3Dやその他AV製品の戦略などにも幅広く言及
<IFA2010>ソニー・ヨーロッパ西田プレジデントが語る独自ネットサービス「Qriocity」の展望
そしてまた、3D以外に西田氏がビジネスのコアとして位置付けるのがネットワークサービス、およびデジタルイメージング製品の拡充だ。
ネットワークサービスに関しては、同社では数年前から手がけてきたが、最近になって技術的な諸問題が次々と解決。ネットワークを通じてユーザーに送り込まれるコンテンツも徐々にその数が増えており、こういった背景をふまえて、ソニーが提唱するトータル・ネットワークオープンプラットフォーム「Qriocity」(関連ニュース)をベースとするハード・ソフト一体型ビジネスに力を入れていくと西田氏は語る。
続けて西田氏は、Qriocityが組み込まれたサービスは、将来的にはカテゴリーやフォーマットを越えた形でのシームレス検索機能の導入を果たし、ソニーとしてのネットワークコネクションの基礎インフラとして活用していくという考え方を示した。テレビだけでなくVAIOにおいても、近々Qriocityを積んだ製品を発売していくとも明かした。
なお、Qriocityのアーキテクチャー自体はPS3用のものとほぼ同じものを転用しているが、ゲームとテレビではターゲットする層の幅が全く異なるため、ターゲットに即した形でネーミングを使い分けることを戦略として置いているという。ゲームのコアは20歳前後の非常に狭い層に集中しているのに対し、家庭用テレビの場合は若年層から老年層までターゲットが広がっており、ネーミングの共用は不可能と判断しているとのことだ。
西田氏は、ネットワークを通じてユーザーに届けられるコンテンツは、これからはストリーミング方式が中心となるとしており、ファイルレス(クラウド)化が進捗するとコメント。そのためには使い勝手の改善、検索機能のさらなる高度化が不可欠と言う。
また、ユーザーがコンテンツを直接所有するダウンロード・ビジネスモデルもソニーは持っているが、それよりもユーザー・ベネフィットの効果が大きいと見込まれるストリーミング・ビジネスに大きな可能性を見いだしているという考えを披露した。
日本での導入時期に関しては、私見として「IPTVに関する著作権の問題をクリアにすることが不可欠」と西田氏は指摘。コンテンツ制作側の意識改革、よりオープンでフラットな体質の実現が図られれば、日本市場での成功の道筋が見えてくるとしている。
また西田氏は、BDプレーヤー市場伸張への期待感も表明。PS3を除いた2010年の同市場は、業界全体として欧州で400万台、全世界で1,600万台の水準に達し、既にソニーがその中で20%以上のシェアを獲得していることを明らかにした。DVDからBDへのシフトも順調に進み、年率60%の販売実績の伸びを記録しているという。
そして会見の最後には、3Dビジネスに対する今後の展望にも言及。私見として、現行のコンテンツを100%全て3Dに置き換えるのではなく、3Dの特性を活かした形での見せ方の使い分け(例えば、サッカーの試合であれば全部を3D化するのではなく、通常は2Dで流し、ゴール後のリプレイシーンを3Dで見せる、など)を行うなど、3Dと2Dの両コンテンツを緩やかに共存させることが望ましいとの考えを示した。
また、ディスプレイの世界において3Dがビジネス・アドバンテージを持つのは「3年程度」とも述べ、その間にさらなるシェアアップ、コスト改善、性能向上を順次実現していきたいとした。