DTCP-IPネイティブ対応も視野に
DLNA「3スクリーン」でさらに進化するWindows − マイクロソフト森氏に聞く今後の展開
■メディア再生安定性が向上したWindows 7
−−当サイトには、画質や音質にこだわる読者の方々が多いのですが、Windows 7がクオリティの面で向上しているところはありますか?
森:特定のテクノロジーとしてではなく、OS全体で対策を行ったことになりますが、PCで音を聞いていると、音が飛ぶことがあります。必ずしもOSだけのせいではないのですが、これを減らすために、さまざまな取り組みをしています。
PCでは同時にさまざまなタスクが発生しますが、それぞれのコンポーネントがOSに対して、あるいは他のコンポーネントに要求を出すと、それによって再生が邪魔されます。CPUが処理する待ち行列のなかに他の処理が入ることによって、音声の再生処理に影響して、プチッと音が飛ぶ可能性があるわけです。それを抑えています。
ただし、パソコンにはさまざまなソフトをインストールされるので、このとき、ノイズを発生させるドライバーは必ずしもマイクロソフトの作ったものではないわけです。どのドライバーと特定できるわけではなく、世の中に存在しそうな何か、ということになります。ですから、PCメーカーさんからすべてのPCをお借りしてチェックしたりなど、かなり地味な作業をしているんです。
その結果、Windows 7ではよりメディアの再生安定性が向上し、再生時の音飛びが減りました。AV関連の視聴のエクスペリエンスを向上させるためには、こういった努力が必要です。
−−最近、PCでUSB-DACを使って、高音質再生を行うということがありますが、そういう場合にはどうでしょうか。
森:もちろん音飛びは減ります。これにより、快適な視聴環境を実現できると考えています。
■Liveムービーメーカーはウェブ的に進化する?
−−ムービーメーカーについてお聞きします。Live版となったことで機能がシンプル化しましたが、今後の方向性としては今のようなレベルで行くのでしょうか?それとも、多機能化していくのでしょうか?
森:多機能化していく可能性はあります。しかし今のところ、これに関してお話しできることはありません。今回のWindows Live ムービーメーカーで変えたことは、たとえばウェブサービスにアップできるようにしたなどの機能の拡張も含んでいますし、逆に言うと細かい設定ができない代わりに、あっという間にムービーができるなど、シンプルにしているのも特徴です。
今後はウェブのLiveサービスとの連携などは維持しつつ、ビデオの編集に関しては機能が増えるとか、もう少し細かい何かができるようになる可能性はあります。シンプルにしていく方向性かというと、そうでもありません。
−−ビデオのエンコード処理は低スペックのPCでは時間がかるので、これをサーバー側で処理して送り返してくれるというようなサービスは、将来的に期待できますか。
森:ありえないわけではありませんが、今のところ、計画は特に聞いていません。
−−本日はありがとうございました。
■インタビューを終えて
サードパーティのビジネスの邪魔はしないが、世間で標準的に求められるものはどんどん取り入れていく。その一方で、マルチタッチのような先進的な機能もサポートすることで、PC環境を進化させる試みも忘れない。そして、そんな中でメディア再生の安定性についても地道に向上させていくなど、マイクロソフトはOSの社会的な重要性を深く理解し、従来以上に真摯に取り組んでいるという印象を受けた。Windowsは、世間と調和しながら進化していくことに成功しつつあるように思える。