HOME > インタビュー > DLNA「3スクリーン」でさらに進化するWindows − マイクロソフト森氏に聞く今後の展開

DTCP-IPネイティブ対応も視野に

DLNA「3スクリーン」でさらに進化するWindows − マイクロソフト森氏に聞く今後の展開

公開日 2009/12/25 11:53 一条真人
  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

■今後は3スクリーンの世界を目指すマイクロソフト

−−いわゆる「3スクリーン」の話が出ましたが、私自身もWindows 7発売の際、東芝の「dynapocket」を使って行われたデモンストレーションが印象に残っています。DLNAのDMC(コントローラー)に対応したdynapocketをリモコンとして使って、DMS(サーバー)役のPC内のファイルを、DMR(レンダラー)に対応したテレビで再生するというものでしたが、今後、Windows全体としてそういう世界を訴求していくのでしょうか。

DLNAのDMC機能を搭載したdynapocket試作機

森:そうですね。今年はじめのInternational CESでも、弊社のスティーブ・バルマーが積極的に訴求していました。昨年の秋頃から3スクリーンの話はしていますし、来月のCESでも、その3スクリーンの話は出ると思います。

−−スマートフォンも含めて、携帯電話でDMCに対応したものが、現時点ではほとんどないですよね。今後は、Windows MobileのOS自体でDLNAに対応していくことになるのでしょうか。

森:どういう形で、それが実装されるか現時点では不明ですが、もちろん、考えていないことはないと思います。あとはOSでサポートすべきか否か、という議論もあります。結果的にOSでサポートをしなくとも、DLNAに対応したソフトがインストールされた状態で販売されれば、お客様の側から見れば、その機能が使えるということに変わりはないと思います。OSで対応するか、サードパーティのソフトでカバーするかは不明ですが、何らかの形でDLNA機能に対応していくことに変わりはありません。

−−モバイルデバイスを使った3スクリーンは便利ですよね。コントローラー機能を持った携帯電話が出てくると、DLNAはさらに大きく飛躍しそうです。

■Windows7にはじめて対応したAVアンプ

−−オンキヨーのAVアンプ「TX-NA5007/1007」が、Windows 7にはじめて対応し、「Compatible with Windows 7」ロゴを張ったことで注目を集めています。ロゴで必須となっている要件などはあるのでしょうか?

森:まず、DLNAの認証を取って頂くのが前提です。オンキヨーさんのロゴを見ていただければわかりますが、DLNAのロゴとWindows 7のロゴが貼ってあります。もっと正確に言うと、我々が「リモート再生」と言っている機能、あれに正式に対応しているということについても、DLNAロゴを取得していることが前提です。それにプラスして「Compatible with Windows 7」のロゴが貼っているものじゃないと「リモート再生」ができないんです。

リモート再生の画面。Windows Media Playerで任意のコンテンツを右クリックして「リモート再生」を選ぶと、DMR(レンダラー)機器で再生できる

リモート再生するコンテンツを複数選ぶと画面のようにリスト表示される

つまり、DLNAに関する対応の記述という部分は、DLNAのほうで認証してもらうということが前提です。お客様の目に見えるところで、オンキヨーさんのアンプに限ってお話ししますと、やっぱり「リモート再生」ができるということが大きいはずです。それができると、Windows 7のロゴが使えるということです。

−−AVアンプ以外に、映像機器でもWindows 7のロゴ取得という動きが出てくると思います。一方で、DLNAの互換性の基準自体、コーデックやトランスコードに関してはDLNAロゴを取得している機器でもあいまいなところがありますが、今後、このWindows 7の「Compatible with Windows 7」が映像機器にも広がった場合、一般ユーザーにわかりやすいよう認証やロゴプログラムを細かく分けるようなことはありえますか?

森:ないですね。お客様にわかりやすくという意味では、逆に「このロゴさえついていれば、大丈夫です」というぐらい簡単にしないと、混乱を招く可能性があります。ロゴプログラム自体は非常に長い歴史を持っていますが、Vistaのときは2つロゴがあったんです。それを今回、1つにしているぐらいです。

逆に言うと、「これは世界的にスタンダードになった」というコーデックがあったとして、それに対応しているかしていないかということが機器選択のポイントということになった場合、もし変えるとするなら、方向性としては、ロゴの要件のなかに、そのコーデックへの対応を入れることになると思います。

−−つまり、一般的な必要性のすべてを満たすのが前提ということですか?

森:そうなります。あのロゴはWindows 7だけという話ではなく、もともとの意味としては、とにかくそのロゴがついている製品を手に入れれば、ロゴにあるWindowsで、十分なエクスペリエンスを享受できる、ということになります。だから「何かができて、何かができない」という状態は良くありません。OS自体の開発ポリシーもそうですが、とにかく「シンプルにわかりやすくしよう」というのが今回のWindows 7の大きなポイントです。

−−今のところAVアンプではオンキヨーだけがロゴプログラムに参加していますが、他メーカーの関心も高いようです。

森:実際に認証を取得いただいたのはオンキヨーさんだけですが、弊社としてはAVメーカーさん全社に声をかけており、常に全社にお話はしています。実際の判断は各社さんの問題ですし、タイミングとかもあるでしょうから、順次、出てくるのではないでしょうか。12月末のタイミングではオンキヨーさんだけですが、今後増えてくることを期待しています。

次ページDTCP-IPへのネイティブ対応も視野に

前へ 1 2 3 4 5 次へ

この記事をシェアする

  • Twitter
  • FaceBook
  • LINE

トピック: