公開日 2024/10/17 06:30
見た目はおしゃれで音質も良くて、それでいてあまり高くないスピーカーはないだろうか…。そんな贅沢な悩みを抱えている人に、僕が是非ともオススメしたいのが、フランスのブランドelipson(エリプソン)の「HORUSシリーズ」である。
エリプソンのブックシェルフスピーカー「HORUS 6B」はペアで税抜8万円。海外製スピーカーでこの価格はちょっと驚きである。落ち着いたシックな色合いは上質感もあって、決して安っぽくない。リビングにも素直に馴染んでくれるデザイン性の高さも感じさせてくれる。
今回はこの「HORUS 6B」、それにフロア型の「HORUS 11F」(こちらは税抜18万円)の2モデルを用意して、マランツの大ヒットコンポ「M-CR612」と組み合わせ、おしゃれな音楽ライフを始めよう、と言うのが大きなテーマだ。
まずエリプソンとはどんなブランドか、改めてここで紹介しよう。ワインの生産地としても知られるボルドー生まれのジョゼフ・レオン氏によって1938年に設立された、創業80年を超える老舗ブランドである。
ロゴのイメージにも繋がる、独特な球形デザインのスピーカーを記憶されている方もいるかもしれない。エリプソンという名前も、フランス語でellipse(楕円)とson(サウンド)を組み合わせた言葉とのことで、創業当初から「デザイン」と「音質」を高度に両立させることを狙ったブランドだったことが伺える。
2008年より、現在のトップであるフィリップ・カレ氏がブランドを引き継ぎ、スピーカーやアナログプレーヤーの展開を強化してきた。そして今回登場したHORUSシリーズは、エリプソンの最エントリークラスのスピーカーとなる。
「HORUS 6B」は2ウェイのブックシェルフモデル、「HORUS 11F」は2.5ウェイのフロア型となる。共通するウーファーユニットは、表面にグラスファイバーコーティングを施した130mmセルロースパルプ製。トゥイーターはネオジム磁石を備えた25mmシルクドーム。いずれもバスレフポートを前面に搭載している。
とにかく僕が目を惹かれたのが、その品の良い仕上げである。ブラック・カーボン、ウォルナット・ダーク・グレイ、ライト・ウッド・ベージュの3種類が用意されているが、特に僕が気に入ったのはウォルナット・ダーク・グレイ。彩度を抑えたフロントバッフル、有機的な自然を感じさせる木目仕上げは、今すぐにでも部屋にお迎えしたくなる品の良さだ。これがリビングに置いてあったら、毎日朝起きるのが楽しみになりそう。観葉植物などを横に並べれば、おしゃれでかっこいい今風のリビング・オーディオの完成だ。
ブラックでも重苦しい感じがしないのは、灰色のラインが斜めに入って軽やかなイメージを演出しているからかもしれない。またベージュの仕上げは、北欧風の明るいリビングなどにもピッタリ合いそう。自宅に合わせたデザインを選べるのも大きな魅力だ。
「M-CR612」について改めての説明は不要かもしれないが、2019年に発売となったマランツのCD・ネットワーク再生対応の一体型コンポーネントである。コロナ禍における“巣篭もり需要”の後押しも受けた大ヒットモデルである。マランツは先日発表された「MODEL M1」も大ヒットを飛ばしているが、こちらはHDMIを搭載している。テレビとの連携を視野に入れるならば「MODEL M1」が選択肢に入るが、あくまでオーディオメインで考える場合には、「M-CR612」はいまでも古びない魅力を持っている。
そう考えてみると、M-CR612の大人びたゴールドの仕上げは、エリプソンのシックな仕上げとナイスなマッチングじゃなかろうか。試聴室に設置されたこのシステムを見ただけで、僕の心はすっかりワクワクしてくる。
そして肝心の音質である。まずは「HORUS 6B」から。クラシックからEDM、僕の大好きなジャズまでさまざまな音源を再生したが、とにかくお伝えしたいのは、とにかく音がいい!ということである。セットで15万円以下とは思えないほどの良質なサウンドで、コストパフォーマンスの高さは抜群だ。
音が左右に自然に広がり、部屋全体を豊かに満たしてくれることに加えて、ディテールをしっかり前に押し出してくれるアキュレートさも魅力。滑らかな音楽性と音色感の良さの両立、僕が一聴して感じたエリプソンに対する正直な感想だ。
特に魅力を感じたのはピアノの音だ。イタリアのとある人気スピーカーは弦が美しいと評判が高いが、僕がエリプソンで絶対に体験してほしいのはピアノである。
久石譲がドイツ・グラモフォンからリリースした第一弾アルバム『A Symphonic Celebration - Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki』は、アニメ音楽という枠組みを超えた新しいクラシックのチャレンジである。音像が写実的で立体的、全帯域にわたって揃ったピアノの質感表現には時間を忘れて聴き入ってしまう。まさに相性抜群なサウンドだ。
ソニー・クラークの『COOL STRUTTIN'』もいい。ブルーノートから1958年に発売になった僕の大好きなハードバップアルバムだが、音色良く、音楽的に完成度が高いので小音量でも存分に楽しめる。古いCDから新しい発見が得られるのは新鮮な体験だ。
HEOSを使えばAmazon Musicなどのハイレゾストリーミングもそのまま楽しめる。今回はディズニー出身の歌姫・サブリナ・カーペンターのアルバムをチョイス。低域のボリューム感の再現力は予想以上で、躍動感あるベースを鮮度高く再生してくれる。ヴォーカルの表現力もリアルで、アーティストの息遣いをすぐ近くに感じられる。
フロア型の「HORUS 11F」では、ブックシェルフでは限界を感じた低域表現に一回り大きな余裕を感じさせてくれる。辻井伸行のドビュッシーアルバム『月の光』は絶品だ。ピアノの音ひとつひとつに生命が宿るようで、ストレートな音の出方に感動してしまった。高域の伸びやかさも一層素晴らしい。マランツのM-CR612の完成度の高さにも改めて感動する。
いずれのスピーカーからも感じたのは、決して情報量の多さを誇示するようなタイプではないが、ディテールをしっかり出しつつ、アーティストの思いをしっかり届けてくれるところだ。優しい音だが芯があるので、小音量でも音がやせず、夜間など大きな音を出しにくい時にも豊かな音楽性を楽しませてくれる。
「オーディオは高くなりすぎ」という声を聞くことも多い。実際に天井を見ればキリがない。だが、僕は声を大にして言いたい、「安くて良いスピーカーもあるんだよ!」と。ぜひお気に入りのCDを手に持って、お近くの専門店で「HORUS」スピーカーの音を体験してほしい。
(提供:フューレンコーディネート)
マランツの小型コンポと組み合わせ
デザインも音質も◎。しかも安い!フランス発のスピーカー・エリプソンで始める“おしゃれ”音楽ライフ
土方久明小型コンポ×エリプソンでおしゃれな音楽ライフを始めよう
見た目はおしゃれで音質も良くて、それでいてあまり高くないスピーカーはないだろうか…。そんな贅沢な悩みを抱えている人に、僕が是非ともオススメしたいのが、フランスのブランドelipson(エリプソン)の「HORUSシリーズ」である。
エリプソンのブックシェルフスピーカー「HORUS 6B」はペアで税抜8万円。海外製スピーカーでこの価格はちょっと驚きである。落ち着いたシックな色合いは上質感もあって、決して安っぽくない。リビングにも素直に馴染んでくれるデザイン性の高さも感じさせてくれる。
今回はこの「HORUS 6B」、それにフロア型の「HORUS 11F」(こちらは税抜18万円)の2モデルを用意して、マランツの大ヒットコンポ「M-CR612」と組み合わせ、おしゃれな音楽ライフを始めよう、と言うのが大きなテーマだ。
「デザイン」と「音質」を高度に両立させたブランド
まずエリプソンとはどんなブランドか、改めてここで紹介しよう。ワインの生産地としても知られるボルドー生まれのジョゼフ・レオン氏によって1938年に設立された、創業80年を超える老舗ブランドである。
ロゴのイメージにも繋がる、独特な球形デザインのスピーカーを記憶されている方もいるかもしれない。エリプソンという名前も、フランス語でellipse(楕円)とson(サウンド)を組み合わせた言葉とのことで、創業当初から「デザイン」と「音質」を高度に両立させることを狙ったブランドだったことが伺える。
2008年より、現在のトップであるフィリップ・カレ氏がブランドを引き継ぎ、スピーカーやアナログプレーヤーの展開を強化してきた。そして今回登場したHORUSシリーズは、エリプソンの最エントリークラスのスピーカーとなる。
「HORUS 6B」は2ウェイのブックシェルフモデル、「HORUS 11F」は2.5ウェイのフロア型となる。共通するウーファーユニットは、表面にグラスファイバーコーティングを施した130mmセルロースパルプ製。トゥイーターはネオジム磁石を備えた25mmシルクドーム。いずれもバスレフポートを前面に搭載している。
とにかく僕が目を惹かれたのが、その品の良い仕上げである。ブラック・カーボン、ウォルナット・ダーク・グレイ、ライト・ウッド・ベージュの3種類が用意されているが、特に僕が気に入ったのはウォルナット・ダーク・グレイ。彩度を抑えたフロントバッフル、有機的な自然を感じさせる木目仕上げは、今すぐにでも部屋にお迎えしたくなる品の良さだ。これがリビングに置いてあったら、毎日朝起きるのが楽しみになりそう。観葉植物などを横に並べれば、おしゃれでかっこいい今風のリビング・オーディオの完成だ。
ブラックでも重苦しい感じがしないのは、灰色のラインが斜めに入って軽やかなイメージを演出しているからかもしれない。またベージュの仕上げは、北欧風の明るいリビングなどにもピッタリ合いそう。自宅に合わせたデザインを選べるのも大きな魅力だ。
「M-CR612」について改めての説明は不要かもしれないが、2019年に発売となったマランツのCD・ネットワーク再生対応の一体型コンポーネントである。コロナ禍における“巣篭もり需要”の後押しも受けた大ヒットモデルである。マランツは先日発表された「MODEL M1」も大ヒットを飛ばしているが、こちらはHDMIを搭載している。テレビとの連携を視野に入れるならば「MODEL M1」が選択肢に入るが、あくまでオーディオメインで考える場合には、「M-CR612」はいまでも古びない魅力を持っている。
そう考えてみると、M-CR612の大人びたゴールドの仕上げは、エリプソンのシックな仕上げとナイスなマッチングじゃなかろうか。試聴室に設置されたこのシステムを見ただけで、僕の心はすっかりワクワクしてくる。
音質レビュー:「ピアノの音ひとつひとつに生命が宿るよう」
そして肝心の音質である。まずは「HORUS 6B」から。クラシックからEDM、僕の大好きなジャズまでさまざまな音源を再生したが、とにかくお伝えしたいのは、とにかく音がいい!ということである。セットで15万円以下とは思えないほどの良質なサウンドで、コストパフォーマンスの高さは抜群だ。
音が左右に自然に広がり、部屋全体を豊かに満たしてくれることに加えて、ディテールをしっかり前に押し出してくれるアキュレートさも魅力。滑らかな音楽性と音色感の良さの両立、僕が一聴して感じたエリプソンに対する正直な感想だ。
特に魅力を感じたのはピアノの音だ。イタリアのとある人気スピーカーは弦が美しいと評判が高いが、僕がエリプソンで絶対に体験してほしいのはピアノである。
久石譲がドイツ・グラモフォンからリリースした第一弾アルバム『A Symphonic Celebration - Music from the Studio Ghibli Films of Hayao Miyazaki』は、アニメ音楽という枠組みを超えた新しいクラシックのチャレンジである。音像が写実的で立体的、全帯域にわたって揃ったピアノの質感表現には時間を忘れて聴き入ってしまう。まさに相性抜群なサウンドだ。
ソニー・クラークの『COOL STRUTTIN'』もいい。ブルーノートから1958年に発売になった僕の大好きなハードバップアルバムだが、音色良く、音楽的に完成度が高いので小音量でも存分に楽しめる。古いCDから新しい発見が得られるのは新鮮な体験だ。
HEOSを使えばAmazon Musicなどのハイレゾストリーミングもそのまま楽しめる。今回はディズニー出身の歌姫・サブリナ・カーペンターのアルバムをチョイス。低域のボリューム感の再現力は予想以上で、躍動感あるベースを鮮度高く再生してくれる。ヴォーカルの表現力もリアルで、アーティストの息遣いをすぐ近くに感じられる。
フロア型の「HORUS 11F」では、ブックシェルフでは限界を感じた低域表現に一回り大きな余裕を感じさせてくれる。辻井伸行のドビュッシーアルバム『月の光』は絶品だ。ピアノの音ひとつひとつに生命が宿るようで、ストレートな音の出方に感動してしまった。高域の伸びやかさも一層素晴らしい。マランツのM-CR612の完成度の高さにも改めて感動する。
いずれのスピーカーからも感じたのは、決して情報量の多さを誇示するようなタイプではないが、ディテールをしっかり出しつつ、アーティストの思いをしっかり届けてくれるところだ。優しい音だが芯があるので、小音量でも音がやせず、夜間など大きな音を出しにくい時にも豊かな音楽性を楽しませてくれる。
「オーディオは高くなりすぎ」という声を聞くことも多い。実際に天井を見ればキリがない。だが、僕は声を大にして言いたい、「安くて良いスピーカーもあるんだよ!」と。ぜひお気に入りのCDを手に持って、お近くの専門店で「HORUS」スピーカーの音を体験してほしい。
(提供:フューレンコーディネート)