全く新しい概念のオーディオシステム「EXAKT」とは？ LINNギラード社長に聞く開発の背景

また、こうした出荷前の個体差についての計測データを同社ではクラウド上で管理。修理などでドライバーユニットを交換する必要が出た際、そのデータを活用できるようにしている。「CEDIAでデモをした際、あるセールスマンがボリュームを一気に上げてアレイを破損させてしまったのですが、幸運なことにスペアがありましたので交換し、クラウドから設定をダウンロードすることでそれまでと同じデモを続けることができました」というエピソードも紹介した。

なお、製品が設置された部屋の環境に対する補正機能も装備。製品のことを熟知したインストーラー（販売店スタッフなど）がベストな設置箇所を判断し、ベストポジションへの設置が物理的に難しい場合には、実際の設置場所とベストポジションとのズレをデータとして入力することで補正する仕組みだ。

音場補正というと、実際にテストトーンを発してマイクで拾い、それをもとに処理する方法が一般的だが、EXAKTのそれは音を出すわけではない。「そういった通常の補正システムは、とにかくフラットなレスポンスを得るために機能していると思います。ですがLINNでは、そういった方法が実際に良い音楽再生につながる保証はないと考えています」と、ギラード氏はその理由を説明する。

「この40年間の経験を経て、我々が信頼しているのは『耳で聴く』ことです。それはEXAKTにおいても同じで、どこに設置するかをまず耳を使って確認するのです」と続けた。

そして、「マスタークオリティ音源をすべての伝送過程においてスピーカーまで送れる」「完全なゼロ歪みの帯域分割と位相管理が可能」「製造の際に個体差を加味して完成させている」「部屋に設置した際に最高の性能を発揮できるように補正する」という4点がEXAKTの優位性だと説明。

「どれひとつとっても今までLINNが達成できなかったブレイクスルーがあります。この4点の組み合わせがEXAKTです。ぜひ実際に体験してみてほしいですね」とコメントした。