンレスハウジング●導体線結線方式:ネジ止めまたはハンダによる結線●適応最大ケーブル径:10.0mm●適応導体ワイヤーサイズ:撚線→13AWG (2.62sq.mm)MAX、単芯→12AWG (3.3sq.mm)MAX、線径→2.4mm MAX●サイズ/質量:〔CF-601M NCF(R)〕→全長約18.6φ×64.6mm、約46.9g、〔CF-602F NCF(R)〕→全長約18.6φ×70.85mm、約58.2g
(提供:フルテック)
本記事は『季刊・オーディオアクセサリー187号』からの転載です。