公開日 2023/12/06 06:30
Kiwi Earsは、中国のECサイト「Linsoul Audio」が2021年に立ち上げたオリジナルブランドのひとつ。とはいえ、単なるバッジエンジニアリング的な存在ではなく、先に登場したTHIEAUDIO(セーオーディオ)同様、明確なブランドコンセプトを持ち、かつ自社エンジニアが製品開発に携わる、正統派のオーディオブランドとして成り立っている。
実際、Kiwi Earsは中国・深センに本拠を置き、メインエンジニアである3名に加えて、韓国やシンガポール、アメリカ、メキシコなどにいる各分野のエキスパートがスタッフとして加わっているという。また、ブランドのモットーとしても「いままで聴いたことのないような音楽」を追求するというユニークなコンセプトを持っていたりもする。
ちなみに、ブランド名の“Kiwi”は果物でなく、ニュージーランドを象徴する鳥「キーウィ」の方に由来しているとのこと。すべてのユーザーに親しんでもらえる楽しくてかわいい名前にしたかったこと、鳥のキーウィをモチーフにした漫画のイラストが耳の逆さまの形に似ていることなどから、キーウィと名付けたという。ECサイトをコアにして集まった人材のためか、名前の由来からしてなかなかにユニークな存在となっている。
もちろん、実際の製品もなかなか意欲的、特徴的なモデルがいくつも登場している。たとえばブランドの第一弾モデル「Orchestra」は、8基のバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーを搭載してハイエンドイヤーモニターに対抗しうる実力を追求しつつ、ハイコストパフォーマンスな価格設定がなされていたり、2022年に海外で発売(日本では2023年に発売)された「Cadenza」は、5千円台のプライスタグを付けながらも3Dプリンター成形のイヤーモニター調ハウジングを採用するなど、ユーザーのニーズをしっかりと捉えつつ、チャレンジングな製品づくりを行っていたりする。
そんなKiwi Earsの最新モデルが、今回紹介する「Quintet」と「Quartet」の2つだ。どちらも有線カナル型イヤホンで、イヤーモニター然とした筐体デザインは共通しているが、サウンドの方向性が大きく異なっている。同じブランドの同じイヤホンなのに、ここまで音づくりが異なっているのは大いに興味が惹かれる。
ということで、まずはQuintetから紹介していこう。こちら、ドライバーにDLC(Diamond Like Carbon)コーティング振動板搭載ダイナミック型と、2基のBA型、平面磁界駆動型、圧電骨伝導型(ピエゾなどとも呼ばれる方式の骨伝導ドライバー)の4種類を搭載するという、ユニークな構成を持っている。真っ先に「なぜ、わざわざこんな複雑なドライバー構成にしたのか」という疑問が湧くが、彼らの求めるサウンドには必要なトライであり、結果としてブランドのなかで最も先進的なモデルに仕上がっているという。
そのなかでも肝となっているのが、「MPT(Micro Planar Transducers)」と呼ぶ自社開発の平面磁界駆動型ドライバーだ。こちら、平面振動板の弱点である出力の低さを補うべくさまざまなトライを行った結果、5mmほどの小型サイズユニットでありながら、118dBという高出力を実現することができたのだという。
これを中心に据えつつ、DLCコーティングによる優れた応答性を持つ10mm口径のダイナミック型ドライバーや、相性のよいBA型ドライバーなどを組み合わせていくことで、Quintetのサウンドがつくり上げられていったのだという。ちなみに、圧電骨伝導ドライバーは超高域を担当、微細なディテールと空気感を実現しているという。
こういった複雑なドライバー構成もあって、Quintetの開発には一年以上を要したが、結果としてはKiwi Earsのなかで最も先進的なモデルであり、研究開発の苦労に見合う良質サウンドをつくり上げることができた、と開発陣はアピールしている。
「Quintet」「Quartet」をクオリティレビュー
新鋭にして正統派、Kiwi Earsの最新モデルは挑戦に満ちたマニア必聴のイヤホンだ
野村ケンジ■ECサイト発ながら正統派のブランド
Kiwi Earsは、中国のECサイト「Linsoul Audio」が2021年に立ち上げたオリジナルブランドのひとつ。とはいえ、単なるバッジエンジニアリング的な存在ではなく、先に登場したTHIEAUDIO(セーオーディオ)同様、明確なブランドコンセプトを持ち、かつ自社エンジニアが製品開発に携わる、正統派のオーディオブランドとして成り立っている。
実際、Kiwi Earsは中国・深センに本拠を置き、メインエンジニアである3名に加えて、韓国やシンガポール、アメリカ、メキシコなどにいる各分野のエキスパートがスタッフとして加わっているという。また、ブランドのモットーとしても「いままで聴いたことのないような音楽」を追求するというユニークなコンセプトを持っていたりもする。
ちなみに、ブランド名の“Kiwi”は果物でなく、ニュージーランドを象徴する鳥「キーウィ」の方に由来しているとのこと。すべてのユーザーに親しんでもらえる楽しくてかわいい名前にしたかったこと、鳥のキーウィをモチーフにした漫画のイラストが耳の逆さまの形に似ていることなどから、キーウィと名付けたという。ECサイトをコアにして集まった人材のためか、名前の由来からしてなかなかにユニークな存在となっている。
もちろん、実際の製品もなかなか意欲的、特徴的なモデルがいくつも登場している。たとえばブランドの第一弾モデル「Orchestra」は、8基のバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーを搭載してハイエンドイヤーモニターに対抗しうる実力を追求しつつ、ハイコストパフォーマンスな価格設定がなされていたり、2022年に海外で発売(日本では2023年に発売)された「Cadenza」は、5千円台のプライスタグを付けながらも3Dプリンター成形のイヤーモニター調ハウジングを採用するなど、ユーザーのニーズをしっかりと捉えつつ、チャレンジングな製品づくりを行っていたりする。
■独自の平面磁界駆動型「MPT」を自社開発
そんなKiwi Earsの最新モデルが、今回紹介する「Quintet」と「Quartet」の2つだ。どちらも有線カナル型イヤホンで、イヤーモニター然とした筐体デザインは共通しているが、サウンドの方向性が大きく異なっている。同じブランドの同じイヤホンなのに、ここまで音づくりが異なっているのは大いに興味が惹かれる。
ということで、まずはQuintetから紹介していこう。こちら、ドライバーにDLC(Diamond Like Carbon)コーティング振動板搭載ダイナミック型と、2基のBA型、平面磁界駆動型、圧電骨伝導型(ピエゾなどとも呼ばれる方式の骨伝導ドライバー)の4種類を搭載するという、ユニークな構成を持っている。真っ先に「なぜ、わざわざこんな複雑なドライバー構成にしたのか」という疑問が湧くが、彼らの求めるサウンドには必要なトライであり、結果としてブランドのなかで最も先進的なモデルに仕上がっているという。
そのなかでも肝となっているのが、「MPT(Micro Planar Transducers)」と呼ぶ自社開発の平面磁界駆動型ドライバーだ。こちら、平面振動板の弱点である出力の低さを補うべくさまざまなトライを行った結果、5mmほどの小型サイズユニットでありながら、118dBという高出力を実現することができたのだという。
これを中心に据えつつ、DLCコーティングによる優れた応答性を持つ10mm口径のダイナミック型ドライバーや、相性のよいBA型ドライバーなどを組み合わせていくことで、Quintetのサウンドがつくり上げられていったのだという。ちなみに、圧電骨伝導ドライバーは超高域を担当、微細なディテールと空気感を実現しているという。
こういった複雑なドライバー構成もあって、Quintetの開発には一年以上を要したが、結果としてはKiwi Earsのなかで最も先進的なモデルであり、研究開発の苦労に見合う良質サウンドをつくり上げることができた、と開発陣はアピールしている。