「near」など新機能の思想にも迫る
発売直前!“AV機器としてのPS Vita”の実力とは? SCEスタッフに直撃インタビュー
実際に画像転送で操作を比べてみると、使い勝手の良さはすぐに理解できる。パソコン、もしくはPS3内のコンテンツがローカルを見ているのと同じようにリストアップされ、PS Vita側の操作ですべてを集められるという訳だ。「パソコンにあまり詳しくない方でも、少なくともPS Vitaを使えていれば転送ができるようにと考えてUIを作っています」というとおり、今までややマニアックな使いこなしになっていたPC/PS3連動のハードルも下がりそうだ。
ちなみに、PS3で地デジを録画する「Torne(トルネ)」への対応についてもPS Vitaの発売に先駆けて15日にアップデートが公開済みだ。なお、BDレコーダーからの番組転送については「今後のバージョンアップによる対応を検討中」とのことだ。
そのほかAV機能に関連する話題としては、最初に説明した通りPS VitaはPSNに完全対応したデバイスとなる。このため、ソニーエンターテイメントネットワークの一環としてSCEがPSNを通じて提供するビデオ配信は、PS Vitaでも利用できる。
若井 PS VitaについてはPSストアのビデオストアが本体発売日からオープンする予定で、映画などを購入してダウンロード視聴していただくことが可能です。
なおコンテンツはSD解像度での提供になります。SD画像でも、実際にPS Vitaで視聴するとかなり美しく感じます。またHDのコンテンツは権利的な問題でポータブル機に出すことが難しいということもあります。
島田 あとはファイルサイズの問題もあります。HDファイルとなると720pであっても6GBくらいのサイズになってしまいますからね。ただ、HD画質については、特に「やらない」と決めている訳でもないので、将来的には検討しています。
PS VitaのAV機能を考えたとき、720p映像の対応というだけでなく、他機器との接続までを含め、PS Vitaが主体になって操作できるという点が新しい一歩と言えるだろう。
多機器との連携については現在のところPC/PS3とUSBケーブルで接続することになり、利用可能な機能は従来のPSPの延長線上にある。しかし、こうした操作主体の変化は、ちょうどアップルがコンテンツ共有の方法をiTunesからiCloud経由へと発展させたように、Wi-Fiによる連携、さらにはPSNを中核としたクラウド型サービスへの発展を強く意識しているようにも感じられる。
取材中に、Wi-Fiによるファイル転送へのリクエストを出したり、クラウド化について訊ねてみたのだが、「プレイステーションの商品は発売時のシステムソフトウェアがすべてではないので、将来的なところも含めて色々考えていきたいなと思っています」とのことだ。
PS Vitaはゲーム機としての魅力はもちろん、5型の有機ELディスプレイというモバイルデバイス屈指の高画質ディスプレイに、スマートフォンを彷彿とさせるタッチパネル対応、さらにはGPS内蔵、SNS連携、PC/PS3からのファイル転送に映像配信対応と、まさに盛りだくさんの機能を搭載している。本体価格は3G/Wifiモデル29,800円、Wi-Fiモデルは24,800円と手頃で、AVファンにとっても将来に渡って大いに遊べるデバイスと言えるだろう。