公開日 2022/08/03 06:35
【特別企画】福田雅光氏が作り方のコツを徹底解説
“自作初心者”にもオススメ!サエクの切り売りケーブル「AC-3003」で「電源ケーブル」を作ってみよう
解説:福田雅光/構成:ファイルウェブオーディオ編集部
ある程度オーディオシステムは組み上がって来たものの、もう一歩踏み込んで音質を追求したい…そんな場合にオススメしたいのが、「自作」の楽しみである。特に電源ケーブルは、特別な知識や資格がなくても製作可能で、大きな音質変化をもたらす可能性を秘めている。ここでは、数多くのケーブルを自作しオーディオの楽しみを追求してきた福田雅光氏に、“ビギナー向け”「電源ケーブルの製作方法」を教えていただいた。
今日のお題は「電源ケーブルの自作」となります。サエクの切り売りケーブルの「AC-3003」を使って、電源ケーブルを自作してみましょう。
最近では、オヤイデ電気やフルテックなど、さまざまなブランドから電源プラグとコネクターが発売されていて、ちょっとした工作をするだけで、簡単に電源ケーブルを製作することができます。
電源ケーブルを自作することのメリットですが、まず市販の完成品と同等クラスの製品を、より安価に入手できるということがあります。また、自宅の環境に合わせてちょうどよい長さのものを用意できるということも大切です。ハンダごてがなくても、ドライバーひとつで組み立てができるので、工作の楽しみが味わえるというのも重要ですね。さらに、メッキや導体による音質の違いを研究したい場合にも、自作は大きく役に立つでしょう。
「AC-3003」の導体はPC-Triple Cで、1本の太さが0.26φmmの細い導体を37本撚り合わせて作られています。ちなみに「AC-3000」という2芯のモデルもありますが、「AC-3003」はアース配線にも対応できるよう3芯になっていますね。今回、プラグとコネクターはオヤイデの最新設計によるARMOREDシリーズから、「AP-037」と「AC-037」を使います。これらは初心者でも作りやすいのでオススメの組み合わせです。材料費はおおよそ3万円程度になります。
製作に入る前に、まず必要な道具を揃えましょう。ケーブルの長さを決めるための定規、そしてケーブルの被覆を剥くのに使う小型の園芸バサミです。カッターでも良いのですが、先が丸まっていて円周に沿って切りやすいので、これを使っています。さらに、ケーブルの中の充填材を切るためのニッパー。印をつけるためのマーカーも用意します。
それからドライバーです。ドライバーはとても重要なので、できれば質の良いものを用意してください。今使っているのはSUNFLAGのマルチドライブ「1236」というものですが、これはグリップが大きく、力を入れやすいので重宝しています。ドライバーは適当に選ぶと、力が入りにくかったりネジ山が潰れてしまったりするので、しっかり選んでください。
箱を開けると、作り方の説明書が入っています。切り売りのケーブルは、両端の部分を剥いて導体部分を露出させる必要があります。どの程度剥き出すかの解説も書いてありますので、これをよく読んでから組み立てに入ってください。
外側のシースを取り出すのが25mmから30mmと記載がありますので、ここでは30mmほど取り出しましょう。さらに、先端の導体を剥き出しにします。ここは説明書によると12mmですね。これが電極に差し込む部分になります。いずれもそんなに厳密でなくて良いですが、ギリギリだと作りにくいので、少し余裕をもたせておいたほうが良いでしょう。
続いてプラグとコネクターを分解して、どういう構造になっているか確認しましょう。細かいネジなどが多いので、紛失しないように気をつけてください。機器に接続される側がコネクター「AC-037」、コンセント側になるのがプラグ「AP-037」です。この2モデルは、電極に銀メッキ、さらにロジウムメッキで仕上げたものです。メッキの種類でも音が違いますので、お好みのものを選択してください。
こちらがプラグ側を分解してみたところです。スリーピース構成になっていることがわかりますね。ここにそれぞれ3本のワイヤーを通し、最後にドライバーで締め上げれば完成です。
導体を接続する穴が3箇所にありますが、それぞれ機能が違いますので、間違えないように繋いでください。アース(E)は1つ独立しているから分かりやすいのですが、残りの2つは小さく「L」「N」と記載がありますね。「L」がライブ、「N」がニュートラル。これらの接続は間違えると音が出なくなりますので、必ずよく確認してください。
プラグの構造はとてもシンプルで簡単なんですけれども、電気は家1軒を燃やすぐらいの力がありますので、慎重にしっかりと確実に組み立ててください。
もうひとつの「AC-037」コネクター側も確認しましょう。こちらもスリーピース構成で、「L」「N」がそれぞれ記載されています。
それではケーブルを用意しましょう。市販で販売されている電源ケーブルは1.8mや2.0mなどのものが多いですが、自宅の環境によってはちょうどよい長さがない場合もあるでしょう。自作ならば、ピッタリの長さで作ることができます。
電源ケーブルを、作りたい長さのところで切断します。今回は1.5mで作成します。それから、ケーブルのシースを剥く部分にマーカーで印をつけます。そして、この印に沿って園芸バサミで円周上に切れ目を入れて取り外します。あまり力を入れすぎると中の導体まで切れてしまうので、慎重にやりましょう。
外側のシースを外すと、中にコットンの充填剤が入っています。これはニッパーで切り取ってしまいます。カッターナイフでも大丈夫ですが、ニッパーのほうがきれいに切り落とせます。
中のワイヤーを確認します。これは赤、白、緑ですね。他のケーブルでも、白と緑は同じですが、赤ではなく黒の場合もあります。このケーブルの導体の太さは2スケアで、比較的細いものです。もっと太いものですと5.5スケアのものもありますが、太いものは初心者には難しいので、まずは細めのケーブルから挑戦するのが良いかと思います。
緑はアース線と決まっています。これはどのメーカーでも共通です。洗濯機や冷蔵庫などのアース線もみな緑ですね。また、白はニュートラル、中性線と決まっていますので、「N」につなぎます。最後に残った赤は「L」につなぎますね。
それから、ケーブルには「方向性」がありますから、必ずその方向性を確認してください。矢印が記載されている場合もありますが、矢印がない場合は、被覆にあるブランド名や型番などの、「文字の方向に電流が流れる」方向で作成してください。たとえば今回のサエクのケーブルの場合は、SAECのS側がコンセント側のプラグ「AP-037」に、C側が機器側のコネクター「AC-037」になるのが正解ということになります。
ここについては逆向きでも問題なく音は出ますが、ケーブルのベストなパフォーマンスを引き出すには、やはり方向性も意識して作成したほうが良いでしょう。
それでは、絶縁体を剥いていきます。これは説明書によると12mmと記載がありますので、赤・白・緑の絶縁体の端から12mmのところにマーカーで印を入れます。そして、園芸バサミを導体の周囲に少しずつ力を入れながら回し、絶縁体部分を円周上に剥いていきます。
ここが一番難しい部分かもしれません。力を入れすぎてしまうと芯線がちぎれてしまいます。カッターでももちろんできますが、こういった細かい作業を行うのに園芸ばさみがちょうどよいのです。
上手に絶縁部が外れたら、一気に引き抜いてしまわず、少し先端に向かってずらすように引っ張ります。そして、外れた絶縁部を軽く時計周りに数回ねじっておきましょう。こうすることで、あとでプラグに差し込むときに導体がバラバラにならなくて済みます。導体はあまり指で直接触らない方が良いです。もし絶縁体が外れてしまったら、ハンカチなどでくるんでねじりましょう。導体に指の油が付着すると酸化しやすくなってしまうんです。
同じように、赤線、緑線も剥きます。
それでは組み立てていきましょう。まずは3つのピースを順番にケーブルに通していきます。
一番先のパーツに、剥き出しにした導体を差し込み、外側からネジ留めをして導体とプラグをしっかり接続します。先程もお伝えしましたが、緑がアース、白がN、赤がLです。このときに緑、赤、白を間違った箇所に差し込むと音が出ない恐れがあるので、必ず確認してからネジ留めを行ってください。
最初は9割くらいのところまで留めてはずれないようにして、少し時間をおいてからもう一度しっかり確実に締め直しましょう。撚り線の場合は、時間が経つと緩んでしまうことがあるのです。最後は力を入れてぎゅっと奥まで締め上げてください。そのため、力の入りやすいドライバーが大切なのです。
中央のパーツは「クランパー」となっており、ケーブルをプラグに固定することができます。このクランパーも最初の状態では締まっているので、一度ドライバーで緩めます。クランパーを緩める回転数は数えておいて、左右同じくらいの締め付けにしたほうが良いですね。どちらかの締め付けが緩いと、最後に組み立てるときに歪んでしまうことがあります。
導体と先端のパーツを接続したら、中央のパーツを組み合わせます。内周にスリットと突起がありまして、それがうまく合わさるところにはめ込んでいきます。
続いて中央のパーツのクランパーを留めていきましょう。さきほど、左右緩める回数を数えておきましたので、同じ数だけ回して締めます。だいたい今回は20ターンずつでいい感じに締まりました。
3つ目のパーツをはめ込みます。これもスリットと突起がありますので、うまく合わせて、最後にお尻の部分を2箇所ネジで留めます。ここも最後にしっかり固く締め上げてください。
ARMOREDシリーズは、ケーブルが中心部にうまく収まるように工夫されているので、とてもきれいに仕上がります。これで片側が完成です。
続けて、インレット側を製作します。これも作業手順的には同じですね。被覆を剥いて、充填材を切り、赤、白、緑の絶縁体を、端から12mmほど剥きます。またワイヤーを接続する位置も確認し、アースに緑、Nに白、Lに赤を差し込んで、ネジ留めします。
今回は3本とも繋いだ状態のケーブルを作成していますが、環境によってはアース線を繋がないほうが良い場合もあります。アースループになってしまうと良くないので、緑のアース線は浮かせて、赤と白だけ繋ぐ場合もあります。
さあ、だんだん出来上がってきました。こちら側も中央のパーツのクランパー部を緩め、ケーブルを通して締め直します。なるべく均等に力を加えて締め付けましょう。さらに最後のパーツもはめ込んで、ネジで固定します。
完成しました! 製作時間はだいたい1時間弱くらいですね。
プラグやコネクターのメッキによる音の違いを研究するにも、自作のケーブルは面白いですね。オヤイデからはロジウムメッキの他に、無メッキのものもあり、こちらもオススメできます。ケーブルは、あまり太いものは導体を端子に差し込むのがかなり難しいので、細身のものから始めましょう。導体の太さは当然音質にも関わりますが、昨今は導体の質も非常に良くなっているので、太ければ性能が良いとも限りません。
それでは最後に作ったケーブルを聴いてみましょう。今回は、アキュフェーズのパワーアンプ「P-4500」の電源ケーブルを交換して聴いてみましょう。
これは結構良い出来ではないでしょうか! 非常にキレが良くて、新鮮で、これならリファレンスにも使えるレベルですね。さらに一晩接続したままにして翌日改めて試聴すると、もっとエネルギーが強化されて素晴らしいケーブルになりました。
この性能ならば、10万円クラスの製品とも互角と言えるでしょう。これだけ新鮮な音が出るならば、十分にやりがいがあるケーブル製作といえますね。
サエクの「AC-3003」は、細身で外装も剥きやすいので、初心者が初めて作る電源ケーブルとしてもオススメできます。音質面でも、ナチュラルで解像度が高く、オーディオ機器の本来の性能を引き出してくれますね。違うプラグで作成しても、その個性をしっかり引き出してくれるのではないかと期待が持てます。
先程も紹介しましたが、アースを使わない2芯ケーブルならば「AC-3000」もオススメできますし、自作に慣れてさらにクオリティを追求したい場合には、「AC-6000」(3芯・3.5スケア)「AC-7000」(3芯・5.5スケア)とグレードアップしていくこともできます。いずれも導体にPC-Triple Cを採用しており、同じ設計思想で作られていますので、 ケーブルのグレードの確認にも効果的ですね。
(提供:サエクコマース)
ドライバーひとつで組み立て可能!自作電源ケーブルのススメ
今日のお題は「電源ケーブルの自作」となります。サエクの切り売りケーブルの「AC-3003」を使って、電源ケーブルを自作してみましょう。
最近では、オヤイデ電気やフルテックなど、さまざまなブランドから電源プラグとコネクターが発売されていて、ちょっとした工作をするだけで、簡単に電源ケーブルを製作することができます。
電源ケーブルを自作することのメリットですが、まず市販の完成品と同等クラスの製品を、より安価に入手できるということがあります。また、自宅の環境に合わせてちょうどよい長さのものを用意できるということも大切です。ハンダごてがなくても、ドライバーひとつで組み立てができるので、工作の楽しみが味わえるというのも重要ですね。さらに、メッキや導体による音質の違いを研究したい場合にも、自作は大きく役に立つでしょう。
「AC-3003」の導体はPC-Triple Cで、1本の太さが0.26φmmの細い導体を37本撚り合わせて作られています。ちなみに「AC-3000」という2芯のモデルもありますが、「AC-3003」はアース配線にも対応できるよう3芯になっていますね。今回、プラグとコネクターはオヤイデの最新設計によるARMOREDシリーズから、「AP-037」と「AC-037」を使います。これらは初心者でも作りやすいのでオススメの組み合わせです。材料費はおおよそ3万円程度になります。
製作に入る前に、まず必要な道具を揃えましょう。ケーブルの長さを決めるための定規、そしてケーブルの被覆を剥くのに使う小型の園芸バサミです。カッターでも良いのですが、先が丸まっていて円周に沿って切りやすいので、これを使っています。さらに、ケーブルの中の充填材を切るためのニッパー。印をつけるためのマーカーも用意します。
それからドライバーです。ドライバーはとても重要なので、できれば質の良いものを用意してください。今使っているのはSUNFLAGのマルチドライブ「1236」というものですが、これはグリップが大きく、力を入れやすいので重宝しています。ドライバーは適当に選ぶと、力が入りにくかったりネジ山が潰れてしまったりするので、しっかり選んでください。
電源ケーブルとプラグ・コネクターを用意して、早速製作を開始!
箱を開けると、作り方の説明書が入っています。切り売りのケーブルは、両端の部分を剥いて導体部分を露出させる必要があります。どの程度剥き出すかの解説も書いてありますので、これをよく読んでから組み立てに入ってください。
外側のシースを取り出すのが25mmから30mmと記載がありますので、ここでは30mmほど取り出しましょう。さらに、先端の導体を剥き出しにします。ここは説明書によると12mmですね。これが電極に差し込む部分になります。いずれもそんなに厳密でなくて良いですが、ギリギリだと作りにくいので、少し余裕をもたせておいたほうが良いでしょう。
続いてプラグとコネクターを分解して、どういう構造になっているか確認しましょう。細かいネジなどが多いので、紛失しないように気をつけてください。機器に接続される側がコネクター「AC-037」、コンセント側になるのがプラグ「AP-037」です。この2モデルは、電極に銀メッキ、さらにロジウムメッキで仕上げたものです。メッキの種類でも音が違いますので、お好みのものを選択してください。
こちらがプラグ側を分解してみたところです。スリーピース構成になっていることがわかりますね。ここにそれぞれ3本のワイヤーを通し、最後にドライバーで締め上げれば完成です。
導体を接続する穴が3箇所にありますが、それぞれ機能が違いますので、間違えないように繋いでください。アース(E)は1つ独立しているから分かりやすいのですが、残りの2つは小さく「L」「N」と記載がありますね。「L」がライブ、「N」がニュートラル。これらの接続は間違えると音が出なくなりますので、必ずよく確認してください。
プラグの構造はとてもシンプルで簡単なんですけれども、電気は家1軒を燃やすぐらいの力がありますので、慎重にしっかりと確実に組み立ててください。
もうひとつの「AC-037」コネクター側も確認しましょう。こちらもスリーピース構成で、「L」「N」がそれぞれ記載されています。
ケーブルの被覆や絶縁体を剥いて、導体を露出させる
それではケーブルを用意しましょう。市販で販売されている電源ケーブルは1.8mや2.0mなどのものが多いですが、自宅の環境によってはちょうどよい長さがない場合もあるでしょう。自作ならば、ピッタリの長さで作ることができます。
電源ケーブルを、作りたい長さのところで切断します。今回は1.5mで作成します。それから、ケーブルのシースを剥く部分にマーカーで印をつけます。そして、この印に沿って園芸バサミで円周上に切れ目を入れて取り外します。あまり力を入れすぎると中の導体まで切れてしまうので、慎重にやりましょう。
外側のシースを外すと、中にコットンの充填剤が入っています。これはニッパーで切り取ってしまいます。カッターナイフでも大丈夫ですが、ニッパーのほうがきれいに切り落とせます。
中のワイヤーを確認します。これは赤、白、緑ですね。他のケーブルでも、白と緑は同じですが、赤ではなく黒の場合もあります。このケーブルの導体の太さは2スケアで、比較的細いものです。もっと太いものですと5.5スケアのものもありますが、太いものは初心者には難しいので、まずは細めのケーブルから挑戦するのが良いかと思います。
緑はアース線と決まっています。これはどのメーカーでも共通です。洗濯機や冷蔵庫などのアース線もみな緑ですね。また、白はニュートラル、中性線と決まっていますので、「N」につなぎます。最後に残った赤は「L」につなぎますね。
それから、ケーブルには「方向性」がありますから、必ずその方向性を確認してください。矢印が記載されている場合もありますが、矢印がない場合は、被覆にあるブランド名や型番などの、「文字の方向に電流が流れる」方向で作成してください。たとえば今回のサエクのケーブルの場合は、SAECのS側がコンセント側のプラグ「AP-037」に、C側が機器側のコネクター「AC-037」になるのが正解ということになります。
ここについては逆向きでも問題なく音は出ますが、ケーブルのベストなパフォーマンスを引き出すには、やはり方向性も意識して作成したほうが良いでしょう。
それでは、絶縁体を剥いていきます。これは説明書によると12mmと記載がありますので、赤・白・緑の絶縁体の端から12mmのところにマーカーで印を入れます。そして、園芸バサミを導体の周囲に少しずつ力を入れながら回し、絶縁体部分を円周上に剥いていきます。
ここが一番難しい部分かもしれません。力を入れすぎてしまうと芯線がちぎれてしまいます。カッターでももちろんできますが、こういった細かい作業を行うのに園芸ばさみがちょうどよいのです。
上手に絶縁部が外れたら、一気に引き抜いてしまわず、少し先端に向かってずらすように引っ張ります。そして、外れた絶縁部を軽く時計周りに数回ねじっておきましょう。こうすることで、あとでプラグに差し込むときに導体がバラバラにならなくて済みます。導体はあまり指で直接触らない方が良いです。もし絶縁体が外れてしまったら、ハンカチなどでくるんでねじりましょう。導体に指の油が付着すると酸化しやすくなってしまうんです。
同じように、赤線、緑線も剥きます。
3つのパーツを順番にケーブルに通し、外からネジ留め
それでは組み立てていきましょう。まずは3つのピースを順番にケーブルに通していきます。
一番先のパーツに、剥き出しにした導体を差し込み、外側からネジ留めをして導体とプラグをしっかり接続します。先程もお伝えしましたが、緑がアース、白がN、赤がLです。このときに緑、赤、白を間違った箇所に差し込むと音が出ない恐れがあるので、必ず確認してからネジ留めを行ってください。
最初は9割くらいのところまで留めてはずれないようにして、少し時間をおいてからもう一度しっかり確実に締め直しましょう。撚り線の場合は、時間が経つと緩んでしまうことがあるのです。最後は力を入れてぎゅっと奥まで締め上げてください。そのため、力の入りやすいドライバーが大切なのです。
中央のパーツは「クランパー」となっており、ケーブルをプラグに固定することができます。このクランパーも最初の状態では締まっているので、一度ドライバーで緩めます。クランパーを緩める回転数は数えておいて、左右同じくらいの締め付けにしたほうが良いですね。どちらかの締め付けが緩いと、最後に組み立てるときに歪んでしまうことがあります。
導体と先端のパーツを接続したら、中央のパーツを組み合わせます。内周にスリットと突起がありまして、それがうまく合わさるところにはめ込んでいきます。
続いて中央のパーツのクランパーを留めていきましょう。さきほど、左右緩める回数を数えておきましたので、同じ数だけ回して締めます。だいたい今回は20ターンずつでいい感じに締まりました。
3つ目のパーツをはめ込みます。これもスリットと突起がありますので、うまく合わせて、最後にお尻の部分を2箇所ネジで留めます。ここも最後にしっかり固く締め上げてください。
ARMOREDシリーズは、ケーブルが中心部にうまく収まるように工夫されているので、とてもきれいに仕上がります。これで片側が完成です。
コネクター側も同様に組み立て。ワイヤーの差し込み位置には要注意
続けて、インレット側を製作します。これも作業手順的には同じですね。被覆を剥いて、充填材を切り、赤、白、緑の絶縁体を、端から12mmほど剥きます。またワイヤーを接続する位置も確認し、アースに緑、Nに白、Lに赤を差し込んで、ネジ留めします。
今回は3本とも繋いだ状態のケーブルを作成していますが、環境によってはアース線を繋がないほうが良い場合もあります。アースループになってしまうと良くないので、緑のアース線は浮かせて、赤と白だけ繋ぐ場合もあります。
さあ、だんだん出来上がってきました。こちら側も中央のパーツのクランパー部を緩め、ケーブルを通して締め直します。なるべく均等に力を加えて締め付けましょう。さらに最後のパーツもはめ込んで、ネジで固定します。
完成しました! 製作時間はだいたい1時間弱くらいですね。
プラグやコネクターのメッキによる音の違いを研究するにも、自作のケーブルは面白いですね。オヤイデからはロジウムメッキの他に、無メッキのものもあり、こちらもオススメできます。ケーブルは、あまり太いものは導体を端子に差し込むのがかなり難しいので、細身のものから始めましょう。導体の太さは当然音質にも関わりますが、昨今は導体の質も非常に良くなっているので、太ければ性能が良いとも限りません。
作ったケーブルを早速試聴!エージングでさらに真価を発揮することも
それでは最後に作ったケーブルを聴いてみましょう。今回は、アキュフェーズのパワーアンプ「P-4500」の電源ケーブルを交換して聴いてみましょう。
これは結構良い出来ではないでしょうか! 非常にキレが良くて、新鮮で、これならリファレンスにも使えるレベルですね。さらに一晩接続したままにして翌日改めて試聴すると、もっとエネルギーが強化されて素晴らしいケーブルになりました。
この性能ならば、10万円クラスの製品とも互角と言えるでしょう。これだけ新鮮な音が出るならば、十分にやりがいがあるケーブル製作といえますね。
サエクの「AC-3003」は、細身で外装も剥きやすいので、初心者が初めて作る電源ケーブルとしてもオススメできます。音質面でも、ナチュラルで解像度が高く、オーディオ機器の本来の性能を引き出してくれますね。違うプラグで作成しても、その個性をしっかり引き出してくれるのではないかと期待が持てます。
先程も紹介しましたが、アースを使わない2芯ケーブルならば「AC-3000」もオススメできますし、自作に慣れてさらにクオリティを追求したい場合には、「AC-6000」(3芯・3.5スケア)「AC-7000」(3芯・5.5スケア)とグレードアップしていくこともできます。いずれも導体にPC-Triple Cを採用しており、同じ設計思想で作られていますので、 ケーブルのグレードの確認にも効果的ですね。
(提供:サエクコマース)