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これまでのデジタルアンプと何が違うのか?

【インタビュー】CSR本国技術者に聞くデジタルアンプ「DDFA」の革新性

公開日 2015/03/25 16:33 構成:編集部 小澤貴信
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デジタル入力型のデジタルアンプであることの利点

−− 従来のデジタルアンプにおいては、デジタル入力された信号をD/A変換してからデジタルアンプに入力するという形が一般的だったと聞いています。DDFAにおいては、直接デジタル入力できるメリットというのはやはり大きいのでしょうか。

Brotton氏 歴史を振り返れば、初期のデジタルアンプはアナログ入力が一般的でしたし、フィードバック技術を使わないものも多数ありました。こうした初期のデジタルアンプは特性も非常に悪く、私たちも他社がそうしたデジタルアンプを手がけていることを見てきました。そして、私たちはデジタルアンプの課題を改善して優れた特性を得るためには何が必要なのか、長い間研究してきました。そしてたどり着いたのが、フィードバック技術であり、デジタル入力なのです。デジタル入力を行って信号をデジタルベースで全て処理するということが、高特性に結びつくのです。

DDFAを搭載した開発用のリファレンス・アンプ

Jones氏 この結論に行き着くまでには、実際には厳しい試行錯誤を重ねてきました。どの点を追い込むべきなのか、どの部分で特性を確保するべきなのか、そういったノウハウを得るための技術的な実験は、それこそ無数に繰り返してきたのです。

−− DDFAの開発を行った際には、当然測定はされると思いますが、聴感での音質検証もされるのでしょうか?

Brotton氏 測定値だけではなく、オーディオ機器としてのキャラクター、そして聴感の音質を日本のオーディオメーカーが重要視していることは十分理解しているつもりです。DDFAを作り上げていく上で聴感でのテストは欠かせないものでした。またDDFAの開発の過程で、アンプにおけるチップ以外の部品についても、どこをどう変えると音質の傾向が変わると言ったノウハウを持っています。ですからセットメーカーがDDFAを使って製品開発を行う上でも、いろいろとアドバイスさせていただいています。

Jones氏 日本のブランドが好む音、ヨーロッパのブランドが好む音といった、好まれるサウンドにも様々な傾向もあると感じています。ですから、各ブランドの様々な要望に答えるためにも、音質に対する周辺部品の影響というのも知っておかなければいけないのです。

Brotton氏 ただ、我々の立場はあくまで“サポートする”というスタンスです。最終的な製品に落とし込み、音質を決定するのはオーディオメーカーです。我々はメーカーが狙ったサウンドを出せるように援助するという発想です。

Brotton氏は、DDFAがオーディオデバイスである以上、測定値はもちろんのこと聴感でのテストも重視して、繰り返し行っていると説明

内蔵DSPによる高性能フィルターも活用できる

−− 先ほど、DDFAに内蔵されたDSPについてお話を伺いました。DDFAを用いれば、高品位なデジタルクロスオーバーを備えたアクティブスピーカーが実現できるということでしょうか。DSPについて詳しくお話を伺えればと思います。

Jones氏 DDFAに搭載されているDSPは非常に性能の良いものですが、それはカスタマーが自由にフィルターを作成できるというタイプのものではなく、我々がプリセットで用意している14個のフィルターを選択できるという形式になります。

このDSPで特筆すべきは、内部処理を35bitで行っていることで、これは同様の他のDSPではまねできない特徴です。この35bit処理のおかけで、非常に高性能なフィルターを構成することが可能になるのです。

アクティブスピーカー向けのクロスオーバー用のフィルターに関しても、非常に高性能なフィルターを1つ1つ用意することができます。そして各チャンネルに対して14個のフィルターをあてがうことができるので、非常に細かい、精度の高いチューニングが可能になります。もちろんチューニングを援助する上で必要な、キットも用意しています。

Brotton氏 DSPに関してもうひとつ他社が真似できない点として、独自のコンプレッション・アルゴリズムが挙げられます。これはクリッピングを防止するためのコンプレッションのアルゴリズムなのですが、アクティブフィルターを用いる上でクリッピングの耳障りな音は問題になります。DDFAに搭載されたDSPには、クリッピングを防ぐための独自のアルゴリズムが採用されているのです。

次ページマルチch出力にも対応。どんな製品への投入が期待できるのかも訊いた

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