公開日 2024/05/09 06:30
アップルの画づくりと有機ELが抜群に好相性
新「iPad Pro」は“圧巻の高画質” 。「タンデムOLED」の威力を速報レポート
山本敦
アップルがM4チップを搭載するiPad Pro、13インチの大型モデルをラインナップに加えたiPad Airなど、iPadの新製品を発表するスペシャルイベントを開催した。筆者はロンドンで開催されたイベントに参加した。現地で体験した新しいiPadのファーストインプレッションを報告しよう。
新しいiPad Proにはいくつかの大きな変化があった。有機ELのUltra Retina XDRディスプレイを載せて高画質化を図り、さらに本体を薄型・軽量化するため、アップルは独自設計のApple M4チップを、Macより早くiPadに載せてきた。
前世代のiPad Proで、XDR(HDR)表示に対応したLiquid Retina XDRディスプレイを搭載するのは、より画面の大きな12.9インチの方だけだった。今回は11インチと13インチの両方がUltra Retina XDRディスプレイという仕様だ。
Ultra Retina XDRディスプレイには、2層の有機ELパネルを重ねる「タンデムOLEDテクノロジー」が採用された。2層の有機ELパネルを効率的に動かすことで、Ultra Retina XDRディスプレイが消費する電力を下げられるだけでなく、パネルの焼き付きを抑える効果も得られるという。
アップルのデバイスとしては、先にiPhoneが有機ELディスプレイを搭載している。だが、10インチを超えるiPadのディスプレイサイズで十分な輝度性能を確保して、ユニフォーミティの高い映像表示を実現することが、タンデムOLEDテクノロジーを搭載する狙いだ。
イベントの会場で、13インチ iPad Proの映像を短時間だけだが視聴できた。明部と暗部の高い再現力については “期待通り” の出来映えだったが、アップルのRetinaシリーズが継承する高いユニフォーミティと自然なカラーバランスのチューニングは、有機ELのUltra Retina XDRディスプレイと抜群に相性が良いと感じた。
ミニLEDを採用していた前世代の12.9インチ iPad Proから、リアリティが一段と深化している。新しい11インチのiPad Proで表示される映像にも、吸い込まれるような力強さを感じた。
なお、バックライトを持たない有機ELを採用したことで、11インチは5.3mm、13インチが5.1mmという「Appleデバイスの中で最も薄い筐体サイズ」を新しいiPad Proは実現した。本体の質量についても、大きい方のiPad Proどうしで比べると、前世代モデルから約100グラムの軽量化を達成している。
iPad Proの実機は圧倒的に薄く軽かった。筆者も長く12.9インチのiPad Proを使ってきたが、まだiPadをスリムにできる余地があったことにひたすら驚き、タブレットとして革新的なサイズ感に魅了された。
新しいiPad Proのために「Magic Keyboard」も再設計された。そして、iPad ProとMagic Keyboardを合わせた本体の厚さは、13インチのM3搭載MacBook Airと同等なのだという。公式スペックに数値は公開されていないが、Magic Keyboard自体も軽量化が図られている。
これまでのiPad ProとMagic Keyboardの組み合わせは、ノートPCと同程度に重くなってしまう。これまで歓迎してこなかった方も、新しいコンビの高いポータビリティには納得できるだろう。そして今回、キーボード側のパネルとトラックパッドがアルミニウム製になったので、経年変化にも強くなるはず。49,800円(税込)からという安くない買い物になるが、より長く使えるのであれば合理的な価格設定だ。
新たに登場した「Apple Pencil Pro」は、同時に発表された2つのiPad(M4搭載のiPad Pro、M2搭載のiPad Air)のみで使える専用アクセサリーだ。内蔵センサーを追加して、ペン先の回転操作による「バレルロール」と、ペン本体の先端部分を指でグッと押す「スクイーズ」によるジェスチャー操作のバラエティが増えた。
さらに、ペン操作に対して触感フィードバックも返せるようになる。たくさんの機能を追加しながら第2世代のApple Pencilと同じ質量、サイズ、重心のバランスを実現したことが興味深い。ただ、M4搭載iPad ProもM2搭載iPad Airも、第2世代のApple Pencilは使えない。本体を薄型化したiPad Proはともかく、サイズ変更のないM2搭載iPad Airも対応していないのは残念だ。そのため、iPad Air本体とペンシルの買い換えを同時に検討しなければならない。
M2搭載のiPad Airは、13インチのモデルがまったく新しいラインナップとして追加される。筆者は前世代のiPad Airから画質が大きく変わる印象を持たなかった。だが、13インチのiPadは表示領域が広くなる魅力がある。
ProMotionテクノロジーへの対応の有無などiPad Proとの差分もあるが、9万円から10万円ほどベースラインの価格が安い「大きなiPad Air」は魅力的だと思う。11インチに対して、13インチのiPad Airは横向きステレオスピーカーによる低音再生のパワーに約2倍の差があるという。会場で試すことができなかったので、また比較試聴する機会もつくりたいと思う。
■iPad ProのためのApple M4チップが実現した圧巻の高画質
新しいiPad Proにはいくつかの大きな変化があった。有機ELのUltra Retina XDRディスプレイを載せて高画質化を図り、さらに本体を薄型・軽量化するため、アップルは独自設計のApple M4チップを、Macより早くiPadに載せてきた。
前世代のiPad Proで、XDR(HDR)表示に対応したLiquid Retina XDRディスプレイを搭載するのは、より画面の大きな12.9インチの方だけだった。今回は11インチと13インチの両方がUltra Retina XDRディスプレイという仕様だ。
Ultra Retina XDRディスプレイには、2層の有機ELパネルを重ねる「タンデムOLEDテクノロジー」が採用された。2層の有機ELパネルを効率的に動かすことで、Ultra Retina XDRディスプレイが消費する電力を下げられるだけでなく、パネルの焼き付きを抑える効果も得られるという。
アップルのデバイスとしては、先にiPhoneが有機ELディスプレイを搭載している。だが、10インチを超えるiPadのディスプレイサイズで十分な輝度性能を確保して、ユニフォーミティの高い映像表示を実現することが、タンデムOLEDテクノロジーを搭載する狙いだ。
イベントの会場で、13インチ iPad Proの映像を短時間だけだが視聴できた。明部と暗部の高い再現力については “期待通り” の出来映えだったが、アップルのRetinaシリーズが継承する高いユニフォーミティと自然なカラーバランスのチューニングは、有機ELのUltra Retina XDRディスプレイと抜群に相性が良いと感じた。
ミニLEDを採用していた前世代の12.9インチ iPad Proから、リアリティが一段と深化している。新しい11インチのiPad Proで表示される映像にも、吸い込まれるような力強さを感じた。
なお、バックライトを持たない有機ELを採用したことで、11インチは5.3mm、13インチが5.1mmという「Appleデバイスの中で最も薄い筐体サイズ」を新しいiPad Proは実現した。本体の質量についても、大きい方のiPad Proどうしで比べると、前世代モデルから約100グラムの軽量化を達成している。
■充実の専用アクセサリー。互換性には注意事項も
iPad Proの実機は圧倒的に薄く軽かった。筆者も長く12.9インチのiPad Proを使ってきたが、まだiPadをスリムにできる余地があったことにひたすら驚き、タブレットとして革新的なサイズ感に魅了された。
新しいiPad Proのために「Magic Keyboard」も再設計された。そして、iPad ProとMagic Keyboardを合わせた本体の厚さは、13インチのM3搭載MacBook Airと同等なのだという。公式スペックに数値は公開されていないが、Magic Keyboard自体も軽量化が図られている。
これまでのiPad ProとMagic Keyboardの組み合わせは、ノートPCと同程度に重くなってしまう。これまで歓迎してこなかった方も、新しいコンビの高いポータビリティには納得できるだろう。そして今回、キーボード側のパネルとトラックパッドがアルミニウム製になったので、経年変化にも強くなるはず。49,800円(税込)からという安くない買い物になるが、より長く使えるのであれば合理的な価格設定だ。
新たに登場した「Apple Pencil Pro」は、同時に発表された2つのiPad(M4搭載のiPad Pro、M2搭載のiPad Air)のみで使える専用アクセサリーだ。内蔵センサーを追加して、ペン先の回転操作による「バレルロール」と、ペン本体の先端部分を指でグッと押す「スクイーズ」によるジェスチャー操作のバラエティが増えた。
さらに、ペン操作に対して触感フィードバックも返せるようになる。たくさんの機能を追加しながら第2世代のApple Pencilと同じ質量、サイズ、重心のバランスを実現したことが興味深い。ただ、M4搭載iPad ProもM2搭載iPad Airも、第2世代のApple Pencilは使えない。本体を薄型化したiPad Proはともかく、サイズ変更のないM2搭載iPad Airも対応していないのは残念だ。そのため、iPad Air本体とペンシルの買い換えを同時に検討しなければならない。
■iPad Airに「13インチ」が新登場
M2搭載のiPad Airは、13インチのモデルがまったく新しいラインナップとして追加される。筆者は前世代のiPad Airから画質が大きく変わる印象を持たなかった。だが、13インチのiPadは表示領域が広くなる魅力がある。
ProMotionテクノロジーへの対応の有無などiPad Proとの差分もあるが、9万円から10万円ほどベースラインの価格が安い「大きなiPad Air」は魅力的だと思う。11インチに対して、13インチのiPad Airは横向きステレオスピーカーによる低音再生のパワーに約2倍の差があるという。会場で試すことができなかったので、また比較試聴する機会もつくりたいと思う。
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