公開日 2024/08/02 06:30
【特別企画】構造も再検討し確実な接触を確保
NCF採用のフルテックの最高峰Yラグ&バナナが登場。頂点にふさわしい音と使い勝手を検証
角田郁雄
さまざまなアクセサリーに導入され、そのクオリティアップ効果が好評を得るフルテックの特殊素材NCF。それを採用する最上級スピーカー端末端子が、今般さらにアップグレードされた。音質はもちろん、装着性やケーブル対応度なども大きく向上させた新製品を、角田郁雄氏が綿密にレポート。
フルテックは、振動と静電気を低減する独自の特殊素材、NCFを開発した。その後、NCF素材を使用する製品の第1弾として、電源プラグや、壁コンセントを発売。
さらにケーブルやコネクターなどを支える「NCF Boosterシリーズ」を発売し、いまや世界で高く評価され、愛用者が実に多い。また、XLR及びRCAコネクター、ノイズ低減アクセサリーなどにも採用し、飛躍的にNCF製品のモデルラインを拡張した。
そして今回は、スピーカー端子の見直しを行い、フルテック最上級モデルのYラグ端子「CF-201NCF(R)」とバナナ端子「CF-202NCF(R)」のアップグレード仕様として、「CF-201 NCF Plus(R)」と「CF-202 NCF Plus(R)」を発売した。
同社によると、信号及び電力伝送からの機械的振動、静電気を排除する30年間にわたる技術を結集した製品とのこと。主な変更点は、スピーカーケーブルの導体が直接接触する中心導体の内径を広げ、先端の厚みが増したことだ。
Yラグ端子「CF-201 NCF Plus(R)」では、端子の根元を固定するダンピングリング(耐熱性ポリマー樹脂)の強度と確実な勘合のため、中心導体と接する内径に凹凸を付けた。中心導体をカバーするボディ部を、2分割構造からワンピース構造にして強度を上げ、ユーザーの組み立て工数も減らした。
また内径も5.7mmから7.2mmへと拡大し、対応するスピーカーケーブルの導体径を5.5mmから7.0mmへと拡大させた。これに伴い、導体を押さえるクランプ部も拡張された。さらに、ホットとグラウンドを識別するアルミ製の白と赤のカラーリングの厚みも1.0mmから1.5mmに変更され、色の識別が容易になり、取り付け位置も変更された。
この構造の特筆すべきことは、ケーブル導体が接触する中心導体部にα純銅素材を、そして非磁性ステンレス材のクランプによって銅合金止めネジとしたことだ。
ケーブルとの接続は、ハンダ付けにもネジ止めにも対応し、徹底した振動低減構造を実現した。全体をカバーするハウジングは非磁性のステンレス材で、その表面にNCFを調合した銀メッキの3Kシルバーカーボンファイバーを使用し、さらに外層を特殊クリア硬質コート塗料で仕上げている。
詳しくは構造図を参照されたいが、この高精度な構造により、さらに徹底した防振構造と静電気の低減が行われていることが特徴だ。これだけ高精度な構造のY端子やバナナ端子は、世界的にも類を見ないであろう。
個人的には、スピーカー端子の微細振動を低減する効果もあり、アンプ側から見れば、近年のダンピングファクターの高いアンプの特性を損なわない構造であると推察される。まさに、ハイエンド・グレード端子の登場と言えよう。
試聴には、フルテックのスピーカーケーブル「FS-α36」を使用し、片側にY端子を、もう一方にバナナ端子を装着。従来の製品「CF-201NCF(R)」「CF-202NCF(R)」と、新製品の「CF-201 NCF Plus(R)」「CF-202 NCF Plus(R)」を比較した。
スピーカージャンパーには、フルテックの「Jumper flux」を使用。再生機器にはアキュフェーズのプリアンプC-3900、A級パワーアンプA-80、SACDプレーヤーDP-770を用い、Bowers&Wilkins「802 D4」をドライブした。試聴ソースには、2Lのヴォーカル曲『クワイエット・ウィンター・ナイト』(KKC-10009)や、ピアノ・ジャズ・トリオ曲『ポラリティー』(2L-145-SABD)など、レファレンスのタイトルを再生した。
初めに聴いた従来のNCFモデルでも、十分な解像度と音の透明感を得られた。しかし新製品の「NCF Plus(R)」では、さらに驚くほどの音の透明感が得られ、伝送特性が増した感覚となり、ヴォーカルが生々しく中央定位した。これを囲むピアノ、トランペット、ドラムス、シンバルなどの倍音が豊潤となり、空間の幅や奥行きが拡張された思いがする。
ジャズトリオでは、ドラムスとピアノの一音一音に透明感が増し、美しい響きが空間に浮かび上がった。とりわけ、シンバルに細かな響きが重畳され、生々しさを鮮明にした。演奏の空気感や臨場感を鮮明にしたと言えるだろう。
これは、シングルワイヤー接続がバイワイヤー接続になったような感覚に近くも思えたし、中低域に厚みやスピード感があり、予測したとおり、振動と静電気低減効果により、アンプのスピーカー制動力が高まったように感じた。
ご自身のスピーカーがシングルワイヤー対応であるなら、ぜひ一度、専門店で比較試聴すると良いであろう。私自身も、本製品に交換したくなるほどのハイエンドサウンドを体験した。おそらく、世界のハイエンドスピーカーケーブルにも採用されることであろう。フルテックのNCF投入技術は、これからも進化を遂げるに違いない。
【共通】●固定リング:耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂制振材●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボン製●本体:α(アルファ)非磁性ステンレスワンピース構造●導体固定ネジ:銅合金製●導体結線方法:ネジ止めまたはハンダ●ワイヤー適応径:7.0mm●付属品:2mm六角レンチ(H2.0)×1、六角形ソケット止めネジ(M4x4)×2個セット
【CF-201 NCF Plus(R)】●コンタクトパーツ:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造●外部サイズ:φ15.2×全長約70.0mm●質量(ネット):約38.8g
【CF-202 NCF Plus(R)】●コンタクトセンターピン:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造、センターピンロック機構●外部サイズ:φ15.2×全長約60.5mm●質量(ネット):約33.4g
(協力:フルテック)
本記事は『オーディオアクセサリー193号』からの転載です。
NCF採用の最上級モデルがさらなる改良でアップグレード
フルテックは、振動と静電気を低減する独自の特殊素材、NCFを開発した。その後、NCF素材を使用する製品の第1弾として、電源プラグや、壁コンセントを発売。
さらにケーブルやコネクターなどを支える「NCF Boosterシリーズ」を発売し、いまや世界で高く評価され、愛用者が実に多い。また、XLR及びRCAコネクター、ノイズ低減アクセサリーなどにも採用し、飛躍的にNCF製品のモデルラインを拡張した。
そして今回は、スピーカー端子の見直しを行い、フルテック最上級モデルのYラグ端子「CF-201NCF(R)」とバナナ端子「CF-202NCF(R)」のアップグレード仕様として、「CF-201 NCF Plus(R)」と「CF-202 NCF Plus(R)」を発売した。
同社によると、信号及び電力伝送からの機械的振動、静電気を排除する30年間にわたる技術を結集した製品とのこと。主な変更点は、スピーカーケーブルの導体が直接接触する中心導体の内径を広げ、先端の厚みが増したことだ。
新機軸その1「α純銅ロジウムメッキワンピース構造」
Yラグ端子「CF-201 NCF Plus(R)」では、端子の根元を固定するダンピングリング(耐熱性ポリマー樹脂)の強度と確実な勘合のため、中心導体と接する内径に凹凸を付けた。中心導体をカバーするボディ部を、2分割構造からワンピース構造にして強度を上げ、ユーザーの組み立て工数も減らした。
また内径も5.7mmから7.2mmへと拡大し、対応するスピーカーケーブルの導体径を5.5mmから7.0mmへと拡大させた。これに伴い、導体を押さえるクランプ部も拡張された。さらに、ホットとグラウンドを識別するアルミ製の白と赤のカラーリングの厚みも1.0mmから1.5mmに変更され、色の識別が容易になり、取り付け位置も変更された。
この構造の特筆すべきことは、ケーブル導体が接触する中心導体部にα純銅素材を、そして非磁性ステンレス材のクランプによって銅合金止めネジとしたことだ。
新機軸その2「特殊設計・導体線固定構造」
ケーブルとの接続は、ハンダ付けにもネジ止めにも対応し、徹底した振動低減構造を実現した。全体をカバーするハウジングは非磁性のステンレス材で、その表面にNCFを調合した銀メッキの3Kシルバーカーボンファイバーを使用し、さらに外層を特殊クリア硬質コート塗料で仕上げている。
詳しくは構造図を参照されたいが、この高精度な構造により、さらに徹底した防振構造と静電気の低減が行われていることが特徴だ。これだけ高精度な構造のY端子やバナナ端子は、世界的にも類を見ないであろう。
個人的には、スピーカー端子の微細振動を低減する効果もあり、アンプ側から見れば、近年のダンピングファクターの高いアンプの特性を損なわない構造であると推察される。まさに、ハイエンド・グレード端子の登場と言えよう。
驚くほどの透明感や生々しさ。臨場感が鮮明で倍音も豊潤
試聴には、フルテックのスピーカーケーブル「FS-α36」を使用し、片側にY端子を、もう一方にバナナ端子を装着。従来の製品「CF-201NCF(R)」「CF-202NCF(R)」と、新製品の「CF-201 NCF Plus(R)」「CF-202 NCF Plus(R)」を比較した。
スピーカージャンパーには、フルテックの「Jumper flux」を使用。再生機器にはアキュフェーズのプリアンプC-3900、A級パワーアンプA-80、SACDプレーヤーDP-770を用い、Bowers&Wilkins「802 D4」をドライブした。試聴ソースには、2Lのヴォーカル曲『クワイエット・ウィンター・ナイト』(KKC-10009)や、ピアノ・ジャズ・トリオ曲『ポラリティー』(2L-145-SABD)など、レファレンスのタイトルを再生した。
初めに聴いた従来のNCFモデルでも、十分な解像度と音の透明感を得られた。しかし新製品の「NCF Plus(R)」では、さらに驚くほどの音の透明感が得られ、伝送特性が増した感覚となり、ヴォーカルが生々しく中央定位した。これを囲むピアノ、トランペット、ドラムス、シンバルなどの倍音が豊潤となり、空間の幅や奥行きが拡張された思いがする。
ジャズトリオでは、ドラムスとピアノの一音一音に透明感が増し、美しい響きが空間に浮かび上がった。とりわけ、シンバルに細かな響きが重畳され、生々しさを鮮明にした。演奏の空気感や臨場感を鮮明にしたと言えるだろう。
これは、シングルワイヤー接続がバイワイヤー接続になったような感覚に近くも思えたし、中低域に厚みやスピード感があり、予測したとおり、振動と静電気低減効果により、アンプのスピーカー制動力が高まったように感じた。
ご自身のスピーカーがシングルワイヤー対応であるなら、ぜひ一度、専門店で比較試聴すると良いであろう。私自身も、本製品に交換したくなるほどのハイエンドサウンドを体験した。おそらく、世界のハイエンドスピーカーケーブルにも採用されることであろう。フルテックのNCF投入技術は、これからも進化を遂げるに違いない。
【共通】●固定リング:耐熱性NCF液晶ポリマー樹脂制振材●ハウジング:マルチマテリアルハイブリッドNCFカーボン製●本体:α(アルファ)非磁性ステンレスワンピース構造●導体固定ネジ:銅合金製●導体結線方法:ネジ止めまたはハンダ●ワイヤー適応径:7.0mm●付属品:2mm六角レンチ(H2.0)×1、六角形ソケット止めネジ(M4x4)×2個セット
【CF-201 NCF Plus(R)】●コンタクトパーツ:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造●外部サイズ:φ15.2×全長約70.0mm●質量(ネット):約38.8g
【CF-202 NCF Plus(R)】●コンタクトセンターピン:α(アルファ)純銅ロジウムメッキワンピース構造、センターピンロック機構●外部サイズ:φ15.2×全長約60.5mm●質量(ネット):約33.4g
(協力:フルテック)
本記事は『オーディオアクセサリー193号』からの転載です。