<IFA>「Xperia Z1」はこうして生まれた − ソニーモバイル田嶋氏インタビュー
■スマホサイドから新しいソニーならではの「機能」を作っていきたい
長期的に見て、UX(ユーザーエクスペリエンス)文化をどう変えていくお考えでしょうか。
田嶋氏: 現在は、ソニーならではのスパイスを入れたスマートフォンを開発しているという状態ですが、ゆくゆくはスマートフォン側から新しいソニーならではの機能を作ることを目指していきます。ソフトウェア面において、Androidからデカップリングしたソリューションなどの開発を念頭に置いています。
OSからくる制約などを鑑みて、Windows PhoneやFireFox OSでやることも考えています。今は過渡期ですので、Androidも含めてやっていきます。われわれのユニークが入るように、Googleとも話をしています。ただし、ソニーとして今からクライアントOSを作ることはないと思います。
ソニーの考えるUXを高めるグローバル戦略がある一方で、日本だと事業者も力を持っています。
田嶋氏: グローバルで各事業者と接していると、事業者側の指向の変遷がわかります。日本がどうなるかはわからないのですが、動向は見守っていきます。例えば、方向性としては「ドコモミュージック by Music Unlimited」などがあってもいいんじゃないかとは思います。
Googleがリファレンス端末を用意していることはどう考えていますか。
田嶋氏: Googleは非常にソフトウェア指向の会社で、リファレンスを用意する重要性を知っています。現在のところ、競合としての危険視はしていませんが、今のようにオープンな体制で各ブランドを尊重するフィロソフィーが変わったときには、私たちとしても対抗する方法を考えます。
Microsoftがノキアを買収しましたが、Windows Phoneは魅力的なプラットフォームになると思いますか。
田嶋氏: Microsoft次第ではないでしょうか。フェアな関係性になるのであれば大きく市場に入っていくようになると思います。私たちとしても、その見極めをこの数か月で行っていきます。
7インチ以上のモデルのスマホ/タブレット市場をどのように考えていますか。
田嶋氏: まず10インチ以上のクラスについては、ハードウェアの価値よりもコンテンツの価値で訴求する傾向もありますので、どういったビジネスモデルが良いのか今後とも考えていきたいです。さらに7インチモデルは、10インチ以上のタブレットの要素と、従来のスマホの要素がぶつかる潮目のサイズなので、こちらも従来のスマホにおけるハード寄りの価値訴求なのか、大型タブレット寄りのコンテンツ訴求なのか、どちらが適しているのか考えていきたいです。
デザインランゲージを変えるタイミングはいつですか。
田嶋氏: 3回に1度やるのか、2回に1度なのか、マーケットによって違うので決めかねています。例えば、香港、台湾、北京は毎回変えろと言われます。ただし、グローバルでのコミュニケーションを想定しなくてはならないので、マーケット別に変えることは避け、一番適した形での変更を考えています。
■Xperiaラインナップ全体の拡充について
Xperiaのラインナップ全体について教えて下さい。
田嶋氏: 「Xperia A」については、非常に普及度の高いマーケットにおける扱いやすい製品として展開しています。ZとAでブランドとしてのメッセージが異なるので、秋以降はそのあたりを整理して、幅広いユーザー層を狙う製品はフラグシップと別にラインナップします。スクリーンサイズ、筐体の大きさなどはマーケットによって好みもありますので、それぞれを網羅できるように取り組んでいきます。
エントリー価格帯の機種の投入についての予定をお聞かせ下さい
田嶋氏: 世界市場における今年の販売目標は4,000万台ですので、もちろんフラグシップ以外の製品も充実させていきます。価格帯は200ユーロか100ユーロかわからないですが、例えば50の市場なら70、100なら120といったように、低価格のなかでもワンプレミアムをつけて展開していく予定です。